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☆主なコンテンツ
1、新着論文 2、論文概説 3、コラム 4、本のレビュー 5、雑記(PC・研究関連)
6、気になった一文集(日本語English) 7、日記(日本語English

2013年6月23日日曜日

新着論文(GRL, GPC, GBC, EPSL, DSR1, JC)

GRL
A new constraint on global air-sea CO2 fluxes using bottle carbon data
Tristan P. Sasse, Ben I. McNeil, Gab Abramowitz
WOCEとCLIVARが集めた海洋の混合層のボトル海水のpCO2データ17,800点を用いて、各海域の大気海洋間のCO2フラックスを推定。南半球は北半球に比べて5倍ものCO2を吸収していることが分かった。海洋のCO2の吸収量は1.55 ± 0.32 PgC/yrと推定される。

Aragonite Saturation State Dynamics in a Coastal Upwelling Zone
Katherine E. Harris, Michael D. DeGrandpre, Burke Hales
沿岸湧昇域は湧昇する低いΩを持った海水の影響もあわさって、海洋酸性化の影響を特に受ける海域である。Oregon大陸棚に設置された自動観測器によって得られた2007〜20011年にかけてのpH、pCO2データを解析。表層水のΩargは0.66〜3.9まで変動していた。春や秋には生物活動もあわさってΩargは1.0〜4.0と変動。春には淡水流入の影響でΩargはさらに低下した。冬はわりと単純に水塊の混合だけで説明されると思われる。

Recent warming at Summit, Greenland: Global context and implications
Daniel McGrath, William Colgan, Nicolas Bayou, Atsuhiro Muto, Konrad Steffen
グリーンランド頂上部の気温は1982-2011年にかけて年間0.09 ± 0.01 ℃で上昇しており、世界平均の6倍の速度である。平衡線の高度(elevation of the equilibrium line)と乾燥雪線(dry snow line)はそれぞれ44、35 m/yrで上昇した。2025年までに50%の確率で乾燥雪線が水が染み出る地帯(percolation facies)へと変化すると予想される。

Abyssal connections of Antarctic Bottom Water in a Southern Ocean State Estimate
Erik Sebille, Paul Spence, Matthew R. Mazloff, Matthew H. England, Stephen R. Rintoul, Oleg A. Saenko
南極底層水(AABW)は南極周辺の限られた海域で生成されるが、それぞれに異なった温度塩分を持つ。AABWはその後亜熱帯域の海底へと広がってゆくが、それぞれのAABWが31ºSに達する前に合併すると考えられる。その際にAABWの70%は南極を少なくとも一周することから、南極周回流が重要な役割を持っていると思われる。従ってその十年〜百年規模の変動はAABWの輸送に大きく影響すると思われる。

Sensitivity of the oceanic carbon reservoir to tropical surface wind stress variations
N. N. Ridder, K. J. Meissner, M. H. England
熱帯域のウォーカー循環が海洋炭素循環に与える影響をモデルシミュレーションから評価。貿易風を10%、20%、30%増加/弱化させたところ、赤道偏東風が強いときには全球の海洋の炭素吸収量が減少した。逆に貿易風が弱いときには吸収量は増加した。非線形関係には生物ポンプの変化が重要な役割を負っている。

Rapid loss of firn pore space accelerates 21st century Greenland mass loss
J. H. van Angelen, J. T. M. Lenaerts, M. R. van den Broeke, X. Fettweis, E. Meijgaard
南極氷床における近年の質量損失の大半は氷河流出量の増大が担っている。一方でグリーンランド氷床のそれの55%は表面融解が担っていると思われる。しかし表面で融解した水の40%は再び凝結すると考えられている。モデルシミュレーションから、RCP4.5シナリオの下では、21世紀末にはフィルンの間隙が減少することで、再凝結の緩衝作用が減少することが示された。その結果、グリーンランド氷床の融解量が増大し、21世紀末における海水準上昇への寄与は現在の4倍になると推定される(年間1.7 ± 0.5 mm)。

GPC
Has the Northern Hemisphere been warming or cooling during the boreal winter of the last few decades?
Juan C. Jiménez-Muñoz, José A. Sobrino, Cristian Mattar
IPCCの報告書によると北半球の冬の気温は上昇していると言われるが、実際には広い範囲でここ最近の寒冷化が報告されたりもしている。いくつかのデータセットを用いて過去30年間北半球の冬の温度変化を再評価したところ、ほぼ平衡〜弱い温暖化の傾向が見られた。グリーンランドだけは例外的に広範囲で有為な温暖化が確認された。

GBC
Winners and losers: Ecological and biogeochemical changes in a warming ocean
S. Dutkiewicz, J. R. Scott, M. J. Follows
生態系モデルと地球システムモデルを組み合わせて、将来の温暖化が光合成植物プランクトンコミュニティーに与える影響を評価。直接効果(温度変化が代謝に与える影響)と間接効果(微量栄養塩の供給・光環境の変化)のバランスによって決まると思われる。全球平均的には釣り合っているものの、地域的には複雑に両者の強弱が生物生産を制御している。植物プランクトンの中でも勝者と敗者が生まれると思われる。温暖化した世界で何が起きるかの中で最も確実な予測は、植物プランクトンの組成の変化が起きるということである。

EPSL
The “MIS 11 paradox” and ocean circulation: Role of millennial scale events
Natalia Vázquez Riveiros, Claire Waelbroeck, Luke Skinner, Jean-Claude Duplessy, Jerry F. McManus, Evgenia S. Kandiano, Henning A. Bauch
氷期から間氷期へと移行するターミネーション(ⅠとⅤに着目)の際の氷床の最後の挙動を北・南大西洋の堆積物コア中のIRDから復元。ターミネーションⅤ(MIS11への移行期)には最終退氷期のHS1よりも強く・長く続くハインリッヒ・イベントがあり、さらにバイポーラー・シーソーも確認された。大きなハインリッヒ・イベントはより多くの氷床崩壊によって、より長い継続期間はAMOCがより長く停滞していたことが原因と思われる。その後のAMOCのオーバーシュートがMIS11が現在の間氷期よりも温暖であったことの説明になるかもしれない。

Riverine silicon isotope variations in glaciated basaltic terrains: Implications for the Si delivery to the ocean over glacial–interglacial intervals
S. Opfergelt, K.W. Burton, P.A.E. Pogge von Strandmann, S.R. Gislason, A.N. Halliday
海洋一次生産は主に珪藻が担っており、それは河川からのケイ素の供給量によってコントロールされている。河川水のδ30Si測定から、玄武岩の集水域を流れる河川と直接氷河から海へと流れ込む河川とでSiの量とδ30Siの値が異なることが示された。南大洋の堆積物コアのδ30Siを再評価してみたところ、もし氷期-間氷期スケールで海水のδ30Siが変化していたとすると、少なからず影響していたと思われる。δ30Siからより厳密なケイ酸の利用効率の復元を行う際には考慮すべきである。

DSR1
From circumpolar deep water to the glacial meltwater plume on the eastern Amundsen Shelf
Y. Nakayama, M. Schröder, H.H. Hellmer
Pine Island棚氷からの淡水フラックスは1990年代以降増加しており、氷床力学・海水準・周辺の水塊特性に影響している。融解の原因は下から暖かい水(CDW)が谷底を通って貫入していることと考えられている。2010年の航海データをもとに、CDWが貫入する経路・棚氷の融解量・融水のその後を調査した。2010年の融解量は30mと推定され、先行研究の報告値とも整合的である。2000年の記録と比較すると、CDWがより暖かく、より厚くなっており、より貫入が強化されていると思われる。

Journal of Climate
Twentieth-Century Oceanic Carbon Uptake and Storage in CESM1(BGC)
Matthew C. Long, Keith Lindsay, Synte Peacock, J. Keith Moore, Scott C. Doney
地球システムモデル(CESM1)を用いて海洋のCO2フラックスをシミュレーションしたところ、観測との非常に良い対応が確認された。しかし南大洋のものは大きな食い違いが見られ、特に亜南極帯と海氷帯で顕著だった。人為起源CO2の取り込みは南半球における水塊形成に大きく支配されているが、それがモデルでうまく再現できていないことでCantとCFCの大きなバイアスが特に中層水で生まれている。