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☆主なコンテンツ
1、新着論文 2、論文概説 3、コラム 4、本のレビュー 5、雑記(PC・研究関連)
6、気になった一文集(日本語English) 7、日記(日本語English

2013年3月8日金曜日

新着論文(Science#6124)

Science
VOL 339, ISSUE 6124, PAGES 1113-1244 (8 MARCH 2013)

EDITORIAL
Denial of Catastrophic Risks
破滅的なリスクの否定
Martin Rees
一度起きれば世界的な破滅を招きかねない出来事について、我々はもっと関心を抱くべきだ。かつては自然が人間社会に脅威となっていたが、今では自らの高い技術力と固く繋がった国際社会そのものが脅威となっている。生態系の破壊、感染症パンデミック、政情不安定、気候変動、サイバー・バイオ・ナノ技術テロ、AIなど。

Editors' Choice
Plasmonic Water Splitting
プラズモニックな水の分解
Nat. Nanotechnol. 10.1038/nnano.2013.18 (2013).
太陽光を用いて水を分解して水素を発生させる技術が存在する。まだ技術は発展途上だが、装置の改良や扱う波長を変えることで水素生成の効率は今後向上する可能性がある。

A Good Hiding Place
いい隠れ場所
New Phytol. 10.1111/nph.12191 (2013).
植物の種は休眠する能力があることが知られている。例えば望ましくない時期には発芽が抑えられ、適した時期に発芽する。休眠能力において外殻は重要な役割を担っているが、一方で種を食べる動物から身を守る役割も担っているらしい。ハムスターを用いた実験から、柔らかい種は自らの存在を示す揮発性物質を発しており、より見つけられやすく、食べられる危険性が大きいことが分かった。硬い殻は補食から逃れるという意味でも機能しているらしい。

Not Our Fault
我々の責任ではない
Geophys. Res. Lett. 10.1002/grl.50263 (2013).
成層圏にはエアロゾルが多く存在するが、人為起源の硫黄を含んだ物質の対流圏への放出が成層圏のエアロゾル形成にどのような影響を与えているかはよく分かっていない。2000 - 2010年における観測記録から、成層圏エアロゾルは火山性ガスを起源とするものがほとんどで、中国やインドからもたらされるものはほとんどないことが示された。また中部・上部成層圏にもまた測定可能なほどの影響は見られないという。

News of the Week
WHO: Fukushima Caused Minimal Cancer Risk
世界保健機関:福島は最小のガンのリスクを招いた
世界保健機関は、福島第一原発の事故は周辺住民を除き、他国の人々のがんの発生リスクの発見可能なほどの増加は招かなかったことを2/28に報告した。しかしながら、グリーンピースは「事故の直後に放出された放射性物質による避難前の周辺住民の被爆を低く評価しすぎている」として、WHOの報告書を糾弾している。一方で放射線医学総合研究所酒井一夫は「リスクは逆に過大評価されている」と信じている。
>より詳細な記事(OPEN)
WHO Sees Minimal Cancer Risks From Fukushima Accident
Dennis Normile

News & Analysis
Siberian Meteor Spurs Dash for Data, Calls for Safeguards
シベリアの隕石が迅速なデータ取得と安全基準作成の要請に拍車をかける
Richard Stone
隕石は追跡可能であったのだろうか?また被害はもっと減らせなかったのだろうか?

At Home on the Range: Prairie Rodents Yield Their Secrets to a Dogged Observer
Elizabeth Pennisi
プレーリードッグの新たに分かった生態について。

News Focus
A Sea Change for U.S. Oceanography
アメリカの海洋学の目覚ましい変化
Eli Kintisch
新技術が海洋観測を作り替えたことで、海洋学者は減り続ける予算と縮小する研究の問題に直面している。

The New Generation of Sea Scientist
海洋科学者の新世代
Eli Kintisch
海で過ごすことはもはや海洋学教育において強制されるものではない。

Ahoy, Telepresence
おおい、遠隔参加
Eli Kintisch
減少傾向にあるシップタイム(船で海の上にいる時間)に対処する一つの方法は遠隔ビデオ技術を用いて陸上科学者と現場にいる人々とをつなぐことである。

Letters
The Other Revolution in the Life Sciences
生命科学の別の革命
Christian de Duve

Museums' Role: Increasing Knowledge
博物館の役割:増え続ける知識
Gregory C. Mayer, Jerry A. Coyne, Jonathan B. Losos, Johannes Foufopoulos, Neil Shubin, Douglas J. Futuyma, Benjamin C. Campbell, and Scott V. Edwards

Museums' Role: Pollen and Forensic Science
博物館の役割:花粉と科学捜査
Sophie Warny

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Research
Perspectives
With a Little Help from Prokaryotes
原核生物の助けをちょっと借りて
Eduardo P. C. Rocha
紅藻は極限環境に生息する原核生物と遺伝子の水平輸送をすることで極端な環境に適応することができる。

Caffeine Boosts Bees' Memories
カフェインがハチの記憶を強化する
Lars Chittka and Fei Peng
花の蜜に含まれるカフェインが花の香りをハチが記憶するのを助けている。

Reports
Terrestrial Accretion Under Oxidizing Conditions
酸化的な環境下での地球の成長
Julien Siebert, James Badro, Daniele Antonangeli, and Frederick J. Ryerson
高温・高圧実験で地球のコアの形成史を考察。

A Reconstruction of Regional and Global Temperature for the Past 11,300 Years
過去11,300年間の地域的・全球的気温の復元
Shaun A. Marcott, Jeremy D. Shakun, Peter U. Clark, and Alan C. Mix
過去1,500年間の気温復元は現在の温暖化が自然変動でなく、人為起源であることを物語っている。完新世全体(11.3ka〜現在)を通しての気温復元例をまとめたところ、完新世初期からおよそ200年前までの小氷期までの間に、全球気温は約0.7℃低下し(北大西洋は2℃の低下)、その後温暖化したことが示された。現在の温暖化は完新世の最温暖期の75%に相当する温暖化であるが、IPCCの排出シナリオによると、すべてのシナリオで2,100年には温暖化が最温暖期を上回ることが予想される。

Caffeine in Floral Nectar Enhances a Pollinator's Memory of Reward
花の蜜のカフェインが花粉媒介者の記憶をご褒美として促進する
G. A. Wright, D. D. Baker, M. J. Palmer, D. Stabler, J. A. Mustard, E. F. Power, A. M. Borland, and P. C. Stevenson

Prairie Dogs Disperse When All Close Kin Have Disappeared
プレーリードッグは近くに親戚がいなくなったら離散する
John L. Hoogland

Gene Transfer from Bacteria and Archaea Facilitated Evolution of an Extremophilic Eukaryote
バクテリアとアーキアの遺伝子輸送が極限環境に生息する原核生物の進化を容易にする
Gerald Schönknecht
様々な動物門から得られた遺伝子の寄せ集めが、紅藻が熱い・酸性的な・毒性のある環境でも増殖できることを可能にしている。