G3
Sea level and climate forcing of the Sr isotope composition of late Miocene Mediterranean marine basins
T. F. Schildgen, D. Cosentino, G. Frijia, F. Castorina, F. Ö. Dudas, A. Iadanza, G. Sampalmieri, P. Cipollari, A. Caruso, S. A. Bowring, M. R. Strecker
中新世(Miocene)の地中海の閉鎖環境を堆積物コア中のカキや有孔虫の87/86Srから復元。全球の平均的な値からかなり低い値をとる時期(Messinian Salinity Crisisなど)は、海水準が低下していたか、テクトニクスの変動時期と一致していることが分かった。特に地中海に流れ込む河川水の影響が大きいと考えられている。
Deciphering bottom current velocity and paleoclimate signals from contourite deposits in the Gulf of Cádiz during the last 140 kyr: An inorganic geochemical approach
André Bahr, Francisco J. Jiménez-Espejo, Nada Kolasinac, Patrick Grunert, F. Javier Hernández-Molina, Ursula Röhl, Antje H.L. Voelker, Carlota Escutia, Dorrik A.V. Stow, David Hodell, Carlos A. Alvarez-Zarikian
IODP第339次航海で得られたジブラルタル海峡沖の堆積物コアから過去530万年間の底層流および古環境を復元。Zr/Al比が底層流の半定量的な指標になることを提案(ジルコンが比較的重い鉱物に濃集しているため)。有機物に多く含まれるBr(Bromine)はコアの対比にうまく使えることも分かった。MIS6–1にかけての高解像度の記録は、ターミネーション時やハインリッヒイベント時に急激な変動を示していた。
GRL
Distribution and vegetation reconstruction of the deserts of northern China during the mid-Holocene
Qin Li, Haibin Wu, Zhengtang Guo, Yanyan Yu, Junyi Ge, Jianyu Wu, Deai Zhao, Aizhi Sun
およそ6,000年前の中国北部の砂漠は、夏のモンスーンの強化に伴い、縮小していたことが風成堆積物の解析から示唆。
Attributing the increase in Northern Hemisphere hot summers since the late 20th century
Youichi Kamae, Hideo Shiogama, Masahiro Watanabe, Masahide Kimoto
GCMによるモデルシミュレーションから、北半球における異常な夏の暑さが近年増加していることの原因を推定。半分ほどは数十年規模の気候変動が原因であることが示唆された。また人為起源の放射強制も寄与しており、今後数十年間に発生頻度は増加することが予測された。
Seasonal radiocarbon and oxygen isotopes in a Galapagos coral: Calibration with climate indices
Ellen R.M. Druffel, Sheila M. Griffin, Danielle Glynn, Robert B. Dunbar, Dave Muciarone, J. Robert Toggweiler
ガラパゴス諸島で得られたコモンシコロサンゴ(Pavona clavus)の1939–1954年にかけての季節変動レベルのΔ14C・δ18O記録を報告。既に年スケール・数年スケールの良いENSO指標になることが知られていたが、季節変動レベルでも逆相関の関係が見られた。Δ14Cに2ヶ月のラグを考慮するともっとも良い相関となることも分かった(物理メカニズムは依然として不明)。PDOに伴い赤道において湧昇する水の混合比が変化したことも分かった(北 v.s. 南)。
Evidence for long-term memory in sea level
Sönke Dangendorf, Diego Rybski, Christoph Mudersbach, Alfred Müller, Edgar Kaufmann, Eduardo Zorita, Jürgen Jensen
海水準変動には温度と塩分の効果による成分(steric component)が含まれるため、ある地域では数十年の周期で変動することが知られている。100年ほどの歴史がある世界60点の検潮所の記録から評価を行ったところ、数十年の変動成分に加えて、長期トレンドが確認された。長期トレンドは氷河や氷帽の後退の観測から期待される海水準上昇量とも整合的であった。
Upper atmosphere cooling over the past 33 years
Y. Ogawa, T. Motoba, S. C. Buchert, I. Häggström, S. Nozawa
ノルウェー北部のトロムソにおける過去33年間の高層大気の観測から、地球大気下層の温室効果ガス濃度の増加から期待される、大気上層の寒冷化トレンドが確認された。GCMによる予測とも整合的であり、観測から定量的に確証したのは世界初?
JGR-Oceans
Dense shelf water production in the Adélie Depression, East Antarctica, 2004-2012: Impact of the Mertz Glacier calving
Maité Lacarra, Marie-Noëlle Houssais, Christophe Herbaut, Emmanuelle Sultan, Mickael Beauverger
東南極Mertz氷河のポリニヤにおける2004–2012年の観測記録から海氷生成・高密度水形成・氷山分離などのメカニズムを推定。
Twentieth century sea surface temperature and salinity variations at Timor inferred from paired coral δ18O and Sr/Ca measurements
Sri Yudawati Cahyarini, Miriam Pfeiffer, Intan Suci Nurhati, Edvin Aldrian, Wolf-Christian Dullo, Steffen Hetzinger
ティモール島で得られたハマサンゴのδ18O・Sr/Ca分析から、1914–2004年にかけてのSSTとSSSを復元。ENSOよりもインド洋ダイポール(IOD)の影響が顕著に見られた。
GBC
Decadal (1994–2008) change in the carbon isotope ratio in the eastern South Pacific Ocean
Young Ho Ko, Kitack Lee, Paul D. Quay, Richard A. Feely
化石燃料燃焼由来の炭素も土地利用変化由来の炭素も等しく軽いδ13Cをもつため、人為起源の海水DIC増加の良い指標になることが知られている。東太平洋を南北に横断する測線(110°W)に沿って、1994年から2008年にかけての水塊のδ13C_DICの変化を報告。亜寒帯で大きく、熱帯域で小さい変化が見られた。50%以上の人為起源CO2はAAIWによって取り込まれ、北へと輸送されていることが分かった。AAIWによる取り込み速度が2008年には低下しており、南大洋のCO2吸収力が低下している可能性が示唆。
Climate of the Past
Persistent decadal-scale rainfall variability in the tropical South Pacific Convergence Zone through the past six centuries
C. R. Maupin, J. W. Partin, C.-C. Shen, T. M. Quinn, K. Lin, F. W. Taylor, J. L. Banner, K. Thirumalai, and D. J. Sinclair
ソロモン諸島で得られた鍾乳石のδ18Oから過去600年間のSPCZ(South Pacific Convergence Zone:南太平洋収束帯)変動に伴う降水量の変動を復元。太平洋数十年規模変動(PDV)に関連した数十年スケールの大きな変動が確認された。