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☆主なコンテンツ
1、新着論文 2、論文概説 3、コラム 4、本のレビュー 5、雑記(PC・研究関連)
6、気になった一文集(日本語English) 7、日記(日本語English

2013年6月12日水曜日

新着論文(JGR, DSR, MM, PALAEO3, QSR)

JGR-atm
An observed negative trend in West Antarctic accumulation rates from 1975 to 2010: Evidence from new observed and simulated records
Landon Burgener, Summer Rupper, Lora Koenig, Rick Forster, William F. Christensen, Jessica Williams, Michelle Koutnik, Clément Miège, Eric J. Steig, David Tingey, Durban Keeler, Laura Riley
西南極氷床から得られた浅層アイスコアから近年の降雪量を復元したところ、過去数十年に分かって降雪量が低下していることが分かった。海水温の上昇とともに降雪量も増えるだろうというモデル予測とも食い違っている。他の地域と比較したところ、比較的ローカルな特徴であると思われる。

Future changes in summertime precipitation amounts associated with topography in the Japanese islands
Nobumitsu Tsunematsu, Koji Dairaku, Junpei Hirano
A1B排出シナリオに基づいて計算されたGCMの将来予測の20kmの解像度のデータを用いて日本の地域ごとの1oo年後の降水量を求めた。特に山あいの地域の西側・南側の夏の24時間降水量の増加が顕著であることが示された。高地だけでなく、都市部の集中する低地における100mm/dayを超す大雨の頻度も増加すると予想された。主たる原因としては南西からの湿った空気塊の供給量が増えることが考えられる。逆に山の風下での降水量の変化は大きくないため、地形と卓越風の方向が将来の降水パターンに大きく影響すると思われる。

Historical Antarctic mean sea ice area, sea ice trends, and winds in CMIP5 simulations
Irina Mahlstein, Peter R. Gent, Susan Solomon
人工衛星観測が始まって以来、北極と異なり、南極の海氷は拡大している。CMIP5に用いられている気候モデルはほぼすべてうまく観測事実を再現できていない。海氷の自然変動は大きく、それが人為起源のシグナルに覆い被さっている。風がうまくモデル内の海氷の表現に組み込まれていないことが食い違いの原因の一つと思われる。

Deep Sea Research
Comparison of TEX86 and U37K′ temperature proxies in sinking particles in the Cariaco Basin
Courtney Turich , Stefan Schouten , Robert Thunell , Ramon Varela , Yrene Astor , Stuart G. Wakeham
カリアコ海盆の275mと455mのセディメント・トラップ中のアルケノンとTEX86を分析し、古水温指標としての不確実性を評価。両方とも季節変動を示した。アルケノンはSSTよりもやや冷たい水温を示したが、クロロフィル濃度が最大となる深度の温度とはよく一致した。TEX86はよくSSTを反映していた。しかしながら、異なる深度のセディメント・トラップで食い違いが見られ、原因としては有機物分解(degradation)の可能性が考えられる。

Marine Micropaleontology
Foraminiferal records of bottom-water oxygenation and surface-water productivity in the southern Japan Sea during 160–15ka: Associations with insolation changes
Kazuko Usami , Takeshi Ohi , Shiro Hasegawa , Ken Ikehara
日本海の堆積物コアの浮遊性・底性有孔虫組成を用いて過去160-15kaの表層の生物生産性、低層の酸素濃度を復元。暗色層は「表層の生物生産の増加」と「低層の酸素濃度の低下」の両方によって支配されるため、堆積物の有機物含有量だけでは生物生産性を過小評価してしまう可能性がある。

PALAEO3
Enhanced upwelling in the eastern equatorial Pacific at the last five glacial terminations
Hasrizal bin Shaari , Masanobu Yamamoto , Tomohisa Irino
TEX86、アルケノン古水温計とGDGT、アルケノン濃度を用いて東赤道太平洋における430kaの古環境を復元。ΔT(=TEX86 - アルケノン)とGDGT/alkenone比が湧昇の指標になる可能性を示す。ターミネーションの際にそれぞれの指標が最大となっており、湧昇の強化が原因として考えられる。南半球の大気循環の変化が湧昇を強化した可能性がある。

Long-term variability in the stable carbon isotopic composition of Porites corals at the northern Gulf of Aqaba, Red Sea
Saber Al-Rousan , Thomas Felis
Aqaba湾と紅海で得られたハマサンゴδ13Cの現生・化石記録について。現生・化石ともに季節変動が見られ、光量が支配していると思われる。現世ハマサンゴのδ13Cは非常に軽く、スウス効果が原因と思われる。アカバ湾産ハマサンゴのδ13Cの低下は異常に大きいためローカルな影響が原因と考えられ、全球的な変化を記録しているとは考えにくい。

QSR (Quaternary Science Reviews)
Climate mediated size variability of diatom Fragilariopsis kerguelensis in the Southern Ocean
Sunil Kumar Shukla , Xavier Crosta , Giuseppe Cortese , Ganapati N. Nayak南大洋に生息する珪藻の一種(Fragilariopsis kerguelensis)のvalve area(弁口面積?)が古環境指標(特に鉄の利用度)になる可能性が示唆されている。南大洋・大西洋セクターの堆積物では最終氷期に最大値を取っていたが、新たに得られたインド洋セクターの堆積物では完新世に最大値を取っていた。大西洋セクターの記録は南大洋の湧昇水よりも南極半島からの栄養塩供給量に支配されている?

Mid-Holocene climate in New Caledonia (southwest Pacific): coral and PMIP models monthly resolved results
Claire E. Lazareth , Maria Gracia Bustamante Rosell , Bruno Turcq , Florence Le Cornec , Magloire Mandeng-Yogo , Sandrine Caquineau , Guy Cabioch
ニューカレドニアの化石ハマサンゴを用いて、5.5kaの20年間のSSTの季節変動を復元。溶解を被った特定の骨格部位はδ13C・δ18O・U/Caに異常な変動が確認された。5.5kaには季節性が強化されており、主として冬がより寒かったことが原因と考えられる。SPCZがより北上していた?PMIP2の復元結果と比較したところ、SPCZが弱化していた可能性はモデルからも示唆されているが、一方でSSTの季節変動が大きくなっていたことは再現されていない。