G3
Sea level and climate forcing of the Sr isotope composition of late Miocene Mediterranean marine basins
T. F. Schildgen, D. Cosentino, G. Frijia, F. Castorina, F. Ö. Dudas, A. Iadanza, G. Sampalmieri, P. Cipollari, A. Caruso, S. A. Bowring, M. R. Strecker
中新世(Miocene)の地中海の閉鎖環境を堆積物コア中のカキや有孔虫の87/86Srから復元。全球の平均的な値からかなり低い値をとる時期(Messinian Salinity Crisisなど)は、海水準が低下していたか、テクトニクスの変動時期と一致していることが分かった。特に地中海に流れ込む河川水の影響が大きいと考えられている。
Deciphering bottom current velocity and paleoclimate signals from contourite deposits in the Gulf of Cádiz during the last 140 kyr: An inorganic geochemical approach
André Bahr, Francisco J. Jiménez-Espejo, Nada Kolasinac, Patrick Grunert, F. Javier Hernández-Molina, Ursula Röhl, Antje H.L. Voelker, Carlota Escutia, Dorrik A.V. Stow, David Hodell, Carlos A. Alvarez-Zarikian
IODP第339次航海で得られたジブラルタル海峡沖の堆積物コアから過去530万年間の底層流および古環境を復元。Zr/Al比が底層流の半定量的な指標になることを提案(ジルコンが比較的重い鉱物に濃集しているため)。有機物に多く含まれるBr(Bromine)はコアの対比にうまく使えることも分かった。MIS6–1にかけての高解像度の記録は、ターミネーション時やハインリッヒイベント時に急激な変動を示していた。
GRL
Distribution and vegetation reconstruction of the deserts of northern China during the mid-Holocene
Qin Li, Haibin Wu, Zhengtang Guo, Yanyan Yu, Junyi Ge, Jianyu Wu, Deai Zhao, Aizhi Sun
およそ6,000年前の中国北部の砂漠は、夏のモンスーンの強化に伴い、縮小していたことが風成堆積物の解析から示唆。
Attributing the increase in Northern Hemisphere hot summers since the late 20th century
Youichi Kamae, Hideo Shiogama, Masahiro Watanabe, Masahide Kimoto
GCMによるモデルシミュレーションから、北半球における異常な夏の暑さが近年増加していることの原因を推定。半分ほどは数十年規模の気候変動が原因であることが示唆された。また人為起源の放射強制も寄与しており、今後数十年間に発生頻度は増加することが予測された。
Seasonal radiocarbon and oxygen isotopes in a Galapagos coral: Calibration with climate indices
Ellen R.M. Druffel, Sheila M. Griffin, Danielle Glynn, Robert B. Dunbar, Dave Muciarone, J. Robert Toggweiler
ガラパゴス諸島で得られたコモンシコロサンゴ(Pavona clavus)の1939–1954年にかけての季節変動レベルのΔ14C・δ18O記録を報告。既に年スケール・数年スケールの良いENSO指標になることが知られていたが、季節変動レベルでも逆相関の関係が見られた。Δ14Cに2ヶ月のラグを考慮するともっとも良い相関となることも分かった(物理メカニズムは依然として不明)。PDOに伴い赤道において湧昇する水の混合比が変化したことも分かった(北 v.s. 南)。
Evidence for long-term memory in sea level
Sönke Dangendorf, Diego Rybski, Christoph Mudersbach, Alfred Müller, Edgar Kaufmann, Eduardo Zorita, Jürgen Jensen
海水準変動には温度と塩分の効果による成分(steric component)が含まれるため、ある地域では数十年の周期で変動することが知られている。100年ほどの歴史がある世界60点の検潮所の記録から評価を行ったところ、数十年の変動成分に加えて、長期トレンドが確認された。長期トレンドは氷河や氷帽の後退の観測から期待される海水準上昇量とも整合的であった。
Upper atmosphere cooling over the past 33 years
Y. Ogawa, T. Motoba, S. C. Buchert, I. Häggström, S. Nozawa
ノルウェー北部のトロムソにおける過去33年間の高層大気の観測から、地球大気下層の温室効果ガス濃度の増加から期待される、大気上層の寒冷化トレンドが確認された。GCMによる予測とも整合的であり、観測から定量的に確証したのは世界初?
JGR-Oceans
Dense shelf water production in the Adélie Depression, East Antarctica, 2004-2012: Impact of the Mertz Glacier calving
Maité Lacarra, Marie-Noëlle Houssais, Christophe Herbaut, Emmanuelle Sultan, Mickael Beauverger
東南極Mertz氷河のポリニヤにおける2004–2012年の観測記録から海氷生成・高密度水形成・氷山分離などのメカニズムを推定。
Twentieth century sea surface temperature and salinity variations at Timor inferred from paired coral δ18O and Sr/Ca measurements
Sri Yudawati Cahyarini, Miriam Pfeiffer, Intan Suci Nurhati, Edvin Aldrian, Wolf-Christian Dullo, Steffen Hetzinger
ティモール島で得られたハマサンゴのδ18O・Sr/Ca分析から、1914–2004年にかけてのSSTとSSSを復元。ENSOよりもインド洋ダイポール(IOD)の影響が顕著に見られた。
GBC
Decadal (1994–2008) change in the carbon isotope ratio in the eastern South Pacific Ocean
Young Ho Ko, Kitack Lee, Paul D. Quay, Richard A. Feely
化石燃料燃焼由来の炭素も土地利用変化由来の炭素も等しく軽いδ13Cをもつため、人為起源の海水DIC増加の良い指標になることが知られている。東太平洋を南北に横断する測線(110°W)に沿って、1994年から2008年にかけての水塊のδ13C_DICの変化を報告。亜寒帯で大きく、熱帯域で小さい変化が見られた。50%以上の人為起源CO2はAAIWによって取り込まれ、北へと輸送されていることが分かった。AAIWによる取り込み速度が2008年には低下しており、南大洋のCO2吸収力が低下している可能性が示唆。
Climate of the Past
Persistent decadal-scale rainfall variability in the tropical South Pacific Convergence Zone through the past six centuries
C. R. Maupin, J. W. Partin, C.-C. Shen, T. M. Quinn, K. Lin, F. W. Taylor, J. L. Banner, K. Thirumalai, and D. J. Sinclair
ソロモン諸島で得られた鍾乳石のδ18Oから過去600年間のSPCZ(South Pacific Convergence Zone:南太平洋収束帯)変動に伴う降水量の変動を復元。太平洋数十年規模変動(PDV)に関連した数十年スケールの大きな変動が確認された。
地球の「過去」「現在」「未来」の気候変動・環境問題などを書き綴ります。人為的気候変化への適応・緩和が緊急性を帯びている昨今、人間活動の影響がない地質時代の古気候・古海洋研究もまた多くの知見を提供しています。
2014年7月14日月曜日
2014年3月1日土曜日
赤道太平洋の海洋酸性化が初めて報告(Sutton et al., 2014, GBC)
Natural variability and anthropogenic change in equatorial Pacific surface ocean pCO2 and pH
Adrienne J. Sutton, Richard A. Feely, Christopher L. Sabine, Michael J. McPhaden, Taro Takahashi, Francisco P. Chavez, Gernot E. Friederich, Jeremy T. Mathis
Adrienne J. Sutton, Richard A. Feely, Christopher L. Sabine, Michael J. McPhaden, Taro Takahashi, Francisco P. Chavez, Gernot E. Friederich, Jeremy T. Mathis
Global Biogeochemical Cycles 28, doi:10.1002/2013GB004679 (2014).
海水炭酸系の変動が極めて大きく、海洋酸性化の長期傾向がこれまでほとんど評価できていなかった赤道太平洋の海水炭酸系の初となる報告とその変動要因を議論した論文。
海水炭酸系の変動が極めて大きく、海洋酸性化の長期傾向がこれまでほとんど評価できていなかった赤道太平洋の海水炭酸系の初となる報告とその変動要因を議論した論文。
2013年10月28日月曜日
新着論文(AGU・EGU)
G3
Westerly jet–East Asian summer monsoon connection during the holocene
Kana Nagashima, Ryuji Tada, Shin Toyoda
日本海から得られた堆積物中のダストの化学分析から、完新世の東アジアモンスーンと偏西風の変動を復元。ゴビ砂漠とタクラマカン砂漠起源のダストが千年〜数千年スケールで変動を示している。偏西風の位置の変動が東アジアモンスーンの降水にも影響をしており、中国大陸の南北での対照的な変動を生み出していると思われる。
GRL
Unprecedented recent summer warmth in Arctic Canada
Gifford H. Miller, Scott J. Lehman, Kurt A. Refsnider, John R. Southon, Yafang Zhong
近年北極海においては海氷・氷河の後退などが報告されているが、それが自然変動の範疇にあるかははっきりとしていない。ツンドラに自生する植物の放射性炭素年代測定から、カナダ北極圏東部においては最近が過去44kaで最も温暖であり、過去5kaの寒冷化の傾向を打ち消していることが示唆された(完新世初期に特に温暖だった)。
Efficient gas exchange between a boreal river and the atmosphere
Jussi Huotari, Sami Haapanala, Jukka Pumpanen, Timo Vesala, Anne Ojala
河川における炭素循環はあまりよく分かっていない。フィンランドにおける30日間に渡る炭酸系の観測から、二酸化炭素に関するガス輸送速度を推定したところ、従来考えられていたよりも高い値が得られ、河川からのCO2フラックスが大きいことが示唆された。
JGR-Oceans
Wave power variability and trends across the North Pacific
Peter D. Bromirski, Daniel R. Cayan, John Helly, Paul Wittmann
1948年以降の北太平洋における波の力(wave power)の変動を議論。ENSO・レジームシフト・PDOなどとの関連性。
New zealand 20th century sea level rise: Resolving the vertical land motion using space geodetic and geological data
Abdelali Fadil, Paul Denys, Robert Tenzer, Hugh R. Grenfell, Pascal Willis
20世紀のニュージーランドの海水準は1.46±0.10 mm/yrで上昇している。潮位計と海水面の衛星観測記録から土地の隆起の影響を評価。海水準上昇には数十年スケールの3つのフェーズが見られることが分かった。
Temporal variability of transformation, formation and subduction rates of upper Southern Ocean waters
Eun Young Kwon
南大洋の表層・中層水の挙動を動力学的・熱力学的に評価し、海洋循環モデルを用いて亜南極モード水(SAMW)の数十年規模のモデリングを行った。冬季に混合層の水が収束し、それに続く春に等密度線に沿って沈み込み、さらに春の表層水の温暖化によって密度的に蓋をされるプロセス(成層化)がSAMWの形成に重要であることが分かった。SAMWは年々変動を示し、主に混合層の深さと関連が大きいことが分かった。また、SAMとは直接的に関係していないものの、エクマン沈降・湧昇プロセスを通じて間接的に関係していると思われる。
Widespread freshening in the seasonal ice zone near 140°E off the Adélie Land Coast, Antarctica, from 1994 to 2012
S. Aoki, Y. Kitade, K. Shimada, K.I. Ohshima, T. Tamura, C.C. Bajish, M. Moteki, S.R. Rintoul
南極沖の140ºE線で行われている1994-2012年の定期観測記録から、近年の表層水から底層水のすべてに淡水化の傾向が見られた。2012年には底層水塊の厚さが異常に薄く、Mertz氷舌(glacier tongue; 氷河末端)の急激な崩壊とそれに伴う海氷形成の減少との関連が示唆される。
Paleoceanography
Influence of seawater exchanges across the Bab-el-Mandab Strait on sedimentation in the Southern Red Sea during the last 60 ka.
Alexandra Bouilloux, Jean-Pierre Valet, Franck Bassinot, Jean-Louis Joron, Fabien Dewilde, Marie-Madeleine Blanc-Valleron, Eva Moreno
紅海の南端で得られた堆積物コアのMS・TOC・浮遊性有孔虫δ13Cなどから、過去60kaの気候変動を復元。氷期-間氷期スケールの変動、D/Oイベント・最終退氷期の海水準上昇に伴う大陸棚の浸水と岩屑物の堆積イベントなどが見られる。
Recovering the true size of an Eocene hyperthermal from the marine sedimentary record
Sandra Kirtland Turner, Andy Ridgwell
地球システムモデル(cGENIE)を用いて小規模なMECO(Cnn2H3; ~49.2Ma)温暖化イベントの規模・継続期間、炭素インプット速度などを推定。さらに堆積プロセスのモデル化も行い、真の炭素擾乱を推定。ODP1258コアの底性有孔虫δ13Cの-0.95‰のエクスカージョンは大気中CO2のδ13Cの-1.45‰の変化があれば説明できることが示された。従来法の推定から得られる量よりも2/3大きい炭素インプットが必要であると思われる。
GBC
Variability of the Oxygen Minimum Zone in the Tropical North Pacific during the Late 20th Century
Takamitsu Ito, Curtis Deutsch
海洋物理・生物地球化学モデルを用いて1980年代以降の東太平洋熱帯域の酸素極小層(OMZ)の拡大の原因を評価。
Climate of the Past
Holocene climate variability in the winter rainfall zone of South Africa
S. Weldeab, J.-B. W. Stuut, R. R. Schneider, and W. Siebel
アフリカ南東部沖で得られた堆積物コアの浮遊性有孔虫δ18O・δ13C・87/86Sr・εNdを用いて完新世の気候変動を復元。小氷期に最も湿潤な期間があり、南半球の偏西風の北方シフトと関連していると思われる。さらにAgulhas leakageや南極氷床へのダスト量などとの関係性も議論。
Pre-LGM Northern Hemisphere ice sheet topography
J. Kleman, J. Fastook, K. Ebert, J. Nilsson, and R. Caballero
地質調査や数値モデルなどを組み合わせてMIS5bとMIS4の北半球氷床の高度・範囲などを推定。MIS5bから徐々に北半球の氷床が成長し4つほどとなり、MIS4には大規模氷床の数はほぼMIS5b時と同じで、その後LGMに北米氷床は一つに融合したと思われる。
Eurasian Arctic climate over the past millennium as recorded in the Akademii Nauk ice core (Severnaya Zemlya)
T. Opel, D. Fritzsche, and H. Meyer
ロシアのセヴェルナヤ・ゼムリャ諸島において得られたアイスコアのδ18OとNaなどから過去1100年間の気候変動を復元。AD1800頃に最も寒冷であった。20世紀初頭には異常な2つのピークが確認された。δ18Oには小氷期も中世気候変調期の変動も検出されなかったが、他の時期には温暖化・寒冷化イベントなどが確認され、大気循環の変動と関連していると思われる。
Re-evaluation of the age model for North Atlantic Ocean Site 982 – arguments for a return to the original chronology
K. T. Lawrence, I. Bailey, and M. E. Raymo
ODP982の年代モデルの再考。Gauss–Matuyamaクロンの位置には影響はないが、3.2-3.0Maにハイエタスが確認された。
Biogeosciences
Technical Note: Precise quantitative measurements of total dissolved inorganic carbon from small amounts of seawater using a gas chromatographic system
T. Hansen, B. Gardeler, and B. Matthiessen
クロマトグラフィーを用いて海水中の全炭酸を精度良く測ることのできる新手法を開発。
Global atmospheric carbon budget: results from an ensemble of atmospheric CO2 inversions
P. Peylin, R. M. Law, K. R. Gurney, F. Chevallier, A. R. Jacobson, T. Maki, Y. Niwa, P. K. Patra, W. Peters, P. J. Rayner, C. Rödenbeck, I. T. van der Laan-Luijkx, and X. Zhang
大気CO2観測記録から過去20年間の炭素のソース・シンクなどについて議論。
Westerly jet–East Asian summer monsoon connection during the holocene
Kana Nagashima, Ryuji Tada, Shin Toyoda
日本海から得られた堆積物中のダストの化学分析から、完新世の東アジアモンスーンと偏西風の変動を復元。ゴビ砂漠とタクラマカン砂漠起源のダストが千年〜数千年スケールで変動を示している。偏西風の位置の変動が東アジアモンスーンの降水にも影響をしており、中国大陸の南北での対照的な変動を生み出していると思われる。
GRL
Unprecedented recent summer warmth in Arctic Canada
Gifford H. Miller, Scott J. Lehman, Kurt A. Refsnider, John R. Southon, Yafang Zhong
近年北極海においては海氷・氷河の後退などが報告されているが、それが自然変動の範疇にあるかははっきりとしていない。ツンドラに自生する植物の放射性炭素年代測定から、カナダ北極圏東部においては最近が過去44kaで最も温暖であり、過去5kaの寒冷化の傾向を打ち消していることが示唆された(完新世初期に特に温暖だった)。
Efficient gas exchange between a boreal river and the atmosphere
Jussi Huotari, Sami Haapanala, Jukka Pumpanen, Timo Vesala, Anne Ojala
河川における炭素循環はあまりよく分かっていない。フィンランドにおける30日間に渡る炭酸系の観測から、二酸化炭素に関するガス輸送速度を推定したところ、従来考えられていたよりも高い値が得られ、河川からのCO2フラックスが大きいことが示唆された。
JGR-Oceans
Wave power variability and trends across the North Pacific
Peter D. Bromirski, Daniel R. Cayan, John Helly, Paul Wittmann
1948年以降の北太平洋における波の力(wave power)の変動を議論。ENSO・レジームシフト・PDOなどとの関連性。
New zealand 20th century sea level rise: Resolving the vertical land motion using space geodetic and geological data
Abdelali Fadil, Paul Denys, Robert Tenzer, Hugh R. Grenfell, Pascal Willis
20世紀のニュージーランドの海水準は1.46±0.10 mm/yrで上昇している。潮位計と海水面の衛星観測記録から土地の隆起の影響を評価。海水準上昇には数十年スケールの3つのフェーズが見られることが分かった。
Temporal variability of transformation, formation and subduction rates of upper Southern Ocean waters
Eun Young Kwon
南大洋の表層・中層水の挙動を動力学的・熱力学的に評価し、海洋循環モデルを用いて亜南極モード水(SAMW)の数十年規模のモデリングを行った。冬季に混合層の水が収束し、それに続く春に等密度線に沿って沈み込み、さらに春の表層水の温暖化によって密度的に蓋をされるプロセス(成層化)がSAMWの形成に重要であることが分かった。SAMWは年々変動を示し、主に混合層の深さと関連が大きいことが分かった。また、SAMとは直接的に関係していないものの、エクマン沈降・湧昇プロセスを通じて間接的に関係していると思われる。
Widespread freshening in the seasonal ice zone near 140°E off the Adélie Land Coast, Antarctica, from 1994 to 2012
S. Aoki, Y. Kitade, K. Shimada, K.I. Ohshima, T. Tamura, C.C. Bajish, M. Moteki, S.R. Rintoul
南極沖の140ºE線で行われている1994-2012年の定期観測記録から、近年の表層水から底層水のすべてに淡水化の傾向が見られた。2012年には底層水塊の厚さが異常に薄く、Mertz氷舌(glacier tongue; 氷河末端)の急激な崩壊とそれに伴う海氷形成の減少との関連が示唆される。
Paleoceanography
Influence of seawater exchanges across the Bab-el-Mandab Strait on sedimentation in the Southern Red Sea during the last 60 ka.
Alexandra Bouilloux, Jean-Pierre Valet, Franck Bassinot, Jean-Louis Joron, Fabien Dewilde, Marie-Madeleine Blanc-Valleron, Eva Moreno
紅海の南端で得られた堆積物コアのMS・TOC・浮遊性有孔虫δ13Cなどから、過去60kaの気候変動を復元。氷期-間氷期スケールの変動、D/Oイベント・最終退氷期の海水準上昇に伴う大陸棚の浸水と岩屑物の堆積イベントなどが見られる。
Recovering the true size of an Eocene hyperthermal from the marine sedimentary record
Sandra Kirtland Turner, Andy Ridgwell
地球システムモデル(cGENIE)を用いて小規模なMECO(Cnn2H3; ~49.2Ma)温暖化イベントの規模・継続期間、炭素インプット速度などを推定。さらに堆積プロセスのモデル化も行い、真の炭素擾乱を推定。ODP1258コアの底性有孔虫δ13Cの-0.95‰のエクスカージョンは大気中CO2のδ13Cの-1.45‰の変化があれば説明できることが示された。従来法の推定から得られる量よりも2/3大きい炭素インプットが必要であると思われる。
GBC
Variability of the Oxygen Minimum Zone in the Tropical North Pacific during the Late 20th Century
Takamitsu Ito, Curtis Deutsch
海洋物理・生物地球化学モデルを用いて1980年代以降の東太平洋熱帯域の酸素極小層(OMZ)の拡大の原因を評価。
Climate of the Past
Holocene climate variability in the winter rainfall zone of South Africa
S. Weldeab, J.-B. W. Stuut, R. R. Schneider, and W. Siebel
アフリカ南東部沖で得られた堆積物コアの浮遊性有孔虫δ18O・δ13C・87/86Sr・εNdを用いて完新世の気候変動を復元。小氷期に最も湿潤な期間があり、南半球の偏西風の北方シフトと関連していると思われる。さらにAgulhas leakageや南極氷床へのダスト量などとの関係性も議論。
Pre-LGM Northern Hemisphere ice sheet topography
J. Kleman, J. Fastook, K. Ebert, J. Nilsson, and R. Caballero
地質調査や数値モデルなどを組み合わせてMIS5bとMIS4の北半球氷床の高度・範囲などを推定。MIS5bから徐々に北半球の氷床が成長し4つほどとなり、MIS4には大規模氷床の数はほぼMIS5b時と同じで、その後LGMに北米氷床は一つに融合したと思われる。
Eurasian Arctic climate over the past millennium as recorded in the Akademii Nauk ice core (Severnaya Zemlya)
T. Opel, D. Fritzsche, and H. Meyer
ロシアのセヴェルナヤ・ゼムリャ諸島において得られたアイスコアのδ18OとNaなどから過去1100年間の気候変動を復元。AD1800頃に最も寒冷であった。20世紀初頭には異常な2つのピークが確認された。δ18Oには小氷期も中世気候変調期の変動も検出されなかったが、他の時期には温暖化・寒冷化イベントなどが確認され、大気循環の変動と関連していると思われる。
Re-evaluation of the age model for North Atlantic Ocean Site 982 – arguments for a return to the original chronology
K. T. Lawrence, I. Bailey, and M. E. Raymo
ODP982の年代モデルの再考。Gauss–Matuyamaクロンの位置には影響はないが、3.2-3.0Maにハイエタスが確認された。
Biogeosciences
Technical Note: Precise quantitative measurements of total dissolved inorganic carbon from small amounts of seawater using a gas chromatographic system
T. Hansen, B. Gardeler, and B. Matthiessen
クロマトグラフィーを用いて海水中の全炭酸を精度良く測ることのできる新手法を開発。
Global atmospheric carbon budget: results from an ensemble of atmospheric CO2 inversions
P. Peylin, R. M. Law, K. R. Gurney, F. Chevallier, A. R. Jacobson, T. Maki, Y. Niwa, P. K. Patra, W. Peters, P. J. Rayner, C. Rödenbeck, I. T. van der Laan-Luijkx, and X. Zhang
大気CO2観測記録から過去20年間の炭素のソース・シンクなどについて議論。
2013年8月14日水曜日
新着論文(GBC, PO, QSR)
Global Biogeochemical Cycles
Global trends in surface ocean pCO2 from in situ data
A. R. Fay, G. A. McKinley
近年の気候変動・変化に対して海の炭素吸収がどのように応答しているかを調べるために、全球を16の渦スケールのbiomeに分けてそれぞれ評価。1981-2010年に十年〜数十年の傾向が確認された。十年規模の傾向は、観測の始まりと終わりの年に強く依存した。より長い時間スケールでは熱帯・亜熱帯域のpCO2は大気と同じかやや遅い速度で上昇している(大気からの大きな取り込みと深層からのわずかな供給)。高緯度域はデータが不足しており長期傾向はよく分からない。気候変動に関連して大気pCO2よりもはるかに早く上昇する傾向を示すような海域もあった。南大洋ではSAMによって吸収能は2000年代初頭から強化されている。一方北大西洋の熱帯・亜熱帯域では温暖化によって2000年代半ば頃からpCO2は上昇傾向にあり(pCO2は温度と正相関するため)、このまま長期的に温暖化すると、炭素の取り込み能力が低下すると思われる。
>関連した記事(Nature Climate Change#August2013 "Research Highlights")
Ocean carbon
海の炭素
1981-2010年における海洋観測記録から、海水のpCO2が大気のCO2濃度とほぼ同程度の早さか、やや遅く上昇していることが示された。短い時間スケールでは上昇速度に地域性が大きいという。また北大西洋の温暖化に伴うCO2の溶解度低下によって海のCO2吸収力が弱まることが懸念されている。
Annual cycle of air-sea CO2 exchange in an Arctic Polynya Region
B. G. T. Else, T. N. Papakyriakou, M. G. Asplin, D. G. Barber, R. J. Galley, L. A. Miller, A. Mucci
カナダ北極圏のCape Bathurst地域のポリニヤにてpCO2などの変動を観測し、2007-2008年のCO2フラックスを推定。総じて吸収源として寄与している。最も大きなCO2の取り込みは海氷の形成が始まる、風速が最大となる秋であった。観測期間の風速は平年値よりは25-35%強く、また東風が卓越しており、結氷時期が早まり、ポリニヤが開く時期がそれぞれ1ヶ月ほど早まったらしい。その結果、CO2の吸収能力は強まったと考えられる。冬のCO2吸収のうち50%はleadやポリニヤの小さな隙間から生じている。
The influence of net community production and phytoplankton community structure on CO2 uptake in the Gulf of Alaska
Hilary I. Palevsky, Francois Ribalet, Jarred E. Swalwell, Catherine E. Cosca, Edward D. Cokelet, Richard A. Feely, E. Virginia Armbrust, Paul D. Quay
海洋のCO2吸収能力は生物活動によって支配されているが、その力学はよく分かっていない。アラスカ湾にて行われたCO2フラックス・生産性・植物プランクトンの豊富度などの連続観測の結果について。「Alaskan GyreのHNLC海水」と「アリューシャン諸島の沿岸部からもたらされる海水」との境界でもっとも大きなCO2の吸収が確認された。境界では2つの小さな(<20μm)植物プランクトンが卓越していた。鉄に富んだ沿岸水と鉄に枯渇したAlaskan Gyre水との混合が生物活動やCO2吸収を刺激していると考えられる。
On the potential role of marine calcifiers in glacial-interglacial dynamics
Anne Willem Omta, George A. K. van Voorn, Rosalind E. M. Rickaby, Michael J. Follows
アイスコアから南極の気温と大気中CO2濃度変動とのきわめて良い相関が確認されており、ともにノコギリ型の変動を示す。生態学的プロセスが大きく寄与している可能性をモデルから示す。
A joint atmosphere-ocean inversion for the estimation of seasonal carbon sources and sinks
K. Steinkamp, N. Gruber
モデルの逆解析を利用して大気-海洋-陸域の炭素の1992-1996年の収支を推定。海洋の炭素吸収は年間1.8 PgCで、陸域の取り込みは1.3 PgCと推定された。熱帯雨林からの炭素放出は年間1.1 ± 0.9 PgCと推定され、森林破壊の速度からの推定値と整合的である。ただし、熱帯雨林ごとに吸収・放出の方向が異なる。
Paleoceanography
Planktonic foraminiferal area density as a proxy for carbonate ion concentration: A calibration study using the Cariaco Basin Ocean Time Series
Brittney J. Marshall, Robert C. Thunell, Michael J. Henehan, Yrene Astor, Katherine E. Wejnert
カリアコ海盆にて行われた2005-2008年のセジメントトラップから、G. ruber (pink)とG. saccliferの断面密度(area density)が炭酸イオン濃度の指標になるかどうかを評価。種ごとに傾きは異なるものの、有為な相関が確認された。
※炭酸系そのものが他の変数(温度・栄養塩)などと似たような変動を示すため、本当に炭酸イオンだけが独立に石灰化プロセスに作用しているのだろうか??
What caused the long duration of the Paleocene-Eocene Thermal Maximum?
Richard E. Zeebe
PETMによる5℃を超す温暖化は少なくとも5万年間は継続したと推定されている。しかし従来の炭素循環・気候モデルはそうした長期的な温暖化をうまく再現できていない。堆積物への熱の伝播を考慮し、モデルにメタンハイドレートへの影響を取り入れたところ、1万年間以上にわたってゆっくりと炭素が放出される減少が確認された(bleeding)。深層水の温度上昇による、「海洋堆積物中の微生物活動の代謝過程の促進」と「メタンハイドレートが蓄積しなかったこと」の2つがPETMの温暖化の継続に重要だったのではなかろうか。
Agulhas salt-leakage oscillations during abrupt climate changes of the Late Pleistocene
Gianluca Marino, Rainer Zahn, Martin Ziegler, Conor Purcell, Gregor Knorr, Ian R. Hall, Patrizia Ziveri, Henry Elderfield
南アフリカ沖で採取された堆積物コアからMIS8-5(255-75ka)のAgulhas海流の塩分変動を復元。AMOCの変動に対応していると思われる千年スケールの塩分変動が確認された。AMOCが弱化することによってハドレー循環と南半球の偏西風の位置が変化し、それがAgulhus海流にも影響したと考えると整合的である。Agulhus海流の強化は北大西洋への熱塩供給を強化するため、一度弱化したAMOCの回復過程に重要であったと思われる。AMOCの調節器としてインド洋から大西洋への塩分輸送が重要であったと考えられる。
A record of the last 460 thousand years of upper ocean stratification from the central Walvis Ridge, South Atlantic
Paolo Scussolini, Frank J. C. Peeters
大西洋南東部(南アフリカの西沖)で採取された堆積物コアの浮遊性有孔虫δ18Oを用いて過去460kaのAgluhas塩分流出を復元し、AMOCへの影響を評価。表層・温度躍層水に棲息する有孔虫のδ18Oの差を成層化の指標したところ、氷期-間氷期サイクルが確認された。風系かAMOCの変化が原因?またδ13Cも似た変動を示し、間氷期に差が最大値を示した。中層水の水塊構造の変化と生物ポンプの効率が増したことが原因?
Quaternary Science Reviews
Twentieth century sea-level rise inferred from tide gauge, geologically derived and thermosteric sea-level changes
Masao Nakada , Jun'ichi Okuno , Masayoshi Ishii
世界の検潮所の記録と塩沢の堆積物記録を用いて21世紀の海水準上昇の速度と原因を推定。地域ごとに異なる熱膨張的な海水準の変化と山岳氷河・氷床からの融水の影響も考慮している。IPCC AR4に整合的な結果が得られたが、グリーンランド氷床の融解はそれほど必要でない可能性が示唆された。山岳氷河と南極氷床の寄与が大きい?
※以前AORIでセミナーしていただいた内容の一部。
An alternative suggestion for the Pliocene onset of major northern hemisphere glaciation based on the geochemical provenance of North Atlantic Ocean ice-rafted debris
Ian Bailey , Georgia M. Hole , Gavin L. Foster , Paul A. Wilson , Craig D. Storey , Clive N. Trueman , Maureen E. Raymo
2.72Maの北大西洋高緯度域へのIRDの供給は北半球の氷河化(NHG)の証拠と考えられる。しかしNordic Seaで得られた堆積物記録と表面照射年代から復元された北米氷床の範囲との間には年代値の食い違いが確認されており、またIRDの起源も不確かなままである。IRD中の長石をLA-ICPMSで測定し、起源を推定したところ、北米氷床が2.52Maには拡大していたことが示された。最古のIRDの証拠は2.64Maとわずかに古く、グリーンランドやスカンジナビア氷床由来の可能性がある。
>関連した論文
Flux and provenance of ice-rafted debris in the earliest Pleistocene sub-polar North Atlantic Ocean comparable to the last glacial maximum
Ian Bailey, Gavin L. Foster, Paul A. Wilson, Luigi Jovane, Craig D. Storey, Clive N. Trueman, Julia Becker
Earth and Planetary Science Letters 341–344, 222–233 (2012).
北大西洋(52ºN)の堆積物コアから得られたIRDのfelspar(長石)中の鉛同位体をLA-ICPMSで測定し、IRDの起源となった母岩を推定。特に北半球の氷河化が始まった最初の頃に対応するMIS100(~2.52Ma)に注目。氷期初期と極大期とでIRDの起源が変化。LGMの時のIRDと似た性質のものが運搬されていたことが分かった。またMIS100には氷山が多く発生していたことが示唆される。
Responses of the deep ocean carbonate system to carbon reorganization during the Last Glacial–interglacial cycle
Jimin Yu , Robert F. Anderson , Zhangdong Jin , James W.B. Rae , Bradley N. Opdyke , Stephen M. Eggins
太平洋・大西洋熱帯域で得られた堆積物コアの底性有孔虫のB/Caを用いて氷期-間氷期サイクルの深層水の炭酸イオン濃度を復元。大西洋熱帯域の炭酸イオン濃度は~65μmol/kg変化し、原因としては北大西洋でNADWが形成される際の表層水の炭酸イオン濃度の変化(preformed)が考えられる。一方の太平洋の深層水にはあまり変化が見られない(<15μmol/kg)。LGMにおける炭酸イオン濃度と炭酸塩フラックスとの類似性は、深層水の炭酸塩の溶解が保存をコントロールしていることを強く物語っている。
>関連した論文
Loss of Carbon from the Deep Sea Since the Last Glacial Maximum
Jimin Yu, Wally S. Broecker, Harry Elderfield, Zhangdong Jin, Jerry McManus, Fei Zhang
Science 330, 1084-1087 (2010).
※この間、目からウロコが出た論文。
Global trends in surface ocean pCO2 from in situ data
A. R. Fay, G. A. McKinley
近年の気候変動・変化に対して海の炭素吸収がどのように応答しているかを調べるために、全球を16の渦スケールのbiomeに分けてそれぞれ評価。1981-2010年に十年〜数十年の傾向が確認された。十年規模の傾向は、観測の始まりと終わりの年に強く依存した。より長い時間スケールでは熱帯・亜熱帯域のpCO2は大気と同じかやや遅い速度で上昇している(大気からの大きな取り込みと深層からのわずかな供給)。高緯度域はデータが不足しており長期傾向はよく分からない。気候変動に関連して大気pCO2よりもはるかに早く上昇する傾向を示すような海域もあった。南大洋ではSAMによって吸収能は2000年代初頭から強化されている。一方北大西洋の熱帯・亜熱帯域では温暖化によって2000年代半ば頃からpCO2は上昇傾向にあり(pCO2は温度と正相関するため)、このまま長期的に温暖化すると、炭素の取り込み能力が低下すると思われる。
>関連した記事(Nature Climate Change#August2013 "Research Highlights")
Ocean carbon
海の炭素
1981-2010年における海洋観測記録から、海水のpCO2が大気のCO2濃度とほぼ同程度の早さか、やや遅く上昇していることが示された。短い時間スケールでは上昇速度に地域性が大きいという。また北大西洋の温暖化に伴うCO2の溶解度低下によって海のCO2吸収力が弱まることが懸念されている。
Annual cycle of air-sea CO2 exchange in an Arctic Polynya Region
B. G. T. Else, T. N. Papakyriakou, M. G. Asplin, D. G. Barber, R. J. Galley, L. A. Miller, A. Mucci
カナダ北極圏のCape Bathurst地域のポリニヤにてpCO2などの変動を観測し、2007-2008年のCO2フラックスを推定。総じて吸収源として寄与している。最も大きなCO2の取り込みは海氷の形成が始まる、風速が最大となる秋であった。観測期間の風速は平年値よりは25-35%強く、また東風が卓越しており、結氷時期が早まり、ポリニヤが開く時期がそれぞれ1ヶ月ほど早まったらしい。その結果、CO2の吸収能力は強まったと考えられる。冬のCO2吸収のうち50%はleadやポリニヤの小さな隙間から生じている。
The influence of net community production and phytoplankton community structure on CO2 uptake in the Gulf of Alaska
Hilary I. Palevsky, Francois Ribalet, Jarred E. Swalwell, Catherine E. Cosca, Edward D. Cokelet, Richard A. Feely, E. Virginia Armbrust, Paul D. Quay
海洋のCO2吸収能力は生物活動によって支配されているが、その力学はよく分かっていない。アラスカ湾にて行われたCO2フラックス・生産性・植物プランクトンの豊富度などの連続観測の結果について。「Alaskan GyreのHNLC海水」と「アリューシャン諸島の沿岸部からもたらされる海水」との境界でもっとも大きなCO2の吸収が確認された。境界では2つの小さな(<20μm)植物プランクトンが卓越していた。鉄に富んだ沿岸水と鉄に枯渇したAlaskan Gyre水との混合が生物活動やCO2吸収を刺激していると考えられる。
On the potential role of marine calcifiers in glacial-interglacial dynamics
Anne Willem Omta, George A. K. van Voorn, Rosalind E. M. Rickaby, Michael J. Follows
アイスコアから南極の気温と大気中CO2濃度変動とのきわめて良い相関が確認されており、ともにノコギリ型の変動を示す。生態学的プロセスが大きく寄与している可能性をモデルから示す。
A joint atmosphere-ocean inversion for the estimation of seasonal carbon sources and sinks
K. Steinkamp, N. Gruber
モデルの逆解析を利用して大気-海洋-陸域の炭素の1992-1996年の収支を推定。海洋の炭素吸収は年間1.8 PgCで、陸域の取り込みは1.3 PgCと推定された。熱帯雨林からの炭素放出は年間1.1 ± 0.9 PgCと推定され、森林破壊の速度からの推定値と整合的である。ただし、熱帯雨林ごとに吸収・放出の方向が異なる。
Paleoceanography
Planktonic foraminiferal area density as a proxy for carbonate ion concentration: A calibration study using the Cariaco Basin Ocean Time Series
Brittney J. Marshall, Robert C. Thunell, Michael J. Henehan, Yrene Astor, Katherine E. Wejnert
カリアコ海盆にて行われた2005-2008年のセジメントトラップから、G. ruber (pink)とG. saccliferの断面密度(area density)が炭酸イオン濃度の指標になるかどうかを評価。種ごとに傾きは異なるものの、有為な相関が確認された。
※炭酸系そのものが他の変数(温度・栄養塩)などと似たような変動を示すため、本当に炭酸イオンだけが独立に石灰化プロセスに作用しているのだろうか??
What caused the long duration of the Paleocene-Eocene Thermal Maximum?
Richard E. Zeebe
PETMによる5℃を超す温暖化は少なくとも5万年間は継続したと推定されている。しかし従来の炭素循環・気候モデルはそうした長期的な温暖化をうまく再現できていない。堆積物への熱の伝播を考慮し、モデルにメタンハイドレートへの影響を取り入れたところ、1万年間以上にわたってゆっくりと炭素が放出される減少が確認された(bleeding)。深層水の温度上昇による、「海洋堆積物中の微生物活動の代謝過程の促進」と「メタンハイドレートが蓄積しなかったこと」の2つがPETMの温暖化の継続に重要だったのではなかろうか。
Agulhas salt-leakage oscillations during abrupt climate changes of the Late Pleistocene
Gianluca Marino, Rainer Zahn, Martin Ziegler, Conor Purcell, Gregor Knorr, Ian R. Hall, Patrizia Ziveri, Henry Elderfield
南アフリカ沖で採取された堆積物コアからMIS8-5(255-75ka)のAgulhas海流の塩分変動を復元。AMOCの変動に対応していると思われる千年スケールの塩分変動が確認された。AMOCが弱化することによってハドレー循環と南半球の偏西風の位置が変化し、それがAgulhus海流にも影響したと考えると整合的である。Agulhus海流の強化は北大西洋への熱塩供給を強化するため、一度弱化したAMOCの回復過程に重要であったと思われる。AMOCの調節器としてインド洋から大西洋への塩分輸送が重要であったと考えられる。
A record of the last 460 thousand years of upper ocean stratification from the central Walvis Ridge, South Atlantic
Paolo Scussolini, Frank J. C. Peeters
大西洋南東部(南アフリカの西沖)で採取された堆積物コアの浮遊性有孔虫δ18Oを用いて過去460kaのAgluhas塩分流出を復元し、AMOCへの影響を評価。表層・温度躍層水に棲息する有孔虫のδ18Oの差を成層化の指標したところ、氷期-間氷期サイクルが確認された。風系かAMOCの変化が原因?またδ13Cも似た変動を示し、間氷期に差が最大値を示した。中層水の水塊構造の変化と生物ポンプの効率が増したことが原因?
Quaternary Science Reviews
Twentieth century sea-level rise inferred from tide gauge, geologically derived and thermosteric sea-level changes
Masao Nakada , Jun'ichi Okuno , Masayoshi Ishii
世界の検潮所の記録と塩沢の堆積物記録を用いて21世紀の海水準上昇の速度と原因を推定。地域ごとに異なる熱膨張的な海水準の変化と山岳氷河・氷床からの融水の影響も考慮している。IPCC AR4に整合的な結果が得られたが、グリーンランド氷床の融解はそれほど必要でない可能性が示唆された。山岳氷河と南極氷床の寄与が大きい?
※以前AORIでセミナーしていただいた内容の一部。
An alternative suggestion for the Pliocene onset of major northern hemisphere glaciation based on the geochemical provenance of North Atlantic Ocean ice-rafted debris
Ian Bailey , Georgia M. Hole , Gavin L. Foster , Paul A. Wilson , Craig D. Storey , Clive N. Trueman , Maureen E. Raymo
2.72Maの北大西洋高緯度域へのIRDの供給は北半球の氷河化(NHG)の証拠と考えられる。しかしNordic Seaで得られた堆積物記録と表面照射年代から復元された北米氷床の範囲との間には年代値の食い違いが確認されており、またIRDの起源も不確かなままである。IRD中の長石をLA-ICPMSで測定し、起源を推定したところ、北米氷床が2.52Maには拡大していたことが示された。最古のIRDの証拠は2.64Maとわずかに古く、グリーンランドやスカンジナビア氷床由来の可能性がある。
>関連した論文
Flux and provenance of ice-rafted debris in the earliest Pleistocene sub-polar North Atlantic Ocean comparable to the last glacial maximum
Ian Bailey, Gavin L. Foster, Paul A. Wilson, Luigi Jovane, Craig D. Storey, Clive N. Trueman, Julia Becker
Earth and Planetary Science Letters 341–344, 222–233 (2012).
北大西洋(52ºN)の堆積物コアから得られたIRDのfelspar(長石)中の鉛同位体をLA-ICPMSで測定し、IRDの起源となった母岩を推定。特に北半球の氷河化が始まった最初の頃に対応するMIS100(~2.52Ma)に注目。氷期初期と極大期とでIRDの起源が変化。LGMの時のIRDと似た性質のものが運搬されていたことが分かった。またMIS100には氷山が多く発生していたことが示唆される。
Responses of the deep ocean carbonate system to carbon reorganization during the Last Glacial–interglacial cycle
Jimin Yu , Robert F. Anderson , Zhangdong Jin , James W.B. Rae , Bradley N. Opdyke , Stephen M. Eggins
太平洋・大西洋熱帯域で得られた堆積物コアの底性有孔虫のB/Caを用いて氷期-間氷期サイクルの深層水の炭酸イオン濃度を復元。大西洋熱帯域の炭酸イオン濃度は~65μmol/kg変化し、原因としては北大西洋でNADWが形成される際の表層水の炭酸イオン濃度の変化(preformed)が考えられる。一方の太平洋の深層水にはあまり変化が見られない(<15μmol/kg)。LGMにおける炭酸イオン濃度と炭酸塩フラックスとの類似性は、深層水の炭酸塩の溶解が保存をコントロールしていることを強く物語っている。
>関連した論文
Loss of Carbon from the Deep Sea Since the Last Glacial Maximum
Jimin Yu, Wally S. Broecker, Harry Elderfield, Zhangdong Jin, Jerry McManus, Fei Zhang
Science 330, 1084-1087 (2010).
※この間、目からウロコが出た論文。
2013年7月29日月曜日
新着論文(AGU, EGU)
G3
Inter-laboratory study for coral Sr/Ca and other element/Ca ratio measurements
Ed C. Hathorne, Alex Gagnon, Thomas Felis, Jess Adkins, Ryuji Asami, Wim Boer, Nicolas Caillon, David Case, Kim M. Cobb, Eric Douville, Peter deMenocal, Anton Eisenhauer, C.-Dieter Garbe-Schönberg, Walter Geibert, Steven Goldstein, Konrad Hughen, Mayuri Inoue, Hodaka Kawahata, Martin Kölling, Florence Le Cornec, Braddock K. Linsley, Helen V. McGregor, Paolo Montagna, Intan S. Nurhati, Terrence M. Quinn, Jacek Raddatz, Hélène Rebaubier, Laura Robinson, Aleksey Sadekov, Rob Sherrell, Dan Sinclair, Alexander W. Tudhope, Gangjian Wei, Henri Wong, Henry C. Wu, Chen-Feng You
サンゴ骨格のSr/Caは良い水温計になることが知られている。21の研究室で同一のサンゴ標準資料(JCp-1)のSr/Ca測定の結果を比較したところ、有意に差が認められ、極端な場合7℃もの差に繋がっていることが示された。推奨される値は8.838 ± 0.089 mmol/molで、95%の信頼区間で1.5℃のSST推定誤差に繋がる。こうした差異を軽減するために研究室間で統一した標準試料の測定を行い、補正をすることが必要である。
GRL
Interannual variations in degree-two Earth's gravity coefficients C2,0, C2,2 and S2,2 reveal large-scale mass transfers of climatic origin
B. Meyssignac, J.M. Lemoine, M. Cheng, A. Cazenave, P. Gégout, P. Maisongrande
数年スケールの気候変動によって、地球上の質量の変化が重力場の変化として人工衛星から捉えられている。1993-2012年の観測記録から、1997/1998年のエルニーニョ時に赤道太平洋の質量が増加、アマゾン川流域の水資源量の低下、コンゴ川流域の水資源量の増加が確認された。
Does the mid-Atlantic United States sea-level acceleration hot spot reflect ocean dynamic variability?
Robert E. Kopp
大西洋中緯度地域に位置するアメリカの検潮所における海水準の記録は1975年以来、同地域が全球平均と比較してもかなり速い上昇を示している。各検潮所の記録を解析し、ローカル・グローバルな記録、長期的・短期的な記録とを分けたところ、AMO、NAO、Gulf Stream North Wall指数などとの相関が見られた。
Advective timescales and pathways of agulhas leakage
Siren Rühs, Jonathan V. Durgadoo, Erik Behrens, Arne Biastoch
近年、Agulhas海流の大西洋への漏れ出し(Agulhas leakage)の量が増加しており、それはAMOCにも影響を及ぼすと考えられている。かなりの量のAgulhas leakageが遠く北大西洋亜熱帯地域にまで影響していることが渦を解像できる海洋循環モデルから示された。時間のラグが10-20年程度と大きいため、20年内にメキシコ湾流への影響が生じると思われる。
JGR-Oceans
Coupled nitrate nitrogen and oxygen isotopes and organic matter remineralization in the Southern and Pacific Oceans
Patrick A. Rafter, Peter J. DiFiore, Daniel M. Sigman
南大洋太平洋セクターの各水塊(SO〜SAMW〜CDW)の硝酸塩のδ15Nとδ18Oの測定結果について。窒素循環、生物活動・分解、海洋循環を理解するのに使えるらしい。
Processes controlling upper-ocean heat content in Drake Passage
Gordon R. Stephenson Jr., Sarah T. Gille, Janet Sprintall
XBTを用いた16年間に及ぶDrake PassageにおけるCTD観測記録について。表層の変則的な熱フラックスは上流域の子午面方向の風によると思われ、それはさらに遡るとENSOやSAMの影響であると思われる。
Air-sea CO2 fluxes in the near-shore and intertidal zones influenced by the California Current
Janet J. Reimer, Rodrigo Vargas, Stephen V. Smith, Ruben Lara-Lara, Gilberto Gaxiola-Castro, J. Martin Hernandez-Ayon, Angel Castro, Martin Escoto-Rodriguez, Juan Martínez-Osuna
Baja Californiaの沖3km以内で測定された2009年の1年間のfCO2の観測記録をもとに大気-海洋のCO2フラックスを推定。年間を通じて3km沖はCO2の放出源となっており、またSSTとも負の相関が見られることから。中間規模の海洋現象(湧昇)が重要であると推定される。また岸から1.6km以内は沖よりも4倍も大きなfCO2が確認された。沿岸部でも岸からの距離によって大きく変動幅・変動要因も異なるため、より詳細に測定を行う必要がある。
Seasonal to interannual variations in the intensity and central position of the surface Kuroshio east of Taiwan
Yi-Chia Hsin, Bo Qiu, Tzu-Ling Chiang, Chau-Ron Wu
1993-2012年の台湾東部における黒潮の強度及び中心位置の変動を人工衛星による高度観測から評価。
Paleoceanography
Dansgaard-Oeschger cycles: Interactions between ocean and sea ice intrinsic to the Nordic Seas
Trond M. Dokken, Kerim H. Nisancioglu, Camille Li, David S. Battisti, Catherine Kissel
DOイベントの原因についてはAMOCとの関係が広く指摘されているものの、まだ完全には分かっていない。Nordic Seaで採取された堆積物記録を用いて海氷量やIRDを復元。従来の知見とは逆に、亜間氷期に淡水流入量の増加が確認され、ローレンタイド氷床というよりはフェノスカンジナビア氷床由来と思われる。暖かい亜表層水と冷たい表層水の密度が生み出す熱塩バランスがDOイベントには重要であった?
GBC
Water column denitrification rates in the oxygen minimum layer of the pacific ocean along 32°S
Il-Nam Kim, Dong-Ha Min, Alison M. Macdonald
南太平洋の23ºSに沿った海洋観測記録から、海洋窒素循環を考察。ペルーに発達する酸素極小層(OMZ)における脱窒に比べると2〜3倍小さい脱窒が確認された。
Exploring global nitrogen and phosphorus flows in urban wastes during the twentieth century
A.L. Morée, A.H.W. Beusen, A.F. Bouwman, W.J. Willems
20世紀以降に人間活動(農業・工業など)によって海洋へもたらされた窒素やリンの量をモデルシミュレーションを用いて評価。
Climate of the Past
Inter-annual tropical Pacific climate variability in an isotope-enabled CGCM: implications for interpreting coral stable oxygen isotope records of ENSO
T. Russon, A. W. Tudhope, G. C. Hegerl, M. Collins, and J. Tindall
同位体を組み込んだGCMを用いて、赤道太平洋の海水δ18O変動とサンゴ骨格δ18O-SST関係を評価。赤道西太平洋のδ18Oswには大きな年々変動が見られるため、サンゴδ18O-SSTのキャリブレーションが必要不可欠である。またδ18O-SST関係は線形ではないため、中央・西赤道太平洋のδ18Oを用いたSSTアノマリの復元では特に大きなエルニーニョ時には過大評価している可能性がある。
A 350 ka record of climate change from Lake El'gygytgyn, Far East Russian Arctic: refining the pattern of climate modes by means of cluster analysis
U. Frank, N. R. Nowaczyk, P. Minyuk, H. Vogel, P. Rosén, and M. Melles
ロシア極東に位置するEl’gygytgyn湖で採取された堆積物コアのMS・TOC・CIA(chemical index of alteration)を用いて過去350kaの環境変動と全球気候変動との関係性を評価。
Influence of dynamic vegetation on climate change and terrestrial carbon storage in the Last Glacial Maximum
R. O'ishi and A. Abe-Ouchi
植生モデルを組み込んだGCMを用いてLGMの植生フィードバックの大きさを評価。植生フィードバックによってLGMの寒冷化が13.5%強化されたと思われる。特に北半球高緯度のツンドラ地帯の拡大と中緯度の砂漠化によるアルベドの変化が大きい。
さらに炭素循環モデルとも組み合わせたところ、陸域の炭素保存量がLGMには597PgC(CO2換算で282ppm)減少していたことが示唆される。内訳としては、気温降水量の変化で502PgCの低下、氷床の拡大で388PgCの低下、大陸棚の露出で293PgCの増加らしい。他のモデルに比べると過大評価している可能性があるという。
Importance of precipitation seasonality for the interpretation of Eemian ice core isotope records from Greenland
W. J. van de Berg, M. R. van den Broeke, E. van Meijgaard, and F. Kaspar
グリーンランドアイスコアが記録しているEemianのδ18Oは3‰高く、数度気温が上昇していたことを物語っている。地域的な気候モデルを用いて温度以外の変動要因を評価。気温の変化なしに、降水の季節性の変化だけで凝結温度を2℃変化させうることが示された。
A comparative study of large-scale atmospheric circulation in the context of a future scenario (RCP4.5) and past warmth (mid-Pliocene)
Y. Sun, G. Ramstein, C. Contoux, and T. Zhou
もっとも温暖化のアナログに近い地質時代であるPliocene中期頃の気候と、RCP4.5排出シナリオに基づいて予測された近未来の温暖化とを比較。特にハドレー・ウォーカー循環などの大気循環の変化に着目。ハドレーセルは亜熱帯域で強化され、さらに極側にシフトすること、Pliocene中期頃の気候とも概ね整合的であることが示された。一方ウォーカーセルは食い違いが見られたが、共通するのは西赤道太平洋の上昇流が弱化し、降水量の低下に繋がることである。
Inter-laboratory study for coral Sr/Ca and other element/Ca ratio measurements
Ed C. Hathorne, Alex Gagnon, Thomas Felis, Jess Adkins, Ryuji Asami, Wim Boer, Nicolas Caillon, David Case, Kim M. Cobb, Eric Douville, Peter deMenocal, Anton Eisenhauer, C.-Dieter Garbe-Schönberg, Walter Geibert, Steven Goldstein, Konrad Hughen, Mayuri Inoue, Hodaka Kawahata, Martin Kölling, Florence Le Cornec, Braddock K. Linsley, Helen V. McGregor, Paolo Montagna, Intan S. Nurhati, Terrence M. Quinn, Jacek Raddatz, Hélène Rebaubier, Laura Robinson, Aleksey Sadekov, Rob Sherrell, Dan Sinclair, Alexander W. Tudhope, Gangjian Wei, Henri Wong, Henry C. Wu, Chen-Feng You
サンゴ骨格のSr/Caは良い水温計になることが知られている。21の研究室で同一のサンゴ標準資料(JCp-1)のSr/Ca測定の結果を比較したところ、有意に差が認められ、極端な場合7℃もの差に繋がっていることが示された。推奨される値は8.838 ± 0.089 mmol/molで、95%の信頼区間で1.5℃のSST推定誤差に繋がる。こうした差異を軽減するために研究室間で統一した標準試料の測定を行い、補正をすることが必要である。
GRL
Interannual variations in degree-two Earth's gravity coefficients C2,0, C2,2 and S2,2 reveal large-scale mass transfers of climatic origin
B. Meyssignac, J.M. Lemoine, M. Cheng, A. Cazenave, P. Gégout, P. Maisongrande
数年スケールの気候変動によって、地球上の質量の変化が重力場の変化として人工衛星から捉えられている。1993-2012年の観測記録から、1997/1998年のエルニーニョ時に赤道太平洋の質量が増加、アマゾン川流域の水資源量の低下、コンゴ川流域の水資源量の増加が確認された。
Does the mid-Atlantic United States sea-level acceleration hot spot reflect ocean dynamic variability?
Robert E. Kopp
大西洋中緯度地域に位置するアメリカの検潮所における海水準の記録は1975年以来、同地域が全球平均と比較してもかなり速い上昇を示している。各検潮所の記録を解析し、ローカル・グローバルな記録、長期的・短期的な記録とを分けたところ、AMO、NAO、Gulf Stream North Wall指数などとの相関が見られた。
Advective timescales and pathways of agulhas leakage
Siren Rühs, Jonathan V. Durgadoo, Erik Behrens, Arne Biastoch
近年、Agulhas海流の大西洋への漏れ出し(Agulhas leakage)の量が増加しており、それはAMOCにも影響を及ぼすと考えられている。かなりの量のAgulhas leakageが遠く北大西洋亜熱帯地域にまで影響していることが渦を解像できる海洋循環モデルから示された。時間のラグが10-20年程度と大きいため、20年内にメキシコ湾流への影響が生じると思われる。
JGR-Oceans
Coupled nitrate nitrogen and oxygen isotopes and organic matter remineralization in the Southern and Pacific Oceans
Patrick A. Rafter, Peter J. DiFiore, Daniel M. Sigman
南大洋太平洋セクターの各水塊(SO〜SAMW〜CDW)の硝酸塩のδ15Nとδ18Oの測定結果について。窒素循環、生物活動・分解、海洋循環を理解するのに使えるらしい。
Processes controlling upper-ocean heat content in Drake Passage
Gordon R. Stephenson Jr., Sarah T. Gille, Janet Sprintall
XBTを用いた16年間に及ぶDrake PassageにおけるCTD観測記録について。表層の変則的な熱フラックスは上流域の子午面方向の風によると思われ、それはさらに遡るとENSOやSAMの影響であると思われる。
Air-sea CO2 fluxes in the near-shore and intertidal zones influenced by the California Current
Janet J. Reimer, Rodrigo Vargas, Stephen V. Smith, Ruben Lara-Lara, Gilberto Gaxiola-Castro, J. Martin Hernandez-Ayon, Angel Castro, Martin Escoto-Rodriguez, Juan Martínez-Osuna
Baja Californiaの沖3km以内で測定された2009年の1年間のfCO2の観測記録をもとに大気-海洋のCO2フラックスを推定。年間を通じて3km沖はCO2の放出源となっており、またSSTとも負の相関が見られることから。中間規模の海洋現象(湧昇)が重要であると推定される。また岸から1.6km以内は沖よりも4倍も大きなfCO2が確認された。沿岸部でも岸からの距離によって大きく変動幅・変動要因も異なるため、より詳細に測定を行う必要がある。
Seasonal to interannual variations in the intensity and central position of the surface Kuroshio east of Taiwan
Yi-Chia Hsin, Bo Qiu, Tzu-Ling Chiang, Chau-Ron Wu
1993-2012年の台湾東部における黒潮の強度及び中心位置の変動を人工衛星による高度観測から評価。
Paleoceanography
Dansgaard-Oeschger cycles: Interactions between ocean and sea ice intrinsic to the Nordic Seas
Trond M. Dokken, Kerim H. Nisancioglu, Camille Li, David S. Battisti, Catherine Kissel
DOイベントの原因についてはAMOCとの関係が広く指摘されているものの、まだ完全には分かっていない。Nordic Seaで採取された堆積物記録を用いて海氷量やIRDを復元。従来の知見とは逆に、亜間氷期に淡水流入量の増加が確認され、ローレンタイド氷床というよりはフェノスカンジナビア氷床由来と思われる。暖かい亜表層水と冷たい表層水の密度が生み出す熱塩バランスがDOイベントには重要であった?
GBC
Water column denitrification rates in the oxygen minimum layer of the pacific ocean along 32°S
Il-Nam Kim, Dong-Ha Min, Alison M. Macdonald
南太平洋の23ºSに沿った海洋観測記録から、海洋窒素循環を考察。ペルーに発達する酸素極小層(OMZ)における脱窒に比べると2〜3倍小さい脱窒が確認された。
Exploring global nitrogen and phosphorus flows in urban wastes during the twentieth century
A.L. Morée, A.H.W. Beusen, A.F. Bouwman, W.J. Willems
20世紀以降に人間活動(農業・工業など)によって海洋へもたらされた窒素やリンの量をモデルシミュレーションを用いて評価。
Climate of the Past
Inter-annual tropical Pacific climate variability in an isotope-enabled CGCM: implications for interpreting coral stable oxygen isotope records of ENSO
T. Russon, A. W. Tudhope, G. C. Hegerl, M. Collins, and J. Tindall
同位体を組み込んだGCMを用いて、赤道太平洋の海水δ18O変動とサンゴ骨格δ18O-SST関係を評価。赤道西太平洋のδ18Oswには大きな年々変動が見られるため、サンゴδ18O-SSTのキャリブレーションが必要不可欠である。またδ18O-SST関係は線形ではないため、中央・西赤道太平洋のδ18Oを用いたSSTアノマリの復元では特に大きなエルニーニョ時には過大評価している可能性がある。
A 350 ka record of climate change from Lake El'gygytgyn, Far East Russian Arctic: refining the pattern of climate modes by means of cluster analysis
U. Frank, N. R. Nowaczyk, P. Minyuk, H. Vogel, P. Rosén, and M. Melles
ロシア極東に位置するEl’gygytgyn湖で採取された堆積物コアのMS・TOC・CIA(chemical index of alteration)を用いて過去350kaの環境変動と全球気候変動との関係性を評価。
Influence of dynamic vegetation on climate change and terrestrial carbon storage in the Last Glacial Maximum
R. O'ishi and A. Abe-Ouchi
植生モデルを組み込んだGCMを用いてLGMの植生フィードバックの大きさを評価。植生フィードバックによってLGMの寒冷化が13.5%強化されたと思われる。特に北半球高緯度のツンドラ地帯の拡大と中緯度の砂漠化によるアルベドの変化が大きい。
さらに炭素循環モデルとも組み合わせたところ、陸域の炭素保存量がLGMには597PgC(CO2換算で282ppm)減少していたことが示唆される。内訳としては、気温降水量の変化で502PgCの低下、氷床の拡大で388PgCの低下、大陸棚の露出で293PgCの増加らしい。他のモデルに比べると過大評価している可能性があるという。
Importance of precipitation seasonality for the interpretation of Eemian ice core isotope records from Greenland
W. J. van de Berg, M. R. van den Broeke, E. van Meijgaard, and F. Kaspar
グリーンランドアイスコアが記録しているEemianのδ18Oは3‰高く、数度気温が上昇していたことを物語っている。地域的な気候モデルを用いて温度以外の変動要因を評価。気温の変化なしに、降水の季節性の変化だけで凝結温度を2℃変化させうることが示された。
A comparative study of large-scale atmospheric circulation in the context of a future scenario (RCP4.5) and past warmth (mid-Pliocene)
Y. Sun, G. Ramstein, C. Contoux, and T. Zhou
もっとも温暖化のアナログに近い地質時代であるPliocene中期頃の気候と、RCP4.5排出シナリオに基づいて予測された近未来の温暖化とを比較。特にハドレー・ウォーカー循環などの大気循環の変化に着目。ハドレーセルは亜熱帯域で強化され、さらに極側にシフトすること、Pliocene中期頃の気候とも概ね整合的であることが示された。一方ウォーカーセルは食い違いが見られたが、共通するのは西赤道太平洋の上昇流が弱化し、降水量の低下に繋がることである。
2013年6月23日日曜日
新着論文(GRL, GPC, GBC, EPSL, DSR1, JC)
GRL
A new constraint on global air-sea CO2 fluxes using bottle carbon data
Tristan P. Sasse, Ben I. McNeil, Gab Abramowitz
WOCEとCLIVARが集めた海洋の混合層のボトル海水のpCO2データ17,800点を用いて、各海域の大気海洋間のCO2フラックスを推定。南半球は北半球に比べて5倍ものCO2を吸収していることが分かった。海洋のCO2の吸収量は1.55 ± 0.32 PgC/yrと推定される。
Aragonite Saturation State Dynamics in a Coastal Upwelling Zone
Katherine E. Harris, Michael D. DeGrandpre, Burke Hales
沿岸湧昇域は湧昇する低いΩを持った海水の影響もあわさって、海洋酸性化の影響を特に受ける海域である。Oregon大陸棚に設置された自動観測器によって得られた2007〜20011年にかけてのpH、pCO2データを解析。表層水のΩargは0.66〜3.9まで変動していた。春や秋には生物活動もあわさってΩargは1.0〜4.0と変動。春には淡水流入の影響でΩargはさらに低下した。冬はわりと単純に水塊の混合だけで説明されると思われる。
Recent warming at Summit, Greenland: Global context and implications
Daniel McGrath, William Colgan, Nicolas Bayou, Atsuhiro Muto, Konrad Steffen
グリーンランド頂上部の気温は1982-2011年にかけて年間0.09 ± 0.01 ℃で上昇しており、世界平均の6倍の速度である。平衡線の高度(elevation of the equilibrium line)と乾燥雪線(dry snow line)はそれぞれ44、35 m/yrで上昇した。2025年までに50%の確率で乾燥雪線が水が染み出る地帯(percolation facies)へと変化すると予想される。
Abyssal connections of Antarctic Bottom Water in a Southern Ocean State Estimate
Erik Sebille, Paul Spence, Matthew R. Mazloff, Matthew H. England, Stephen R. Rintoul, Oleg A. Saenko
南極底層水(AABW)は南極周辺の限られた海域で生成されるが、それぞれに異なった温度塩分を持つ。AABWはその後亜熱帯域の海底へと広がってゆくが、それぞれのAABWが31ºSに達する前に合併すると考えられる。その際にAABWの70%は南極を少なくとも一周することから、南極周回流が重要な役割を持っていると思われる。従ってその十年〜百年規模の変動はAABWの輸送に大きく影響すると思われる。
Sensitivity of the oceanic carbon reservoir to tropical surface wind stress variations
N. N. Ridder, K. J. Meissner, M. H. England
熱帯域のウォーカー循環が海洋炭素循環に与える影響をモデルシミュレーションから評価。貿易風を10%、20%、30%増加/弱化させたところ、赤道偏東風が強いときには全球の海洋の炭素吸収量が減少した。逆に貿易風が弱いときには吸収量は増加した。非線形関係には生物ポンプの変化が重要な役割を負っている。
Rapid loss of firn pore space accelerates 21st century Greenland mass loss
J. H. van Angelen, J. T. M. Lenaerts, M. R. van den Broeke, X. Fettweis, E. Meijgaard
南極氷床における近年の質量損失の大半は氷河流出量の増大が担っている。一方でグリーンランド氷床のそれの55%は表面融解が担っていると思われる。しかし表面で融解した水の40%は再び凝結すると考えられている。モデルシミュレーションから、RCP4.5シナリオの下では、21世紀末にはフィルンの間隙が減少することで、再凝結の緩衝作用が減少することが示された。その結果、グリーンランド氷床の融解量が増大し、21世紀末における海水準上昇への寄与は現在の4倍になると推定される(年間1.7 ± 0.5 mm)。
GPC
Has the Northern Hemisphere been warming or cooling during the boreal winter of the last few decades?
Juan C. Jiménez-Muñoz, José A. Sobrino, Cristian Mattar
IPCCの報告書によると北半球の冬の気温は上昇していると言われるが、実際には広い範囲でここ最近の寒冷化が報告されたりもしている。いくつかのデータセットを用いて過去30年間北半球の冬の温度変化を再評価したところ、ほぼ平衡〜弱い温暖化の傾向が見られた。グリーンランドだけは例外的に広範囲で有為な温暖化が確認された。
GBC
Winners and losers: Ecological and biogeochemical changes in a warming ocean
S. Dutkiewicz, J. R. Scott, M. J. Follows
生態系モデルと地球システムモデルを組み合わせて、将来の温暖化が光合成植物プランクトンコミュニティーに与える影響を評価。直接効果(温度変化が代謝に与える影響)と間接効果(微量栄養塩の供給・光環境の変化)のバランスによって決まると思われる。全球平均的には釣り合っているものの、地域的には複雑に両者の強弱が生物生産を制御している。植物プランクトンの中でも勝者と敗者が生まれると思われる。温暖化した世界で何が起きるかの中で最も確実な予測は、植物プランクトンの組成の変化が起きるということである。
EPSL
The “MIS 11 paradox” and ocean circulation: Role of millennial scale events
Natalia Vázquez Riveiros, Claire Waelbroeck, Luke Skinner, Jean-Claude Duplessy, Jerry F. McManus, Evgenia S. Kandiano, Henning A. Bauch
氷期から間氷期へと移行するターミネーション(ⅠとⅤに着目)の際の氷床の最後の挙動を北・南大西洋の堆積物コア中のIRDから復元。ターミネーションⅤ(MIS11への移行期)には最終退氷期のHS1よりも強く・長く続くハインリッヒ・イベントがあり、さらにバイポーラー・シーソーも確認された。大きなハインリッヒ・イベントはより多くの氷床崩壊によって、より長い継続期間はAMOCがより長く停滞していたことが原因と思われる。その後のAMOCのオーバーシュートがMIS11が現在の間氷期よりも温暖であったことの説明になるかもしれない。
Riverine silicon isotope variations in glaciated basaltic terrains: Implications for the Si delivery to the ocean over glacial–interglacial intervals
S. Opfergelt, K.W. Burton, P.A.E. Pogge von Strandmann, S.R. Gislason, A.N. Halliday
海洋一次生産は主に珪藻が担っており、それは河川からのケイ素の供給量によってコントロールされている。河川水のδ30Si測定から、玄武岩の集水域を流れる河川と直接氷河から海へと流れ込む河川とでSiの量とδ30Siの値が異なることが示された。南大洋の堆積物コアのδ30Siを再評価してみたところ、もし氷期-間氷期スケールで海水のδ30Siが変化していたとすると、少なからず影響していたと思われる。δ30Siからより厳密なケイ酸の利用効率の復元を行う際には考慮すべきである。
DSR1
From circumpolar deep water to the glacial meltwater plume on the eastern Amundsen Shelf
Y. Nakayama, M. Schröder, H.H. Hellmer
Pine Island棚氷からの淡水フラックスは1990年代以降増加しており、氷床力学・海水準・周辺の水塊特性に影響している。融解の原因は下から暖かい水(CDW)が谷底を通って貫入していることと考えられている。2010年の航海データをもとに、CDWが貫入する経路・棚氷の融解量・融水のその後を調査した。2010年の融解量は30mと推定され、先行研究の報告値とも整合的である。2000年の記録と比較すると、CDWがより暖かく、より厚くなっており、より貫入が強化されていると思われる。
Journal of Climate
Twentieth-Century Oceanic Carbon Uptake and Storage in CESM1(BGC)
Matthew C. Long, Keith Lindsay, Synte Peacock, J. Keith Moore, Scott C. Doney
地球システムモデル(CESM1)を用いて海洋のCO2フラックスをシミュレーションしたところ、観測との非常に良い対応が確認された。しかし南大洋のものは大きな食い違いが見られ、特に亜南極帯と海氷帯で顕著だった。人為起源CO2の取り込みは南半球における水塊形成に大きく支配されているが、それがモデルでうまく再現できていないことでCantとCFCの大きなバイアスが特に中層水で生まれている。
A new constraint on global air-sea CO2 fluxes using bottle carbon data
Tristan P. Sasse, Ben I. McNeil, Gab Abramowitz
WOCEとCLIVARが集めた海洋の混合層のボトル海水のpCO2データ17,800点を用いて、各海域の大気海洋間のCO2フラックスを推定。南半球は北半球に比べて5倍ものCO2を吸収していることが分かった。海洋のCO2の吸収量は1.55 ± 0.32 PgC/yrと推定される。
Aragonite Saturation State Dynamics in a Coastal Upwelling Zone
Katherine E. Harris, Michael D. DeGrandpre, Burke Hales
沿岸湧昇域は湧昇する低いΩを持った海水の影響もあわさって、海洋酸性化の影響を特に受ける海域である。Oregon大陸棚に設置された自動観測器によって得られた2007〜20011年にかけてのpH、pCO2データを解析。表層水のΩargは0.66〜3.9まで変動していた。春や秋には生物活動もあわさってΩargは1.0〜4.0と変動。春には淡水流入の影響でΩargはさらに低下した。冬はわりと単純に水塊の混合だけで説明されると思われる。
Recent warming at Summit, Greenland: Global context and implications
Daniel McGrath, William Colgan, Nicolas Bayou, Atsuhiro Muto, Konrad Steffen
グリーンランド頂上部の気温は1982-2011年にかけて年間0.09 ± 0.01 ℃で上昇しており、世界平均の6倍の速度である。平衡線の高度(elevation of the equilibrium line)と乾燥雪線(dry snow line)はそれぞれ44、35 m/yrで上昇した。2025年までに50%の確率で乾燥雪線が水が染み出る地帯(percolation facies)へと変化すると予想される。
Abyssal connections of Antarctic Bottom Water in a Southern Ocean State Estimate
Erik Sebille, Paul Spence, Matthew R. Mazloff, Matthew H. England, Stephen R. Rintoul, Oleg A. Saenko
南極底層水(AABW)は南極周辺の限られた海域で生成されるが、それぞれに異なった温度塩分を持つ。AABWはその後亜熱帯域の海底へと広がってゆくが、それぞれのAABWが31ºSに達する前に合併すると考えられる。その際にAABWの70%は南極を少なくとも一周することから、南極周回流が重要な役割を持っていると思われる。従ってその十年〜百年規模の変動はAABWの輸送に大きく影響すると思われる。
Sensitivity of the oceanic carbon reservoir to tropical surface wind stress variations
N. N. Ridder, K. J. Meissner, M. H. England
熱帯域のウォーカー循環が海洋炭素循環に与える影響をモデルシミュレーションから評価。貿易風を10%、20%、30%増加/弱化させたところ、赤道偏東風が強いときには全球の海洋の炭素吸収量が減少した。逆に貿易風が弱いときには吸収量は増加した。非線形関係には生物ポンプの変化が重要な役割を負っている。
Rapid loss of firn pore space accelerates 21st century Greenland mass loss
J. H. van Angelen, J. T. M. Lenaerts, M. R. van den Broeke, X. Fettweis, E. Meijgaard
南極氷床における近年の質量損失の大半は氷河流出量の増大が担っている。一方でグリーンランド氷床のそれの55%は表面融解が担っていると思われる。しかし表面で融解した水の40%は再び凝結すると考えられている。モデルシミュレーションから、RCP4.5シナリオの下では、21世紀末にはフィルンの間隙が減少することで、再凝結の緩衝作用が減少することが示された。その結果、グリーンランド氷床の融解量が増大し、21世紀末における海水準上昇への寄与は現在の4倍になると推定される(年間1.7 ± 0.5 mm)。
GPC
Has the Northern Hemisphere been warming or cooling during the boreal winter of the last few decades?
Juan C. Jiménez-Muñoz, José A. Sobrino, Cristian Mattar
IPCCの報告書によると北半球の冬の気温は上昇していると言われるが、実際には広い範囲でここ最近の寒冷化が報告されたりもしている。いくつかのデータセットを用いて過去30年間北半球の冬の温度変化を再評価したところ、ほぼ平衡〜弱い温暖化の傾向が見られた。グリーンランドだけは例外的に広範囲で有為な温暖化が確認された。
GBC
Winners and losers: Ecological and biogeochemical changes in a warming ocean
S. Dutkiewicz, J. R. Scott, M. J. Follows
生態系モデルと地球システムモデルを組み合わせて、将来の温暖化が光合成植物プランクトンコミュニティーに与える影響を評価。直接効果(温度変化が代謝に与える影響)と間接効果(微量栄養塩の供給・光環境の変化)のバランスによって決まると思われる。全球平均的には釣り合っているものの、地域的には複雑に両者の強弱が生物生産を制御している。植物プランクトンの中でも勝者と敗者が生まれると思われる。温暖化した世界で何が起きるかの中で最も確実な予測は、植物プランクトンの組成の変化が起きるということである。
EPSL
The “MIS 11 paradox” and ocean circulation: Role of millennial scale events
Natalia Vázquez Riveiros, Claire Waelbroeck, Luke Skinner, Jean-Claude Duplessy, Jerry F. McManus, Evgenia S. Kandiano, Henning A. Bauch
氷期から間氷期へと移行するターミネーション(ⅠとⅤに着目)の際の氷床の最後の挙動を北・南大西洋の堆積物コア中のIRDから復元。ターミネーションⅤ(MIS11への移行期)には最終退氷期のHS1よりも強く・長く続くハインリッヒ・イベントがあり、さらにバイポーラー・シーソーも確認された。大きなハインリッヒ・イベントはより多くの氷床崩壊によって、より長い継続期間はAMOCがより長く停滞していたことが原因と思われる。その後のAMOCのオーバーシュートがMIS11が現在の間氷期よりも温暖であったことの説明になるかもしれない。
Riverine silicon isotope variations in glaciated basaltic terrains: Implications for the Si delivery to the ocean over glacial–interglacial intervals
S. Opfergelt, K.W. Burton, P.A.E. Pogge von Strandmann, S.R. Gislason, A.N. Halliday
海洋一次生産は主に珪藻が担っており、それは河川からのケイ素の供給量によってコントロールされている。河川水のδ30Si測定から、玄武岩の集水域を流れる河川と直接氷河から海へと流れ込む河川とでSiの量とδ30Siの値が異なることが示された。南大洋の堆積物コアのδ30Siを再評価してみたところ、もし氷期-間氷期スケールで海水のδ30Siが変化していたとすると、少なからず影響していたと思われる。δ30Siからより厳密なケイ酸の利用効率の復元を行う際には考慮すべきである。
DSR1
From circumpolar deep water to the glacial meltwater plume on the eastern Amundsen Shelf
Y. Nakayama, M. Schröder, H.H. Hellmer
Pine Island棚氷からの淡水フラックスは1990年代以降増加しており、氷床力学・海水準・周辺の水塊特性に影響している。融解の原因は下から暖かい水(CDW)が谷底を通って貫入していることと考えられている。2010年の航海データをもとに、CDWが貫入する経路・棚氷の融解量・融水のその後を調査した。2010年の融解量は30mと推定され、先行研究の報告値とも整合的である。2000年の記録と比較すると、CDWがより暖かく、より厚くなっており、より貫入が強化されていると思われる。
Journal of Climate
Twentieth-Century Oceanic Carbon Uptake and Storage in CESM1(BGC)
Matthew C. Long, Keith Lindsay, Synte Peacock, J. Keith Moore, Scott C. Doney
地球システムモデル(CESM1)を用いて海洋のCO2フラックスをシミュレーションしたところ、観測との非常に良い対応が確認された。しかし南大洋のものは大きな食い違いが見られ、特に亜南極帯と海氷帯で顕著だった。人為起源CO2の取り込みは南半球における水塊形成に大きく支配されているが、それがモデルでうまく再現できていないことでCantとCFCの大きなバイアスが特に中層水で生まれている。
2013年6月11日火曜日
新着論文(GRL, GBC, JC)
GRL
Tropical coral reef habitat in a geoengineered, high-CO2 world
E. Couce, P. J. Irvine, L. J. Gregorie, A. Ridgwell, E. J. Hendy
太陽放射を制限する(Solar Radiation Management; SRM)ことで地球温暖化を食い止めるという手段が考案されているが、人為起源のCO2放出が止まらない限り海洋酸性化やその他の問題は残ると思われる。モデルシミュレーションを用いてインド・太平洋のサンゴ礁とSST上昇、海洋酸性化との関係を評価したところ、放射強制力が3W/m2を超すと将来大きなサンゴ礁の悪影響が生じること、SRMによって熱帯域が過度に冷却する可能性を考慮すると理想的には1.5W/2程度に抑えることが望ましいことが示された。
Reduced carbon uptake during the 2010 Northern Hemisphere summer from GOSAT
S. Guerlet, S. Basu, A. Butz, M. Krol, P. Hahne, S. Houweling, O. P. Hasekamp, I. Aben
温室効果ガスを観測する人工衛星(Greenhouse Gases Observing Satellite; GOSAT)による観測記録から、2009年〜2010年における北半球の炭素吸収量を推定したところ、2010年の吸収量は2009年に比べて北米とユーラシア大陸でそれぞれ2.4ppm、3.0ppm減少していることが示された。主として夏の熱波が原因と考えられる。地上観測記録とも併せて考察したところ、地上観測だけでは過小評価している可能性があり、人工衛星観測の重要さが浮き彫りになった。
Role of mode and intermediate waters in future ocean acidification: analysis of CMIP5 models
L. Resplandy, L. Bopp, J. C. Orr, J. P. Dunne
海洋酸性化はモード水・中層水で顕著に起きると考えられている。7つの地球システムモデルを用いたシミュレーションから、亜表層水の酸性化は主として大気中のCO2濃度の上昇によって起きており、物理・生物的なフィードバックは全体の10%程度であることが分かった。亜表層水のCO2取り込み量は表層水の5~10倍と推定され、そうしたpHの低い水が輸送されることで湧昇域の表層水のpHに数十年というラグをもって大きく影響すると思われる。
Independent Confirmation of Global Land Warming without the Use of Station Temperatures
Gilbert P. Compo, Prashant D. Sardeshmukh, Jeffrey S. Whitaker, Philip Brohan, Philip D. Jones, Chesley McColl
人為起源の地球温暖化の確実性、気温観測所に関連する様々な不確実性(土地被覆の変化、観測機器の変更、ヒートアイランドなど)によって歪められてしまう。そうした影響が最小限に抑えられていると思われる、気圧計・海水温・海氷量などの物理データのみを使用して再解析を行ったところ、温度の年変動や100年スケールの変化傾向が見られ、地球温暖化が確かに生じていることの厳密性が実証された。
GBC
Atmospheric Δ14C reduction in simulations of Atlantic overturning circulation shutdown
Katsumi Matsumoto, Yusuke Yokoyama
最終退氷期の特にHS1とYDにおけるCO2濃度の上昇と、Δ14C減少のメカニズムは分かっていない。中でもAMOCの弱化のタイミングとの一致から、深層水と大気の炭素交換に影響があったと考えられている。しかし、AMOCが減少することで深層への炭素輸送が抑制され、Δ14Cは逆に’増加’すると思われ、観測事実とは食い違いが見られる。モデルシミュレーションを用いて、大西洋のバイポーラーシーソーによって、南大洋における気体交換の強化によって、観測されているΔ14Cの’減少’が説明できることを示す。南大洋の過程が北大西洋の過程よりも勝っていることが必要と思われる。北大西洋への擾乱が海を介してテレコネクションしたのか、或いは大気を介してテレコネクションしたのかについてはまだ不明瞭なままである。
Humic substances may control dissolved iron distributions in the global ocean: Implications from numerical simulations
Kazuhiro Misumi, Keith Lindsay, J. Keith Moore, Scott C. Doney, Daisuke Tsumune, Yoshikatsu Yoshida
モデルシミュレーションを用いて海水中の、特に深層水中の鉄と結合した配位子(iron-binding ligand)が鉄の物質循環に与える影響を評価。配位子が全球的に不均質に分布していることを考慮することで、観測されている鉄の分布をうまく表現できることが示され、鉄循環において腐植物質(humic substances)が重要であることを物語っている。
Journal of Climate
Projection of global wave climate change towards the end of the 21st century
Semedo, A., R. Weisse, A. Behrens, A. Sterl, L. Bengtsson, and H. Günther
A1B排出シナリオに基づいて将来の風波の変化の予測を行った。21世紀末には波の高さは小さくなるか控えめになると予想され、中緯度帯の年平均波高や最大波高はより極側へとシフトすると思われる。
>関連した論文
Projected changes in wave climate from a multi-model ensemble
複数モデルのアンサンブルによって予想される波気候の変化
Mark A. Hemer, Yalin Fan, Nobuhito Mori, Alvaro Semedo & Xiaolan L. Wang
Nature Climate Change (May 2013)
風波による沿岸部の変化は海水準の影響を打ち消すか、或いはさらに悪化させる可能性を秘めている。しかしながら波の変化はほとんど関心を寄せられていない。気候モデルを用いたアンサンブル・シミュレーションから、全球の波の高さが25.8%低下することが示された。両半球の冬季には波は高くなることが予測され、特に南大洋を起源とするうねりが原因と考えられる。予測の不確実性はモデル内のダウンスケール法によるところが大きい。
Paleoclimate data- model comparison and the role of climate forcings over the past 1500 years
Phipps, S., H. McGregor, J. Gergis, A. Gallant, R. Neukom, S. Stevenson, D. Ackerley, J. Brown, M. Fischer, and T. van Ommen
過去1,500年間の古気候記録とモデルシミュレーション結果との比較検証を行った。産業革命以降は人為起源の放射強制力が卓越していること、火山噴火によるフォーシングは南半球では顕著だが、北半球にはあまり顕著には見られないことが示された。産業革命以前の寒冷化の傾向はプロキシが代表する季節や地理的なバイアスによって、過大評価されている可能性がある。またサンゴδ18Oとモデルシミュレーションの結果から、中部赤道太平洋では温室効果ガス・太陽活動・火山噴火のフォーシングのすべての影響が確認され、ENSOに対する系統的な影響は確認されなかった。しかし、プロキシを解釈する上での「安定状態の仮定」が成り立たないことも示され、古気候記録-モデルシミュレーション結果の比較研究は重要なアプローチであるものの、現在の技術の限界が浮き彫りになり、別の手段を考案する必要があると言える。
Control of decadal and bidecadal climate variability in the tropical Pacific by the off- equatorial South Pacific Ocean
Tatebe, H., Y. Imada, M. Mori, M. Kimoto, and H. Hasumi
モデルシミュレーションを用いて、赤道太平洋のNINO3.4地域の20年周期のSST変動が熱帯域の外の、特に南太平洋の東亜熱帯モード水(Eastern Subtropical Mode Water)の亜表層水の温度偏差によって支配されていることが示された。10年周期の変動は南太平洋の風応力カールによって駆動される波調整(wave adjustment)が原因と思われる。
Antarctic Bottom Water warming and freshening: Contributions to sea level rise, ocean freshwater budgets, and global heat gain
Purkey, S., and G. Johnson
南極底層水(Antarctic Bottom Water; AABW)は南極周辺で沈み込み、世界の深層水を覆う最も冷たく、塩分の高い水塊である。近年AABWの温暖化と低塩分化が報告されており、またその形成速度も低下しており、形成域に対する融氷水の流入が原因と考えられている。そうしたAABWの水塊特性の変化はWeddel海を除くとあらゆる南極周辺の大陸棚で確認されており、南太平洋や南インド洋でも確認されている。低塩分化を招いた淡水不ラックスは73 ± 26 Gt/yrに相当し、大ざっぱに見積もると、近年西南極氷床から失われた淡水量の半分に相当する。また熱としては34 ± 3 TWがAABWに過剰に吸収されており、熱膨張によって海水準を0.37 ± 0.15mm/yr押し上げているものと推定される。
Tropical coral reef habitat in a geoengineered, high-CO2 world
E. Couce, P. J. Irvine, L. J. Gregorie, A. Ridgwell, E. J. Hendy
太陽放射を制限する(Solar Radiation Management; SRM)ことで地球温暖化を食い止めるという手段が考案されているが、人為起源のCO2放出が止まらない限り海洋酸性化やその他の問題は残ると思われる。モデルシミュレーションを用いてインド・太平洋のサンゴ礁とSST上昇、海洋酸性化との関係を評価したところ、放射強制力が3W/m2を超すと将来大きなサンゴ礁の悪影響が生じること、SRMによって熱帯域が過度に冷却する可能性を考慮すると理想的には1.5W/2程度に抑えることが望ましいことが示された。
Reduced carbon uptake during the 2010 Northern Hemisphere summer from GOSAT
S. Guerlet, S. Basu, A. Butz, M. Krol, P. Hahne, S. Houweling, O. P. Hasekamp, I. Aben
温室効果ガスを観測する人工衛星(Greenhouse Gases Observing Satellite; GOSAT)による観測記録から、2009年〜2010年における北半球の炭素吸収量を推定したところ、2010年の吸収量は2009年に比べて北米とユーラシア大陸でそれぞれ2.4ppm、3.0ppm減少していることが示された。主として夏の熱波が原因と考えられる。地上観測記録とも併せて考察したところ、地上観測だけでは過小評価している可能性があり、人工衛星観測の重要さが浮き彫りになった。
Role of mode and intermediate waters in future ocean acidification: analysis of CMIP5 models
L. Resplandy, L. Bopp, J. C. Orr, J. P. Dunne
海洋酸性化はモード水・中層水で顕著に起きると考えられている。7つの地球システムモデルを用いたシミュレーションから、亜表層水の酸性化は主として大気中のCO2濃度の上昇によって起きており、物理・生物的なフィードバックは全体の10%程度であることが分かった。亜表層水のCO2取り込み量は表層水の5~10倍と推定され、そうしたpHの低い水が輸送されることで湧昇域の表層水のpHに数十年というラグをもって大きく影響すると思われる。
Independent Confirmation of Global Land Warming without the Use of Station Temperatures
Gilbert P. Compo, Prashant D. Sardeshmukh, Jeffrey S. Whitaker, Philip Brohan, Philip D. Jones, Chesley McColl
人為起源の地球温暖化の確実性、気温観測所に関連する様々な不確実性(土地被覆の変化、観測機器の変更、ヒートアイランドなど)によって歪められてしまう。そうした影響が最小限に抑えられていると思われる、気圧計・海水温・海氷量などの物理データのみを使用して再解析を行ったところ、温度の年変動や100年スケールの変化傾向が見られ、地球温暖化が確かに生じていることの厳密性が実証された。
GBC
Atmospheric Δ14C reduction in simulations of Atlantic overturning circulation shutdown
Katsumi Matsumoto, Yusuke Yokoyama
最終退氷期の特にHS1とYDにおけるCO2濃度の上昇と、Δ14C減少のメカニズムは分かっていない。中でもAMOCの弱化のタイミングとの一致から、深層水と大気の炭素交換に影響があったと考えられている。しかし、AMOCが減少することで深層への炭素輸送が抑制され、Δ14Cは逆に’増加’すると思われ、観測事実とは食い違いが見られる。モデルシミュレーションを用いて、大西洋のバイポーラーシーソーによって、南大洋における気体交換の強化によって、観測されているΔ14Cの’減少’が説明できることを示す。南大洋の過程が北大西洋の過程よりも勝っていることが必要と思われる。北大西洋への擾乱が海を介してテレコネクションしたのか、或いは大気を介してテレコネクションしたのかについてはまだ不明瞭なままである。
Humic substances may control dissolved iron distributions in the global ocean: Implications from numerical simulations
Kazuhiro Misumi, Keith Lindsay, J. Keith Moore, Scott C. Doney, Daisuke Tsumune, Yoshikatsu Yoshida
モデルシミュレーションを用いて海水中の、特に深層水中の鉄と結合した配位子(iron-binding ligand)が鉄の物質循環に与える影響を評価。配位子が全球的に不均質に分布していることを考慮することで、観測されている鉄の分布をうまく表現できることが示され、鉄循環において腐植物質(humic substances)が重要であることを物語っている。
Journal of Climate
Projection of global wave climate change towards the end of the 21st century
Semedo, A., R. Weisse, A. Behrens, A. Sterl, L. Bengtsson, and H. Günther
A1B排出シナリオに基づいて将来の風波の変化の予測を行った。21世紀末には波の高さは小さくなるか控えめになると予想され、中緯度帯の年平均波高や最大波高はより極側へとシフトすると思われる。
>関連した論文
Projected changes in wave climate from a multi-model ensemble
複数モデルのアンサンブルによって予想される波気候の変化
Mark A. Hemer, Yalin Fan, Nobuhito Mori, Alvaro Semedo & Xiaolan L. Wang
Nature Climate Change (May 2013)
風波による沿岸部の変化は海水準の影響を打ち消すか、或いはさらに悪化させる可能性を秘めている。しかしながら波の変化はほとんど関心を寄せられていない。気候モデルを用いたアンサンブル・シミュレーションから、全球の波の高さが25.8%低下することが示された。両半球の冬季には波は高くなることが予測され、特に南大洋を起源とするうねりが原因と考えられる。予測の不確実性はモデル内のダウンスケール法によるところが大きい。
Paleoclimate data- model comparison and the role of climate forcings over the past 1500 years
Phipps, S., H. McGregor, J. Gergis, A. Gallant, R. Neukom, S. Stevenson, D. Ackerley, J. Brown, M. Fischer, and T. van Ommen
過去1,500年間の古気候記録とモデルシミュレーション結果との比較検証を行った。産業革命以降は人為起源の放射強制力が卓越していること、火山噴火によるフォーシングは南半球では顕著だが、北半球にはあまり顕著には見られないことが示された。産業革命以前の寒冷化の傾向はプロキシが代表する季節や地理的なバイアスによって、過大評価されている可能性がある。またサンゴδ18Oとモデルシミュレーションの結果から、中部赤道太平洋では温室効果ガス・太陽活動・火山噴火のフォーシングのすべての影響が確認され、ENSOに対する系統的な影響は確認されなかった。しかし、プロキシを解釈する上での「安定状態の仮定」が成り立たないことも示され、古気候記録-モデルシミュレーション結果の比較研究は重要なアプローチであるものの、現在の技術の限界が浮き彫りになり、別の手段を考案する必要があると言える。
Control of decadal and bidecadal climate variability in the tropical Pacific by the off- equatorial South Pacific Ocean
Tatebe, H., Y. Imada, M. Mori, M. Kimoto, and H. Hasumi
モデルシミュレーションを用いて、赤道太平洋のNINO3.4地域の20年周期のSST変動が熱帯域の外の、特に南太平洋の東亜熱帯モード水(Eastern Subtropical Mode Water)の亜表層水の温度偏差によって支配されていることが示された。10年周期の変動は南太平洋の風応力カールによって駆動される波調整(wave adjustment)が原因と思われる。
Antarctic Bottom Water warming and freshening: Contributions to sea level rise, ocean freshwater budgets, and global heat gain
Purkey, S., and G. Johnson
南極底層水(Antarctic Bottom Water; AABW)は南極周辺で沈み込み、世界の深層水を覆う最も冷たく、塩分の高い水塊である。近年AABWの温暖化と低塩分化が報告されており、またその形成速度も低下しており、形成域に対する融氷水の流入が原因と考えられている。そうしたAABWの水塊特性の変化はWeddel海を除くとあらゆる南極周辺の大陸棚で確認されており、南太平洋や南インド洋でも確認されている。低塩分化を招いた淡水不ラックスは73 ± 26 Gt/yrに相当し、大ざっぱに見積もると、近年西南極氷床から失われた淡水量の半分に相当する。また熱としては34 ± 3 TWがAABWに過剰に吸収されており、熱膨張によって海水準を0.37 ± 0.15mm/yr押し上げているものと推定される。
2013年5月25日土曜日
新着論文(GRL, JGR, GBC, Radiocarbon)
GRL
The influence of sea level rise and changes in fringing reef morphology on gradients in alongshore sediment transport
A.E. Grady, L.J. Moore, C.D. Storlazzi, E. Elias, M.A. Reidenbach
海水準上昇とサンゴ礁の悪化がローカルな地形に与える影響をハワイのMolokaiをモデルケースにして評価。岸に沿った方向に広がったサンゴ礁ほど影響を被りやすいことがモデルから示された。
Variability in the width of the tropics and the annular modes
J. Kidston, C. W. Cairns, P. Paga
ハドレーセルの縁と偏西風の関係をGCMで評価。
Can natural variability explain observed Antarctic sea ice trends? New modeling evidence from CMIP5
Lorenzo M. Polvani, Karen L. Smith
近年南極周辺の海氷範囲は’拡大’しており、温暖化によって海氷が融けるという予想に反する。さらに悪いことに、気候モデルは「温室効果ガスの増加と成層圏のオゾンの減少は海氷を後退させる」と予想している。4つのモデルを用いて食い違いの原因を検証。現在見られている南極の海氷の変動は自然変動の範疇にあり、人為起源と結論づけることは難しい。
JGR-Oceans
Integrating satellite observations and modern climate measurements with the recent sedimentary record: An example from Southeast Alaska
Jason A. Addison, Bruce P. Finney, John M. Jaeger, Joseph S. Stoner, Richard D. Norris, Alexandra Hangsterfer
アラスカ南東部のフィヨルドで得られた堆積物コアから過去100年間の環境復元。Br/Cl比がPDOの指標になるらしい。
GBC
Processes affecting greenhouse gas production in experimental boreal reservoirs
Jason J. Venkiteswaran, Sherry L. Schiff, Vincent L. St. Louis, Cory J. D. Matthews, Natalie M. Boudreau, Elizabeth M. Joyce, Kenneth G. Beaty, R. Andrew Bodaly
陸が浸水することでCO2やCH4をはじめとする温室効果ガスを放出する。5年間にわたって行われたFlooded Upland Dynamics Experiment (FLUDEX)の結果について。
Global trends in surface ocean pCO2 from in situ data
A. R. Fay, G.A. McKinley
海洋は人為起源のCO2を吸収するため、間接的に気候変化を緩和している。1981-2010年にかけての全球スケールの海洋表層水のpCO2のトレンドを評価。熱帯・亜熱帯域の表層水pCO2は大気のpCO2上昇にほぼ並行している。赤道大西洋の場合、温暖化によって海洋表層pCO2は大気pCO2よりも早く上昇しており、吸収能力が低下している。高緯度の海はデータが著しく不足しているが、南大洋周辺の海洋表層pCO2は Southern Annular Mode(SAM)などの気候変動によって大きく影響を受けている。
JGR-Atmosphere
A model-based test of accuracy of seawater oxygen isotope ratio record derived from a coral dual proxy method at southeastern Luzon Island, the Philippines
Gang Liu, Keitaro Kojima, Kei Yoshimura, Takashi Okai, Atsushi Suzuki, Taikan Oki, Fernando P. Siringan, Minoru Yoneda, Hodaka Kawahata
フィリピン・ルソン島から得られたハマサンゴのSr/Ca・δ18Oから1979-2001年の海水δ18Oの変動を復元。1次元ボックスモデルからうまく再現することができた。一部見られる季節変動の食い違いは、サンゴの生息場所における混合層の深さや湧昇などが原因と考えられる。
Radiocarbon
Comparison of 14C and U-Th Ages in Corals from IODP #310 Cores Offshore Tahiti
Nicolas Durand, Pierre Deschamps, Edouard Bard, Bruno Hamelin, Gilbert Camoin, Alexander L Thomas, Gideon M Henderson, Yusuke Yokoyama, Hiroyuki Matsuzaki
IODP310のタヒチにおいて得られた化石サンゴからINTCAL較正曲線に多数データを追加(特にMWP-1aが起きた付近の16-14ka)。これまでタヒチの礁嶺において得られた陸上掘削よりもはるかに古いデータが得られた(例えばBard et al., 1998)。
※僕も研究に使っている試料です。
Integration of the Old and New Lake Suigetsu (Japan) Terrestrial Radiocarbon Calibration Data Sets
Richard Andrew Staff, Gordon Schlolaut, Christopher Bronk Ramsey, Fiona Brock, Charlotte L Bryant, Hiroyuki Kitagawa, Johannes van der Plicht, Michael H Marshall, Achim Brauer, Henry F Lamb, Rebecca L Payne, Pavel E Tarasov, Tsuyoshi Haraguchi, Katsuya Gotanda, Hitoshi Yonenobu, Yusuke Yokoyama, Takeshi Nakagawa, Suigetsu 2006 Project Members
水月湖において掘削された年縞堆積物コア(SG06)中の植物片から、INTCAL較正曲線に多数データを追加。ほぼ大気と同等に見なせる550点の放射性炭素のデータが新たに追加された。SG93の243点のデータも加えて、過去52.8kaの808点にわたる、リザーバー効果に影響されない放射性炭素のデータを報告。
>関連する論文
A Complete Terrestrial Radiocarbon Record for 11.2 to 52.8 kyr B.P.
11.2 - 52.8 kyrの間の完全な陸域の放射性炭素の記録
Christopher Bronk Ramsey, Richard A. Staff, Charlotte L. Bryant, Fiona Brock, Hiroyuki Kitagawa, Johannes van der Plicht, Gordon Schlolaut, Michael H. Marshall, Achim Brauer, Henry F. Lamb, Rebecca L. Payne, Pavel E. Tarasov, Tsuyoshi Haraguchi, Katsuya Gotanda, Hitoshi Yonenobu, Yusuke Yokoyama, Ryuji Tada, and Takeshi Nakagawa
Science (19 Oct 2012)
放射性炭素は過去5万年間の地質学試料・考古学試料などに年代を与えるだけでなく、炭素循環におけるトレーサーとしても重要である。しかしながら12.5kaよりも前の大気の14Cを反映する記録はこれまで不足しており、氷期に相当する試料の高精度の年代測定は限られていた。日本の水月湖から得られた年縞堆積物を用いて過去52.8kaから11.2kaの大気の14Cを高精度に復元。これによって放射性炭素年代の測定限界までの総括的な記録が完成することになる。水月湖から得られた時間スケールを用いることで他の陸上の古環境記録との直接対比も可能になり、さらに大気-海洋の海洋の放射性炭素に関する関係性(海洋のローカルなリザーバー年代など)を求めることが可能になる。
>論文概説「湖の堆積物から大気の放射性炭素を復元することの意義」
Atmospheric Radiocarbon for the Period 1950–2010
Quan Hua, Mike Barbetti, Andrzej Z Rakowski
木の年輪から得られた、1950-2010年にかけての季節レベルの大気14CO2記録を報告。北半球を3つ、南半球を2つに分けている。
Decadal Changes in Bomb-Produced Radiocarbon in the Pacific Ocean from the 1990s to 2000s
Yuichiro Kumamoto, Akihiko Murata, Takeshi Kawano, Shuichi Watanabe, Masao Fukasawa
1990年代のWOCEの際に広く海洋表層水の核実験由来の14Cが測定された。その後2000年代に再度同じ測線で測定された(CLIVAR)。太平洋の7本の測線の時間変化を報告。亜寒帯・赤道域の鉛直構造には大きな変化は確認されなかった。亜熱帯域では、太平洋の北西部と南部とでは大きな違いがあり、前者はbomb-14C濃度が著しく低下しているのに対し、後者は逆に温度躍層の下部で増加していた(SAMWによる取り込み?)。温度躍層水の気体交換の時間の違いが原因と考えられる。
Simulated Last Glacial Maximum ∆14Catm and the Deep Glacial Ocean Carbon Reservoir
Véronique Mariotti, D Paillard, D M Roche, N Bouttes, L Bopp
氷期の大気中のΔ14Cは420 ± 80 ‰だと報告されている(産業革命以前は0‰)が、’大気上層の生成率’と’炭素循環による分配’がその原因を担っていると考えられている。アイスコア10Beからは磁場変動だけでは200 ± 200 ‰しか説明できないと考えられており、残り220‰が炭素循環によるものと思われる。
一つの案としては、'南大洋の成層化の強化'だけで「大気中のCO2濃度の低下(~180ppm)」および「δ13Cの変化」を大部分説明できると考えられている。そうした深層水はΔ14Cが非常に低く、それが大気に放出された時に大気Δ14Cを低下させたと考えられている。
大気上層の14C生成率と14Cリザーバー間の相互作用を考慮し、CLIMBER-2モデルを用いて南大洋の'鉄肥沃(iron fertilization)効果'、'brine'、'生成率'の3つの作用を評価した。brineでかなりの部分を説明することが可能で、さらにモデルで初めてpCO2、δ13C、Δ14Cのすべての変化をうまく再現することができた。
>関連する論文
Impact of brine-induced stratification on the glacial carbon cycle
N. Bouttes, D. Paillard, and D. M. Roche
Clim. Past, 6, 575-589, 2010
Last Glacial Maximum CO2 and δ13C successfully reconciled
N. Bouttes, D. Paillard, D. M. Roche, V. Brovkin, L. Bopp
Geophysical Research Letters DOI: 10.1029/2010GL044499 (2011)
Systematic study of the impact of fresh water fluxes on the glacial carbon cycle
N. Bouttes, D. M. Roche, and D. Paillard
Clim. Past, 8, 589-607, 2012
Impact of oceanic processes on the carbon cycle during the last termination
N. Bouttes, D. Paillard, D. M. Roche, C. Waelbroeck, M. Kageyama, A. Lourantou, E. Michel, and L. Bopp
Clim. Past, 8, 149-170, 2012
The influence of sea level rise and changes in fringing reef morphology on gradients in alongshore sediment transport
A.E. Grady, L.J. Moore, C.D. Storlazzi, E. Elias, M.A. Reidenbach
海水準上昇とサンゴ礁の悪化がローカルな地形に与える影響をハワイのMolokaiをモデルケースにして評価。岸に沿った方向に広がったサンゴ礁ほど影響を被りやすいことがモデルから示された。
Variability in the width of the tropics and the annular modes
J. Kidston, C. W. Cairns, P. Paga
ハドレーセルの縁と偏西風の関係をGCMで評価。
Can natural variability explain observed Antarctic sea ice trends? New modeling evidence from CMIP5
Lorenzo M. Polvani, Karen L. Smith
近年南極周辺の海氷範囲は’拡大’しており、温暖化によって海氷が融けるという予想に反する。さらに悪いことに、気候モデルは「温室効果ガスの増加と成層圏のオゾンの減少は海氷を後退させる」と予想している。4つのモデルを用いて食い違いの原因を検証。現在見られている南極の海氷の変動は自然変動の範疇にあり、人為起源と結論づけることは難しい。
JGR-Oceans
Integrating satellite observations and modern climate measurements with the recent sedimentary record: An example from Southeast Alaska
Jason A. Addison, Bruce P. Finney, John M. Jaeger, Joseph S. Stoner, Richard D. Norris, Alexandra Hangsterfer
アラスカ南東部のフィヨルドで得られた堆積物コアから過去100年間の環境復元。Br/Cl比がPDOの指標になるらしい。
GBC
Processes affecting greenhouse gas production in experimental boreal reservoirs
Jason J. Venkiteswaran, Sherry L. Schiff, Vincent L. St. Louis, Cory J. D. Matthews, Natalie M. Boudreau, Elizabeth M. Joyce, Kenneth G. Beaty, R. Andrew Bodaly
陸が浸水することでCO2やCH4をはじめとする温室効果ガスを放出する。5年間にわたって行われたFlooded Upland Dynamics Experiment (FLUDEX)の結果について。
Global trends in surface ocean pCO2 from in situ data
A. R. Fay, G.A. McKinley
海洋は人為起源のCO2を吸収するため、間接的に気候変化を緩和している。1981-2010年にかけての全球スケールの海洋表層水のpCO2のトレンドを評価。熱帯・亜熱帯域の表層水pCO2は大気のpCO2上昇にほぼ並行している。赤道大西洋の場合、温暖化によって海洋表層pCO2は大気pCO2よりも早く上昇しており、吸収能力が低下している。高緯度の海はデータが著しく不足しているが、南大洋周辺の海洋表層pCO2は Southern Annular Mode(SAM)などの気候変動によって大きく影響を受けている。
JGR-Atmosphere
A model-based test of accuracy of seawater oxygen isotope ratio record derived from a coral dual proxy method at southeastern Luzon Island, the Philippines
Gang Liu, Keitaro Kojima, Kei Yoshimura, Takashi Okai, Atsushi Suzuki, Taikan Oki, Fernando P. Siringan, Minoru Yoneda, Hodaka Kawahata
フィリピン・ルソン島から得られたハマサンゴのSr/Ca・δ18Oから1979-2001年の海水δ18Oの変動を復元。1次元ボックスモデルからうまく再現することができた。一部見られる季節変動の食い違いは、サンゴの生息場所における混合層の深さや湧昇などが原因と考えられる。
Radiocarbon
Comparison of 14C and U-Th Ages in Corals from IODP #310 Cores Offshore Tahiti
Nicolas Durand, Pierre Deschamps, Edouard Bard, Bruno Hamelin, Gilbert Camoin, Alexander L Thomas, Gideon M Henderson, Yusuke Yokoyama, Hiroyuki Matsuzaki
IODP310のタヒチにおいて得られた化石サンゴからINTCAL較正曲線に多数データを追加(特にMWP-1aが起きた付近の16-14ka)。これまでタヒチの礁嶺において得られた陸上掘削よりもはるかに古いデータが得られた(例えばBard et al., 1998)。
※僕も研究に使っている試料です。
Integration of the Old and New Lake Suigetsu (Japan) Terrestrial Radiocarbon Calibration Data Sets
Richard Andrew Staff, Gordon Schlolaut, Christopher Bronk Ramsey, Fiona Brock, Charlotte L Bryant, Hiroyuki Kitagawa, Johannes van der Plicht, Michael H Marshall, Achim Brauer, Henry F Lamb, Rebecca L Payne, Pavel E Tarasov, Tsuyoshi Haraguchi, Katsuya Gotanda, Hitoshi Yonenobu, Yusuke Yokoyama, Takeshi Nakagawa, Suigetsu 2006 Project Members
水月湖において掘削された年縞堆積物コア(SG06)中の植物片から、INTCAL較正曲線に多数データを追加。ほぼ大気と同等に見なせる550点の放射性炭素のデータが新たに追加された。SG93の243点のデータも加えて、過去52.8kaの808点にわたる、リザーバー効果に影響されない放射性炭素のデータを報告。
>関連する論文
A Complete Terrestrial Radiocarbon Record for 11.2 to 52.8 kyr B.P.
11.2 - 52.8 kyrの間の完全な陸域の放射性炭素の記録
Christopher Bronk Ramsey, Richard A. Staff, Charlotte L. Bryant, Fiona Brock, Hiroyuki Kitagawa, Johannes van der Plicht, Gordon Schlolaut, Michael H. Marshall, Achim Brauer, Henry F. Lamb, Rebecca L. Payne, Pavel E. Tarasov, Tsuyoshi Haraguchi, Katsuya Gotanda, Hitoshi Yonenobu, Yusuke Yokoyama, Ryuji Tada, and Takeshi Nakagawa
Science (19 Oct 2012)
放射性炭素は過去5万年間の地質学試料・考古学試料などに年代を与えるだけでなく、炭素循環におけるトレーサーとしても重要である。しかしながら12.5kaよりも前の大気の14Cを反映する記録はこれまで不足しており、氷期に相当する試料の高精度の年代測定は限られていた。日本の水月湖から得られた年縞堆積物を用いて過去52.8kaから11.2kaの大気の14Cを高精度に復元。これによって放射性炭素年代の測定限界までの総括的な記録が完成することになる。水月湖から得られた時間スケールを用いることで他の陸上の古環境記録との直接対比も可能になり、さらに大気-海洋の海洋の放射性炭素に関する関係性(海洋のローカルなリザーバー年代など)を求めることが可能になる。
>論文概説「湖の堆積物から大気の放射性炭素を復元することの意義」
Atmospheric Radiocarbon for the Period 1950–2010
Quan Hua, Mike Barbetti, Andrzej Z Rakowski
木の年輪から得られた、1950-2010年にかけての季節レベルの大気14CO2記録を報告。北半球を3つ、南半球を2つに分けている。
Decadal Changes in Bomb-Produced Radiocarbon in the Pacific Ocean from the 1990s to 2000s
Yuichiro Kumamoto, Akihiko Murata, Takeshi Kawano, Shuichi Watanabe, Masao Fukasawa
1990年代のWOCEの際に広く海洋表層水の核実験由来の14Cが測定された。その後2000年代に再度同じ測線で測定された(CLIVAR)。太平洋の7本の測線の時間変化を報告。亜寒帯・赤道域の鉛直構造には大きな変化は確認されなかった。亜熱帯域では、太平洋の北西部と南部とでは大きな違いがあり、前者はbomb-14C濃度が著しく低下しているのに対し、後者は逆に温度躍層の下部で増加していた(SAMWによる取り込み?)。温度躍層水の気体交換の時間の違いが原因と考えられる。
Simulated Last Glacial Maximum ∆14Catm and the Deep Glacial Ocean Carbon Reservoir
Véronique Mariotti, D Paillard, D M Roche, N Bouttes, L Bopp
氷期の大気中のΔ14Cは420 ± 80 ‰だと報告されている(産業革命以前は0‰)が、’大気上層の生成率’と’炭素循環による分配’がその原因を担っていると考えられている。アイスコア10Beからは磁場変動だけでは200 ± 200 ‰しか説明できないと考えられており、残り220‰が炭素循環によるものと思われる。
一つの案としては、'南大洋の成層化の強化'だけで「大気中のCO2濃度の低下(~180ppm)」および「δ13Cの変化」を大部分説明できると考えられている。そうした深層水はΔ14Cが非常に低く、それが大気に放出された時に大気Δ14Cを低下させたと考えられている。
大気上層の14C生成率と14Cリザーバー間の相互作用を考慮し、CLIMBER-2モデルを用いて南大洋の'鉄肥沃(iron fertilization)効果'、'brine'、'生成率'の3つの作用を評価した。brineでかなりの部分を説明することが可能で、さらにモデルで初めてpCO2、δ13C、Δ14Cのすべての変化をうまく再現することができた。
>関連する論文
Impact of brine-induced stratification on the glacial carbon cycle
N. Bouttes, D. Paillard, and D. M. Roche
Clim. Past, 6, 575-589, 2010
Last Glacial Maximum CO2 and δ13C successfully reconciled
N. Bouttes, D. Paillard, D. M. Roche, V. Brovkin, L. Bopp
Geophysical Research Letters DOI: 10.1029/2010GL044499 (2011)
Systematic study of the impact of fresh water fluxes on the glacial carbon cycle
N. Bouttes, D. M. Roche, and D. Paillard
Clim. Past, 8, 589-607, 2012
Impact of oceanic processes on the carbon cycle during the last termination
N. Bouttes, D. Paillard, D. M. Roche, C. Waelbroeck, M. Kageyama, A. Lourantou, E. Michel, and L. Bopp
Clim. Past, 8, 149-170, 2012
2013年3月12日火曜日
太平洋全体の炭酸塩飽和度の変化傾向(Feely et al., 2012, GBC)
Decadal changes in the aragonite and calcite saturation state of the Pacific Ocean
太平洋におけるアラゴナイトとカルサイトの飽和度の数十年の変化
Richard A. Feely, Christopher L. Sabine, Robert H. Byrne, Frank J. Millero, Andrew G. Dickson, Rik Wanninkhof, Akihiko Murata, Lisa A. Miller, and Dana Greeley
GLOBAL BIOGEOCHEMICAL CYCLES, VOL. 26, GB3001, doi:10.1029/2011GB004157, 2012
Richard A. Feely, Christopher L. Sabine, Robert H. Byrne, Frank J. Millero, Andrew G. Dickson, Rik Wanninkhof, Akihiko Murata, Lisa A. Miller, and Dana Greeley
GLOBAL BIOGEOCHEMICAL CYCLES, VOL. 26, GB3001, doi:10.1029/2011GB004157, 2012
太平洋における観測によって得られた外洋の炭酸系の、1990年代から現在にかけての変化をレビューした論文です。
新着論文(GBC, SR, Ncom, Ngeo)
GBC (Global Biogeochemical Cycles)
Seasonal variability of the carbon cycle in subantarctic surface water in the South West Pacific
Holger Brix, Kim I. Currie, Sara E. Mikaloff Fletcher
広大であるにもかかわらず、南太平洋の炭素・栄養塩循環についてはよく分かっていないことが多い。1998 - 2010年にかけてのニュージーランド沖の長期観測結果を報告。pCO2変動は多くがDICによって駆動されているが、一部温度も寄与している。人為CO2のわずかなシンクとして寄与している。
Decadal changes in dissolved inorganic carbon in the Pacific Ocean
Shinya Kouketsu, Akihiko Murata, Toshimasa Doi
WOCEとWOCEの再訪のデータを使って、太平洋における人為CO2と自然CO2の変動を分けて議論。数十年規模の変動が見られ、例えば40ºN付近では人為CO2の取り込みは相殺されている。また両半球で亜熱帯循環における人為CO2の取り込みは増加しており、モード水に炭素が蓄積している。人為と自然起源の炭素の吸収量はそれぞれ「8.4 ± 0.5」「0.6 ± 0.4」PgCと推定される。
Nature Communications
☆2013年3月4日号
Nitrogen cycle feedbacks as a control on euxinia in the mid-Proterozoic ocean
原生代中期の海洋におけるユーキシニアの制御機構としての窒素循環フィードバック
R.A. Boyle, J.R. Clark, S.W. Poulton, G. Shields-Zhou, D.E. Canfield and T.M. Lenton
原生代中期の海洋の状態をモデリング。
☆Current month
Mid-Pliocene warm-period deposits in the High Arctic yield insight into camel evolution
高緯度の北極圏の鮮新世中期の温暖期に相当する堆積物がラクダの進化に知見を与える
Natalia Rybczynski, John C. Gosse, C. Richard Harington, Roy A. Wogelius, Alan J. Hidy & Mike Buckley
カナダの北極圏(Ellesmere Island, Nunavut)の堆積物から当時の古環境を復元したところ、そこは鮮新世中期(mid-Pliocene)の温暖期には豊かな森林であり、さらに産出した脚の化石のコラーゲン抽出からそれがラクダのものであることが世界で初めて示された。ラクダは北米の森林起源で、ベーリング陸峡を渡ってユーラシア大陸に渡ったものと考えられる。
The origins of the enigmatic Falkland Islands wolf
謎に満ちたフォークランド島オオカミの起源
Jeremy J. Austin, Julien Soubrier, Francisco J. Prevosti, Luciano Prates, Valentina Trejo, Francisco Mena & Alan Cooper
既に絶滅したフォークランドオオカミ(Falkland Islands wolf; Dusicyon australis)の起源は17世紀の発見以来ずっと謎のままであった。アルゼンチンから460kmも離れており、ヒトがもたらしたものでも、海を渡ったわけでもなかったからである。近縁種のDusicyon avusの化石のDNA分析から、フォークランドオオカミが孤立したのは8 - 31kaの最終氷期であったことが示された。おそらく海水準の低下と海氷による道ができたことで、フォークランド島に歩いて渡ったものと推測される。
Scientific Reports
☆2013年3月5日号
Seabird diets provide early warning of sardine fishery declines in the Gulf of California
海鳥の食餌がカリフォルニア湾のイワシ漁獲量減少の初期警報を与える
Enriqueta Velarde, Exequiel Ezcurra, Daniel W. Anderson
外洋性の魚は海洋の変動を反映して大きく変動することが知られている。カリフォルニア湾に生息する海鳥の餌のイワシとカタクチイワシの割合とcatches-per-unit-effort (CPUEs)との間に良い相関が見られることが分かった。漁獲量のコントロールなどに重要な知見を与えることが期待される。
Nature Geosciences
☆advance online publication
Greenland meltwater as a significant and potentially bioavailable source of iron to the ocean
重要でおそらく生物が利用可能な鉄の海への供給源としてのグリーンランドの融水
Maya P. Bhatia, Elizabeth B. Kujawinski, Sarah B. Das, Crystaline F. Breier, Paul B. Henderson & Matthew A. Charette
グリーンランド氷床は「氷河性堆積物の輸送」や「ダストの生成」を通してだけでなく、融水を通しても鉄を海へと供給する役割を担っていることが、氷床南西部の融水の直接測定から分かった。粒子状の鉄が溶存鉄よりもはるかに多く存在し、さらにその半分は生物が利用可能な形で存在している。氷床全体に拡大することが可能であれば、およそ0.3Tgの鉄が北大西洋にもたらされていることになり、温暖化とともにその量は増加することが示唆される。
Simulated resilience of tropical rainforests to CO2-induced climate change
シミュレーションされた熱帯雨林のCO2による気候変動に対する回復力
Chris Huntingford et al.
将来の気候変動に対して熱帯雨林の炭素量がどのように変化するかはよく分かっていない。不確実性はモデルにおける植生の表現と将来の温度・降水変化予測の2つに集約される。22のモデルを用いて様々な排出シナリオに従って将来予測を行ったところ、1つのモデルだけが21世紀末に炭素を失うことを予測した。中・南米の熱帯雨林を除いて、森林は将来の気候変動に対しても耐えることが示唆される。
Seasonal variability of the carbon cycle in subantarctic surface water in the South West Pacific
Holger Brix, Kim I. Currie, Sara E. Mikaloff Fletcher
広大であるにもかかわらず、南太平洋の炭素・栄養塩循環についてはよく分かっていないことが多い。1998 - 2010年にかけてのニュージーランド沖の長期観測結果を報告。pCO2変動は多くがDICによって駆動されているが、一部温度も寄与している。人為CO2のわずかなシンクとして寄与している。
Decadal changes in dissolved inorganic carbon in the Pacific Ocean
Shinya Kouketsu, Akihiko Murata, Toshimasa Doi
WOCEとWOCEの再訪のデータを使って、太平洋における人為CO2と自然CO2の変動を分けて議論。数十年規模の変動が見られ、例えば40ºN付近では人為CO2の取り込みは相殺されている。また両半球で亜熱帯循環における人為CO2の取り込みは増加しており、モード水に炭素が蓄積している。人為と自然起源の炭素の吸収量はそれぞれ「8.4 ± 0.5」「0.6 ± 0.4」PgCと推定される。
Nature Communications
☆2013年3月4日号
Nitrogen cycle feedbacks as a control on euxinia in the mid-Proterozoic ocean
原生代中期の海洋におけるユーキシニアの制御機構としての窒素循環フィードバック
R.A. Boyle, J.R. Clark, S.W. Poulton, G. Shields-Zhou, D.E. Canfield and T.M. Lenton
原生代中期の海洋の状態をモデリング。
☆Current month
Mid-Pliocene warm-period deposits in the High Arctic yield insight into camel evolution
高緯度の北極圏の鮮新世中期の温暖期に相当する堆積物がラクダの進化に知見を与える
Natalia Rybczynski, John C. Gosse, C. Richard Harington, Roy A. Wogelius, Alan J. Hidy & Mike Buckley
カナダの北極圏(Ellesmere Island, Nunavut)の堆積物から当時の古環境を復元したところ、そこは鮮新世中期(mid-Pliocene)の温暖期には豊かな森林であり、さらに産出した脚の化石のコラーゲン抽出からそれがラクダのものであることが世界で初めて示された。ラクダは北米の森林起源で、ベーリング陸峡を渡ってユーラシア大陸に渡ったものと考えられる。
The origins of the enigmatic Falkland Islands wolf
謎に満ちたフォークランド島オオカミの起源
Jeremy J. Austin, Julien Soubrier, Francisco J. Prevosti, Luciano Prates, Valentina Trejo, Francisco Mena & Alan Cooper
既に絶滅したフォークランドオオカミ(Falkland Islands wolf; Dusicyon australis)の起源は17世紀の発見以来ずっと謎のままであった。アルゼンチンから460kmも離れており、ヒトがもたらしたものでも、海を渡ったわけでもなかったからである。近縁種のDusicyon avusの化石のDNA分析から、フォークランドオオカミが孤立したのは8 - 31kaの最終氷期であったことが示された。おそらく海水準の低下と海氷による道ができたことで、フォークランド島に歩いて渡ったものと推測される。
Scientific Reports
☆2013年3月5日号
Seabird diets provide early warning of sardine fishery declines in the Gulf of California
海鳥の食餌がカリフォルニア湾のイワシ漁獲量減少の初期警報を与える
Enriqueta Velarde, Exequiel Ezcurra, Daniel W. Anderson
外洋性の魚は海洋の変動を反映して大きく変動することが知られている。カリフォルニア湾に生息する海鳥の餌のイワシとカタクチイワシの割合とcatches-per-unit-effort (CPUEs)との間に良い相関が見られることが分かった。漁獲量のコントロールなどに重要な知見を与えることが期待される。
Nature Geosciences
☆advance online publication
Greenland meltwater as a significant and potentially bioavailable source of iron to the ocean
重要でおそらく生物が利用可能な鉄の海への供給源としてのグリーンランドの融水
Maya P. Bhatia, Elizabeth B. Kujawinski, Sarah B. Das, Crystaline F. Breier, Paul B. Henderson & Matthew A. Charette
グリーンランド氷床は「氷河性堆積物の輸送」や「ダストの生成」を通してだけでなく、融水を通しても鉄を海へと供給する役割を担っていることが、氷床南西部の融水の直接測定から分かった。粒子状の鉄が溶存鉄よりもはるかに多く存在し、さらにその半分は生物が利用可能な形で存在している。氷床全体に拡大することが可能であれば、およそ0.3Tgの鉄が北大西洋にもたらされていることになり、温暖化とともにその量は増加することが示唆される。
Simulated resilience of tropical rainforests to CO2-induced climate change
シミュレーションされた熱帯雨林のCO2による気候変動に対する回復力
Chris Huntingford et al.
将来の気候変動に対して熱帯雨林の炭素量がどのように変化するかはよく分かっていない。不確実性はモデルにおける植生の表現と将来の温度・降水変化予測の2つに集約される。22のモデルを用いて様々な排出シナリオに従って将来予測を行ったところ、1つのモデルだけが21世紀末に炭素を失うことを予測した。中・南米の熱帯雨林を除いて、森林は将来の気候変動に対しても耐えることが示唆される。
2013年3月4日月曜日
海洋内部の炭素量から人為起源のCO2の吸収の仕方を見積もる〜シミュレーションで時間を戻す〜(Gruber et al., 2009, GBC)
Oceanic sources, sinks, and transport of atmospheric CO2
関連する論文のまとめはこちら(拙ブログ記事)
>全球の海洋表層の二酸化炭素の収支(放出vs吸収)(Takahashi et al., 2009, DSR)
>全球の海洋表層水のpCO2のここ20年間の傾向〜大規模データベースからの計算〜(Lenton et al., 2011, GBC)
大気中のCO2の海洋の放出源・吸収源・輸送
Nicolas Gruber, Manuel Gloor, Sara E. Mikaloff Fletcher, Scott C. Doney, Stephanie Dutkiewicz, Michael J. Follows, Markus Gerber, Andrew R. Jacobson, Fortunat Joos, Keith Lindsay, Dimitris Menemenlis, Anne Mouchet, Simon A. Mu ̈ller, Jorge L. Sarmiento, and Taro Takahashi
Nicolas Gruber, Manuel Gloor, Sara E. Mikaloff Fletcher, Scott C. Doney, Stephanie Dutkiewicz, Michael J. Follows, Markus Gerber, Andrew R. Jacobson, Fortunat Joos, Keith Lindsay, Dimitris Menemenlis, Anne Mouchet, Simon A. Mu ̈ller, Jorge L. Sarmiento, and Taro Takahashi
Global Biogeochemical Dynamics 23, doi:10.1029/2008GB003349 (2009)
モデルシミュレーションを用いて、人為起源のCO2がどのように海に吸収されたか、現在の海洋表層で自然のCO2が本来どのように変動しているのかを分けて評価した研究です。
関連する論文のまとめはこちら(拙ブログ記事)
>全球の海洋表層の二酸化炭素の収支(放出vs吸収)(Takahashi et al., 2009, DSR)
>全球の海洋表層水のpCO2のここ20年間の傾向〜大規模データベースからの計算〜(Lenton et al., 2011, GBC)
2013年2月26日火曜日
新着論文(GBC, GRL, JGR)
◎GBC
Decadal changes in the aragonite and calcite saturation state of the Pacific Ocean
Richard A. Feely, Christopher L. Sabine, Robert H. Byrne, Frank J. Millero, Andrew G. Dickson, Rik Wanninkhof, Akihiko Murata, Lisa A. Miller, Dana Greeley
太平洋全体の最近の炭酸塩飽和度の変化をWOCE、JGOFS、CLIVARなどのデータセットから評価。人為CO2取り込みと海洋循環・生物活動の変化の結果、Ωは年間0.34%の早さで減少しており、Ω=1面の深さも年間1〜2mで上昇している。それらには地域性があり、南太平洋が最も多くの炭素を吸収している。一方北太平洋は10年規模の変動が支配的。このままの早さで酸性化が進行すると太平洋のサンゴ礁をはじめとするあらゆる生態系に悪影響が及ぶと考えられる。
" If CO2 emissions continue as projected over the rest of this century, the resulting changes in the marine carbonate system would mean that many coral reef systems in the Pacific would no longer be able to sustain a sufficiently high rate of calcification to maintain the viability of these ecosystems as a whole, and these changes perhaps could seriously impact the thousands of marine species that depend on them for survival."
Short-term and seasonal pH, pCO2 and saturation state variability in a coral-reef ecosystem
Sarah E. C. Gray, Michael D. DeGrandpre, Chris Langdon, Jorge E. Corredor
サンゴ礁は海洋酸性化に最も脆弱な環境の一つと考えられている。プエルトリコのMedia Luna reefにおいて2007年から2008年にかけて行われた長期的なpHとpCO2のデータを用いてサンゴ礁の炭酸系の自然変動を評価。例えば、pHは7.89 - 8.17まで変動。温度変化が変動の半分ほどを説明。残りはマングローブから運搬される有機物の分解などによる生物活動が担っている。全体としてはサンゴ礁はCO2のソースとして働いている(年間0.73 ± 1.7 mol/m2)。長期間低いΩが持続するとサンゴ礁全体の石灰化量も減少すると考えられる。
◎GRL
High emission of carbon dioxide and methane during ice-thaw in high latitude lakes
Jan Karlsson, Reiner Giesler, Jenny Persson, Erik Lundin
高緯度域の冬の炭素交換を見積もった研究は少ない。北極圏の湖において3年間に渡ってCO2とCH4のフラックスを測定。氷から解放されている期間がフラックスに大きく影響していることが示された。
Natural iron fertilisation by the Eyjafjallajökull volcanic eruption
Eric P. Achterberg, C. Mark Moore, Stephanie A. Henson, Sebastian Steigenberger, Andreas Stohl, Sabine Eckhardt, Lizeth C. Avendano, Michael Cassidy, Debbie Hembury, Jessica K. Klar, Michael I. Lucas, Anna I. Macey, Chris M. Marsay, Thomas J. Ryan-Keogh
2010年のアイスランドのEyjafjallajökull火山の噴火は北大西洋のアイスランド海盆に大量の溶存Feを供給した。採取された火山灰を用いて植物プランクトンの成長とそれに伴う栄養塩利用も強化されることが示された。人工衛星からは顕著に植物プランクトンの成長が増加した傾向は見られなかったものの、海水の栄養塩濃度は例年に比べて減少していた。従って、噴火が周辺海域の生物地球化学に大きな影響をもたらしたと推測される。
◎JGR-atm
Future change of the global monsoon revealed from 19 CMIP5 models
Pang-chi Hsu, Tim Li, Hiroyuki Murakami, Akio Kitoh
CMIP5のモデル19を用いて将来RCP4.5の排出シナリオに沿った温暖化が起きた際のモンスーンの範囲・降水量・強度がどのように変化するかを評価したところ、ほとんどのモデルがモンスーンが強化することを示した。またモンスーンとENSOの関係性もより強化されることが示された。
Decadal changes in the aragonite and calcite saturation state of the Pacific Ocean
Richard A. Feely, Christopher L. Sabine, Robert H. Byrne, Frank J. Millero, Andrew G. Dickson, Rik Wanninkhof, Akihiko Murata, Lisa A. Miller, Dana Greeley
太平洋全体の最近の炭酸塩飽和度の変化をWOCE、JGOFS、CLIVARなどのデータセットから評価。人為CO2取り込みと海洋循環・生物活動の変化の結果、Ωは年間0.34%の早さで減少しており、Ω=1面の深さも年間1〜2mで上昇している。それらには地域性があり、南太平洋が最も多くの炭素を吸収している。一方北太平洋は10年規模の変動が支配的。このままの早さで酸性化が進行すると太平洋のサンゴ礁をはじめとするあらゆる生態系に悪影響が及ぶと考えられる。
" If CO2 emissions continue as projected over the rest of this century, the resulting changes in the marine carbonate system would mean that many coral reef systems in the Pacific would no longer be able to sustain a sufficiently high rate of calcification to maintain the viability of these ecosystems as a whole, and these changes perhaps could seriously impact the thousands of marine species that depend on them for survival."
Short-term and seasonal pH, pCO2 and saturation state variability in a coral-reef ecosystem
Sarah E. C. Gray, Michael D. DeGrandpre, Chris Langdon, Jorge E. Corredor
サンゴ礁は海洋酸性化に最も脆弱な環境の一つと考えられている。プエルトリコのMedia Luna reefにおいて2007年から2008年にかけて行われた長期的なpHとpCO2のデータを用いてサンゴ礁の炭酸系の自然変動を評価。例えば、pHは7.89 - 8.17まで変動。温度変化が変動の半分ほどを説明。残りはマングローブから運搬される有機物の分解などによる生物活動が担っている。全体としてはサンゴ礁はCO2のソースとして働いている(年間0.73 ± 1.7 mol/m2)。長期間低いΩが持続するとサンゴ礁全体の石灰化量も減少すると考えられる。
◎GRL
High emission of carbon dioxide and methane during ice-thaw in high latitude lakes
Jan Karlsson, Reiner Giesler, Jenny Persson, Erik Lundin
高緯度域の冬の炭素交換を見積もった研究は少ない。北極圏の湖において3年間に渡ってCO2とCH4のフラックスを測定。氷から解放されている期間がフラックスに大きく影響していることが示された。
Natural iron fertilisation by the Eyjafjallajökull volcanic eruption
Eric P. Achterberg, C. Mark Moore, Stephanie A. Henson, Sebastian Steigenberger, Andreas Stohl, Sabine Eckhardt, Lizeth C. Avendano, Michael Cassidy, Debbie Hembury, Jessica K. Klar, Michael I. Lucas, Anna I. Macey, Chris M. Marsay, Thomas J. Ryan-Keogh
2010年のアイスランドのEyjafjallajökull火山の噴火は北大西洋のアイスランド海盆に大量の溶存Feを供給した。採取された火山灰を用いて植物プランクトンの成長とそれに伴う栄養塩利用も強化されることが示された。人工衛星からは顕著に植物プランクトンの成長が増加した傾向は見られなかったものの、海水の栄養塩濃度は例年に比べて減少していた。従って、噴火が周辺海域の生物地球化学に大きな影響をもたらしたと推測される。
◎JGR-atm
Future change of the global monsoon revealed from 19 CMIP5 models
Pang-chi Hsu, Tim Li, Hiroyuki Murakami, Akio Kitoh
CMIP5のモデル19を用いて将来RCP4.5の排出シナリオに沿った温暖化が起きた際のモンスーンの範囲・降水量・強度がどのように変化するかを評価したところ、ほとんどのモデルがモンスーンが強化することを示した。またモンスーンとENSOの関係性もより強化されることが示された。
2013年1月9日水曜日
新着論文(Coral Reefs, GRLほか)
ちょっと前(2012年10-11月くらい?)の新着論文たちを消化。
Coral Reefs
Ocean acidification does not affect the physiology of the tropical coral Acropora digitifera during a 5-week experiment
A. Takahashi, H. Kurihara
コユビミドリイシ(Acropora digitifera)を5週間にわたってpCO2が高い状態(477, 2142 ppm)で飼育したところ、成長速度の変化は特に見られず、海洋酸性化に対して生理学的に適応していると考えられる。
GRL
Stability of the Atlantic meridional overturning circulation: A model intercomparison
Andrew J. Weaver, Jan Sedláček, Michael Eby, Kaitlin Alexander, Elisabeth Crespin, Thierry Fichefet, Gwenaëlle Philippon-Berthier, Fortunat Joos, Michio Kawamiya, Katsumi Matsumoto, Marco Steinacher, Kaoru Tachiiri, Kathy Tokos, Masakazu Yoshimori and Kirsten Zickfeld
25のAOGCMsとESMs、EMICsを用いて21世紀のAMOCの強度変化を予測。すべてのモデルでAMOCの急激な停止は予測されなかった。
The extreme melt across the Greenland ice sheet in 2012
S. V. Nghiem, D. K. Hall, T. L. Mote, M. Tedesco, M. R. Albert, K. Keegan, C. A. Shuman, N. E. DiGirolamo and G. Neumann
3つの観測手法に基づいてグリーンランド氷床の2012年の大規模な融解を評価。全体の98.6%で融解が起きており、頂上付近の乾燥した場所でも観察された。アイスコアからは1889年とMWPに大きな融解が起きていたことが分かっている。
Temperature-induced marine export production during glacial period
M. O. Chikamoto, A. Abe-Ouchi, A. Oka and S. Lan Smith
モデルシミュレーションを通して、氷期へと向かう際の温度低下が一次生産性と有機炭素再結晶化の変化を通し粒子状有機物て(export production)にどのように影響したかを調査。温度低下によって粒子状有機物が増加することが示され、深海への炭素輸送量が増加することが分かった。南大洋表層で残った栄養塩はAAIWの輸送を通して低緯度域の一次生産を強化させることも示された。
Can the Last Glacial Maximum constrain climate sensitivity?
J. C. Hargreaves, J. D. Annan, M. Yoshimori and A. Abe-Ouchi
PMIP2の結果を用いてLGMにおける気候感度を推定。「2.5℃」という推定値が得られた。
Decadal time evolution of oceanic uptake of anthropogenic carbon in the Okhotsk Sea
Yutaka W. Watanabe, Jun Nishioka, Takeshi Nakatsuka
オホーツク海の1993年から2006年にかけての人為起源炭素の吸収量を見積もったところ、表層は16%増加しているのに対し、中層は14%低下していることが分かった。近年の温暖化に伴う海洋の成層化によって深層水と大気とのガス交換が抑えられていることが原因と考えられる。
Stability of the Kuroshio path with respect to glacial sea level lowering
Kyung Eun Lee, Ho Jin Lee, Jae-Hun Park, Yuan-Pin Chang, Ken Ikehara, Takuya Itaki, Hyun Kyung Kwon
LGMの海水準低下時期における東シナ海における黒潮の変化をモデルと堆積物コアから調査。氷期においても流路の大きな変化は見られず、Mg/Caに基づいた古水温と浮遊性有孔虫δ18Oも同程度の値を示した。
JGR-Oceans
Historical changes in El Niño and La Niña characteristics in an ocean reanalysis
Sulagna Ray and Benjamin S. Giese
海洋観測の再解析データから1870-2002年のENSOの持続期間、現象が伝播する方向、周期などを解析。現象間の期間は数ヶ月の場合もあれば、10年間に及ぶこともある。また持続期間も5〜27ヶ月と大きく変化していた。過去140年間の間の各ENSOイベントの際の亜表層水の変位は表層水の変位とよく相関することが示された。この期間中、温暖化によるENSOの変化は特に確認されなかった。
JGR-Atmosphere
Atmospheric carbon dioxide retrieved from the Greenhouse gases Observing SATellite (GOSAT): Comparison with ground-based TCCON observations and GEOS-Chem model calculations
A. J. Cogan, H. Boesch, R. J. Parker, L. Feng, P. I. Palmer, J.-F. L. Blavier, N. M. Deutscher, R. Macatangay, J. Notholt, C. Roehl, T. Warneke and D. Wunch
日本の人工衛星Greenhouse gases Observing SATellite (GOSAT)による地球の短波放射の後方散乱データを利用して大気中のCO2濃度を宇宙空間から推定。2年間のデータを地上の観測記録と比較較正したところ、その差はわずかに1ppm程度であることが示された。モデルシミュレーションの結果とも整合的(R2=0.61)だが、サハラや中央アジアなどでは2~3ppmの差異が確認された。
GBC
Contributions of natural and anthropogenic sources to atmospheric methane variations over western Siberia estimated from its carbon and hydrogen isotopes
Taku Umezawa, Toshinobu Machida, Shuji Aoki and Takakiyo Nakazawa
シベリア西部の地上から1-2km上空のメタンの水素・炭素同位体を2006年から2009年にかけて測定し、その起源を推定。地上に近いほど軽い同位体を示し、地上に放出源があることを示唆。季節変動が大きく、夏は湿地、冬は人為起源のメタンが大多数を占めていると考えられる。
High-resolution estimates of net community production and air-sea CO2 flux in the northeast Pacific
Deirdre Lockwood, Paul D. Quay, Maria T. Kavanaugh, Lauren W. Juranek and Richard A. Feely
2008年の8-9月における北太平洋の表層水のO2/Sr、pCO2測定値から総一次生産量とCO2フラックスを推定。亜寒帯と亜寒帯-亜熱帯変移帯では生物ポンプとCO2吸収によって効果的に炭素が深層に輸送されていると考えられる。
Journal of Climate
Critical role of northern off-equatorial sea surface temperature forcing associated with central Pacific El Niño in more frequent tropical cyclone movements toward East Asia
Jin, Chun-Sil, Chang-Hoi Ho, Joo-Hong Kim, Dong-Kyou Lee, Dong-Hyun Cha, and Sang-Wook Yeh
太平洋中央部のエルニューニョ(CP-El Niño)の際には、赤道太平洋中央部からやや離れた海域のSSTと東アジアの台風の数との間に正の相関があることが分かった。東アジアの沿岸部(中国東部、台湾、韓国、日本など)に台風が近づく傾向があるらしい。
Weakened interannual variability in the tropical Pacific Ocean since 2000
Zeng-Zhen Hu, Arun Kumar, Hong-Li Ren, Hui Wang, Michelle L'Heureux, and Fei-Fei Jin
赤道太平洋においてはここ10年間に温度躍層の傾きが急になっており、赤道西太平洋におけるSSTの正の偏差・蒸発の正の偏差(つまりラニーニャ的状態)が確認されている。これはウォーカー循環が強化されていることを示している。モデルシミュレーションから、温度躍層の傾きの強化と貿易風の強化によって、暖水が東へと伝播するのが妨げられ、ENSOの振幅が減少するというメカニズムが提唱される。
Coral Reefs
Ocean acidification does not affect the physiology of the tropical coral Acropora digitifera during a 5-week experiment
A. Takahashi, H. Kurihara
コユビミドリイシ(Acropora digitifera)を5週間にわたってpCO2が高い状態(477, 2142 ppm)で飼育したところ、成長速度の変化は特に見られず、海洋酸性化に対して生理学的に適応していると考えられる。
GRL
Stability of the Atlantic meridional overturning circulation: A model intercomparison
Andrew J. Weaver, Jan Sedláček, Michael Eby, Kaitlin Alexander, Elisabeth Crespin, Thierry Fichefet, Gwenaëlle Philippon-Berthier, Fortunat Joos, Michio Kawamiya, Katsumi Matsumoto, Marco Steinacher, Kaoru Tachiiri, Kathy Tokos, Masakazu Yoshimori and Kirsten Zickfeld
25のAOGCMsとESMs、EMICsを用いて21世紀のAMOCの強度変化を予測。すべてのモデルでAMOCの急激な停止は予測されなかった。
The extreme melt across the Greenland ice sheet in 2012
S. V. Nghiem, D. K. Hall, T. L. Mote, M. Tedesco, M. R. Albert, K. Keegan, C. A. Shuman, N. E. DiGirolamo and G. Neumann
3つの観測手法に基づいてグリーンランド氷床の2012年の大規模な融解を評価。全体の98.6%で融解が起きており、頂上付近の乾燥した場所でも観察された。アイスコアからは1889年とMWPに大きな融解が起きていたことが分かっている。
Temperature-induced marine export production during glacial period
M. O. Chikamoto, A. Abe-Ouchi, A. Oka and S. Lan Smith
モデルシミュレーションを通して、氷期へと向かう際の温度低下が一次生産性と有機炭素再結晶化の変化を通し粒子状有機物て(export production)にどのように影響したかを調査。温度低下によって粒子状有機物が増加することが示され、深海への炭素輸送量が増加することが分かった。南大洋表層で残った栄養塩はAAIWの輸送を通して低緯度域の一次生産を強化させることも示された。
Can the Last Glacial Maximum constrain climate sensitivity?
J. C. Hargreaves, J. D. Annan, M. Yoshimori and A. Abe-Ouchi
PMIP2の結果を用いてLGMにおける気候感度を推定。「2.5℃」という推定値が得られた。
Decadal time evolution of oceanic uptake of anthropogenic carbon in the Okhotsk Sea
Yutaka W. Watanabe, Jun Nishioka, Takeshi Nakatsuka
オホーツク海の1993年から2006年にかけての人為起源炭素の吸収量を見積もったところ、表層は16%増加しているのに対し、中層は14%低下していることが分かった。近年の温暖化に伴う海洋の成層化によって深層水と大気とのガス交換が抑えられていることが原因と考えられる。
Stability of the Kuroshio path with respect to glacial sea level lowering
Kyung Eun Lee, Ho Jin Lee, Jae-Hun Park, Yuan-Pin Chang, Ken Ikehara, Takuya Itaki, Hyun Kyung Kwon
LGMの海水準低下時期における東シナ海における黒潮の変化をモデルと堆積物コアから調査。氷期においても流路の大きな変化は見られず、Mg/Caに基づいた古水温と浮遊性有孔虫δ18Oも同程度の値を示した。
JGR-Oceans
Historical changes in El Niño and La Niña characteristics in an ocean reanalysis
Sulagna Ray and Benjamin S. Giese
海洋観測の再解析データから1870-2002年のENSOの持続期間、現象が伝播する方向、周期などを解析。現象間の期間は数ヶ月の場合もあれば、10年間に及ぶこともある。また持続期間も5〜27ヶ月と大きく変化していた。過去140年間の間の各ENSOイベントの際の亜表層水の変位は表層水の変位とよく相関することが示された。この期間中、温暖化によるENSOの変化は特に確認されなかった。
JGR-Atmosphere
Atmospheric carbon dioxide retrieved from the Greenhouse gases Observing SATellite (GOSAT): Comparison with ground-based TCCON observations and GEOS-Chem model calculations
A. J. Cogan, H. Boesch, R. J. Parker, L. Feng, P. I. Palmer, J.-F. L. Blavier, N. M. Deutscher, R. Macatangay, J. Notholt, C. Roehl, T. Warneke and D. Wunch
日本の人工衛星Greenhouse gases Observing SATellite (GOSAT)による地球の短波放射の後方散乱データを利用して大気中のCO2濃度を宇宙空間から推定。2年間のデータを地上の観測記録と比較較正したところ、その差はわずかに1ppm程度であることが示された。モデルシミュレーションの結果とも整合的(R2=0.61)だが、サハラや中央アジアなどでは2~3ppmの差異が確認された。
GBC
Contributions of natural and anthropogenic sources to atmospheric methane variations over western Siberia estimated from its carbon and hydrogen isotopes
Taku Umezawa, Toshinobu Machida, Shuji Aoki and Takakiyo Nakazawa
シベリア西部の地上から1-2km上空のメタンの水素・炭素同位体を2006年から2009年にかけて測定し、その起源を推定。地上に近いほど軽い同位体を示し、地上に放出源があることを示唆。季節変動が大きく、夏は湿地、冬は人為起源のメタンが大多数を占めていると考えられる。
High-resolution estimates of net community production and air-sea CO2 flux in the northeast Pacific
Deirdre Lockwood, Paul D. Quay, Maria T. Kavanaugh, Lauren W. Juranek and Richard A. Feely
2008年の8-9月における北太平洋の表層水のO2/Sr、pCO2測定値から総一次生産量とCO2フラックスを推定。亜寒帯と亜寒帯-亜熱帯変移帯では生物ポンプとCO2吸収によって効果的に炭素が深層に輸送されていると考えられる。
Journal of Climate
Critical role of northern off-equatorial sea surface temperature forcing associated with central Pacific El Niño in more frequent tropical cyclone movements toward East Asia
Jin, Chun-Sil, Chang-Hoi Ho, Joo-Hong Kim, Dong-Kyou Lee, Dong-Hyun Cha, and Sang-Wook Yeh
太平洋中央部のエルニューニョ(CP-El Niño)の際には、赤道太平洋中央部からやや離れた海域のSSTと東アジアの台風の数との間に正の相関があることが分かった。東アジアの沿岸部(中国東部、台湾、韓国、日本など)に台風が近づく傾向があるらしい。
Weakened interannual variability in the tropical Pacific Ocean since 2000
Zeng-Zhen Hu, Arun Kumar, Hong-Li Ren, Hui Wang, Michelle L'Heureux, and Fei-Fei Jin
赤道太平洋においてはここ10年間に温度躍層の傾きが急になっており、赤道西太平洋におけるSSTの正の偏差・蒸発の正の偏差(つまりラニーニャ的状態)が確認されている。これはウォーカー循環が強化されていることを示している。モデルシミュレーションから、温度躍層の傾きの強化と貿易風の強化によって、暖水が東へと伝播するのが妨げられ、ENSOの振幅が減少するというメカニズムが提唱される。
2012年10月1日月曜日
新着論文(G3, GRL, PO, GBC, CP, BG)
横山研の新着論文担当箇所より。今回はAGU、EGU、GSA Bllutin。
G3
2012.9.24 - 30
Rapid post-mortem maturation of diatom silica oxygen isotope values
Dodd, J. P., Z. D. Sharp, P. J. Fawcett, A. J. Brearley, and F. M. McCubbin
珪藻が死んだ後にδ18Oがどのように変質するかについて。
ニューメキシコ北部の人口沼の珪藻のδ18Oは生前は平均して21.5‰だが、堆積後のδ18Oは平均して28.9‰と有意に高い。死後の同位体の上書きは半年以内に終了し、水(H2O)とケイ酸(SiO2)とが同位体平衡に達している。海洋・淡水で珪藻のδ18Oを古環境プロシキとして使用する際には注意しなければならない。
Improved determination of marine sedimentation rates using 230Thxs
Bourne, M. D., A. L. Thomas, C. Mac Niocaill, and G. M. Henderson
沈殿速度の見積もりに過剰の230Th(excess-230Th, 230Thxs)が用いられている。この手法を用いるためには初期状態の230Thを知る必要があり、つまり堆積後のウラン系列と230Thの壊変の補正が必要となる。砕屑物の238U/232Th使用率を推定する新手法を紹介。またMATLABで使えるタダの計算スクリプトも紹介。
Multiproxy characterization and budgeting of terrigenous end-members at the NW African continental margin
Just, J., D. Heslop, T. von Dobeneck, T. Bickert, M. J. Dekkers, T. Frederichs, I. Meyer, and M. Zabel
北西アフリカで採取された海洋底堆積物コアの粒度・陸源物質・残留磁気磁束から過去8万年間の陸源物質の供給源のエンドメンバー(1つは風成塵、2つは河川由来)を推定。河川性の堆積速度は後背地の降水量というよりは寧ろ海岸からの距離(つまり海水準)によって支配されている。LGMとハインリッヒイベント時に高いダストの沈着。特にH1には現在の80倍もの大量の風成塵が見られ、風化の促進と植生による被覆が失われたことが原因と考えられる。
Signatures and significance of aeolian, fluvial, bacterial and diagenetic magnetic mineral fractions in Late Quaternary marine sediments off Gambia, NW Africa
Just, J., M. J. Dekkers, T. von Dobeneck, A. van Hoesel, and T. Bickert
上の論文と同じコアの残留磁気を用いて生物が生成する磁性鉱物や堆積後の還元による続成作用などを評価。
GRL
2012.9.24 - 30
A sea ice free summer Arctic within 30 years: An update from CMIP5 models
Wang, M., and J. E. Overland
CMIP5による将来予測はCMIP3と同じく北極海の海氷が2030年代までに消失することを予測している。しかしながら、現在観測されている速度で海氷の後退を再現できているモデルは一つも存在しない。
Ocean heat uptake and its consequences for the magnitude of sea level rise and climate change
Kuhlbrodt, T., and J. M. Gregory
温暖化による海水の熱膨張によって海水準がどれほど上昇するかについてのGCMを用いた予測の比較(CMIP)。モデル間で熱吸収効率は最大で2倍異なった。また熱を最も吸収すると考えられるのは南大洋で、渦による拡散効果が効くらしい。
Aerosol contribution to the rapid warming of near-term climate under RCP 2.6
Chalmers, N., E. J. Highwood, E. Hawkins, R. Sutton, and L. J. Wilcox
エアロゾルの排出が近い将来(near term)の温暖化にどのように寄与するかを2つのシナリオに基づいてモデルシミュレーション。例えば石炭燃焼の減少によって硫酸塩エアロゾルの濃度が低下し、地球を冷やす直接効果と間接効果に影響する。特に亜熱帯太平洋の北東部においてはエアロゾルの間接効果が寄与する。全球的な・地域的な気候にエアロゾルが将来与える影響が大きいことが示唆される。
California heat waves in the present and future
Gershunov, A., and K. Guirguis
現在と将来のカリフォルニアの熱波をGCMを用いて調査。乾燥した昼間の熱波(1)と湿潤な夜間の熱波(2)との2つのタイプに大別することができ、将来後者のタイプが特に増えることが示された。カリフォルニア全体で見ると、砂漠地域の熱波は弱まり、沿岸部の熱波は強化されるらしい。沿岸部の高い人口密度と後者の熱波のタイプに社会が順応していないことを考えると、将来の健康被害やエネルギー需要へのストレスを招く可能性がある。
Spatial distribution of air-sea heat fluxes over the sub-polar North Atlantic Ocean
Moore, G. W. K., I. A. Renfrew, and R. S. Pickart
海洋と大気との熱交換は大気海洋循環を駆動しておりその理解は重要である。特に北太平洋の熱の交換はAMOCの形成にも重要な構成要素である。ラブラドル海とグリーンランド海の熱フラックスが特に冬に大きいことはよく認識されているが、アイスランド海ではフラックスが最も小さいにも関わらず深層水形成が起きている。熱フラックスは低気圧によっても影響を受けており、大気循環がAMOCに大きく影響する可能性がある。
Abrupt change in atmospheric CO2 during the last ice age
Ahn, J., E. J. Brook, A. Schmittner, and K. Kreutz
南極アイスコアからDO8とDO9の時の大気中CO2濃度を高時間解像度で復元。~20ppmの上昇と高緯度域の気候変動を考察。~10ppmのCO2濃度上昇が200年以内で起きていたことを指摘。南極の気温に比べてわずかに遅れている?
>論文概説
Paleoceanography
2012.9.24 - 30
Response of eastern tropical Atlantic central waters to Atlantic meridional overturning circulation changes during the Last Glacial Maximum and Heinrich Stadial 1
Huang, E., S. Mulitza, A. Paul, J. Groeneveld, S. Steinke, and M. Schulz
北西大西洋の堆積物コアの底性有孔虫のMg/Caとδ18Oを用いてLGMとH1の温度躍層の変化を復元。Planulina ariminensisのMg/Ca-SSTはコアトップでキャリブレーション。LGMとH1の温度躍層は現在と同じ温度。550-570m深は1.2-1.5℃高かった?モデルではAMOCの弱化と赤道大西洋の温暖化が示唆されていたが、それとは食い違う結果に。代わりに塩分はLGMとH1で高かった。南大洋起源ではなく、北大西洋起源?
Pleistocene equatorial Pacific dynamics inferred from the zonal asymmetry in sedimentary nitrogen isotopes
Rafter, P. A., and C. D. Charles
赤道太平洋の東と西で得られた2本の堆積物コアのバルク堆積物δ15Nを用いて過去1.2Maの海洋表層の生物活動及び物理循環を復元。東赤道太平洋の栄養塩の湧昇(窒素利用効率)は地域的な季節日射量の変動に強く支配されていることが分かった。また10万年周期は顕著には見られない。将来の熱帯太平洋の生物活動は割と予想できるかも?
A molybdenum isotope record of Eocene Thermal Maximum 2: Implications for global ocean redox during the early Eocene
Dickson, A. J., and A. S. Cohen
急激な炭素放出イベントによる温室効果の結果、始新世初期は温暖だったことが知られているが、この時の海洋の還元状態を復元するために、北極海から得られた堆積物コアのモリブデン同位体を測定した(δ98/95Mo)。ETM-2の最温暖期に最も高い同位体比が得られ、貧酸素状態であったことが分かる。またPETMに匹敵する程度の貧酸素状態であったことが示唆される。
Corals record persistent multidecadal SST variability in the Atlantic Warm Pool since 1775 AD
Vásquez-Bedoya, L. F., A. L. Cohen, D. W. Oppo, and P. Blanchon
赤道大西洋のユカタン半島で得られたサンゴ(Siderastrea siderea)の成長速度から過去225年間のSSTを復元。キャリブレーションには画像処理で復元した3Dのサンゴ骨格の成長速度とERSSTのデータを使用(r = -0.66)。復元されたSSTには大西洋数十年振動(Atlantic Multidecadal Oscillation; AMO)の約60-80年の周期性が見えた。過去225年間のSST変動は1℃の中に収まっていたと考えられ、Cariaco Basinの浮遊性有孔虫Mg/Caを用いたSST復元とも整合的。
Global Biogeochemical Cycles
2012.9.1 - 30
Global calcite cycling constrained by sediment preservation controls
Dunne, J. P., B. Hales, and J. R. Toggweiler
ボックスモデルで海洋のカルサイトの輸送・沈降。埋没フラックスを再現。さらに不飽和度・有機物分解や有機物の水平輸送・結石形成(lithogenic sedimentation)などがカルサイトの輸送速度に与える影響を定量化。得られたモデルをもとに将来の温暖化や海洋酸性化の影響を評価。また氷期-間氷期スケールのCCDやリソクラインの深度なども復元。間氷期から氷期への移行期にはカルサイト埋没が海洋のアルカリ度を少しずつ増加させていたことが分かった。
Nanoscale lignin particles as sources of dissolved iron to the ocean
Krachler, R., F. von der Kammer, F. Jirsa, A. Süphandag, R. F. Krachler, C. Plessl, M. Vogt, B. K. Keppler, and T. Hofmann
鉄の濃度は海洋の生物生産を制約しているが、鉄は河川を通して海へと運搬されているが、そのほとんどは河口における塩分変化によって沈殿してしまうため、外洋には運搬されないとこれまで考えられてきた。泥炭地を流れる河川水に含まれている鉄に富んだ微粒子が塩分変化による沈殿を受けずに外洋へと運搬されることが分かった。構成成分は主に被子植物と裸子植物のリグニンであることも分かった。リグニンフェノールは全海洋でわずかながら見られるため、十分に長い滞留時間でもって鉄を保持していると予想される。
Biogeosciences
2012.9.24 - 30
A reappraisal of the vital effect in cultured benthic foraminifer Bulimina marginata on Mg/Ca values: assessing temperature uncertainty relationships
J. C. Wit, L. J. de Nooijer, C. Barras, F. J. Jorissen, and G. J. Reichart
温度制御飼育実験による底性有孔虫(Bulimina marginata)のMg/Ca-SSTキャリブレーションの再評価。一応有為には相関がある(R2=0.28)が個体間の変動も大きく、実際に古気候学に応用するにはMg/Ca-SSTのキャリブレーションの評価を十分に行う必要がある。個体間の際が出る原因はおそらく生態学的な生息環境の違いで、より多くの個体を均質化して分析することでMg/Ca-SSTキャリブレーションの確度を上げる必要がある。
Climate of the Past
2012.9.24 - 30
Can we predict the duration of an interglacial?
P. C. Tzedakis, E. W. Wolff, L. C. Skinner, V. Brovkin, D. A. Hodell, J. F. McManus, and D. Raynaud
過去80万年間の記録をもとに過去の間氷期の継続期間について評価。間氷期の始まりは北半球の夏の日射量が極大を迎え、歳差(precession)が最低になってから2,000年以内に訪れる。これはミランコヴィッチ理論とも整合的である。逆に間氷期から氷期への以降(Glacial inception)は地軸形動(obliquity)が減少しつつある時期に訪れる(最低値になる前)。このとき、1回目の減少の時に氷期に突入する場合(間氷期の継続期間:13,000年)と2回目の減少の時に氷期に突入する場合(間氷期の継続期間:28,000年)とがあり、おおよそ温度と大気中CO2濃度が極大を迎えてから10,000年後に起きる。しかしながら予想することは難しい。間氷期が長いかどうかはフォーシングの強さではなく、寧ろ天文学的な軌道要素の位相関係によって決まっている?
G3
2012.9.24 - 30
Rapid post-mortem maturation of diatom silica oxygen isotope values
Dodd, J. P., Z. D. Sharp, P. J. Fawcett, A. J. Brearley, and F. M. McCubbin
珪藻が死んだ後にδ18Oがどのように変質するかについて。
ニューメキシコ北部の人口沼の珪藻のδ18Oは生前は平均して21.5‰だが、堆積後のδ18Oは平均して28.9‰と有意に高い。死後の同位体の上書きは半年以内に終了し、水(H2O)とケイ酸(SiO2)とが同位体平衡に達している。海洋・淡水で珪藻のδ18Oを古環境プロシキとして使用する際には注意しなければならない。
Improved determination of marine sedimentation rates using 230Thxs
Bourne, M. D., A. L. Thomas, C. Mac Niocaill, and G. M. Henderson
沈殿速度の見積もりに過剰の230Th(excess-230Th, 230Thxs)が用いられている。この手法を用いるためには初期状態の230Thを知る必要があり、つまり堆積後のウラン系列と230Thの壊変の補正が必要となる。砕屑物の238U/232Th使用率を推定する新手法を紹介。またMATLABで使えるタダの計算スクリプトも紹介。
Multiproxy characterization and budgeting of terrigenous end-members at the NW African continental margin
Just, J., D. Heslop, T. von Dobeneck, T. Bickert, M. J. Dekkers, T. Frederichs, I. Meyer, and M. Zabel
北西アフリカで採取された海洋底堆積物コアの粒度・陸源物質・残留磁気磁束から過去8万年間の陸源物質の供給源のエンドメンバー(1つは風成塵、2つは河川由来)を推定。河川性の堆積速度は後背地の降水量というよりは寧ろ海岸からの距離(つまり海水準)によって支配されている。LGMとハインリッヒイベント時に高いダストの沈着。特にH1には現在の80倍もの大量の風成塵が見られ、風化の促進と植生による被覆が失われたことが原因と考えられる。
Signatures and significance of aeolian, fluvial, bacterial and diagenetic magnetic mineral fractions in Late Quaternary marine sediments off Gambia, NW Africa
Just, J., M. J. Dekkers, T. von Dobeneck, A. van Hoesel, and T. Bickert
上の論文と同じコアの残留磁気を用いて生物が生成する磁性鉱物や堆積後の還元による続成作用などを評価。
GRL
2012.9.24 - 30
A sea ice free summer Arctic within 30 years: An update from CMIP5 models
Wang, M., and J. E. Overland
CMIP5による将来予測はCMIP3と同じく北極海の海氷が2030年代までに消失することを予測している。しかしながら、現在観測されている速度で海氷の後退を再現できているモデルは一つも存在しない。
Ocean heat uptake and its consequences for the magnitude of sea level rise and climate change
Kuhlbrodt, T., and J. M. Gregory
温暖化による海水の熱膨張によって海水準がどれほど上昇するかについてのGCMを用いた予測の比較(CMIP)。モデル間で熱吸収効率は最大で2倍異なった。また熱を最も吸収すると考えられるのは南大洋で、渦による拡散効果が効くらしい。
Aerosol contribution to the rapid warming of near-term climate under RCP 2.6
Chalmers, N., E. J. Highwood, E. Hawkins, R. Sutton, and L. J. Wilcox
エアロゾルの排出が近い将来(near term)の温暖化にどのように寄与するかを2つのシナリオに基づいてモデルシミュレーション。例えば石炭燃焼の減少によって硫酸塩エアロゾルの濃度が低下し、地球を冷やす直接効果と間接効果に影響する。特に亜熱帯太平洋の北東部においてはエアロゾルの間接効果が寄与する。全球的な・地域的な気候にエアロゾルが将来与える影響が大きいことが示唆される。
California heat waves in the present and future
Gershunov, A., and K. Guirguis
現在と将来のカリフォルニアの熱波をGCMを用いて調査。乾燥した昼間の熱波(1)と湿潤な夜間の熱波(2)との2つのタイプに大別することができ、将来後者のタイプが特に増えることが示された。カリフォルニア全体で見ると、砂漠地域の熱波は弱まり、沿岸部の熱波は強化されるらしい。沿岸部の高い人口密度と後者の熱波のタイプに社会が順応していないことを考えると、将来の健康被害やエネルギー需要へのストレスを招く可能性がある。
Spatial distribution of air-sea heat fluxes over the sub-polar North Atlantic Ocean
Moore, G. W. K., I. A. Renfrew, and R. S. Pickart
海洋と大気との熱交換は大気海洋循環を駆動しておりその理解は重要である。特に北太平洋の熱の交換はAMOCの形成にも重要な構成要素である。ラブラドル海とグリーンランド海の熱フラックスが特に冬に大きいことはよく認識されているが、アイスランド海ではフラックスが最も小さいにも関わらず深層水形成が起きている。熱フラックスは低気圧によっても影響を受けており、大気循環がAMOCに大きく影響する可能性がある。
Abrupt change in atmospheric CO2 during the last ice age
Ahn, J., E. J. Brook, A. Schmittner, and K. Kreutz
南極アイスコアからDO8とDO9の時の大気中CO2濃度を高時間解像度で復元。~20ppmの上昇と高緯度域の気候変動を考察。~10ppmのCO2濃度上昇が200年以内で起きていたことを指摘。南極の気温に比べてわずかに遅れている?
>論文概説
Paleoceanography
2012.9.24 - 30
Response of eastern tropical Atlantic central waters to Atlantic meridional overturning circulation changes during the Last Glacial Maximum and Heinrich Stadial 1
Huang, E., S. Mulitza, A. Paul, J. Groeneveld, S. Steinke, and M. Schulz
北西大西洋の堆積物コアの底性有孔虫のMg/Caとδ18Oを用いてLGMとH1の温度躍層の変化を復元。Planulina ariminensisのMg/Ca-SSTはコアトップでキャリブレーション。LGMとH1の温度躍層は現在と同じ温度。550-570m深は1.2-1.5℃高かった?モデルではAMOCの弱化と赤道大西洋の温暖化が示唆されていたが、それとは食い違う結果に。代わりに塩分はLGMとH1で高かった。南大洋起源ではなく、北大西洋起源?
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| Huang et al. (2012)を改変。 深さの異なる堆積物を採取し、その中に含まれている底性有孔虫の殻を化学分析することで、低層水の深度プロファイルが描ける。 |
Pleistocene equatorial Pacific dynamics inferred from the zonal asymmetry in sedimentary nitrogen isotopes
Rafter, P. A., and C. D. Charles
赤道太平洋の東と西で得られた2本の堆積物コアのバルク堆積物δ15Nを用いて過去1.2Maの海洋表層の生物活動及び物理循環を復元。東赤道太平洋の栄養塩の湧昇(窒素利用効率)は地域的な季節日射量の変動に強く支配されていることが分かった。また10万年周期は顕著には見られない。将来の熱帯太平洋の生物活動は割と予想できるかも?
A molybdenum isotope record of Eocene Thermal Maximum 2: Implications for global ocean redox during the early Eocene
Dickson, A. J., and A. S. Cohen
急激な炭素放出イベントによる温室効果の結果、始新世初期は温暖だったことが知られているが、この時の海洋の還元状態を復元するために、北極海から得られた堆積物コアのモリブデン同位体を測定した(δ98/95Mo)。ETM-2の最温暖期に最も高い同位体比が得られ、貧酸素状態であったことが分かる。またPETMに匹敵する程度の貧酸素状態であったことが示唆される。
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| Dickson & Cohen (2012)を改変。 ETM-2におけるd13Cの急激なエクスカージョン(大気への大量の炭素放出)とMo同位体(貧酸素水塊の存在)とが同時に観察される。またその程度はPETMに匹敵するらしい。 |
Corals record persistent multidecadal SST variability in the Atlantic Warm Pool since 1775 AD
Vásquez-Bedoya, L. F., A. L. Cohen, D. W. Oppo, and P. Blanchon
赤道大西洋のユカタン半島で得られたサンゴ(Siderastrea siderea)の成長速度から過去225年間のSSTを復元。キャリブレーションには画像処理で復元した3Dのサンゴ骨格の成長速度とERSSTのデータを使用(r = -0.66)。復元されたSSTには大西洋数十年振動(Atlantic Multidecadal Oscillation; AMO)の約60-80年の周期性が見えた。過去225年間のSST変動は1℃の中に収まっていたと考えられ、Cariaco Basinの浮遊性有孔虫Mg/Caを用いたSST復元とも整合的。
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| Vásquez-Bedoya et al. (2012)を改変。 サンゴ骨格の成長速度とSSTとの相関。想像していたよりは使えそう。 |
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| Vásquez-Bedoya et al. (2012)を改変。 上の関係をもとに復元された過去225年間のSST。他の海域のサンゴSr/Caで見られる近年の温暖化が見られないのは何故??成長速度に温度の閾値などは存在しないのか? |
Global Biogeochemical Cycles
2012.9.1 - 30
Global calcite cycling constrained by sediment preservation controls
Dunne, J. P., B. Hales, and J. R. Toggweiler
ボックスモデルで海洋のカルサイトの輸送・沈降。埋没フラックスを再現。さらに不飽和度・有機物分解や有機物の水平輸送・結石形成(lithogenic sedimentation)などがカルサイトの輸送速度に与える影響を定量化。得られたモデルをもとに将来の温暖化や海洋酸性化の影響を評価。また氷期-間氷期スケールのCCDやリソクラインの深度なども復元。間氷期から氷期への移行期にはカルサイト埋没が海洋のアルカリ度を少しずつ増加させていたことが分かった。
Nanoscale lignin particles as sources of dissolved iron to the ocean
Krachler, R., F. von der Kammer, F. Jirsa, A. Süphandag, R. F. Krachler, C. Plessl, M. Vogt, B. K. Keppler, and T. Hofmann
鉄の濃度は海洋の生物生産を制約しているが、鉄は河川を通して海へと運搬されているが、そのほとんどは河口における塩分変化によって沈殿してしまうため、外洋には運搬されないとこれまで考えられてきた。泥炭地を流れる河川水に含まれている鉄に富んだ微粒子が塩分変化による沈殿を受けずに外洋へと運搬されることが分かった。構成成分は主に被子植物と裸子植物のリグニンであることも分かった。リグニンフェノールは全海洋でわずかながら見られるため、十分に長い滞留時間でもって鉄を保持していると予想される。
Biogeosciences
2012.9.24 - 30
A reappraisal of the vital effect in cultured benthic foraminifer Bulimina marginata on Mg/Ca values: assessing temperature uncertainty relationships
J. C. Wit, L. J. de Nooijer, C. Barras, F. J. Jorissen, and G. J. Reichart
温度制御飼育実験による底性有孔虫(Bulimina marginata)のMg/Ca-SSTキャリブレーションの再評価。一応有為には相関がある(R2=0.28)が個体間の変動も大きく、実際に古気候学に応用するにはMg/Ca-SSTのキャリブレーションの評価を十分に行う必要がある。個体間の際が出る原因はおそらく生態学的な生息環境の違いで、より多くの個体を均質化して分析することでMg/Ca-SSTキャリブレーションの確度を上げる必要がある。
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| Wit et al. (2012)を改変。 各温度区で飼育実験した個々の底性有孔虫の殻のMg/Ca測定結果。個体間の変動が大きく、感度も悪いことが分かる。この関係式を使って古水温を推定するのは難しそう。 |
Climate of the Past
2012.9.24 - 30
Can we predict the duration of an interglacial?
P. C. Tzedakis, E. W. Wolff, L. C. Skinner, V. Brovkin, D. A. Hodell, J. F. McManus, and D. Raynaud
過去80万年間の記録をもとに過去の間氷期の継続期間について評価。間氷期の始まりは北半球の夏の日射量が極大を迎え、歳差(precession)が最低になってから2,000年以内に訪れる。これはミランコヴィッチ理論とも整合的である。逆に間氷期から氷期への以降(Glacial inception)は地軸形動(obliquity)が減少しつつある時期に訪れる(最低値になる前)。このとき、1回目の減少の時に氷期に突入する場合(間氷期の継続期間:13,000年)と2回目の減少の時に氷期に突入する場合(間氷期の継続期間:28,000年)とがあり、おおよそ温度と大気中CO2濃度が極大を迎えてから10,000年後に起きる。しかしながら予想することは難しい。間氷期が長いかどうかはフォーシングの強さではなく、寧ろ天文学的な軌道要素の位相関係によって決まっている?
2012年7月29日日曜日
新着論文(GBC, PO)
Global Biogeochemical Cycles
23 July 2012 - 29 July 2012
CO2 semiannual oscillation in the middle troposphere and at the surface
Jiang, X., M. T. Chahine, Q. Li, M. Liang, E. T. Olsen, L. L. Chen, J. Wang, and Y. L. Yung
対流圏中層と表層において二酸化炭素濃度の準-年変動が見られた。化学輸送モデルを用いて変動の要因を調べたところ、表層の二酸化炭素濃度がシグナルの原因で、生物圏と大気との二酸化炭素交換が大元の原因であることが分かった。モデルによるシミュレーション結果と航空観測によって得られた熱帯域の対流圏中層の二酸化炭素濃度とは良い一致を見せた。
Paleoceanography
23 July 2012 - 29 July 2012
Response of the North American monsoon to regional changes in ocean surface temperature
Barron, J. A., S. E. Metcalfe, and J. A. Addison
先行研究のモデルシミュレーションと間接指標の記録から、8ka頃から北アメリカモンスーンが7−9月に起きることが知られており、原因は北半球の日射量の変化であると考えられている。カリフォルニア沖で採取された堆積物コアから復元されたSSTは8ka頃までは低く、湿度を北アメリカモンスーン地域にもたらすほどの影響力を持っていなかった。またバハ・カリフォルニアの湧昇は7.5ka頃から強化されており、この頃から気候レジームが変化したことを示唆している。アメリカ南西部の降水の指標(湖、植生・花粉、鍾乳石)はこの仮説を支持している。
23 July 2012 - 29 July 2012
CO2 semiannual oscillation in the middle troposphere and at the surface
Jiang, X., M. T. Chahine, Q. Li, M. Liang, E. T. Olsen, L. L. Chen, J. Wang, and Y. L. Yung
対流圏中層と表層において二酸化炭素濃度の準-年変動が見られた。化学輸送モデルを用いて変動の要因を調べたところ、表層の二酸化炭素濃度がシグナルの原因で、生物圏と大気との二酸化炭素交換が大元の原因であることが分かった。モデルによるシミュレーション結果と航空観測によって得られた熱帯域の対流圏中層の二酸化炭素濃度とは良い一致を見せた。
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| Jiang et al. (2012)を改変。 様々な緯度において得られた大気中の二酸化炭素濃度の年変動。赤い点は航空機による観測。様々な色の線はモデルによるシミュレーション結果を表す。 |
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| Jiang et al. (2012)を改変。 赤:観測値、青:モデルによるシミュレーション結果。特に北半球の高緯度で年変動が顕著であることが分かる。逆に南半球はほとんど年変動が見られない。 |
Paleoceanography
23 July 2012 - 29 July 2012
Response of the North American monsoon to regional changes in ocean surface temperature
Barron, J. A., S. E. Metcalfe, and J. A. Addison
先行研究のモデルシミュレーションと間接指標の記録から、8ka頃から北アメリカモンスーンが7−9月に起きることが知られており、原因は北半球の日射量の変化であると考えられている。カリフォルニア沖で採取された堆積物コアから復元されたSSTは8ka頃までは低く、湿度を北アメリカモンスーン地域にもたらすほどの影響力を持っていなかった。またバハ・カリフォルニアの湧昇は7.5ka頃から強化されており、この頃から気候レジームが変化したことを示唆している。アメリカ南西部の降水の指標(湖、植生・花粉、鍾乳石)はこの仮説を支持している。
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| Barron et al. (2012)を改変。 北アメリカモンスーン(North American Monsoon)地域の気候。ピンクの部分がモンスーンによる影響を強く受ける地域。水蒸気はメキシコ湾とカリフォルニア湾の両方からもたらされている。 |
2012年6月8日金曜日
全球の海洋表層水のpCO2のここ20年間の傾向〜大規模データベースからの計算〜
The observed evolution of oceanic pCO2 and its drivers over the last two decades
Lenton, A., N. Metzl, T. Takahashi, M. Kuchinke, R. J. Matear, T. Roy, S. C. Sutherland, C. Sweeney, and B. Tilbrook
Global Biogeochem. Cycles, 26, GB2021, doi:10.1029/2011GB004095.
より。海洋表層のpCO2のデータベースの1つである、LDEO_v2009をもとに、全球の各海域におけるpCO2のここ20年の変化の傾向を計算。
Lenton, A., N. Metzl, T. Takahashi, M. Kuchinke, R. J. Matear, T. Roy, S. C. Sutherland, C. Sweeney, and B. Tilbrook
Global Biogeochem. Cycles, 26, GB2021, doi:10.1029/2011GB004095.
より。海洋表層のpCO2のデータベースの1つである、LDEO_v2009をもとに、全球の各海域におけるpCO2のここ20年の変化の傾向を計算。
2012年5月15日火曜日
新着論文(JGR, GBC)
☆Journal of Geophysical Research -Oceans-
8 May 2012 - 15 May 2012
Biological production in the NE Pacific and its influence on air-sea CO2 flux: Evidence from dissolved oxygen isotopes and O2/Ar
L. W. Juranek, P. D. Quay, R. A. Feely, D. Lockwood, D. M. Karl,5 and M. J. Church
北東太平洋において、3つの酸素同位体とO2/Ar法を用いて光合成生物活動による酸素生成率を推定。クロロフィル濃度が劇的に変化する「transition zone chlorophyll front (TZCF)」で酸素濃度が2-4倍に劇的に変化。この海域におけるCO2の収支において生物活動が非常に重要な寄与をしていると考えられる。
The equatorial Pacific cold tongue simulated by IPCC AR4 coupled GCMs: Upper ocean heat budget and feedback analysis
8 May 2012 - 15 May 2012
Biological production in the NE Pacific and its influence on air-sea CO2 flux: Evidence from dissolved oxygen isotopes and O2/Ar
L. W. Juranek, P. D. Quay, R. A. Feely, D. Lockwood, D. M. Karl,5 and M. J. Church
北東太平洋において、3つの酸素同位体とO2/Ar法を用いて光合成生物活動による酸素生成率を推定。クロロフィル濃度が劇的に変化する「transition zone chlorophyll front (TZCF)」で酸素濃度が2-4倍に劇的に変化。この海域におけるCO2の収支において生物活動が非常に重要な寄与をしていると考えられる。
The equatorial Pacific cold tongue simulated by IPCC AR4 coupled GCMs: Upper ocean heat budget and feedback analysis
Yangxing Zheng, Jia-Lin Lin, and Toshiaki Shinoda
赤道東太平洋の冷舌がSSTに与える影響をIPCC AR4のときに用いられたモデルの結果から評価。観測よりもより西側に冷舌が広がることがモデルのバイアスとして確認された。水平・鉛直方向の熱輸送が過大に現れていることが原因と考えられる。またBjerknes feedbackもモデルの中では弱く再現されている。
☆Global Biogeochemical Cycles
20 March 2012 - 12 May 2012
Decrease of dissolved oxygen after the mid-1980s in the western North Pacific subtropical gyre along the 137°E repeat section
Takatani, Y., D. Sasano, T. Nakano, T. Midorikawa, and M. Ishii
北西大西洋の137º線の1967年から現在にかけてのDO(溶存酸素量)の測定値について。北太平洋亜熱帯水や北太平洋中層水で特に1980年中頃以降のDOの低下が確認された。温暖化による酸素溶解度の低下が最も大きな原因と考えられる。水塊形成場のDOの低下もかなり寄与していると考えられる。
13C constraints on ocean carbon cycle models
Sonnerup, R. E., and P. D. Quay
海水のδ13C分布をモデルで再現。北太平洋と南大洋における深層水の形成が大きく寄与。観測される14CやAOUの分布を再現するには、両地域の深層水形成をより増やすことが必要。南大洋を除いて、人為起源のδ13Cの分布は概ね再現できた。河川からの陸上炭素の流入、風の分布などが重要な因子。
赤道東太平洋の冷舌がSSTに与える影響をIPCC AR4のときに用いられたモデルの結果から評価。観測よりもより西側に冷舌が広がることがモデルのバイアスとして確認された。水平・鉛直方向の熱輸送が過大に現れていることが原因と考えられる。またBjerknes feedbackもモデルの中では弱く再現されている。
☆Global Biogeochemical Cycles
20 March 2012 - 12 May 2012
Decrease of dissolved oxygen after the mid-1980s in the western North Pacific subtropical gyre along the 137°E repeat section
Takatani, Y., D. Sasano, T. Nakano, T. Midorikawa, and M. Ishii
北西大西洋の137º線の1967年から現在にかけてのDO(溶存酸素量)の測定値について。北太平洋亜熱帯水や北太平洋中層水で特に1980年中頃以降のDOの低下が確認された。温暖化による酸素溶解度の低下が最も大きな原因と考えられる。水塊形成場のDOの低下もかなり寄与していると考えられる。
13C constraints on ocean carbon cycle models
Sonnerup, R. E., and P. D. Quay
海水のδ13C分布をモデルで再現。北太平洋と南大洋における深層水の形成が大きく寄与。観測される14CやAOUの分布を再現するには、両地域の深層水形成をより増やすことが必要。南大洋を除いて、人為起源のδ13Cの分布は概ね再現できた。河川からの陸上炭素の流入、風の分布などが重要な因子。
2012年3月18日日曜日
新着論文(GBC, PO)
Global Biogeochemical Cycles
14 - 18 March 2012
Atmospheric constraints on gross primary productivity and net ecosystem productivity: Results from a carbon-cycle data assimilation system
Koffi, E. N., P. J. Rayner, M. Scholze, and C. Beer
Global Biogeochem. Cycles, 26, GB1024, doi:10.1029/2010GB003900
2つのモデルを組み合わせて陸域の炭素循環をモデリング。GPP(総一次生産量)とNPP(全生態系生産量)を推定。熱帯域の大気中二酸化炭素濃度の測定データが不足しているという問題がある。NEPは二酸化炭素の輸送モデルに大きく依存。
Paleoceanography
8-16 March 2012
Antarctic Isotope Maxima events 24 and 25 identified in benthic marine δ18O
Alkenone unsaturation in surface sediments from the eastern equatorial Pacific: Implications for SST reconstructions
Kienast, M., G. MacIntyre, N. Dubois, S. Higginson, C. Normandeau, C. Chazen, and T. D. Herbert
Paleoceanography, 27, PA1210, doi:10.1029/2011PA002254
赤道東太平洋において堆積物コアトップのアルケノン不飽和度とSSTの観測データとを比較することでアルケノン温度計の有用性をチェック。有為な回帰曲線が得られた。「アルケノン生産の季節性」「アルケノンの輸送」「表層の栄養塩濃度」「塩分」などに対するバイアスは見られなかった。高温ではアルケノンの不飽和度が飽和し、水温計として機能しなくなることが知られているが、そのような有意な変化は見られなかった。ペルー沖のアルケノン温度計は実際の水温よりも高い水温を見積もってしまうが、El Ninoの変動を拾っていることが原因?
14 - 18 March 2012
Atmospheric constraints on gross primary productivity and net ecosystem productivity: Results from a carbon-cycle data assimilation system
Koffi, E. N., P. J. Rayner, M. Scholze, and C. Beer
Global Biogeochem. Cycles, 26, GB1024, doi:10.1029/2010GB003900
2つのモデルを組み合わせて陸域の炭素循環をモデリング。GPP(総一次生産量)とNPP(全生態系生産量)を推定。熱帯域の大気中二酸化炭素濃度の測定データが不足しているという問題がある。NEPは二酸化炭素の輸送モデルに大きく依存。
Paleoceanography
8-16 March 2012
Antarctic Isotope Maxima events 24 and 25 identified in benthic marine δ18O
Caballero-Gill, R. P., S. Clemens, and W. Prell
Paleoceanography, 27, PA1101, doi:10.1029/2011PA002269
南シナ海の堆積物コアの浮遊性・底性有孔虫のd18OからMIS5d(118.5-105.9ka)の変動を復元。中国南東部で得られた石筍(Sanbao & Hulu 洞窟)のd18Oの変動と合わせることで年代モデルを作成。LRの底性有孔虫d18Oのスタックには見られていなかった、Antarctic Isotopic Maximaイベントの24番目と25番目が見られた。
Paleoceanography, 27, PA1101, doi:10.1029/2011PA002269
南シナ海の堆積物コアの浮遊性・底性有孔虫のd18OからMIS5d(118.5-105.9ka)の変動を復元。中国南東部で得られた石筍(Sanbao & Hulu 洞窟)のd18Oの変動と合わせることで年代モデルを作成。LRの底性有孔虫d18Oのスタックには見られていなかった、Antarctic Isotopic Maximaイベントの24番目と25番目が見られた。
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| Caballero-Gill et al. (2012) Fig. 4を改変。 上が中国南東部の石筍のd18O、下が南シナ海で得られた堆積物コアの底性有孔虫のd18O。DOとAIMがそれぞれ北極、南極の変動に対応している。 |
Alkenone unsaturation in surface sediments from the eastern equatorial Pacific: Implications for SST reconstructions
Kienast, M., G. MacIntyre, N. Dubois, S. Higginson, C. Normandeau, C. Chazen, and T. D. Herbert
Paleoceanography, 27, PA1210, doi:10.1029/2011PA002254
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| Kienast et al. (2012) Fig. 1を改変。 アルケノン不飽和度とSSTの間に有為な相関が得られた。 |
2012年3月12日月曜日
新着論文(GBC)
Global Biogeochemical Cycles
27 SEP 2011-10 MAR 2012
たまっていたものを消化。
Changes in South Pacific anthropogenic carbon
Waters, J. F., F. J. Millero, and C. L. Sabine
Global Biogeochem. Cycles, 25, GB4011, doi:10.1029/2010GB003988
南太平洋のWOCEの測線(P18とP06)の海水炭酸系の人為起源の二酸化炭素の与える影響の評価。数10年の変動では考えられないpHの低下は海洋酸性化の影響と考えられる。結果はP16のものと概ね整合的だが、P18のほうがやや大きい影響が見られる。pHの低下の割合はHOTによるハワイ周辺の結果と整合的。
Subsurface tropical Pacific nitrogen isotopic composition of nitrate: Biogeochemical signals and their transport
Rafter, P. A., D. M. Sigman, C. D. Charles, J. Kaiser, and G. H. Haug
Variability of primary production and air-sea CO2 flux in the Southern Ocean
Wang, S., and J. K. Moore
Global Biogeochem. Cycles, 26, GB1008, doi:10.1029/2010GB003981
海洋の生物地球化学も出るを用いて南大洋の数十年間の炭素循環(大気-海洋のCO2交換、一次生産)を再現。南大洋は近年二酸化炭素の吸収が少なくなっていると考えられているが、一次生産量(POC)の低下が原因として考えられる。変動を考える上で、「混合層の深さ」「鉄の濃度」「プランクトンの群衆組成」「海氷の張り出し具合」などが重要な因子。
Interconnection of nitrogen fixers and iron in the Pacific Ocean: Theory and numerical simulations
Dutkiewicz, S., B. A. Ward, F. Monteiro, and M. J. Follows
Global Biogeochem. Cycles, 26, GB1012, doi:10.1029/2011GB004039
Diatom resting spore ecology drives enhanced carbon export from a naturally iron-fertilized bloom in the Southern Ocean
Salter, I., A. E. S. Kemp, C. M. Moore, R. S. Lampitt, G. A. Wolff, and J. Holtvoeth
Global Biogeochem. Cycles, 26, GB1014, doi:10.1029/2010GB003977
南大洋のうち、インド洋の南部に位置するCrozet海域において、鉄の供給量とPOCの関係を議論。珪藻のブルーミングが起こる地域と、深海のセディメントトラップの炭素フラックスが多い地域との相関は良い(R=0.83)。Si/CとSi/N比は隣接するHNLC海域のものと比較しておよそ2-3.5倍高い値を示す。この海域の生物生産の高さはわりとローカルで、南大洋全体に応用できる特徴ではなさそう。
27 SEP 2011-10 MAR 2012
たまっていたものを消化。
Changes in South Pacific anthropogenic carbon
Waters, J. F., F. J. Millero, and C. L. Sabine
Global Biogeochem. Cycles, 25, GB4011, doi:10.1029/2010GB003988
南太平洋のWOCEの測線(P18とP06)の海水炭酸系の人為起源の二酸化炭素の与える影響の評価。数10年の変動では考えられないpHの低下は海洋酸性化の影響と考えられる。結果はP16のものと概ね整合的だが、P18のほうがやや大きい影響が見られる。pHの低下の割合はHOTによるハワイ周辺の結果と整合的。
Subsurface tropical Pacific nitrogen isotopic composition of nitrate: Biogeochemical signals and their transport
Rafter, P. A., D. M. Sigman, C. D. Charles, J. Kaiser, and G. H. Haug
Global Biogeochem. Cycles, 26, GB1003, doi:10.1029/2010GB003979
赤道太平洋の海洋表層水の硝酸のδ15Nの測定結果について。測定結果を説明するためには(1)高緯度を起源とする水塊(AAMW)とEEPにおける脱窒を経験した水塊が混合すること、(2)深さ方向に栄養塩濃度が上昇することが必要らしい。
南太平洋西部の中層水がSouthern Subsurface Counter Current (SSCC)によって運ばれた?
Identification and characterization of abrupt changes in the land uptake of carbon
Beaulieu, C., J. L. Sarmiento, S. E. Mikaloff Fletcher, J. Chen, and D. Medvigy
Global Biogeochem. Cycles, 26, GB1007, doi:10.1029/2010GB004024
Identification and characterization of abrupt changes in the land uptake of carbon
Beaulieu, C., J. L. Sarmiento, S. E. Mikaloff Fletcher, J. Chen, and D. Medvigy
Global Biogeochem. Cycles, 26, GB1007, doi:10.1029/2010GB004024
モデルシミュレーションから1988年の大気二酸化炭素濃度の上昇率の低下は陸域の炭素吸収が劇的に変化したことが原因と考えられる。ENSOでも火山活動でもない、別の要因が究極の原因?
Wang, S., and J. K. Moore
Global Biogeochem. Cycles, 26, GB1008, doi:10.1029/2010GB003981
海洋の生物地球化学も出るを用いて南大洋の数十年間の炭素循環(大気-海洋のCO2交換、一次生産)を再現。南大洋は近年二酸化炭素の吸収が少なくなっていると考えられているが、一次生産量(POC)の低下が原因として考えられる。変動を考える上で、「混合層の深さ」「鉄の濃度」「プランクトンの群衆組成」「海氷の張り出し具合」などが重要な因子。
Dutkiewicz, S., B. A. Ward, F. Monteiro, and M. J. Follows
Global Biogeochem. Cycles, 26, GB1012, doi:10.1029/2011GB004039
太平洋の鉄の濃度と光合成植物の関係をモデルシミュレーションから説明。鉄と硝酸がプランクトンの群衆組成とそれぞれの物質循環をコントロールしている。鉄の供給量によって3つのグループに大別できる。
Salter, I., A. E. S. Kemp, C. M. Moore, R. S. Lampitt, G. A. Wolff, and J. Holtvoeth
Global Biogeochem. Cycles, 26, GB1014, doi:10.1029/2010GB003977
南大洋のうち、インド洋の南部に位置するCrozet海域において、鉄の供給量とPOCの関係を議論。珪藻のブルーミングが起こる地域と、深海のセディメントトラップの炭素フラックスが多い地域との相関は良い(R=0.83)。Si/CとSi/N比は隣接するHNLC海域のものと比較しておよそ2-3.5倍高い値を示す。この海域の生物生産の高さはわりとローカルで、南大洋全体に応用できる特徴ではなさそう。
2012年2月23日木曜日
ブログ開設。新着論文紹介リスト
初投稿。
周囲の友人のmixi離れという裏事情もありつつ、アウトリーチの場としてブログを開始することを決意。
最近流行のFacebookは日記には向かず…mixiのつぶやきやtwitterは逆に短すぎて肝心の内容が薄くなってしまうので。
新着論文なんかは自分のためです。Nature, Scienceは広く面白い最新の科学を取り上げます。
◎Nature (Macmilian Publishers LTD.)
新着論文紹介もできる限り継続しようかと。横山研で持ち回りで担当している新着論文リスト全部を毎週やるのは無理なので、自分の研究に重要な雑誌に限って。
新着論文なんかは自分のためです。Nature, Scienceは広く面白い最新の科学を取り上げます。
新着論文紹介リストは以下の通り。適宜追加(削除?)予定。
◎Nature (Macmilian Publishers LTD.)
◎Science (AAAS)
◎PNAS
◎GSA
◎University of Arizona
◎SpringerLink
◎American Meteorological Society
◎ELSEVIER
- Quaternary Science Reviews
- Earth and Planetary Science Letters
- Geochimica et Cosmochimica Acta
- Global and Plannetary Change
- Deep Sea Research Part Ⅱ ~Tropical Studies in Oceanography~
- Marine Geology
- Marine Chemistry
◎American Geophysical Union
- Paleoceanography
- Global Biogeochemical Cycles
- Journal of Geophysical Research - Oceans/Atmosphere/Biogeosciences
◎European Geophysical Union
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