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1、新着論文 2、論文概説 3、コラム 4、本のレビュー 5、雑記(PC・研究関連)
6、気になった一文集(日本語English) 7、日記(日本語English) おまけTwilog

2013年3月6日水曜日

新着論文(DSR2, EPSL)

※論文アラートより

Natural air-sea flux of CO2 in simulations of the NASA-GISS climate model: sensitivity to the physical ocean model formulation
A. Romanou, W.W. Gregg, J. Romanski, M. Kelley, R. Bleck, R. Healy, L. Nazarenko, G. Russell, G.A. Schmidt, S. Sun, N. Tausnev
Ocean Modelling
NASAのGISSの2つのモデルを用いて産業革命以前の大気-海洋のCO2ガス交換を復元。モデル間でCO2フラックスの空間分布はよく一致したが、北大西洋と南大洋の吸収は強度が食い違った。原因は主に風とpCO2の違いと考えられる。またモデル間の化学・生物プロセスの違いは「拡散」「移流」のパラメタ化の違いと思われる。

Decline of deep and bottom water ventilation and slowing down of anthropogenic carbon storage in the Weddell Sea, 1984–2011
Oliver Huhn, Monika Rhein, Mario Hoppema, Steven van Heuven
Deep Sea Research Part I: Oceanographic Research Papers
27年間にわたるWeddel SeaのCFCとSF6の測定結果について。過去27年間にわたってWSBW/DW(Weddell Sea Bottom Water / Deep Water)の年代が古くなっており、ガス交換がより低下していると考えられる。結果として人為起源の炭素の取り込み量も14 - 21%低下している。

High-precision 14C measurements demonstrate production of in situ cosmogenic 14CH4 and rapid loss of in situ cosmogenic 14CO in shallow Greenland firn 
Vasilii V. Petrenko, Jeffrey P. Severinghaus, Andrew M. Smith, Katja Riedel, Daniel Baggenstos, Christina Harth, Anais Orsi, Quan Hua, Peter Franz, Yui Takeshita, Gordon W. Brailsford, Ray F. Weiss, Christo Buizert, Andrew Dickson, Hinrich Schaefer
Earth and Planetary Science Letters, Volume 365, 1 March 2013, Pages 190-197
 アイスコアに捕獲された大気中のCO2、CH4、COの放射性炭素を測定できれば、年代が得られるとともに過去の銀河宇宙線飛来量や太陽活動についての知見が得られることが期待される。しかしながら大気上層で生成された14Cと現場で生成される14Cの両方が混在するため、分けることが非常に難しい。
 グリーンランドの頂上付近の3.6 - 5.6 m深から得られたそれぞれ1トンの氷を用いて、CH4とCOの放射性炭素を測定した。この研究では現場の14Cに着目。14COの場合は、ほとんどが大気へと抜けていたが、14CH4の場合は一部氷に残っていることが分かった。

Increasing chemical weathering in the Himalayan system since the Last Glacial Maximum  
Maarten Lupker, Christian France-Lanord, Valier Galy, Jérôme Lavé, Hermann Kudrass
Earth and Planetary Science Letters, Volume 365, 1 March 2013, Pages 243-252
大陸風化は地球の生物地球化学循環において重要な役割を負っているものの、その時間変化を定量化することは難しい。ベンガル湾で採取された堆積物コアから、世界最大の堆積物輸送を担うヒマラヤ系の化学風化のLGM以降の進化史を復元。ほとんどの間接指標が21kaの間風化が促進されてきたことを物語っている。第四紀の気候変動によって風化速度も応答してきたと考えられる。