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2014年7月14日月曜日

『理科系の作文技術』(木下是男, 1981, 中公新書)

理科系の作文技術
木下 是男
中央公論社(1981年)


理科系のための英文作法―文章をなめらかにつなぐ四つの法則
杉原 厚吉
中央公論社(1994)

ともに、とある京大の教員の方のブログで紹介されており、気になって読んでみたもの。

特に『理科系の作文技術』は全ての理系大学院生に一読をオススメできる。
古い本なので、OHPシートや原稿用紙などが文中に出てきて驚くことも多いが、作文の「手段」は違えど「お作法」や「注意点」などは現代でも十分通用するものであり、大変参考になる。

細かいレビューは上で紹介したリンクなどにもあるので、ここでは行わないが、最後に抜粋した文章を列挙しておく。

何度も読み返して租借し、自分のものとしたい。

『理科系のための英文作法』は「英文法」や「文と文の関係性」に焦点を置いており、”談話文法”の概念を紹介している。

個人的にタメになったものは以下の通り。
・To 不定詞を使う際の視点の固定
・新出の単語(A)をより後に、既出の単語(The)は前に
・過度の受け身形は禁物
・接続詞(e.g. However; Therefore)や前の文を引き継いだ単語(e.g. This observation suggests ~~~)を効果的に入れることで、文章全体の繋がりを明白にする
・格好良い・滑らかな文章ではなく、はじめは「誰にでも理解できる、安全な文章を心がける」



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第2章〜準備作業
主題をはっきり決めたら、次に、自分は何を目標としてその文書を書くのか、そこで何を主張しようとするのかを熟考して、それを一つの文にまとめて書いてみることを勧める。(中略)まずこういうかたちに目標規定文を書き、それからその目標に収束するように文章ぜんたいの構想を練ることが必要だと考える。目標規定文は、執筆の途中で材料の取捨選択に迷ったときにも判断を助けてくれるだろう。(pp. 22–23)

書くことは考えること、考えを明確にすることなので、書き進むうちに、最初に空で考えたときの論理のアラが見えてくるのである。(pp. 24)

ある問題を論じるにはまず
(a)なにが問題なのかを明確にせよ。
(b)それについて確実にわかっているのはどんな点かを明らかにせよ。
(c)よくわかっていなくて、調べる必要があるのはどんな点かを明らかにせよ。
Corbett (1977)より。(pp. 28)

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第3章〜文章の組み立て
抄録誌によって論文を探索する読者が、表題と抄録だけに頼って本論文を見るべきかどうかを判断することはいうまでもない。つまり、自分の論文を読んでもらえるかどうかは多分に表題と著者抄録とにかかっているのだから、著者がこの二つのなかにエッセンスをつめこもうと努力するのは当然である。(pp. 32)
抄録は別名、アブストラクト。抄録誌というのはあまり馴染みがないけれど、Feedlyを使ってタイトルとアブストだけみて本文見るかどうかを判断するのと根本部分は一致している。

配慮してほしいのは、理論の基礎にある仮定を浮き立たせて書くことだ。自然科学の理論の論文を書く人は、この点に格別の注意をはらう必要がある。(中略)理論の出発点となるのは、これを整理し、理想化したモデルである。(pp. 49)

自分の書いている文章が一つの論理の流れに乗っているか、次々の分がきちんと連結されているかを、絶えず反省しながら書き進む必要がある。それには、自分の文章を<他人の眼>で眺め直す修練がいる。(中略)だいたい、天才は別として常人にとっては、スッキリと筋の通ったものを書けるかどうかは、自分の書いたものをきびしく見直す能力と、何度でも書き直す根気とにかかっているのではあるまいか。(pp. 55)

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第5章〜文の構造と文章の流れ
日本語では、いくつかのことを書きならべるとき、その内容や相互の連関がパラグラフ全体を読んだあとではじめてわかるような書き方をすることが許されているらしい。英語ではこれは許されない。一つ一つの文は、読者がそこまでに読んだことだけによって理解できるように書かなければならないのである。(pp. 76)

論文は読者に向けて書くべきもので、著者の思いを満たすために書くものではない。序論は、読者を最短経路で本論にみちびき入れるようにスーッと書かなければならないのである。

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第6章〜はっきり言い切る姿勢
ぼかしことばを入れたくなるたびに本当に必要なのかどうかを吟味する習慣を確立すると、文章はずっと明確になる。(pp. 100)

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第7章〜事実と意見
(a)事実を書いているのか、意見を書いているのかをいつも意識して、両者を明らかに区別して書く。書いたあとで、逆にとられる心配はないかと入念に読みかえす。
(b)事実の記述には意見を混入させないようにする。(pp. 113)

事実の記述は、一般的でなく特定的であるほど、まだ漠然とした記述でなくはっきりしているほど、抽象的でなく具体的であるほど、情報としての価値が高い。また読者に訴える力が強い。(pp. 114)

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第8章〜わかりやすく簡潔な表現
科学者は理解できるように書くだけでなく、誤解できないように書かなければならない
マクレランド(pp. 125)

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第9章〜執筆メモ
書くことを一生の仕事とする以上、言葉を厳しく吟味し、時を確かめるのは当然の心掛けだろう。(pp. 154)

図と表には必ず番号をつける。(中略)図では図の下に、表では表の上に説明をつけるのが原則だ(pp. 175)

傍目八目ということばがあるが、実際、自分では当然と思って書いたことがひとりよがりであることを思い知らされたり、思いもよらぬ受け取り方をされてギョッとしたり、必ず得るところがある。(中略)読んでもらう人がみつからないときには、原稿をしばらく(できるだけ長い期間)寝かせておいてから読み直すといい。忘却が目を新鮮にし、アラがよく見えるようにしてくれる。(pp. 179)

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第10章〜手紙・説明書・原著論文
自分では完成と思う域に達したら、研究指導者に見てもらう。論文を校閲し、注意を与えることは指導者の義務である。(pp. 211)

投稿者は(およびその指導者)は、閲覧者に不当な負担をかけないように最善の努力をつくさなければならない。(pp. 213)

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第11章〜学会講演の要領
一般的にいえば、眼で読むための文章と聞くための文章とは構成に差があるということである。(pp. 215)