Main contents


☆主なコンテンツ
1、新着論文 2、論文概説 3、コラム 4、本のレビュー 5、雑記(PC・研究関連)
6、気になった一文集(日本語English) 7、日記(日本語English

2013年7月1日月曜日

新着論文(GRL, JGR, EPSL)

GRL
Strengthening of ocean heat uptake efficiency associated with the recent climate hiatus
Masahiro Watanabe, Youichi Kamae, Masakazu Yoshimori, Akira Oka, Makiko Sato, Masayoshi Ishii, Takashi Mochizuki, Masahide Kimoto
近年温暖化の進行速度は低下している。GCMを用いてそのハイエタスの原因を調べたところ、海洋の熱吸収が原因であることが示された。海洋の熱吸収効率(κ)が低下していることが分かり、それがモデルが地表温度の上昇を高く見積もっていることの原因であることも分かった。じきにハイエタスが終了し、温暖化に向かうと予測される。

When will the summer Arctic be nearly sea ice free?
James E. Overland, Muyin Wang
過去7年間に失われた北極海の海氷の量は1979-2000年平均の49%に相当するもので、数年前になされたモデル予測を凌ぐものである(モデル予測では2070年に夏の海氷が消失するとされていた)。見直された予測からは、2020年以前〜2040年以降と手法ごとに異なる結果が得られている。少なくともCMIP5の予測はあまりに保守的な予測結果となっている。

Shipping contributes to ocean acidification
Ida-Maja Hassellöv, David R. Turner, Axel Lauer, James J. Corbett
船が通ることによる、SOxやNOxを起源とするローカルな海洋酸性化を評価したところ、航行が激しい海域においては、CO2によって引き起こされるのと同じ規模のものが生じる可能性が示唆される。

Recent snowfall anomalies in Dronning Maud Land, East Antarctica, in a historical and future climate perspective
Jan T. M. Lenaerts, Erik van Meijgaard, Michiel R. van den Broeke, Stefan R. M. Ligtenberg, Martin Horwath, Elisabeth Isaksson
東南極への降雪量の増加は海水準上昇を打ち消す働きがある。近年、東南極Dronning Maud Landにおいて降雪量が大きく変化していることが報告されている。大気モデル・アイスコア・重力観測記録から、人国衛星観測が始まった1979年以来、類を見ない変動であることが示された。かなり前の時代には見られるものの、少なくとも過去60年間では起きていないものであるという。モデル予測からは21世紀を通してますます増加すると予想された。

Impact of CO2 fertilization on maximum foliage cover across the globe's warm, arid environments
Randall J. Donohue, Michael L. Roderick, Tim R. McVicar, Graham D. Farquhar
CO2濃度上昇による植物の光合成に対する施肥効果が予想されており、それは人工衛星観測から分かっている緑化の増加と整合的である。ガス交換理論から、2082-2010年の大気中CO2濃度上昇が14%の温暖で乾燥した地域の緑化に繋がったことが示された。人為起源の炭素循環への擾乱と同時並行して施肥が進行していると考えられる。

Rapid ice melting drives Earth's pole to the east
J. L. Chen, C. R. Wilson, J. C. Ries, B. D. Tapley
宇宙からの測地学的な観測から、極の位置が東へと動き始めていることが示されている。GRACEによる観測は、その90%は極の氷床や山岳氷河の融解が海水準上昇を招いていることによって説明できることを示している。従って、極の移動をより精度良く測定することによって、全球スケールの氷の融解と海水準上昇を調べる別のツールができると期待される。

JGR-o
Entrainment-driven modulation of Southern Ocean mixed layer properties and sea ice variability in CMIP5 models
Sally E. Close, Hugues Goosse
RCP4.5シナリオに基づいた将来予測結果(CMIP5)を分析し、南大洋表層の水循環構造に与える影響が評価された。表層への淡水フラックスが上昇することで、成層化が強化されることが予想される。海洋の熱は大気の温暖化と温度躍層下部からの熱供給によって、塩分は温度躍層下部からの対流entrainmentによって支配されると考えられる。海氷の変動には熱供給がもっとも重要であると思われる。

Examining the global record of interannual variability in stratification and marine productivity in the low-latitude and mid-latitude ocean
Apurva C. Dave, M. Susan Lozier
温暖化によって、海洋の成層化が強化されることで下層からの栄養塩供給が抑えられ、海洋一次生産は低下すると予想されている。塩分とクロロフィル濃度の全球観測記録から、亜熱帯域では明瞭な関係は見られず、一方で赤道太平洋では負の相関が確認された。長期的な傾向は表層よりも亜表層の温暖化が早く進行していることを示しており、そのために成層化は逆に減少している。従って、これらの結果から、単に温暖化が成層化を強化するという推察は誤っているということになる。

Variability and trends of ocean acidification in the Southern California Current System: A timeseries from Santa Monica Bay
A. Leinweber, N. Gruber
Santa Monica Bayにおける6年間の2週間ごとの観測記録から、カリフォルニア海流系の南部における海洋酸性化の傾向を評価。上層20mの平均値は亜熱帯循環のpHやΩargの変化とほぼ同程度であるものの、ローカルな湧昇や渦の変動によって、時間変動は5倍は大きいことが示された。不飽和面は平均して130深にあるが、時折30m深まで上昇している。酸性化の進行速度は大気中のCO2濃度上昇速度から期待されるものとほぼ合っている。季節変動を除外した変動の50%はENSOによるものだと考えられる。

EPSL
Recent changes in the flow of the Ross Ice Shelf, West Antarctica
Christina L. Hulbe, Ted A. Scambos, Choon-Ki Lee, Jennifer Bohlander, Terry Haran
Ross棚氷の流動速度と中解像度の画像記録(MODIS)から、過去30年間に広い範囲で速度が減少していること、一部で加速していることが示された。ICESatのレーザー観測記録から氷の厚さを求め、さらにメカニズムを調査したところ、過去1,000年間の自然変動と、近年のフォーシングの両方が組み合わさっていることが示された。

Seasonal Mg/Ca variability of N. pachyderma (s) and G. bulloides: Implications for seawater temperature reconstruction
Lukas Jonkers , Patricia Jiménez-Amat , P. Graham Mortyn , Geert-Jan A. Brummer
北大西洋でなされたセジメント・トラップの記録をもとに、N. pacyderma (s)とG. bulloidesのMg/Ca・δ18Oの季節変動を評価。δ18OはSSTの季節変動によって主に変動していたが、一方でMg/Caは2種間で大きく異なる値を示し、季節変動は明瞭には確認されなかった。Mg/Caの季節性が見られない理由はまだはっきりとは分からないが(生息深度でもない)、何らかの生体効果が働いていると思われる。高緯度域のSST復元は注意する必要がある。