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☆主なコンテンツ
1、新着論文 2、論文概説 3、コラム 4、本のレビュー 5、雑記(PC・研究関連)
6、気になった一文集(日本語English) 7、日記(日本語English

2013年6月14日金曜日

新着論文(Science#6138)

Science
VOL 340, ISSUE 6138, PAGES 1257-1364 (14 JUNE 2013)

EDITORIAL
A Perverted View of “Impact”
”インパクト”に対する歪められた見方
Marc Kirschner

Editors' Choice
Cosmic Correlation
宇宙の相関
Astrophys. J. 769, 68; (2013) Mon. Not. R. Astron. Soc. 10.1093/mnras/stt826 (2013).
宇宙赤外線背景輻射(cosmic infrared background)は従来考えられてきたよりも過剰であることが報告されているが、その過剰分を引き起こす正体はよく分かっていない。赤外線背景輻射とx線背景輻射の相関を取ってみると、相関が見られることから、少なくとも15-20%の赤外線背景輻射は強大なX線放出天体由来であることが示された。また、別の理論研究からは最初のブラックホールに理由を求めているが、こちらもまた観測事実と整合的である。

News of the Week
Reducing HFCs Under Montreal Protocol
モントリオール議定書のもとでHFCsを削減する
中国とアメリカは6/8に温室効果ガスの一種でもあるフロンガス(ハイドロフルオロカーボン; hydrofluorocarbons; HFCs)排出の大幅削減を行うことに同意した。冷媒として利用されていたフロンガスはオゾン層を破壊するとして1989年にモントリオール議定書によって使用が禁じられた。ホワイトハウスの見積もりによれば、2050年までに削減される量はCO2に換算して90Gtに相当し、現在の2年分の排出量に匹敵すると報告されている。

Agility, Not Speed, Puts Cheetahs Ahead
スピードではなく、俊敏さがチーターを速くする
陸上動物で最も速く走るチーターの狩りは、速さよりも減速や急カーブの能力を生かしている。GPS・加速器・速度計などを測定することのできる首輪を用いて、証明された。
>関連した論文
Locomotion dynamics of hunting in wild cheetahs
野生のチーターの狩りの運動力学
A. M. Wilson, J. C. Lowe, K. Roskilly, P. E. Hudson, K. A. Golabek & J. W. McNutt
Nature (13 June 2013)
最新技術が結集した首輪によって、5匹の野生のチーターの計367回の走行の正確な位置・速度・加速度が得られた。最高時速は92.8kmだが、ほとんどの場合は時速72kmを下回り、平均時速49.6kmであった。狩りが成功するかどうかは、その際立ったスピードというよりはグリップ・操作性・筋力であると思われる。

>関連した記事(Nature "NEWS IN FOCUS")
Speed test for wild cheetah
野生のチーターに対する速度試験
Devin Powell

>関連した記事(ナショナル・ジオグラフィック)
チーターの狩猟能力、速度より加速力
Christine Dell'Amore (June 13, 2013)

BY THE NUMBERS
$35 per metric ton
1トンあたり35ドル
気候変化が健康・財産・農業に与える、炭素1トンあたりの社会的コスト。以前の推定値である21ドルから増加した。

$244 billion
2440億ドル
2012年に再生可能エネルギーに投資された金額。発展途上国の投資額も増加しつつある。

News Focus
On the Trail of Ancient Killers
古代の殺人鬼の跡をたどる
Ann Gibbons
新手法を用いて、研究者は数百年前のヒトの骨や歯から抽出された感染症のDNAを調べている。

Letters
The Age of Man: A Father Figure
ヒトの時代:父の姿
U. Kutschera
人間活動に伴う大きな環境変化で特徴付けられる’人類の時代(Anthropocene)’という言葉自体は最近できたが、それは数千年前から始まっていると考える人も多い。19世紀の進化生物学者のAlfred Russel Wallaceによれば、それはヒトが火を使い始め、武器を使って狩りを始めた時代まで遡るという。2013年は彼の没後100周年に相当するため、彼が初めて’人類の時代’を提唱した人物であることを頭に入れておきたい。

The Age of Man: Outpacing Evolution
ヒトの時代:進化をしのぐ
Josef Settele and Joachim H. Spangenberg
もし’人類の時代’の定義の目的が「人々に人間活動が世界を破壊している」ことを認知させるためであるとか、あるいはその定義が「生態系そのものの進化がその変化に適応できるよりも速く人類が環境を改変している」ことを意味するならば、やはり’人類の時代’は「産業革命以降の、特に1930年代のアメリカで始まり、その後世界に広まった」と考えるべきかもしれない。
[以下は引用文]
Recent abrupt changes, such as the green revolution and China’s rapid industrialization, differ substantially from the pace of previous changes, such as agricultural practices, which evolved over centuries and thus allowed species and species interactions to coevolve. The systems resulting from those gradual changes maintained an equilibrium that benefits conservation, sustainable production, and cultural ecosystem services. To protect future human civilizations from the effects of the Anthropocene, we should work to decelerate change to gain time for evolution and prevent break- downs in ecosystem services.

>話題の記事(Science "News & Analysis", 19 April 2013)
Archaeologists Say the ‘Anthropocene’ Is Here—But It Began Long Ago
考古学者は’人類の時代’は今だと言うが、それはかなり前から始まったものだ
Michael Balter
地質学者をはじめとする科学者は声高に人類による環境への影響で特徴付けられる昨今を新たな地質時代(’人類の時代’)として定義しようとしている。ホノルルで行われたアメリカ考古学学会(Society for American Archaeology)のミーティングで、地質時代の人類と人間活動を研究する考古学の分野も、議論において発言権を発揮すべきだという意見が出た。

Shale-Gas Plans Threaten China’s Water Resources
シェールガス計画が中国の水資源を脅かす
Hong Yang, Roger J. Flower, and Julian R. Thompson

The Human Animal
人間的な動物
Kim Quillin
他の動物も人間と同じように学ぶことができるのだろうか?

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Research
Perspectives
Better Oxygen Delivery
より上手な酸素供給
Enrico L. Rezende
上手な酸素供給への進化は、それに熟練を要したライフスタイルの出現に伴っていた。長く潜水するクジラ・高地に生息する動物などについて。
Mirceta et al.、Natarajan et al.、Rummer et al.の解説記事。

Water in the Balance
平衡状態の水
James S. Famiglietti and Matthew Rodell
人工衛星観測のデータによって、地域的な地下水利用の管理がより改善するかもしれない。

Research Article
Evolution of Mammalian Diving Capacity Traced by Myoglobin Net Surface Charge
Scott Mirceta, Anthony V. Signore, Jennifer M. Burns, Andrew R. Cossins, Kevin L. Campbell, and Michael Berenbrink

Reports
Redox Heterogeneity in Mid-Ocean Ridge Basalts as a Function of Mantle Source
マントルソースの機能としての中央海嶺玄武岩の還元状態の不均質性
Elizabeth Cottrell and Katherine A. Kelley
上部マントルの酸化状態はマントル進化に影響するが、その酸化状態の変化についてはよく分かっていない。世界の中央海嶺で得られた玄武岩質ガラスの分析から、マントルソースに応じて組成が系統的に変化することが分かった。還元的な玄武岩に含まれる炭素が還元的なマグマを作るのに重要と考えられる。

Hydrogen Isotopes in Lunar Volcanic Glasses and Melt Inclusions Reveal a Carbonaceous Chondrite Heritage
月の火山性ガラスとメルト包有物の水素同位体が炭素質コンドライトの遺産であることを明らかにする
Alberto E. Saal, Erik H. Hauri, James A. Van Orman, and Malcolm J. Rutherford
惑星内部の水の分布を明らかにすることは惑星科学において非常に重要なトピックである。アポロ計画の際に得られた、月の’始源的火山ガラス’と’かんらん岩中のメルト包有物’中の水素同位体分析から、それが炭素質コンドライト隕石のそれを見分けがつかないことから、地球内部と月内部の水が起源を同じくすることが示唆される。

Clarifying the Dominant Sources and Mechanisms of Cirrus Cloud Formation
巻雲の形成の主要な供給源とメカニズムを分類する
Daniel J. Cziczo, Karl D. Froyd, Corinna Hoose, Eric J. Jensen, Minghui Diao, Mark A. Zondlo, Jessica B. Smith, Cynthia H. Twohy, and Daniel M. Murphy
巻雲の形成は大気中の水蒸気が凝結する際の氷晶核の利用性に依存する。エアロゾルのうち氷晶核になれるものは限られているが、その必要不可欠な材料はよく分かっていない。氷が昇華したあとの巻雲内の残留粒子を分析したところ、ほとんどが鉱物ダストや金属製粒子であり、硫酸塩・有機物・炭素原子・生物源物質などはほとんど含まれていないことが分かった。また相対湿度分析と組み合わされた組成分析から、不均質な凍結が巻雲の形成に重要であることが示された。

Epistasis Among Adaptive Mutations in Deer Mouse Hemoglobin
Chandrasekhar Natarajan, Noriko Inoguchi, Roy E. Weber, Angela Fago, Hideaki Moriyama, and Jay F. Storz

Root Effect Hemoglobin May Have Evolved to Enhance General Tissue Oxygen Delivery
Jodie L. Rummer, David J. McKenzie, Alessio Innocenti, Claudiu T. Supuran, and Colin J. Brauner