Main contents


☆主なコンテンツ
1、新着論文 2、論文概説 3、コラム 4、本のレビュー 5、雑記(PC・研究関連)
6、気になった一文集(日本語English) 7、日記(日本語English

2013年1月20日日曜日

新着論文(PNAS、BG)

Proceedings of the National Academy of Sciences
☆8 January 2013; Vol. 110, No. 2
特になし

☆15 January 2013; Vol. 110, No. 3
Environmental Sciences
Recurrent jellyfish blooms are a consequence of global oscillations 
Robert H. Condon et al.
定性的にクラゲの個体数の増加は海の環境悪化と捉えられることが多い。長期間にわたる沿岸部のモニタリングの結果からはクラゲの個体数が全球的に増加しているという傾向は認められない。一方でおよそ20年の周期で個体数が変動していることが認められた。長期傾向についてはまだ何も言えないが、数十年に一度訪れるクラゲの被害(漁業・観光・人への被害など)に対して対策を講じる必要がある

☆early edition
Impact of seawater acidification on pH at the tissue–skeleton interface and calcification in reef corals
Alexander A. Venn, Eric Tambutté Michael Holcomb, Julien Laurent, Denis Allemand, and Sylvie Tambutté
海洋酸性化によって骨格と組織の間にある石灰化が起きる場所(subcalicoblastic medium; SCM)のpHが低下することで石灰化が阻害されることが予想されている。ショウガサンゴ(Stylophora pistillata)のpCO2を変化させた飼育実験から、SCMのpH低下が確認されたが、海水のpH低下よりもゆるやかな低下であることが分かった(ΔpHが大きくなっていく)。石灰化速度の低下はpHが7.16まで大きく低下した場合のみ確認された。サンゴは体内のpHを一定に保つ(homeostasis)ことで、海水のpHの変化に対してある程度耐性があると考えられる。

Marine Biology
Effects of feeding and light intensity on the response of the coral Porites rus to ocean acidification
Steeve Comeau, Robert C. Carpenter, Peter J. Edmunds
最近、サンゴの中には海洋酸性化に対しても耐性が強いものがいることが報告されている。パラオハマサンゴ(Porites rus)に対して温度一定で光量とpCO2を変えた海水で飼育実験を行った。3週間実験を行ってもpCO2による石灰化の阻害は確認されず、この種は短期間の高pCO2暴露には強いことが示された。

Biogeosciences
Spatiotemporal variability and long-term trends of ocean acidification in the California Current System
Hauri, C., Gruber, N., Vogt, M., Doney, S. C., Feely, R. A., Lachkar, Z., Leinweber, A., McDonnell, A. M. P., Munnich, M., and Plattner, G.-K.
モデルシミュレーション(Regional Oceanic Modeling System: ROMS)を用いてカリフォルニア海流系(California Current System: CCS)の1995-2050年と産業革命以降の海洋酸性化を再現。物理・生物学的な側面からCCSのpH変動は大きく、季節性も0.14ほどの(Ωだと0.2程度)変動幅を持っている。現在のpHとΩは既に産業革命前の自然変動から逸脱したレベルに達しており(ただし±1σ)、2030年代後半〜2040年中頃にはさらに現在の変動からも逸脱したレベルになることが示された。沿岸部ではもう少し早く起きると予想される。モデルはΩを大きく見積もる傾向があるため、実際にはもっと逸脱するのは早いかもしれない。

(以下はabstractからの引用文)
Overall, our study shows that the CCS joins the Arctic and Southern oceans as one of only a few known ocean regions presently approaching the dual threshold of widespread and near-permanent undersaturation with respect to aragonite and a departure from its variability envelope. In these regions, organisms may be forced to rapidly adjust to conditions that are both inherently chemically challenging and also substantially different from past conditions.

全体として、我々の研究は「CCSが北極海と南大洋のようなあまりよく分かっていない海域と同じ状態になりつつあること(アラゴナイトに関して不飽和な状態が広範囲かつほぼ絶えず起きつつある)」と、「自然変動の範囲から逸脱していること」を示している。これらの海域では、化学的に攻撃的であり過去の状態とは大きく異なる海水に対して、生物は早く適応することを余儀なくされるかもしれない。