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☆主なコンテンツ
1、新着論文 2、論文概説 3、コラム 4、本のレビュー 5、雑記(PC・研究関連)
6、気になった一文集(日本語English) 7、日記(日本語English

2013年1月9日水曜日

新着論文(Coral Reefs, GRLほか)

ちょっと前(2012年10-11月くらい?)の新着論文たちを消化。

Coral Reefs
Ocean acidification does not affect the physiology of the tropical coral Acropora digitifera during a 5-week experiment
A. Takahashi, H. Kurihara
コユビミドリイシ(Acropora digitifera)を5週間にわたってpCO2が高い状態(477, 2142 ppm)で飼育したところ、成長速度の変化は特に見られず、海洋酸性化に対して生理学的に適応していると考えられる。

GRL
Stability of the Atlantic meridional overturning circulation: A model intercomparison
Andrew J. Weaver, Jan Sedláček, Michael Eby, Kaitlin Alexander, Elisabeth Crespin, Thierry Fichefet, Gwenaëlle Philippon-Berthier, Fortunat Joos, Michio Kawamiya, Katsumi Matsumoto, Marco Steinacher, Kaoru Tachiiri, Kathy Tokos, Masakazu Yoshimori and Kirsten Zickfeld
25のAOGCMsとESMs、EMICsを用いて21世紀のAMOCの強度変化を予測。すべてのモデルでAMOCの急激な停止は予測されなかった

The extreme melt across the Greenland ice sheet in 2012
S. V. Nghiem, D. K. Hall, T. L. Mote, M. Tedesco, M. R. Albert, K. Keegan, C. A. Shuman, N. E. DiGirolamo and G. Neumann
3つの観測手法に基づいてグリーンランド氷床の2012年の大規模な融解を評価。全体の98.6%で融解が起きており、頂上付近の乾燥した場所でも観察された。アイスコアからは1889年とMWPに大きな融解が起きていたことが分かっている。

Temperature-induced marine export production during glacial period
M. O. Chikamoto, A. Abe-Ouchi, A. Oka and S. Lan Smith
モデルシミュレーションを通して、氷期へと向かう際の温度低下が一次生産性と有機炭素再結晶化の変化を通し粒子状有機物て(export production)にどのように影響したかを調査。温度低下によって粒子状有機物が増加することが示され、深海への炭素輸送量が増加することが分かった。南大洋表層で残った栄養塩はAAIWの輸送を通して低緯度域の一次生産を強化させることも示された。

Can the Last Glacial Maximum constrain climate sensitivity?
J. C. Hargreaves, J. D. Annan, M. Yoshimori and A. Abe-Ouchi
PMIP2の結果を用いてLGMにおける気候感度を推定。「2.5℃」という推定値が得られた。

Decadal time evolution of oceanic uptake of anthropogenic carbon in the Okhotsk Sea
Yutaka W. Watanabe, Jun Nishioka, Takeshi Nakatsuka
オホーツク海の1993年から2006年にかけての人為起源炭素の吸収量を見積もったところ、表層は16%増加しているのに対し、中層は14%低下していることが分かった。近年の温暖化に伴う海洋の成層化によって深層水と大気とのガス交換が抑えられていることが原因と考えられる。

Stability of the Kuroshio path with respect to glacial sea level lowering
Kyung Eun Lee, Ho Jin Lee, Jae-Hun Park, Yuan-Pin Chang, Ken Ikehara, Takuya Itaki, Hyun Kyung Kwon
LGMの海水準低下時期における東シナ海における黒潮の変化をモデルと堆積物コアから調査。氷期においても流路の大きな変化は見られず、Mg/Caに基づいた古水温と浮遊性有孔虫δ18Oも同程度の値を示した。

JGR-Oceans
Historical changes in El Niño and La Niña characteristics in an ocean reanalysis
Sulagna Ray and Benjamin S. Giese
海洋観測の再解析データから1870-2002年のENSOの持続期間、現象が伝播する方向、周期などを解析。現象間の期間は数ヶ月の場合もあれば、10年間に及ぶこともある。また持続期間も5〜27ヶ月と大きく変化していた。過去140年間の間の各ENSOイベントの際の亜表層水の変位は表層水の変位とよく相関することが示された。この期間中、温暖化によるENSOの変化は特に確認されなかった。

JGR-Atmosphere
Atmospheric carbon dioxide retrieved from the Greenhouse gases Observing SATellite (GOSAT): Comparison with ground-based TCCON observations and GEOS-Chem model calculations
A. J. Cogan, H. Boesch, R. J. Parker, L. Feng, P. I. Palmer, J.-F. L. Blavier, N. M. Deutscher, R. Macatangay, J. Notholt, C. Roehl, T. Warneke and D. Wunch
日本の人工衛星Greenhouse gases Observing SATellite (GOSAT)による地球の短波放射の後方散乱データを利用して大気中のCO2濃度を宇宙空間から推定。2年間のデータを地上の観測記録と比較較正したところ、その差はわずかに1ppm程度であることが示された。モデルシミュレーションの結果とも整合的(R2=0.61)だが、サハラや中央アジアなどでは2~3ppmの差異が確認された。

GBC
Contributions of natural and anthropogenic sources to atmospheric methane variations over western Siberia estimated from its carbon and hydrogen isotopes
Taku Umezawa, Toshinobu Machida, Shuji Aoki and Takakiyo Nakazawa
シベリア西部の地上から1-2km上空のメタンの水素・炭素同位体を2006年から2009年にかけて測定し、その起源を推定。地上に近いほど軽い同位体を示し、地上に放出源があることを示唆。季節変動が大きく、夏は湿地、冬は人為起源のメタンが大多数を占めていると考えられる。

High-resolution estimates of net community production and air-sea CO2 flux in the northeast Pacific
Deirdre Lockwood, Paul D. Quay, Maria T. Kavanaugh, Lauren W. Juranek and Richard A. Feely
2008年の8-9月における北太平洋の表層水のO2/Sr、pCO2測定値から総一次生産量とCO2フラックスを推定。亜寒帯と亜寒帯-亜熱帯変移帯では生物ポンプとCO2吸収によって効果的に炭素が深層に輸送されていると考えられる。

Journal of Climate
Critical role of northern off-equatorial sea surface temperature forcing associated with central Pacific El Niño in more frequent tropical cyclone movements toward East Asia
Jin, Chun-Sil, Chang-Hoi Ho, Joo-Hong Kim, Dong-Kyou Lee, Dong-Hyun Cha, and Sang-Wook Yeh
太平洋中央部のエルニューニョ(CP-El Niño)の際には、赤道太平洋中央部からやや離れた海域のSSTと東アジアの台風の数との間に正の相関があることが分かった。東アジアの沿岸部(中国東部、台湾、韓国、日本など)に台風が近づく傾向があるらしい。

Weakened interannual variability in the tropical Pacific Ocean since 2000
Zeng-Zhen Hu, Arun Kumar, Hong-Li Ren, Hui Wang, Michelle L'Heureux, and Fei-Fei Jin
赤道太平洋においてはここ10年間に温度躍層の傾きが急になっており、赤道西太平洋におけるSSTの正の偏差・蒸発の正の偏差(つまりラニーニャ的状態)が確認されている。これはウォーカー循環が強化されていることを示している。モデルシミュレーションから、温度躍層の傾きの強化と貿易風の強化によって、暖水が東へと伝播するのが妨げられ、ENSOの振幅が減少するというメカニズムが提唱される。