Main contents


☆主なコンテンツ
1、新着論文 2、論文概説 3、コラム 4、本のレビュー 5、雑記(PC・研究関連)
6、気になった一文集(日本語English) 7、日記(日本語English

2013年1月6日日曜日

新着論文(BG)

Biogeosciences
Scaled biotic disruption during early Eocene global warming events
S. J. Gibbs, P. R. Bown, B. H. Murphy, A. Sluijs, K. M. Edgar, H. Pälike, C. T. Bolton, and J. C. Zachos
PETMをまたぐ300万年間における温暖化とそれに伴う生態系への擾乱を調べるために、石灰質ナノプランクトンの種の変化に着目。5つの温暖化イベントのうち、PETM、ETM2、ETMⅠ1の3つにおいてのみ大量絶滅が起きており、ある程度の閾値が存在した可能性が示唆される。
Gibbs et al. (2012)を改変。
網かけの部分が温室効果ガスの増加と急激な温暖化があったと考えられている時代。

Changes in column inventories of carbon and oxygen in the Atlantic Ocean
T. Tanhua and R. F. Keeling
人為起源のCO2の海水への取り込みは様々な仮定のもとになされてきたが、よりシンプルでより仮定がすくなくてすむ推定法を提示。「DICの貯留率」と「酸素消費補償」に基づいて大西洋におけるDICとO2の増加/減少率を求めたところ、それぞれ +0.86/-0.41 mol/m2/yrで変化していることが分かった。
Tanhua & Keeling (2012)を改変。
観測点(左)と各海盆A~GにおけるDICの増加率(酸素消費の補正後)

Reconstructing skeletal fiber arrangement and growth mode in the coral Porites lutea (Cnidaria, Scleractinia): a confocal Raman microscopy study
M. Wall and G. Nehrke
Confocal Raman microscopy (CRM)を用いてPorites luteaの骨格中の微構造の並びや有機物マトリクスの分布などを調査。成長軸には2つの構造(「付加成長する層」と「指状の象牙質突起(denticle finger-like structures)」)が存在することが明らかになった。

Observed acidification trends in North Atlantic water masses
M. Vázquez-Rodríguez, F. F. Pérez, A. Velo, A. F. Ríos, and H. Mercier
北大西洋で測定された炭酸系の観測記録をもとに、1981 - 2008年の27年間の海洋酸性化の速度を各海盆ごとに求めたところ、亜北極中層水(SAIW)と亜北極モード水(SPMW)がそれぞれ年間「-0.0019 ± 0.0001」「-0.0012 ± 0.0002」の割合で酸性化していることが分かった。特に北大西洋亜寒帯循環(North Atlantic Subpolar Gyre)が人為起源のCO2を吸収した表層水を効果的に深層へと輸送しているため、ラブラドル海を起源とする海水がより酸性化しているこが示された(年間 -0.0016 ± 0.0002)。過去30年間のCO2濃度上昇率だと、CO2濃度が550ppmに達すればラブラドル海の海水はアラゴナイトに関する不飽和状態になることが予想される。
Vázquez-Rodríguez et al. (2012)を改変。
サンプリングが行われた地点(上)と各水塊(下)

Vázquez-Rodríguez et al. (2012)を改変。
各海盆ごとの酸性化の速度。色は水塊(深度)ごとの違い。深層水形成が起きる場所ほど酸性化が早く進行している。

Oxygen isotope ratios in the shell of Mytilus edulis: archives of glacier meltwater in Greenland?
E. A. A. Versteegh, M. E. Blicher, J. Mortensen, S. Rysgaard, T. D. Als, and A. D. Wanamaker Jr.
グリーンランド氷床の融解は全球的な海水準上昇に寄与すると考えられる。しかしながらグリーンランドにおける氷床融解の観測はここ数十年間に限られている。グリーンランド西部に棲息するイガイ(Mytilus edulis)の殻のδ18Oは融水のプロキシになる可能性がある(融水のδ18Oは海水のそれに比べて非常に’軽い’ため)。2007年から2010年にわたる成長部分について測定を行ったところ、融水があったと思われる部分は成長が停止していることが分かった。