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☆主なコンテンツ
1、新着論文 2、論文概説 3、コラム 4、本のレビュー 5、雑記(PC・研究関連)
6、気になった一文集(日本語English) 7、日記(日本語English

2013年1月31日木曜日

新着論文(Nature#7434)

Nature
Volume 493 Number 7434 pp577-714 (31 January 2013)

EDITORIALS
Change for good
利益のための変化
アメリカ合衆国は気候の議論に目を向けさせるために、大いに力を注ぐべきだ。
'the administration should issue strong regulations for power plants and send a message to the coal industry: clean up or fade away.'
'the administration should face down critics of the project, ensure that environmental standards are met and then approve it.'

Inflatable friends
膨らむ友達
研究用の気球を用いて大気を研究することは可能だが、宇宙までは届かない。
先日NASAがこれまでで最も長く(46日間)、南極の39km上空に気球を上げ続けて記録を更新したことを受けて。国際宇宙ステーションまで気球を上げて物資を運ぶという計画も持ち上がっているという。

RESEARCH HIGHLIGHTS
Trapping water from desert fog
砂漠の霧から水を捕獲する
Adv. Mater. http://dx.doi.org / 10.1002/adma.201204278 (2013)
ある高分子でコーティングされた綿の繊維は室温ではスポンジ状になっており、自身の3倍の重さの水を大気中から吸収でき、熱することで再度放出することが可能である。砂漠の大気から水分を抽出する技術などに応用が可能かもしれない。
(※程度によっては国際問題になりそうな印象)

Milky Way shows beetles the light
天の川が甲虫に光を示す
Curr. Biol. http://dx.doi.org/ 10.1016/j.cub.2012.12.034 (2013)
人間や鳥がそうするように、フンコロガシもまた天の川の星の光を頼りに方角を判断しているらしい。星空が広がっているとフンコロガシはまっすぐ進むが、上を見上げる目を覆うとあまりまっすぐ進めなくなる。プラネタリウムで同じように実験を行うと、天の川を頼りに進む方向を決めることが分かった。昆虫が星の光に導かれるのがこの研究で初めて明らかになったが、他の昆虫でも同様の行動を取っているものがいるだろうと推測されている。

Predicting storms in East Asia
東アジアで嵐を予測する
Proc. Natl Acad. Sci. USA http://dx.doi.org/10.1073/ pnas.1214626110 (2013)
モンスーンと熱帯低気圧を予測するのは困難であるが、東アジアに到達するものであればある程度可能かもしれない。西部太平洋を覆う亜熱帯高気圧は夏のモンスーン性の雨や熱帯低気圧の活動度などと相関が良く、モデルシミュレーションを通しても「高気圧の規模・位置」と「太平洋中央部とインド洋の温度」の間に相関が見られた。
>問題の論文
Subtropical High predictability establishes a promising way for monsoon and tropical storm predictions
Bin Wang, Baoqiang Xiang, and June-Yi Lee

Old age, bad sleep, poor memory
年をとるほど、睡眠が妨げられ、記憶力が低下する
Nature Neurosci. http://dx.doi. org/10.1038/nn.3324 (2013)
脳の外皮の細胞数が加齢とともに減少することで、睡眠の質が低下し(深い眠りが阻害される)、長期記憶力が低下することが分かった。この知見から記憶力を増強するための手段が改善するかもしれない。

Turtle arrested development
カメは発達を遅らせる
Am. Nat. http://dx.doi. org/10.1086/668827 (2013)
は虫類の中には元気な子供を産むものがいるが、カメはそうなるようには進化していない。卵管の酸素濃度が低いことが、発達を遅らせている可能性があるという。地上に産みつけるまで卵管に卵を保管しておける能力の説明になるかもしれない。

SEVEN DAYS
※今回は省略

NEWS IN FOCUS
Obama rekindles climate hopes
オバマが気候の希望を再燃させる
Jeff Tollefson

FEATURES
Caught in the act
現場を取り押さえられる
Maggie McKee
もっとも輝かしい年代の、最も際立った太陽系の惑星を我々は見ているのかもしれない。「土星の輪」「エンセラダス」「イオ」「タイタン」について。

A big fight over little fish
少ない魚をめぐる大きな戦い
Brendan Borrell
数十年間にわたって漁業においてサイズの制限が資源管理の一環として行われてきたが、それがかえって状況を悪くしていると考えるものもいる。北極海のタラの例など。

COMMENT
After Einstein: Scientific genius is extinct
アインシュタインののち、科学の天才は絶滅した
「多くの研究グループが新たな科学原理を作る代わりに、知識をうまく処理しているだけなので、自然科学における驚くほどの独創性はもはや過去の遺物になってしまった」とDean Keithは懸念している。

CORRESPONDENCE
how would they survive?
彼らはどうやって生き残る?
Diogo Veríssimo & Laure Cugnière
絶滅した生物を生き返らせても、彼らがどのように生活するか、生態系にどのような影響を及ぼすかが分かっていなければ意味がない。

where will they live?
どこに彼らは住むの?
J. Grant C. Hopcraft, Markus Borner & Daniel T. Haydon
絶滅とは生態系ネットワークの不安定化であり、生物は単に遺伝子の総合ではない。
'Biotechnology has a role in conservation, but it is not the solution to extinction. Instead, we must protect the integrity of ecosystems and their inherent dynamics.'

Concern over US nuclear stewardship
アメリカの原子力管理をめぐる関心
David Sharp & Merri Wood-Schultz

Mauritius threatens its own biodiversity
モーリシャスが自国の生物多様性を脅かす
F. B. Vincent Florens

Sustain the future by doing more with less
なるべく少ない労力で多くの成果を出すことで未来を持続させる
Brian G. Fitzgerald

OBITUARY
Carl Woese (1928–2012)
Harry Noller
生命の第3の界(アーキア;古細菌)の発見者

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RESEARCH
BRIEF COMMUNICATIONS ARISING
Does consumption rate scale superlinearly?
消費速度は線形関係にスケーリングできるだろうか?
Henrique C. Giacomini, Brian J. Shuter, Derrick T. de Kerckhove & Peter A. Abrams
Pawar et al.の食物連鎖のモデル化に対する、観測事実との相違点の指摘。

Pawar et al. reply
Pawar et al.の返答
Samraat Pawar, Anthony I. Dell & Van M. Savage

NEWS & VIEWS
The planetary hypothesis revived
惑星仮説が復活した
Paul Charbonneau
太陽の磁場活動は約11年の周期で周期的に変動している。より長期間の間接指標を用いた復元研究から、天体運動が振幅に影響する可能性に対するヒントが得られるかもしれない。従来太陽内部の物理メカニズムに焦点が当てられてきたが、「太陽の周期を回る惑星の重力トルクが太陽活動の11年周期に影響を及ぼしているという仮説:’planetary hypothesis’」がAbreu et al. (2002)によって再燃した。

The depths of nitrogen cycling
窒素循環の深さ
Maren Voss & Susanna Hietanen
溶存有機窒素の分解は海洋表層の微生物が担っていると考えられてきた。そうした微生物の発見は窒素プールの再評価をする必要性を訴えるほどではない。

ARTICLES
特になし

LETTERS
An old disk still capable of forming a planetary system
古い円盤も依然として惑星系を作ることは可能
Edwin A. Bergin et al.

Divergent global precipitation changes induced by natural versus anthropogenic forcing
自然と人為的なフォーシングによって引き起こされる一致しない全球の降水変化
Jian Liu, Bin Wang, Mark A. Cane, So-Young Yim & June-Yi Lee
気候変動の結果、極域と熱帯域の降水は増し、亜熱帯域の乾燥の度合いは増すと考えられている。しかしその具体的な規模や地域ごとの予測については依然として議論が続いている。古気候記録からは過去の温暖期には太平洋の東西の温度傾度は強化されていたことが示されているが、将来は逆に弱化すると考えられており、食い違っている。
 気候モデルを用いたシミュレーションから、温暖化が日射量によって起きている場合には傾度は増加し、温室効果ガスによって起きている場合には逆に減少することが示された。降水やエネルギーバランスへの影響が異なるため、温暖化が何によって引き起こされるかが気候の特性を決める。

Deep instability of deforested tropical peatlands revealed by fluvial organic carbon fluxes
河川からの有機炭素フラックスから明らかになる破壊された熱帯の泥炭地の深い不安定性
Sam Moore, Chris D. Evans, Susan E. Page, Mark H. Garnett, Tim G. Jones, Chris Freeman, Aljosja Hooijer, Andrew J. Wiltshire, Suwido H. Limin & Vincent Gauci
熱帯の泥炭地には大量の炭素が眠っており(89 PgC)、そのうち65%はインドネシアに存在するが、近年熱帯雨林の開発や焼き畑によって泥炭地から炭素が大気へと放出されている。「手つかずの泥炭地」と「一度擾乱を受けた泥炭地」では、後者の方が50%多く炭素を多く放出することが分かった。DICの放射性炭素年代測定から前者はごく最近の炭素を流出しているが、後者は数百〜数千年ほど古い炭素を放出していることも分かった。1990年以降、東南アジアにおける炭素流出の22%を後者からの炭素放出が担っていることが示され、森林破壊の影響を推定する際には河川からの炭素放出を定量的に評価する必要があることが強調される。