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☆主なコンテンツ
1、新着論文 2、論文概説 3、コラム 4、本のレビュー 5、雑記(PC・研究関連)
6、気になった一文集(日本語English) 7、日記(日本語English

2013年1月15日火曜日

新着論文(最近のELSEVIER色々)

◎Palaeogeography, Palaeoclimatology, Palaeoecology
The Suess effect in Fiji coral δ13C and its potential as a tracer of anthropogenic CO2 uptake
Emilie P. Dassié, Gavin M. Lemley, Braddock K. Linsley
大気中CO2が海水のDICに溶け込むことでδ13Cが変化するが、特に人為起源のCO2(化石燃料由来は軽いδ13Cを持つ)がDICのδ13Cをより軽くする効果(Suess効果)が知られている。フィジーで得られたハマサンゴを用いてSuess効果を復元。季節変動は日射量の変化が原因として考えられるが、100年スケールの変動は日射量では説明できない。可能性として深度の変化がδ13Cに影響している可能性が考えられ、本来の大気のδ13Cのシグナルが減衰している可能性がある。また大気のδ13CO2に比べて、サンゴ骨格のδ13C変動は10年程度遅れており、DICの大気CO2の同位体平衡の従来のモデルとも整合的である。

Calcareous plankton and geochemistry from the ODP site 1209B in the NW Pacific Ocean (Shatsky Rise): New data to interpret calcite dissolution and paleoproductivity changes of the last 450 ka
Manuela Bordiga, Luc Beaufort, Miriam Cobianchi, Claudia Lupi, Nicoletta Mancin, Valeria Luciani, Nicola Pelosi, Mario Sprovieri
北西太平洋(日本の東部)のシャツキー海台(Shatsky Rise)で得られた堆積物コア(ODP1209B)を用いて過去450kaの石灰質化石の溶解の度合いや一時生産量を推定。Marino et al. (2009)によって得られた指標(NDI)が最もよく溶解を保存していると考えられる。それによると退氷期に最も良く保存状態が良いことが示された。逆に保存状態が悪いのは氷期の入りと暖かい間氷期に起きていた。保存状態を決定しているのは海洋化学の氷期-間氷期スケールの変動であると考えられる。

◎Earth and Planetary Science Letters
Growth-rate influences on coral climate proxies tested by a multiple colony culture experiment
Erika Hayashi, Atsushi Suzuki, Takashi Nakamura, Akihiro Iwase, Toyoho Ishimura, Akira Iguchi, Kazuhiko Sakai, Takashi Okai, Mayuri Inoue, Daisuke Araoka, Shohei Murayama, Hodaka Kawahata
Porites australiensisの長期間にわたる飼育実験から、いわゆる生体効果や成長量などがδ18O、δ13C、Se/Caに与える影響を評価。成長率が2 - 10 mm/yrと変化してもδ18Oの最低値(つまり夏の高水温)の個体間変動は見られなかったが、一方で群体の健康状態(ストレスなど)に応じてδ18O変動が存在することが確認された。Sr/Caにはその影響が小さく、より確かな水温指標になることが示唆される。またδ13Cは成長率が小さいサンゴ個体ほど正にシフトしており、石灰化における速度論的同位体効果として捉えることができる。

◎Geochimica et Cosmochimica Acta
Micron-scale intrashell oxygen isotope variation in cultured planktic foraminifers
Lael Vetter, Reinhard Kozdon, Claudia I. Mora, Stephen M. Eggins, John W. Valley, Bärbel Hönisch, Howard J. Spero
温度一定で飼育した浮遊性有孔虫(Orbulina universa)の殻δ18Oを12時間の時間解像度でSIMSで現場測定。さらに同じ殻をLA-ICPMSでもδ18Oを測定したところ、測定手法間の差異はほとんど見られなかった。

Fluoride in non-symbiotic coral associated with seawater carbonate
Kentaro Tanaka, Tomonori Ono, Yoshimi Fujioka, Shigeru Ohde
日本の土佐湾の深さ185-350mから採取された扇状のサンゴ(Flabellum coral)のF/Caは水深とともに増加する。F/Caは[CO32-]の指標として使える可能性がある。

Exploring the usability of isotopically anomalous oxygen in bones and teeth as paleo-CO2-barometer
Andreas Pack, Alexander Gehler, Annette Süssenberger
陸上ほ乳類の骨格アパタイト(歯のエナメルなど)中の3つの酸素同位体が過去のpCO2のプロキシになるかを評価。EoceneからMioceneにかけて復元を行ったところ、既存の他の復元結果やモデルとも整合的。新たなプロキシの不確実性の大部分は生理学的な要素。

◎Deep Sea Research Part II
Interannual variability in sea surface temperature and fCOchanges in the Cariaco Basin
Y.M. Astor, L. Lorenzoni, R. Thunell, R. Varela, F. Muller-Karger, L. Troccoli, G.T. Taylor, M.I. Scranton, E. Tappa, D. Rueda
カリアコ海盆(ベネズエラ沖)における1996年から2008年にかけてのSST・fCO2の長期モニタリングの成果。季節変動は深層水の湧昇によってもたらされている。また長期的にはSSTが13年間で「1.13 ℃」上昇しており、一方でfCO2も「1.77 ± 0.43 μatm/yr」の割合で上昇している。fCO2の温度依存性を考慮すると、カリアコ海盆におけるfCO2の上昇の72%は温度上昇によって起きていると推定される。一方カリアコ海盆では湧昇の弱化によって植物プランクトン種が変化しつつある。

Global and Planetary Change
Ocean's Response to Changing Climate: Clues from Variations in Carbonate Mineralogy Across the Permian–Triassic Boundary of the Shareza Section, Iran
Ezat Heydari, Nasser Arzani, Mohammad Safaei, Jamshid Hassanzadeh
イランのP/T境界の地層の調査から、当時の海洋炭酸系の変化を復元。ペルム紀の終わりには炭酸塩の形成が停止し、その後三畳紀の始めに再開していた。海水の化学変化は3つの段階に分けて考えることができる。