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☆主なコンテンツ
1、新着論文 2、論文概説 3、コラム 4、本のレビュー 5、雑記(PC・研究関連)
6、気になった一文集(日本語English) 7、日記(日本語English

2013年3月19日火曜日

新着論文(QSR, PNAS)

Quaternary Science Reviews
☆In Press, Accepted Manuscript
Inverse modelling of the 14C bomb pulse in stalagmites to constrain the dynamics of soil carbon cycling at selected European cave sites
D. Rudzka-Phillips, F. McDermott, A. Jackson, D. Fleitmann
土壌中の有機物は温度が上がるほど多く分解されてCO2を放出するため、温暖化の正のフィードバックとして寄与すると考えられているものの、温度感度を定量的に評価することは難しい。ヨーロッパ中の鍾乳石のボムピーク14Cを用いて、土壌における炭素循環の近年の変化を考察。土壌の厚さや土壌水分量・温度などに応じて、14Cの減衰が鍾乳石ごとに違うことが示された。

☆Volume 68, 15 May 2013, Pages 43–58
Stomatal proxy record of CO2 concentrations from the last termination suggests an important role for CO2 at climate change transitions
Margret Steinthorsdottir, Barbara Wohlfarth, Malin E. Kylander, Maarten Blaauw, Paula J. Reimer
ノルウェーから得られた堆積物中の植物の葉の化石の気孔密度を用いて、大気中のCO2濃度を復元したところ、最終退氷期にアイスコアから復元されているものよりも大きな振動でCO2濃度が変化していることが確認された。見直す必要あり?

Proceedings of the National Academy of Sciences
☆19 February 2013; Vol. 110, No. 8
Earth, Atmospheric, and Planetary Sciences
Subtropical High predictability establishes a promising way for monsoon and tropical storm predictions
Bin Wang, Baoqiang Xiang, and June-Yi Lee
モンスーンと熱帯低気圧がもたらす雨は社会にとって重要であるが、季節予報をすることは困難である。北太平洋の亜熱帯高気圧の変動が「東アジアの夏モンスーンの強度」や「北西太平洋に到達する熱帯低気圧の日数」などとよく相関していることが見いだされた。亜熱帯高気圧に関してはかなり予測が可能であることがモデルから示されたため、予測精度が向上することが期待される。

☆26 February 2013; Vol. 110, No. Supplement 1
Fostering advances in interdisciplinary climate science
Jeffrey Shaman, Susan Solomon, Rita R. Colwell, and Christopher B. Field

Rise of interdisciplinary research on climate
Spencer Weart
20世紀半ばまで気候学は統計の分野であった。第二次世界大戦後、気象物理学が現れたことで急速に発展しはじめた。1960-70年代にかけて気候変動への懸念が出始め、そして21世紀には学術領域を横断した協力体制が出来上がった。

Evolution of natural and social science interactions in global change research programs
Harold A. Mooney, Anantha Duraiappah, and Anne Larigauderie
地球をシステムとして捉える動きは1980年代半ば頃から始まった。そして今、新たにFuture Earth国際計画がスタートした。

Development and application of earth system models
Ronald G. Prinn
地球環境はあらゆるサブシステムから構成される複雑で動的なシステムである。統合された地球システムモデル(integrated global system model; IGSM)は我々が将来どのような気候変動を経験するかの予測や、気候工学が実行可能かどうかの評価を可能にしてくれる重要なツールの一つである。IGSMによると、もし政策によって排出規制がなされなかった場合、「2100年には全球の平均気温は3.5〜7.4℃上昇し、北極の気温は6.4〜14℃上昇する」と予想されている。

Interdisciplinary approaches to understanding disease emergence: The past, present, and future drivers of Nipah virus emergence
Peter Daszak, Carlos Zambrana-Torrelio, Tiffany L. Bogich, Miguel Fernandez, Jonathan H. Epstein, Kris A. Murray, and Healy Hamilton
新種の感染症(Emerging infectious diseases; EIDs)の出現について。

The El Niño–Southern Oscillation (ENSO)–pandemic Influenza connection: Coincident or causal?
Jeffrey Shaman and Marc Lipsitch
最近の4回のインフルエンザ・パンデミックはラニーニャの時期(1918、1957、1968、2009)に相当していたことが分かった。「ラニーニャがパンデミックを引き起こす」という仮説を紹介し、検証。鳥の渡りがカギ?

Estimating the sources of global sea level rise with data assimilation techniques
Carling C. Hay, Eric Morrow, Robert E. Kopp, and Jerry X. Mitrovica
全球的な海水準変動の観測ネットワークを設けることで、融水のフラックスを推定するのに役に立つ。検潮所の記録をもとに、全球の海水準変動を引き起こす融水の供給源を考察。

☆26 February 2013; Vol. 110, No. 9
Retrospective
The kingdoms of Carl Woese
Larry Gold

Earth, Atmospheric, and Planetary Sciences
Probabilistic framework for assessing the ice sheet contribution to sea level change
Christopher M. Little, Nathan M. Urban, and Michael Oppenheimer
従来の海水準上昇予測ではグリーンランド氷床・南極氷床の動的な融解の可能性を除外していたが、最近の予測では南極の氷が早く消失している地域(Basin 15)の観測をもとに海水準上昇の最大値が求められている。南極の氷の質量収支をもとに、将来の海水準変動予測を行い、予測の確率密度などを評価。

Ecology
Surface exposure to sunlight stimulates CO2 release from permafrost soil carbon in the Arctic
Rose M. Cory, Byron C. Crump, Jason A. Dobkowski, and George W. Kling
近年の温暖化によって北極圏の永久凍土の土壌温度が上昇しており、微生物呼吸によって炭素が放出されている。永久凍土の融解はそれまで埋没していた炭素が表面に露出することにつながる。暗い状態と紫外線に曝された状態とでは、後者の方が炭素が微生物によってより分解されやすいことが示された。日光が土壌中の炭素を大気へと放出させる働きを持っているらしい。

☆5 March 2013; Vol. 110, No. 10
Commentaries
Inviable immigrants drive diversification in the sea
David W. Pfennig

☆12 March 2013; Vol. 110, No. 11
Letters (Online Only)
Organic farming gives no climate change benefit through soil carbon sequestration
Jens Leifeld, Denis A. Angers, Claire Chenu, Jürg Fuhrer, Thomas Kätterer, and David S. Powlson
「有機農法が従来の農法よりも炭素を蓄積する効果があり、気候変動緩和に寄与する」というGattinger et al.の解釈にバイアスがかかっていることを指摘。

Reply to Leifeld et al.: Enhanced top soil carbon stocks under organic farming is not equated with climate change mitigation
Andreas Gattinger, Adrian Muller, Matthias Haeni, Colin Skinner, Andreas Fließbach, Nina Buchmann, Paul Mäder, Matthias Stolze, Pete Smith, Nadia El-Hage Scialabba, and Urs Niggli
Leifeld et al.に対する返答。

Ecology
Green-up dates in the Tibetan Plateau have continuously advanced from 1982 to 2011
Geli Zhang, Yangjian Zhang, Jinwei Dong, and Xiangming Xiao
地球の第三の極(third pole)であるチベット高原はここ数十年間の間に大きく温暖化しており、さらに植物が生育する時期が1982年〜1990年代には早まっていたものの、1982年〜2011年には逆に遅くなっており、謎とされている。GMMS、SPOT-VGT、MODISなどのデータセットを用いて再評価したところ、データセット間のバイアスがあることが示された。GMMSとSPOT-VGTを組み合わせたデータセットでは1982年〜2011年にかけて植物の生育時期は早まっていることが示され、春と冬の気温が増加していることと整合的である。ただしデータが不足しており、決定的な結果とは言えないらしい。