Main contents


☆主なコンテンツ
1、新着論文 2、論文概説 3、コラム 4、本のレビュー 5、雑記(PC・研究関連)
6、気になった一文集(日本語English) 7、日記(日本語English

2013年7月14日日曜日

新着論文(MPB, PLOSone, GRL)

Marine Pollution Bulletin
Detrimental effects of reduced seawater pH on the early development of the Pacific abalone
Jiaqi Li, Zengjie Jiang, Jihong Zhang, Jian-Wen Qiu, Meirong Du, Dapeng Bian, Jianguang Fang
海洋酸性化がエゾアワビ(Pacific abalone; Haliotis discus hannai)の孵化の時間を長くし、胚の発展を低下させることが示された。また奇形率も大きく増加した。着床率も低下することが示された。全体として、pHが0.3までの低下であれば際立った影響は見られないが、それ以上になると大きな悪影響が生じると思われる。

Climate change impacts on coral reefs: Synergies with local effects, possibilities for acclimation, and management implications
Mebrahtu Ateweberhan, David A. Feary, Shashank Keshavmurthy, Allen Chen, Michael H. Schleyer, Charles R.C. Sheppard
気候変化がサンゴ礁に与える影響は、海洋酸性化や温暖化などが個々に与える影響の評価はなされているものの、それらの相互作用が与える影響としてはほとんど評価されていない。様々な要因(白化・酸性化・病気)の相互作用がサンゴ礁の様々な過程(生存・成長・繁殖・幼生の発達・着床・着床後の発達)に与える影響をレビュー。

PLoS one
Symbiodinium Community Composition in Scleractinian Corals Is Not Affected by Life-Long Exposure to Elevated Carbon Dioxide
Sam H. C. Noonan, Katharina E. Fabricius, Craig Humphrey
海洋酸性化がサンゴ礁に負の影響を与えると考えられているが、サンゴ-褐虫藻の共生関係に与える影響はよく分かっていない。褐虫藻のタイプによって応答が変わるかどうかをパプアニューギニアの火山性酸性化サイトにて調査した。タイプによる変化は特に確認されなかったことから、サンゴが気候変化に順化する可能性は低いと思われる。

Adverse Effects of Ocean Acidification on Early Development of Squid (Doryteuthis pealeii)
Maxwell B. Kaplan, T. Aran Mooney, Daniel C. McCorkle, Anne L. Cohen
海洋酸性化がアラゴナイトでできた甲や平衡石(statolith)をもった頭足類(イカなど)に与える影響はよく分かっていない。生態的にも漁業活動的にも重要なアメリカケンサキイカ(Atlantic longfin squid; Doryteuthis pealeii)の卵を酸性化海水下で孵化させたところ、孵化の時間と外套膜(mantle)の長さにわずかな変化が見られた。また平衡感覚や動きを検出する器官である平衡石の表面積が著しく減少し、異質な形状が確認された。
※ただし、pCO2=2,200μatmというかなり極端な設定での酸性化実験になっています。イカは生物の半数に食べられるor半数を食べているということで、海洋生態系的に非常に重要ということらしいです。

Behavioural disturbances in a temperate fish exposed to sustained high-CO2 levels
Jutfelt F., Bresolin de Souza K., Vuylsteke A. & Sturve J.
酸性化実験から、イトヨ(three-spined stickleback; Gasterosteus aculeatus)の行動(図太さ、探査行動、学習など)に海洋酸性化が影響することが示された。熱帯域の魚だけでなく温帯域の魚にも影響するかも?
※こちらはpCO2=991μatmでの実験。

GRL
Characterizing decadal to centennial variability in the equatorial Pacific during the last millennium
T. R. Ault, C. Deser, M. Newman, J. Emile-Geay
古気候記録とCMIP5の気候モデルを用いた過去1,000年間の赤道太平洋のSST変動とを比較したところ、食い違いが見られた。モデルで組み込まれていないプロセスか、古気候記録に影響する気候以外の要因(nonclimatic proxy processes)のどちらかが原因と考えられる。まだ気候モデルで再現できていない100年スケールの気候変動があることから、モデルを用いた赤道域の将来予測の不確実性はかなり大きいと思われる。

Inter-annual variability in tropospheric nitrous oxide
R. L. Thompson, E. Dlugokencky, F. Chevallier, P. Ciais, G. Dutton, J. W. Elkins, R. L. Langenfelds, R. G. Prinn, R. F. Weiss, Y. Tohjima, P. B. Krummel, P. Fraser, L. P. Steele
対流圏のN2Oは数年規模の変動が見られる。CFC-2やSF6の変動ともよい相関が見られることから、大気循環の影響が大きいと思われる。N2O変動とENSOや降水・土壌湿度・気温などの気候変数との間にも有為な相関が見られることから、気候が重要な変動要因と考えられる(従来成層圏-対流圏輸送の指標と考えられていたらしい)。

Quantifying recent acceleration in sea level unrelated to internal climate variability
F. M. Calafat, D. P. Chambers
ここ20年間、海水準上昇速度は加速しているものの、それが自然の十年規模変動なのか人為起源の変動なのかははっきりとしていない。大気圧・風・気候指数をインプットとして1952-2011年の海水準変動をモデルシミュレーションし、世界の9つの検潮所の記録と比較した。気候内部の変動(internal climate variability)を取り除いたところ、統計的に有為な加速が確認された。また加速が時間とともに増していることも確認された。