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☆主なコンテンツ
1、新着論文 2、論文概説 3、コラム 4、本のレビュー 5、雑記(PC・研究関連)
6、気になった一文集(日本語English) 7、日記(日本語English

2013年7月29日月曜日

新着論文(AGU, EGU)

G3
Inter-laboratory study for coral Sr/Ca and other element/Ca ratio measurements
Ed C. Hathorne, Alex Gagnon, Thomas Felis, Jess Adkins, Ryuji Asami, Wim Boer, Nicolas Caillon, David Case, Kim M. Cobb, Eric Douville, Peter deMenocal, Anton Eisenhauer, C.-Dieter Garbe-Schönberg, Walter Geibert, Steven Goldstein, Konrad Hughen, Mayuri Inoue, Hodaka Kawahata, Martin Kölling, Florence Le Cornec, Braddock K. Linsley, Helen V. McGregor, Paolo Montagna, Intan S. Nurhati, Terrence M. Quinn, Jacek Raddatz, Hélène Rebaubier, Laura Robinson, Aleksey Sadekov, Rob Sherrell, Dan Sinclair, Alexander W. Tudhope, Gangjian Wei, Henri Wong, Henry C. Wu, Chen-Feng You
サンゴ骨格のSr/Caは良い水温計になることが知られている。21の研究室で同一のサンゴ標準資料(JCp-1)のSr/Ca測定の結果を比較したところ、有意に差が認められ、極端な場合7℃もの差に繋がっていることが示された。推奨される値は8.838 ± 0.089 mmol/molで、95%の信頼区間で1.5℃のSST推定誤差に繋がる。こうした差異を軽減するために研究室間で統一した標準試料の測定を行い、補正をすることが必要である。

GRL
Interannual variations in degree-two Earth's gravity coefficients C2,0, C2,2 and S2,2 reveal large-scale mass transfers of climatic origin
B. Meyssignac, J.M. Lemoine, M. Cheng, A. Cazenave, P. Gégout, P. Maisongrande
数年スケールの気候変動によって、地球上の質量の変化が重力場の変化として人工衛星から捉えられている。1993-2012年の観測記録から、1997/1998年のエルニーニョ時に赤道太平洋の質量が増加、アマゾン川流域の水資源量の低下、コンゴ川流域の水資源量の増加が確認された。

Does the mid-Atlantic United States sea-level acceleration hot spot reflect ocean dynamic variability?
Robert E. Kopp
大西洋中緯度地域に位置するアメリカの検潮所における海水準の記録は1975年以来、同地域が全球平均と比較してもかなり速い上昇を示している。各検潮所の記録を解析し、ローカル・グローバルな記録、長期的・短期的な記録とを分けたところ、AMO、NAO、Gulf Stream North Wall指数などとの相関が見られた。

Advective timescales and pathways of agulhas leakage
Siren Rühs, Jonathan V. Durgadoo, Erik Behrens, Arne Biastoch
近年、Agulhas海流の大西洋への漏れ出し(Agulhas leakage)の量が増加しており、それはAMOCにも影響を及ぼすと考えられている。かなりの量のAgulhas leakageが遠く北大西洋亜熱帯地域にまで影響していることが渦を解像できる海洋循環モデルから示された。時間のラグが10-20年程度と大きいため、20年内にメキシコ湾流への影響が生じると思われる。

JGR-Oceans
Coupled nitrate nitrogen and oxygen isotopes and organic matter remineralization in the Southern and Pacific Oceans
Patrick A. Rafter, Peter J. DiFiore, Daniel M. Sigman
南大洋太平洋セクターの各水塊(SO〜SAMW〜CDW)の硝酸塩のδ15Nとδ18Oの測定結果について。窒素循環、生物活動・分解、海洋循環を理解するのに使えるらしい。

Processes controlling upper-ocean heat content in Drake Passage
Gordon R. Stephenson Jr., Sarah T. Gille, Janet Sprintall
XBTを用いた16年間に及ぶDrake PassageにおけるCTD観測記録について。表層の変則的な熱フラックスは上流域の子午面方向の風によると思われ、それはさらに遡るとENSOやSAMの影響であると思われる。

Air-sea CO2 fluxes in the near-shore and intertidal zones influenced by the California Current
Janet J. Reimer, Rodrigo Vargas, Stephen V. Smith, Ruben Lara-Lara, Gilberto Gaxiola-Castro, J. Martin Hernandez-Ayon, Angel Castro, Martin Escoto-Rodriguez, Juan Martínez-Osuna
Baja Californiaの沖3km以内で測定された2009年の1年間のfCO2の観測記録をもとに大気-海洋のCO2フラックスを推定。年間を通じて3km沖はCO2の放出源となっており、またSSTとも負の相関が見られることから。中間規模の海洋現象(湧昇)が重要であると推定される。また岸から1.6km以内は沖よりも4倍も大きなfCO2が確認された。沿岸部でも岸からの距離によって大きく変動幅・変動要因も異なるため、より詳細に測定を行う必要がある。

Seasonal to interannual variations in the intensity and central position of the surface Kuroshio east of Taiwan
Yi-Chia Hsin, Bo Qiu, Tzu-Ling Chiang, Chau-Ron Wu
1993-2012年の台湾東部における黒潮の強度及び中心位置の変動を人工衛星による高度観測から評価。

Paleoceanography
Dansgaard-Oeschger cycles: Interactions between ocean and sea ice intrinsic to the Nordic Seas
Trond M. Dokken, Kerim H. Nisancioglu, Camille Li, David S. Battisti, Catherine Kissel
DOイベントの原因についてはAMOCとの関係が広く指摘されているものの、まだ完全には分かっていない。Nordic Seaで採取された堆積物記録を用いて海氷量やIRDを復元。従来の知見とは逆に、亜間氷期に淡水流入量の増加が確認され、ローレンタイド氷床というよりはフェノスカンジナビア氷床由来と思われる。暖かい亜表層水と冷たい表層水の密度が生み出す熱塩バランスがDOイベントには重要であった?

GBC
Water column denitrification rates in the oxygen minimum layer of the pacific ocean along 32°S
Il-Nam Kim, Dong-Ha Min, Alison M. Macdonald
南太平洋の23ºSに沿った海洋観測記録から、海洋窒素循環を考察。ペルーに発達する酸素極小層(OMZ)における脱窒に比べると2〜3倍小さい脱窒が確認された。

Exploring global nitrogen and phosphorus flows in urban wastes during the twentieth century
A.L. Morée, A.H.W. Beusen, A.F. Bouwman, W.J. Willems
20世紀以降に人間活動(農業・工業など)によって海洋へもたらされた窒素やリンの量をモデルシミュレーションを用いて評価。

Climate of the Past
Inter-annual tropical Pacific climate variability in an isotope-enabled CGCM: implications for interpreting coral stable oxygen isotope records of ENSO
T. Russon, A. W. Tudhope, G. C. Hegerl, M. Collins, and J. Tindall
同位体を組み込んだGCMを用いて、赤道太平洋の海水δ18O変動とサンゴ骨格δ18O-SST関係を評価。赤道西太平洋のδ18Oswには大きな年々変動が見られるため、サンゴδ18O-SSTのキャリブレーションが必要不可欠である。またδ18O-SST関係は線形ではないため、中央・西赤道太平洋のδ18Oを用いたSSTアノマリの復元では特に大きなエルニーニョ時には過大評価している可能性がある。

A 350 ka record of climate change from Lake El'gygytgyn, Far East Russian Arctic: refining the pattern of climate modes by means of cluster analysis
U. Frank, N. R. Nowaczyk, P. Minyuk, H. Vogel, P. Rosén, and M. Melles
ロシア極東に位置するEl’gygytgyn湖で採取された堆積物コアのMS・TOC・CIA(chemical index of alteration)を用いて過去350kaの環境変動と全球気候変動との関係性を評価。

Influence of dynamic vegetation on climate change and terrestrial carbon storage in the Last Glacial Maximum
R. O'ishi and A. Abe-Ouchi
 植生モデルを組み込んだGCMを用いてLGMの植生フィードバックの大きさを評価。植生フィードバックによってLGMの寒冷化が13.5%強化されたと思われる。特に北半球高緯度のツンドラ地帯の拡大と中緯度の砂漠化によるアルベドの変化が大きい。
 さらに炭素循環モデルとも組み合わせたところ、陸域の炭素保存量がLGMには597PgC(CO2換算で282ppm)減少していたことが示唆される。内訳としては、気温降水量の変化で502PgCの低下、氷床の拡大で388PgCの低下、大陸棚の露出で293PgCの増加らしい。他のモデルに比べると過大評価している可能性があるという。

Importance of precipitation seasonality for the interpretation of Eemian ice core isotope records from Greenland
W. J. van de Berg, M. R. van den Broeke, E. van Meijgaard, and F. Kaspar
グリーンランドアイスコアが記録しているEemianのδ18Oは3‰高く、数度気温が上昇していたことを物語っている。地域的な気候モデルを用いて温度以外の変動要因を評価。気温の変化なしに、降水の季節性の変化だけで凝結温度を2℃変化させうることが示された。

A comparative study of large-scale atmospheric circulation in the context of a future scenario (RCP4.5) and past warmth (mid-Pliocene)
Y. Sun, G. Ramstein, C. Contoux, and T. Zhou
もっとも温暖化のアナログに近い地質時代であるPliocene中期頃の気候と、RCP4.5排出シナリオに基づいて予測された近未来の温暖化とを比較。特にハドレー・ウォーカー循環などの大気循環の変化に着目。ハドレーセルは亜熱帯域で強化され、さらに極側にシフトすること、Pliocene中期頃の気候とも概ね整合的であることが示された。一方ウォーカーセルは食い違いが見られたが、共通するのは西赤道太平洋の上昇流が弱化し、降水量の低下に繋がることである。