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☆主なコンテンツ
1、新着論文 2、論文概説 3、コラム 4、本のレビュー 5、雑記(PC・研究関連)
6、気になった一文集(日本語English) 7、日記(日本語English) おまけTwilog

2018年12月31日月曜日

2018年総まとめ

毎年恒例の1年の総まとめ。

今年は科研費・若手研究が当たったこともあり、海外にも多く行けた良い年だった。
記憶も曖昧なので、カレンダーを見返しながら各月毎の出来事をまとめてみたい。

行った海外の都市は
トロンヘイム(ノルウェー)
リビングストン(ザンビア)
ボストン(アメリカ)

国内の都市は
柏・名古屋・幕張・札幌・那覇
こう考えると国内の行き先はあまりバリエーションが無かった。移動距離は半端ないけど(北海道〜沖縄)。

・1月
帰省はせず、一人年越し(今年と同じw)
中旬は関東出張、それ以外はひたすらNeptuneでd11B測定

・2月
はじめに名大で加速器ユーザーの成果報告会。
後半は関東出張

・3月
コアスクールコア解析基礎コースで初めてのチューターを務める
後半は関東出張。送別会やサッカーの対外試合にも顔を出す。

・4月
ひたすらNeptuneとTritonでd11Bと87/86Sr測定
後半は関東出張

・5月
ひたすら実験
JpGUでの招待講演(ビノスガイの話)、後半は関東出張

・6月
ひたすら実験、後半はノルウェー・トロンヘイムでRADIOCARBONの国際学会(W杯開催中)、帰国後関東出張

・7月
ひたすら実験
北大低温研で温室世界に関するシンポジウムに参加
その後直でアフリカはザンビア・リビングストンで開催されたIODP第361次航海のポストクルーズミーティングに参加。

・8月
前半は関東出張
そのままボストンで開催されたGoldschmidtに参加
後半はひたすら実験

・9月
前半は関東出張
そのまま沖縄・琉球大学で開催された地化学会年会に参加
その後瀬底実験施設の見学
後半はひたすら実験

・10月
前半は関東出張
後半は実験と合間にプロポーザル執筆

・11月
ほぼ1ヶ月関東出張。バイオミネラリゼーションと石灰化シンポジウム@AORIと地球環境史学会@東北大学に参加

・12月
ひたすら実験

2018年は出張と実験をひたすら交互に繰り返した年だった。学振のメインのプロジェクトも順調に進み、うまく学振PDの3年目にまとめに入れそうな手応えを感じている。
来年はドイツに2〜3ヶ月行くことになりそうで、年末には白鳳丸の世界一周航海で2ヶ月ほど空ける予定。来年行く都市としては
ウィーン(オーストリア)※国際学会
スプリット(クロアチア)※国際学会
マインツ(ドイツ)※実験
ダブリン(アイルランド)※国際学会
ブレマーハーフェン(ドイツ)※実験
バルパライソ(チリ)※航海
プンタ・アレーナス(チリ)※航海
ケープタウン(南アフリカ)※航海
幕張(JpGU招待講演)
本郷(地化学会年会)
つくば(地球環境史学会)

しっかりと海外でも得るものを得て(サンプル・技術・コネ)、国内でもしっかりと実験に明け暮れたい。
次年度で学振も終わってしまうので、また次の行き先も模索しなければならない。不安定ではあるものの、楽しみな一年。

2018年12月19日水曜日

来年の予定(3大陸6カ国)

今年のまとめの日記も書きたいと思っているけれど、先に来年の予定をまとめてみたい。
来年は学振PDの最終年度ということで、いまやっているメインのプロジェクト(IODP Exp.361)の浮遊性有孔虫ホウ素同位体分析もできれば完了させたいと思っている。
ただし、一部の試料は現状高知コア研での分析は難しい(さらなる微量化の技術開発なしには)ので、LDEO(かAWI)に持ち込むことになるかもしれない。

ちょうど今日、共同研究者から一報があり、科研費の二国間交流事業でドイツのマインツ大学にゆく三年間若手研究者を派遣できることに。ドイツ側のカウンターパートであるマインツ大学のSchone教授は貝の年輪年代学・地球化学分析で世界に名の知れた専門家で、日本でJSPSの特別研究員をやっていたこともある。
このプロジェクトでは私も若手研究者のメンバーに加わっており、幸運にもゆく3年間のどこかの期間でマインツ大学に技術研修に行く権利を得た。
特に年輪年代学の解析に用いるソフトウェアの習熟、貝殻の地球化学分析、論文執筆などにこの制度を利用したいと考えている。

早くも来年3月から派遣がスタートするということで、さっそく私に白羽の矢が立っているが、色々考えるとすでに来年の予定はぎっしり詰まっており、どうしようか悩ましい。
現在決まっているものだけでも

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・1月
AORIで実験→大槌調査

・2月
ブルーアースサイエンステック2019でのIODPの成果報告→AORIで実験

・3月
KCCコアスクールのチューター

・4月
EGU@オーストリア(※往復航空券手配済み)

・5月
JpGU@幕張

・6月
年輪年代学国際学会@クロアチア

・7月
AWI@ドイツで1ヶ月実験→(Palsea・)INQUA国際学会@アイルランド

・8月

・9月
地化学会@本郷

・10月

・11月〜翌1月
地球環境史学会@つくば
白鳳丸世界一周航海(バルパライソ〜プンタアレナス〜ケープタウン)

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いま考えているのは3月後半と8月あたりにそれぞれ2週間、1ヶ月ほどマインツ大学に行くこと。
7月にはちょうど同じくドイツのAWI(ブレーメン近郊)に1ヶ月滞在し、その後アイルランドの学会に参加し、帰国するつもりであった。
航空券はまだ手配していないのでまだ調整が効くので、アイルランド後、或いはアイルランドをキャンセルして、そのままマインツに移って1ヶ月ほど滞在するのもありかもしれない。
ちょうど8月というと、日本の酷暑を避けられるというメリットがある(マインツのベストシーズンとも!)。
最高気温はたかだか25度ということなので、日本に比べればはるかに快適だろう。
もう一つのメリットは、高知コア研でのホウ素同位体分析に関して。過去二年間のデータを見ると夏に顕著に実験室のホウ素ブランクが上がっている。
夏の南風がホウ素に富んだ空気をもたらしているのか、エアコンが原因なのか、まだ判明していないものの、微量を扱う分析にとってブランクの問題は死活問題である。
貴重な試料を無駄にしたくないということもあり、この時期の分析は避けたほうが賢明かもしれない(ブランクを減らす努力を色々考えなければならないけど)。

あまり海外に行き過ぎても学振PDとしてのメインの研究テーマが滞ってしまい本末転倒なので、そのほかの期間はしっかりと有孔虫を拾って、潰して、分析しなければ。
AWI滞在用に別の堆積物コアからも有孔虫を改めて拾わなければならないし、やることいっぱい。

白鳳丸の航海でも新たな堆積物コアが手に入る予定なので、こちらは有孔虫のホウ素同位体・放射性炭素・ネオジム同位体を中心にゆく数年かけて分析を進めて行く予定。
航海が終わると学振PDが終わり、ついに無職になるが、次のキャリアに繋がるように、色々と模索してゆきたいところ。
アメリカのとある研究機関のポスドクに無事通れば、2019年春から2年間はアメリカに行く予定なので、マインツには残念ながら行けないだろう(科研費の制度を確認する必要があるが)。
国内のポストが得られ、かつ自由度が高ければマインツにも行く機会が得られるかもしれない。さてどうなるか。

2018年9月7日金曜日

将来の温暖化のアナログになる地質時代の温暖期

Palaeoclimate constraints on the impact of 2 °C anthropogenic warming and beyond
Hubertus Fischer et al.
Nature Geoscience 11, 474–485 (2018).

将来の地球温暖化(人為的気候変化)のアナログになりそうな、比較的最近の過去の温暖期に関するレビュー。

以下の期間に焦点をあてている。

1)完新世温度最適期(Holocene Thermal Maximum, HTM)
11〜5 ka(ka は1,000年前)
現在よりも<1℃ 温暖(とくに北半球高緯度に顕著)
CO2濃度:250〜260 ppm
海水準:現在と同程度

2)最終間氷期(Last Interglacial Period, LIG)
129〜119 ka
現在よりも約0.8℃温暖(海面表層水温SSTは0.5℃温暖、とくに北半球高緯度に顕著)
CO2濃度:280 ppm
海水準:現在よりも6〜9 m高かった

3)酸素同位体ステージ11.3(Marine Isotope Stage 11.3, MIS11.3)
410〜400 ka
CO2濃度:280 ppm
海水準:現在よりも6〜9 m高かった

4)中期鮮新世温暖期(Mid-Pliocene Warm Period, MPWP)
3.3〜3.0 Ma(Maは1,000,000年前)
現在よりも1〜3℃ 温暖
CO2濃度:300〜450 ppm
海水準:現在よりも6 m以上高かった


2018年8月23日木曜日

保存容器に起因するコンタミ

久しぶりの投稿です。

自分の過失というか無知としか言えないのですが、実は保存容器に起因するコンタミが自分の分析に大きく影響する可能性について気づかないままに一年近く実験をやってしまっていました。

具体的に何をしているかというと、
 ▷海底堆積物中の有孔虫の殻(カルサイト、CaCO3)のMg/Ca比(温度指標)やAl/Ca比(汚れの指標)、
 ▷ホウ素(B)の含有量チェック(のちのホウ素同位体分析のため)
を行うためのQ-ICPMSを用いた定量分析です。

実験を始めた当初、Alのカウント数が非常に高く(50,000 cps近く)、「アルミニウムは機械の部品にでも使われているんだろう」と考えた結果見過ごしてしまい、まさか溶液の保存に用いる容器に起因するものとは全く気付かず。
あとになってAlのカウントが低いデータが存在する(例えば、当日調整した酸など)ことに気づき、原因を調べたところ、容器が汚染源であることが分かりました。
場合によってはサンプル中の含有量をはるかに凌ぐ量の元素が容器から汚染されているケースも。ちなみに使っていたのはNalgeneのPP製保存容器です。
Alの含有量は有孔虫殻の洗浄度合い、特に粘土鉱物の除去の程度を知る上で重要であり、特に50,000 cps付近にその判断基準があります。

似たような事例はBやMgにも出ており、幸いにして「取得データをすべて破棄」といった事態にはなっていないものの、今後より良いデータを取得し、測定精度を上げるためにも、こうしたコンタミを徹底的に排除する必要があると感じました。

もちろん各企業が容器の綺麗さを宣伝するために他者製品と比較して、容器中の含有元素データを公表している場合もあります(例えば、ThermoのHDPEボトル(pdf)AgilentによるSeastar社製保存容器の比較)。
しかしながら我々のラボでは必ずしもどの容器がどの分析に適さないのか、についてコンセンサスがありませんでした。
そこで一般的に使用している保存容器について調べてみることにしました。
最も高価なPFA製のNalgeneボトル(1本2万円近く!)がおそらくもっとも綺麗だろうという予想を立てつつ、より安くて綺麗なものがあれば、という期待も込めて実験を行いました。

以下にプラスチック製保存容器を酸で予備洗浄する前後の変化や、各種酸(硝酸・塩酸・フッ酸)を入れた状態で1週間ほど放置した際に保存容器から溶出する各元素について測定した結果について示します。
全元素を測定していますが、今回は上でも述べた3元素だけ。

2018年5月31日木曜日

グレートバリアリーフの形成史(Webster et al., 2018, Ngeo)

Response of the Great Barrier Reef to sea-level and environmental changes over the past 30,000 years
Jody M. Webster, Juan Carlos Braga, Marc Humblet, Donald C. Potts, Yasufumi Iryu, Yusuke Yokoyama, Kazuhiko Fujita, Raphael Bourillot, Tezer M. Esat, Stewart Fallon, William G. Thompson, Alexander L. Thomas, Hironobu Kan, Helen V. McGregor, Gustavo Hinestrosa, Stephen P. Obrochta & Bryan C. Lougheed
Nature Geosciencevolume 11, 426–432 (2018)
より。

IODP第325次航海のグレートバリアリーフ(GBR)の海底掘削から、30ka以降のサンゴ礁形成史を復元。

参考までに、昔書いた、サンゴ礁掘削と環境復元に関する拙ブログ記事はこちら
タヒチの埋没サンゴ礁から過去の海水準変動を復元する

以前東北大の井龍先生らが中心となってタヒチのサンゴ礁でIODPによる掘削が行われたが(Deschamps et al., 2012, Nature)、その時は15kaまでしか遡れず(厳密には2つ前の退氷期の化石も見つかっているが;Thomas et al., 2009, Science)、最終氷期(~20ka)頃の化石サンゴを回収することは叶わなかった。
今回GBRで行われた掘削では、最終氷期や、それよりも前の時代の試料についても回収することができ、世界最大のサンゴ礁の形成史についての貴重な知見が得られた。
今回は東京大学大気海洋研究所の横山先生(私の学生時代の指導教官)らが中心となって掘削が行われた。日本からも多くのサンゴ礁研究者が関与している、大きな国際プロジェクトである。

海底地形図を眺めると、テラス状の構造が段階的に見られ、そこからもサンゴ礁の形成は段階的に起きた、すなわち成長の停止時期を伴いながら成長が起きていたことが想像できる。それが今回掘削を行い回収された化石サンゴの年代をウラン系列を用いて正確に特定することで、より正確な時空間変動が明らかとなった。

最終氷期のサンゴは世界的に見てもそれほど多く回収できておらず、当時熱帯域が寒すぎてそもそもサンゴが生育していなかったことが可能性として挙げられるが、それよりも原因になっているのは最終氷期の化石サンゴが130 m近い海底或いは地下に埋没していることが挙げられる。掘削船を用いた大掛かりな調査が必要なのは、こうしたことが背景にある。

化石サンゴの年代測定から明らかになった海水準変動曲線については、横山先生が主著者として現在論文を執筆中であり、本論文ではどういった環境要因がサンゴ礁の形成に重要だったかを中心に考察している。

1)海水準低下期(27 - 22 ka)
海水準は現在よりも -65mの位置から、-125mの位置まで海水準が低下した。
それよりも前の時代に形成されたサンゴ礁は地上に露出し、露出したサンゴは死滅した。一方、海側に向かって成長するサンゴが存在したことから、サンゴ礁は海側へと成長を続け、サンゴ全てがすべて死滅するような事態ではなかった。

2)海水準最低下期(~21 ka:最終氷期極相:LGM)
海水準は-125mの位置まで低下していた。
当時の水温はSr/Ca古水温計の推定から現在よりも4度低かったとも言われている(Felis et al., 2014, Nature communications)。低水温状態でもサンゴが成長できることの現れである。

3)海水準上昇期(21 - 10 ka:最終退氷期)
海水準が現在よりも -55mの位置まで上昇した。海水準は急激な上昇イベント(例えば14.6kaのMWP-1Aなど)を伴いながら、段階的に上昇した。
タヒチではMWP-1Aにおける300年間に20 mという急激な海水準上昇によって一部のサンゴ礁が溺れたが、GBRでは追いつくことができていたらしい。
ただし、別のタイミングでサンゴ礁が溺れるイベントがいくつか見つかった(海底地形にも見られる複数のテラス状の地形)。
こうした溺死によるサンゴ礁の成長停止・低下を伴いながらも、サンゴ礁は陸側へと成長し続けた。こうした水平方向の移動速度がそれなりに大きいことは、従来考えられていたよりも礁全体としては環境変動に対して耐性が大きいことの現れとも言える。
この時、陸の一部が水没することにより、砕屑物の供給量も急増した。砕屑物の流入は水の濁度を増加させ、サンゴの光合成を阻害する要因である(ただし、一部のサンゴは栄養を摂れるかも?)。光合成量の低下はサンゴの石灰化量の低下に繋がり、サンゴ礁の成長速度を低下させる。そのため、海水準上昇に伴う陸域砕屑物の流入量もまたサンゴ礁の成長に大きく寄与したものと思われる。
タヒチの例でも報告があるように(Blanchon et al., 2014, Scientific Reports)、陸からの砕屑物がトラップされるような地形(礁原など?)が発達することが、その後のサンゴ礁の成長に大きく寄与するようである。

最終的に、海水準上昇が終わりに近づいた9ka頃に現在の堡礁(バリアリーフ)システムが形成されたと考えられており、それまでは裾礁(フリンジングリーフ)システムとして大陸の縁辺にへばりつくような構造であったらしい。

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実は私自身も、前回のタヒチにおけるIODP航海同様(Kubota et al., 2014, Scientific Reports)、このIODP航海に関与している。
具体的にはニオウミドリイシサンゴ(Isopora spp.)の骨格中のホウ素同位体分析を通じて、最終氷期以降の海水のpH・pCO2を復元し、海水炭酸系の変化がサンゴ礁の成長にどのように寄与したかを明らかにしたいと考えている(逆に、サンゴ礁の成長によって海水炭酸系が大きく変化していた可能性もある)。
一般に古気候研究にはハマサンゴ(Porites spp.)の骨格が重宝されるが、GBRの掘削からはほとんど得られていない。ニオウミドリイシについても、ハマサンゴ同様に塊状の構造を持つことから、古気候復元に用いることができる。まずは室内水槽実験を通じて骨格のホウ素同位体と海水炭酸系との関係をしっかりと把握し、過去の復元に応用したいと考えている。

2018年4月20日金曜日

サンゴに未来はあるか?3

前回の記事からまたしばらく時間が経ったのと、グレートバリアリーフのサンゴ礁が白化現象に伴い壊滅的な被害にあっているという記事・論文を見たのとを受けて、またアップデートしておきます。
サンゴに未来はあるか?2
サンゴに未来はあるか?

今回目に留まったのはNatureに掲載された以下のもの。
Great Barrier Reef saw huge losses from 2016 heatwave
Nature NEWS (18 APRIL 2018)


Global warming transforms coral reef assemblages
Terry P. Hughes et al.
Nature (2018), doi:10.1038/s41586-018-0041-2

ちなみに、同じ作者が筆頭著者でグレートバリアリーフのサンゴ礁の被害について立て続けに論文書いています。
Global warming and recurrent mass bleaching of corals
Terry P. hughes et al.
Nature 543, 373–377 (16 March 2017)

Spatial and temporal patterns of mass bleaching of corals in the Anthropocene
Terry P. Hughes et al.
Science 359, 80–83 (05 Jan 2018)

これまで全球的な規模の白化現象は1998年と2002年に起きており、2015年と2016年には2年続けて起きたことでこれほど大きな被害になったのだと思われます。
白化現象を免れたサンゴの範囲は1998年は45%、2002年は42%でしたが、2016年はたったの9%であったことも分かっています。

グレートバリアリーフ、今年の白化現象は「過去最大規模」
CNN news (2016.11.30)

白化の要因を解析したところ、漁業圧や水質ではなく、水温、特に水温が通常より高い状態が何日間か続くことが重要であることが見出されました。エルニーニョが極端に高水温の海水をもたらしたためと考えられます。
被害の分布を見ると、より熱帯寄り(北側)のサイトほど白化の被害が大きいことが分かります。

大規模白化でサンゴ被覆が失われた程度(Nature NEWS


生物やその複合体である生態系には本来擾乱に対する適応の作用が備わっています。そのため、一度壊滅的な被害を被っても回復し、むしろ新たに形成された生態系には全体として耐性が身につく可能性が指摘されています。
しかしながら、少なくとも1998年と2002年の大規模白化によって2016年の大規模白化現象が緩和されるといったことは起きなかったことが今回明らかになりました。

今回の白化の直後と半年後に行われた航空観測・潜水調査によれば、今回被害を大きく受けていたのはテーブル状やツノ状の、比較的早く成長する、かつ複雑な構造を作り小型生物に住処・隠れ家を提供するタイプの造礁サンゴであることも分かりました。それらが白化後死滅し、変わってより成長の遅い、より簡素な形のサンゴ(ハマサンゴなど?)へと置き換わりつつあることも分かりました。

「サンゴが異なるサンゴに変わるのだからサンゴ礁生態系としては維持されているではないか」と思う人もいるかもしれません。
サンゴが置き変わることで三次元的な構造が変化すれば、当然生物多様性にも変化が生じます。特に小型生物がいなくなれば多様性は減じることになるでしょう。

暑すぎてサンゴの多様性が減るという事例は、完新世よりも温暖だった最終間氷期(約12万年前)のサンゴの多様性を調べた研究からも見てとれます。
Equatorial decline of reef corals during the last Pleistocene interglacial
Wolfgang Kiessling, Carl Simpson, Brian Beck, Heike Mewis, and John M. Pandolfi
PNAS 109 (26 December 2012)
当時は自然状態(人間活動なし)で温暖な状態が実現していましたが、赤道域があまりにサンゴにとって暑く、多様性が減じていたことが指摘されています。

また石灰化速度が低下すれば、礁形成速度も低下しますので、より侵食(生物・化学・物理)を被り礁そのものの存在が危ぶまれます(新しく作られるものと失われるもののバランスが崩れる)。
特にサンゴ礁は嵐による波などから沿岸部を守る役割も負っています。今後礁の侵食量が大きくなれば、沿岸域がより海水準上昇や高波などの被害に晒されやすくなることになります。

これまで、温暖化に伴う白化や、海洋酸性化によってサンゴ礁そのものが消滅して藻場やソフトコーラル群集に置き換わるといった可能性も指摘されていました。
ただ、私自身の考えとしては、中にはそうした劇的な変化を被る場所もあるかもしれないけれど、サンゴの中でも環境耐性が大きいものは将来生き残れる可能性が高いので、サンゴ礁としての機能は残る可能性は十分にあります。
また現在サンゴは北上(南半球では南下)中で、より生育に適した場へを求めて広がりつつあります(ただし、温帯域のサンゴは礁を形成するほどの石灰化速度がないことに注意)。まさに過去に起きたような、熱帯域のサンゴは多様性が減じて、中緯度域は増加するという、最終間氷期に起きた事象が見られつつあるという状況にあります。
人間もまた耐性が大きいサンゴを移植するなど、環境に手を加えていくことになるかと思います。
もちろんここで言いたいのは、単にサンゴ礁が残るということで、産業革命以前の生物の豊かなサンゴ礁に戻るということではないです。また温暖化の結果、海水準も上昇しており、石灰化速度が十分でなければ一部のサンゴ礁は水没する可能性もあります。

今後、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの排出量を減らさない限り、エルニーニョに伴う熱波の発生頻度は上昇すると予想されており、海洋酸性化も確実に進行するため、サンゴ礁はますます環境からのストレスに晒されることになります。
論文の著者へのインタビューの中では、「サンゴ礁のレジームシフトは我々の想像よりも早く進んでいて、もう取り返しのつかないところまで来ている」とも言われています。

世界最大の生物が作る構造物であるグレートバリアリーフの未来は決して明るいものではありません。
その中で、少しでもグレートバリアリーフを未来に残せるように私たちにできる最善策は、温室効果ガスの排出削減に向けて取り組みをいっそう強化することに他なりません。

2018年4月13日金曜日

IPCC第6次報告書の執筆者

IPCC第6次報告書の執筆者が公表されました(→Selection of Authors for IPCC Sixth Assessment Report)。
以下の方々はWG1に名を連ねる、私が名前を知っている方々(敬称略)。気候モデラーについては日本人が多いのではなく、単に名前を存じ上げているのが日本人というだけです。

古気候関係者
Kim Cobb
サンゴ骨格を用いた赤道太平洋域の古環境復元

Samuel Jaccord
古気候プロキシのコンパイル

Alan Mix
海底堆積物コアを用いた古環境復元

Jinho Ahn
アイスコアを用いた過去の大気CO2濃度復元と炭素循環

気候・水循環モデラー
Shayne Mcgregor
Yu Kosaka(東大地惑・小坂 優)
Seita Emori(国立環境研・江守 正多)
Masahide Kimoto(東大大気海洋研・木本 昌秀)
Masahiro Watanabe(東大大気海洋研・渡部 雅浩)
Masaki Satoh(東大大気海洋研・佐藤 正樹)

海洋酸性化モニタリング
Richard Feely
Masao Ishii(気象研・石井雅男)

2018年3月20日火曜日

いつ海外に出るか、出られるか

先日研究所のメーリスで海外学振の書類提出に関するメールが来て、ふと自分の出せる年限について調べてみたところ、実は今年が最後だということに気づいた。

海外学振の申請要件はいくつかあり、その中に「採用日において学位取得後5年未満」がある。
私が学位を取得したのは2015年3月末。もし来年申請をした場合、以下の通りになり、申請要件を満たさないことになってしまう。

2015年3月 学位取得
2016年3月 学位取得1年経過
2017年3月 学位取得2年経過
2018年3月 学位取得3年経過(←今ココ!)
2019年3月 学位取得4年経過
2019年4月 海外学振申請締切(所内締切)
2020年3月 学位取得後5年経過(制度的にアウト!)
2020年4月 海外学振採用スタート

学位を取得してからちょうど「3年」だしまだ余裕あるな、という感覚でいたけど、実は今年が海外学振の申請最後の年。
私もかなり無知なところがあって、例えば知り合いで、「助教になってから海外学振になって給料2倍取りで(年収倍増!)、かつ教務を放り出して自由を謳歌してる!」
みたいな話を聞くものだから、当然自分もそれを目指そうと思っていたわけで。
でもよくよく考えると、その先輩は学位取得後すぐに助教になった(ポスドクや学振PDを経ずに)方々で、かつ学振の制度的にも「学位取得後5年未満」という要件はわりかし最近できた縛りということで、最後の申請チャンスの締切が1ヶ月後に控える今日になってようやく条件が厳しいということを実感した次第。

2018年1月11日木曜日

2017年のまとめと2018年の抱負

自分でも一年何したか覚えていないことが多々あるので、カレンダーを見ながら2017年を振り返ってみる。
2017年はひたすら実験と、海外出張という印象の強かった一年。
学振PDのテーマでもある「有孔虫のホウ素同位体分析法」の立ち上げも比較的すんなりいった。ちょいちょい機械が壊れて実験中断するも、周囲のサポートもあり、かなりのデータを取得できたと思う。
これまでやってきた大槌の調査もひと段落。今後は年に1回程度に頻度が落ちる予定。さみしくはあるけど、ビノスガイについては膨大なサンプルが取れているので、あとはしっかり分析・解析を進めなきゃ。

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<1月>
年始に帰省し、その後名古屋大学に戻ってからひたすら14Cの実験。月末には年測主催のシンポジウムがあった。

<2月>
たぶんひたすら有孔虫を拾っていた。

<3月>
前半に大槌の調査があった。さすがに寒いので潜水はなし。

<4月>
学振PDとして海洋研究開発機構・高知コア研究所に異動。津波堆積物の上に建つアパートに引っ越し。海からもかなり距離あるし、4階建ての2階のアパートだし、高知は広大な平野だからそんなに津波も遡上しないでしょ、きっと(どうかな?)。
実験器具もまだ購入できていなかったので、ひたすら論文や書類作成。要するにデスクワーク。

<5月>
PAGESのOSMに参加するべく、スペインはサラゴサ(Zaragoza)へ。
途中のトランジット間に合わず、しばし中東で足止め。
サッカー大会で優勝し、得点王に輝く。
帰りがけにAORIに滞在し、ビノスガイの殻を使った実験。

<6月>
浮遊性有孔虫のホウ素同位体・酸素同位体・Mg/Ca比を1試料から全部分析するという野心的な実験手法の立ち上げ。

<7月>
前半にAORI出張で浮遊性有孔虫の殻の14C分析。あとはひたすらKCCで実験。

<8月>
お盆にGoldschmidtでパリへ。その後はしごしてICDC'11に参加するためインターラーケン(スイス)へ。

<9月>
地球化学会年会に参加するため東工大へ。初のコンビーナーを務める(共同)。
月末には大槌調査。

<10月>
調査後そのままAORIにとどまり、ビノスガイ・有孔虫の実験・分析。
後半には高知新聞社から取材を受ける。

<11月>
前半に喜界島で行われた日本堆積学会の堆積学スクールに参加。喜界島の成り立ちやサンゴ礁地形について学ぶ。
中旬は地球環境史学会の年会に参加するため九州大学・伊都キャンパスへ。
後半はAORIで有孔虫14Cの実験。

<12月>
AGUに参加するためニューオーリンズへ。
帰国後AORIに滞在し、ビノスガイ・有孔虫の実験・分析。

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今年一年すでに決まっている研究集会はかなりの量で、また世界を飛び回る一年になりそう。招待講演の依頼も随時募集中!と言いたいところだけど、実験する時間も必要なので、あまり手を広げられないかな。。

・年代測定研究シンポジウム(名古屋)
・地球惑星科学連合大会(幕張)
・IODP Post Cruiseミーティング(リヴィングストン/ザンビア)
・Goldschmidt(ボストン)
・地球化学会年会(琉球大学/沖縄)
・地球環境史学会(東北大学/仙台)
・温暖期気候に関する研究集会(北大低温研/札幌)
・AGU Fall Meeting(ワシントン)

年末は南インド洋の研究航海で数週間??

今年の目標は、ビノスガイに関する論文を2本掲載し(1本は査読中)、プレスリリースを行うこと。
さらに有孔虫のホウ素同位体分析の2つあるプロジェクトのうちの1つを終わらせ、結果を論文にまとめること。
なので、主著論文として3本を目標に。
いまin pressになっているあの論文はもう受理から一年近く経過しているけど一体いつ出るのかな(苦笑)

名古屋大学にいる間に拾い集めた有孔虫については半分以上は分析に消費し、続々とデータが出つつある。
一方、IODPの試料についてはまだほとんど有孔虫を拾えておらず、また顕微鏡の前に座り続ける毎日が待っている。
痔と運動不足にだけは気をつけて、また実験に明け暮れる一年にしたい。

もちろん(条件の良い)公募には積極的に申し込んでいるので、関東に帰ることになるかもしれないし、高知に残っているかもしれないし、今後どうなるかは色々と不透明だけど、ね。。

気になった一文集(English ver. No. 31)

One of the most powerful methods for predicting future behavior is to look for clues from the past.
将来の振る舞いを予測する上で最も強力な方法は、過去にヒントを求めることである。

The history of Greenland’s iceNature 540, 202–203 (08 December 2016).

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The forecast will be considered a success if the 2016 annual mean CO2 concentration is measured as between 403.92 and 404.98 ppm.

Therefore the 2015–2016 growth rate would need to be greater than 2.7 ppm yr−1 in order for the forecast to be convincingly distinguishable from what could be expected from the trend plus variability unrelated to ENSO. 

Quantifying this direct anthropogenic contribution to the El Niño-related emissions with confidence would be challenging, but we suggest it would be an important avenue for future research with clear implications for understanding a potential contribution to climate change mitigation.

El Niño and a record CO2 rise」Betts et al. Nature Climate Change 6, 806–810 (2016).

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(...) the latest results suggest that the climate is entering uncharted territory, and that would mean that weather will increasingly fall outside the historical norm. From this perspective, humanity hasn’t just loaded the dice. We have replaced them with a whole new type that behave in ways we don’t fully understand.
最新の結果は気候が未経験の領域に入りつつあることを示唆しており、天候も次第に歴史的な標準状態から逸脱することを意味している。そういう意味で、人類はサイコロに単に細工をしただけではないと言える。我々はそのサイコロをまったく予想できない振る舞いをするような新しいものに作り変えたのである。

Extreme weather explicitly blamed on humans for the first time」"EDITORIAL" Nature (19 Dec 2017)

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Today, population growth must be viewed alongside rapid, global technological change and the ongoing “demographic transition” from larger families and high mortality rates to smaller families and longer lives.

(...) the concept of planetary boundaries considers the entire Earth system and asks whether human activities have pushed the planet’s environmental systems outside the realm of geologic experience during the Holocene epoch (the past ~10,000 years).

(...) they can help guide a shift to high-efficiency, renewable energy systems; to using high-efficiency irrigation instead of wasteful practices seen around the world today; or to developing more sustainable forms of agriculture that avoid biodiversity loss and deforestation. Doing so will be necessary to avoid dangerous global environmental damage, including climate change and biodiversity collapse, while providing for human well-being.

Living by the lessons of the planet」Science 356, 251–252 (2017).

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With nearly 1 °C of warming in the bag, the world is already experiencing unwanted effects, such as extreme weather events. These will continue to mount unless and until humanity slashes its greenhouse-gas emissions. A sober look at the numbers suggests that this task will be difficult — if not impossible — without radical interventions to deliberately steer energy producers and users towards sustainable options.
ほぼ1度の温暖化によって、世界はすでに望まない影響(異常気象など)を経験している。人間社会が温室効果ガスを大幅に削減することなしにはこれらはより多く発生し続けるだろう。エネルギー生産者と使用者を持続可能な形態へと慎重に導くための抜本的な介入なしにこの目標を実現することが、不可能ではないにしても、困難であることが思慮深く数字を眺めると見えてくる。

Support for the Paris agreement remains high outside the United States, but has its limits. Estimates suggest that actions on emissions so far have probably shaved off 1 °C or so from the projected warming this century, but the world remains on course for a rise of well over 3 °C. That’s true even if countries fulfil their current emissions pledges, which isn’t likely.
パリ合意への支援はアメリカ以外の国では依然として高いが、限界がある。ある推定によれば、これまでの排出への取り組みはおそらく1度程度今世紀に予想される温暖化を抑制する効果をもたらしただろうが、世界は依然として3度以上温暖化する道筋に居続けている。もし全国家が現在の排出削減の約束を果たしたとしてもそうであるし、それが果たされる可能性は低い。

Perhaps the best news is that developing countries — including China and India, plagued by air pollution in many urban areas — have come to view clean energy through the lens of public health and air quality.
おそらくもっとも一番の報せは中国やインドを含む発展途上国が、多くの都市部での大気汚染を忌み嫌って、公衆の健康と大気の質というレンズを通して、クリーンエネルギーに目を向け始めたことだろう。

Reducing carbon emissions means making painful choices: halting new investments in the exploration and production of fossil fuels, and then closing down existing facilities. It won’t be easy, but eventually that is a story that must be told.
炭素排出を減らすということは、痛みを伴う選択をすることを意味する。すなわち、化石燃料を探査・生産する新たな投資をやめ、現行の施設を閉鎖することである。それは簡単なことではないが、ゆくゆくは語らなければならない話になるだろう。

Climate talks are not enoughNature 556, 407-408 (2018)

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Renewable energy is indeed undergoing a revolution, as prices for things such as solar panels, wind turbines and lithium-ion batteries continue to plummet. And yet it is also true that the world remains dependent on fossil fuels — so much so that even small economic shifts can quickly overwhelm the gains made with clean energy.
再生可能エネルギーが革命の最中にあるのは間違いない。太陽光パネル、ウィンドタービン、リチウムイオンバッテリーの価格は急降下している。しかしまた、世界が化石燃料にかなり依存しているのも事実である。そのため、わずかな経済のシフトがクリーンなエネルギーによって得られたものをたやすく上回ってしまう。

Many countries are likely to miss the emissions targets that they made in 2015, and the world is on track for more than 3 °C of warming by the end of the century.
多くの国が2015年に定めた排出目標を達成できない可能性は高く、世界は今世紀末に3度以上温暖化する道筋の上に乗っている。

The good news is that clean-energy technology is at last making substantial strides. The bad news is that the pace isn’t nearly quick enough. Big economic and political hurdles stand in the way of shutting off the fossil-fuel spigot and the cheap energy it provides.
良い報せは、クリーンエネルギー技術はついに大股で歩き始めたことである。悪い報せは、そのペースがそんなに早くないことである。化石燃料の蛇口とそれが提供する安価なエネルギーを閉め出すための道には、巨大な経済的・政治的障壁が立ちはだかっている。

While Trump is fighting on behalf of the fossil-fuel industry, leaders of other countries are moving in the opposite direction.
トランプが化石燃料産業のために戦い続ける一方で、その他の国の指導者たちは反対の道に進みつつある。

Ultimately, the only thing that matters to the climate is the quantity of greenhouse gases emitted — and so the question is when humanity will begin to close the spigot and shut down fossil-fuel infrastructure.
究極的には、気候にとっての唯一の関心事は、温室効果ガスの排出量である。そのため、疑問は「人間社会はいつ化石燃料の蛇口を閉め、化石燃料インフラを閉鎖し始めるのか」ということである。

Can the world kick its fossil-fuel addiction fast enough?」Nature 556, 422-425 (2018)

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