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☆主なコンテンツ
1、新着論文 2、論文概説 3、コラム 4、本のレビュー 5、雑記(PC・研究関連)
6、気になった一文集(日本語English) 7、日記(日本語English

2013年3月7日木曜日

新着論文(Nature#7439)

Nature
Volume 495 Number 7439 pp5-134 (7 March 2013)

EDITORIAL
Science for all
皆のための科学
多くの女性は科学界でキャリアを積むことを妨げられている。才能を無駄にしていることの背景にある理由を探さなければならない。

WORLD VIEW
A central agency is crucial for disaster response
災害に対応するには中枢機関が必要不可欠
アメリカのFederal Emergency Management Agencyに関して。

RESEARCH HIGHLIGHTS
Fine anatomy of earliest animals
最も初期の動物の見事な構造
Proc. R. Soc. B 280, 20130071 (2013)
530Maも前の石灰岩から初期のクラゲ状の生物の内部構造が見つかった。

Fish migration reduces predation
魚の回遊が補食を減らす
Biol. Lett. 9, 20121178 (2013)
デンマークの湖においてローチ(roach; Rutilus rutilus)にタグをつけて魚が回遊する理由を調べたところ、湖に留まるローチは小川に回遊するローチに比べて鵜によく食べられていることが示された。捕食者から避けるために回遊を行っていると考えられる。

Worm signal for river blindness
Proc. Natl Acad. Sci. USA http://dx.doi.org/10.1073/ pnas.1221969110 (2013)
river blindnessの名でも知られるOnchocerciasisは寄生虫であるOnchocerca volvulusによって起きる病気の一種である。病気に感染している人の尿検査から、N-acetyltyramine- O,β-glucuronideというバイオマーカーが病気の発見に使えることが見いだされた。他の熱帯地域の病気の発見にもバイオマーカーが役に立つかもしれないという。

Hot star with a cool layer
冷たい層を持った熱い星
Astron. Astrophys. 549, L7 (2013)
太陽系からほど近い恒星α Centauri Aは表面とコロナの間に比較的冷たい(3,920 K)層があり、太陽と似通っていることが分かった。

SEVEN DAYS
Polar bear stays on US endangered list
シロクマがアメリカの危惧種のリストに載り続けている
北極の夏の海氷が失われることでシロクマの生息地が失われるという気候予測を受けて2008年にFish and Wildlife Serviceがシロクマを絶滅危惧種のリストに追加し、これは温暖化が基本的な原因でリストに載った生物としては初めての例であった。

Fukushima review
フクシマのレビュー
世界保健機関は福島第一原発の事故が健康に与えた影響に関する報告書を2/28に公表した。高い放射線に曝された住民のガンの発生率が微増したこと以外には、健康への被害はそれほど多くはなかったことが報告されている。ただし、もし事故の際に風が強く吹いていなかったら、健康被害はより大きなものになっていたかもしれない
>より詳細な記事(OPEN)
Much of Fukushima's fallout was gone with the wind
福島の降下物の大半は風とともに去った
Declan Butler
たまたま卓越風が吹いていたことで、福島第一原発から放出された放射性物質は幸いにも大半が海へともたらされた。その結果、チェルノブイリの事故とは違って、深刻な健康被害には繋がらなかった。しかしながら、周辺の放射線の高い地域ではガンの発生がわずかながら(しかし有意に)増加したことが世界保健機関の報告書には記されている。ただし見積もりの方法などに注意する必要があるとのこと。もし当時の風向きが違っていたなら、違った結果になっていたかもしれない。

NEWS IN FOCUS
Tsunami triggers invasion concerns
津波が外来種の侵入の関心をもたらす
Virginia Gewin
生物学者は津波によって日本からアメリカ沿岸に運ばれた漂流物に付着していた生物を追跡している。

ESA’s climate-eye dilemma
ESAの気候の目のジレンマ
Quirin Schiermeier
科学者は次のヨーロッパの地球観測衛星打ち上げのミッション選択の困難に直面している。

The death of the Chebarkul meteor
Chebarkul隕石の死
Quirin Schiermeier
科学者は地球に飛来したぼろぼろの旅行者(隕石)の最後の姿を復元した。

Commercial space race heats up
商業的な宇宙レースが加熱する
Devin Powell

FEATURES
Women’s work
女性の仕事
科学における性差を失くす試みについて。

Mind the gender gap
性の溝を気にする
Helen Shen
改善はされたものの、女性研究者は差別に苦しみ、不平等な支払いと資金援助に苦しんでいる。

Barred from the boardroom
会議室に入ることを禁止される
Alison McCook
科学研究における女性の数は増加しつつある。しかし学会が産業と結びついているような分野では依然として男性が支配的である。

COMMENT
Most of us are biased
我々のほとんどは偏見されている
「女性に対する偏見を白状し、それらを克服するために頭を切り替えよう」とJennifer Raymondは言う。

Scientists of the world speak up for equality
世界の科学者が平等について自由に意見を述べる
ジェンダーギャップをなくすための方法について8人の科学者が話をする。

Quotas are questionable
受け入れ枠制度は疑う余地がある
「科学において女性に平等な機会を与えることは証拠に基づくべきだ。さもないと事態は悪化する」とIsabelle Vernosは警告する。

Only wholesale reform will bring equality
大規模なリフォームだけが平等をもたらす
「科学において女性に平等な機会を与えることは様々な階層における変化を必要とする」とBrigitte MühlenbruchとMaren A. Jochimsenは主張する。

CORRESPONDENCE
Corrected numbers for fish on Red List
レッドリストに載っている魚の数の訂正
Bruce B. Collette, Beth Polidoro & Kent Carpenter

Modelling genetics within ecosystems
生態系内の遺伝学をモデリングする
Niall McCann, Pablo Orozco ter Wengel & David Stanton

Evaluate gender equality in journals
科学雑誌におけるジェンダーの平等性を評価する
Shirin Heidari & Tom Babor

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RESEARCH
NEWS & VIEWS
An accurate distance to the nearest galaxy
最も近い銀河との正確な距離
Bradley E. Schaefer
大マゼラン雲までの距離の非常に正確な値が得られれば、宇宙の「暗黒エネルギー」について、天文学上のよりよい物差しが得られる。今回、連星系を用いることで、2.2%という精度での値が得られた。

A step closer to a methanol economy
メタノール経済に一歩近づく
Douglas W. Stephan
化石燃料に変わるエネルギー源としてメタノールから生成される水素が注目されている。今回、ルテニウムの触媒を用いて液体のメタノールから水素を放出することのできる化学反応が見いだされた。今後のメタノール経済に向けて偉大な一歩となることが期待されている。

LETTERS
An eclipsing-binary distance to the Large Magellanic Cloud accurate to two per cent
連星の食による大マゼラン雲までの2%の精度での距離計測
G. Pietrzyński et al.

Porous materials with optimal adsorption thermodynamics and kinetics for CO2 separation
最適な吸収熱力学を持った多孔質の物質とCO2分離の動力学
Patrick Nugent
金属-有機物質(metal–organic material)として知られる多孔質の結晶物質が生成された。表面積を大きくするよりも、孔のサイズをコントロールすることと適切な化学とを組み合わせることにより、CO2の吸着を早く、選択的にすることが可能になる。

Low-temperature aqueous-phase methanol dehydrogenation to hydrogen and carbon dioxide
低温での液体メタノールの脱水素による水素・二酸化炭素生成
Martin Nielsen, Elisabetta Alberico, Wolfgang Baumann, Hans-Joachim Drexler, Henrik Junge, Serafino Gladiali & Matthias Beller
効率良く・低温でルテニウムの複合体を用いて液体のメタノールを水素ガスに生成する方法が見つかった。この手法は水素の輸送を可能にし、クリーンエネルギー源としての水素生成が実現可能であることを物語っている。

Dynamics of a Snowball Earth ocean
スノーボール・アースの海の力学
Yosef Ashkenazy, Hezi Gildor, Martin Losch, Francis A. Macdonald, Daniel P. Schrag & Eli Tziperman
新原生代(750 - 635 Ma)には2度にわたって地球の赤道域までもが厚い氷に覆われていた可能性が指摘されている(スノーボール・アース)。スノーボール・アースの環境下では海洋循環と海水混合プロセスが氷の厚さの決定や初期の光合成生物の生存に重要な役割を負っていたと考えられる。「大気のトルクが伝わらないため厚い氷の下の海水の流れは淀んでいた」とする従来の考えと異なり、新たなモデル研究から「厚い氷の下でも活発な子午面循環・東西流・沿岸湧昇が起きていた」可能性が示唆される。結果として海水の温度・塩分は比較的均質になっていたと思われる。大陸の沿岸部では強い湧昇が従来考えられていたよりも氷を融かしていた可能性がある。光合成を支えた栄養塩流入や縞状鉄鉱床の形成メカニズムについて議論する。

Amphibious flies and paedomorphism in the Jurassic period
ジュラ紀の水陸両生のハエと幼形保有
Diying Huang, André Nel, Chenyang Cai, Qibin Lin & Michael S. Engel