Main contents


☆主なコンテンツ
1、新着論文 2、論文概説 3、コラム 4、本のレビュー 5、雑記(PC・研究関連)
6、気になった一文集(日本語English) 7、日記(日本語English

2013年6月29日土曜日

新着論文(NCC#July2013)

Nature Climate Change
Volume 3 Number 7 (July 2013)

Editorial
Having an impact
インパクトを持つ
Nature Climate Change誌のインパクト・ファクターに関して。

Correspondence
Anthropogenic CO2 emissions
人為起源のCO2排出
M. R. Raupach, C. Le Quéré, G. P. Peters & J. G. Canadell
Francey et al.は大気のCO2観測記録から1994-2007年の排出量が過小評価されていると主張しているが、それは非現実な仮定に基づいた上での結論である。
>話題の論文
Atmospheric verification of anthropogenic CO2 emission trends
人為起源のCO2排出の傾向の大気的な証拠
Roger J. Francey, Cathy M. Trudinger, Marcel van der Schoot, Rachel M. Law, Paul B. Krummel, Ray L. Langenfelds, L. Paul Steele, Colin E. Allison, Ann R. Stavert, Robert J. Andres & Christian Rödenbeck
Nature Climate Change 3, 520-524 (2013).
地球温暖化と海洋酸性化を制限する国際的な努力は大気中のCO2濃度の上昇速度を遅くすることを目的としている。大気観測から2010年にアジア地域のCO2排出が急増したこと、2002-2003年には排出速度が鈍化したことを示す。

Reply to 'Anthropogenic CO2 emissions'
'人為起源のCO2排出'に対する返答
Roger J. Francey, Cathy M. Trudinger, Marcel van der Schoot, Rachel M. Law, Paul B. Krummel, Ray L. Langenfelds, L. Paul Steele, Colin E. Allison, Ann R. Stavert, Robert J. Andres & Christian Rödenbeck
Raupach et al.に対する返答。

Threats to coastal aquifers
沿岸部の帯水層への脅威
Chunhui Lu, Adrian D. Werner & Craig T. Simmons
Ferguson and Gleesonは沿岸部の帯水層への影響は海水準よりも人間による地下水揚水であると結論づけているが、それはまだ時期尚早である。
>話題の論文
Vulnerability of coastal aquifers to groundwater use and climate change
地下水利用と気候変化に対する沿岸帯水層の脆弱性
Grant Ferguson & Tom Gleeson
Nature Climate Change 2, 342–345 (2012).
気候変動と人口増加が地下水資源に大きな影響を与えると考えられている。海水準上昇及び地下水の過度な使用は沿岸地域の氾濫と地下水資源への塩害をもたらし、既に帯水層に悪影響をもたらし始めている。それぞれの影響を定量化することはこれまでされてこなかったが、我々の研究から帯水層は海水準上昇よりも地下水の過度な利用の方に影響されることが示された。従って、海水準上昇に対する適応のみを考えている水資源管理の施策は誤りだ。

Reply to 'Threats to coastal aquifers'
'沿岸部の帯水層への脅威'に対する返答

Grant Ferguson & Tom Gleeson
Lu et al.に対する返答。

Blood product safety
血液製品の安全性
Mitchell Berge

Commentaries
Managing risk with climate vulnerability science
気候に対する脆弱性の科学とともにリスクを管理する
Paul C. Stern, Kristie L. Ebi, Robin Leichenko, Richard Stuart Olson, John D. Steinbruner & Robert Lempert
気候に関する情報だけでは気候変動の影響を予測し軽減するには不十分である。破壊的である可能性のある現象に対する社会の耐性を増やすための、先を見越した効果的な努力を援助するためにも、ローカルな・グローバルなモニタリングを含む、脆弱性の科学を促進することが必要である。

Fostering knowledge networks for climate adaptation
気候変動に対する適応に関する知識ネットワークを育てる
David Bidwell, Thomas Dietz & Donald Scavia
気候変化のリスクに対して効果的に適応する必要があることを社会に学んでもらうためにも、急速に変化する政策決定者-研究者間のネットワークを築く必要がある。

Mitigation win–win
双方にとって好都合な緩和策
Dominic Moran, Amanda Lucas & Andrew Barnes
農業界の気候変化緩和策に関する双方にとって好都合なメッセージ(Win–win messages)は農業経営者のモチベーションを簡略化しすぎている傾向がある。心理学・文化史・行動経済学がより効果的な政策デザインの手助けになるに違いない。

Policy Watch
EU adaptation policy sputters and starts
EUの適応策が早口でしゃべり、そして始まる
「ヨーロッパ連合の新たな気候変化適応戦略は長く、でこぼこした道のりである」と、Sonja van Renssenは報告する。

Research Highlights
Hot, dry and greening
厚く、乾燥した、緑化
Geophys. Res. Lett. http://doi.org/mqx (2013)
 大気中CO2濃度の増加は光合成の促進などを介した植物への直接的な影響と、気候変化を介した間接的な影響がある。CO2による施肥効果は実験室と野外調査の両方で確認されており、さらには近年の人工衛星観測からはここ数十年間の全球的な緑化の傾向が見られており、施肥効果が生じるという予想と合っている。
 施肥効果がもっとも顕著に出ると思われる暑く乾燥した地域の植生を対象にした解析から、大気中のCO2濃度の上昇は5-10%の緑化につながることが予想された。降水量の変動が取り除かれた場合、11%になるらしい。こうした結果は、CO2の施肥効果が地表プロセスに重大な影響を与えることを物語っている。
>話題の論文
Impact of CO2 fertilization on maximum foliage cover across the globe's warm, arid environments
Randall J. Donohue, Michael L. Roderick, Tim R. McVicar, Graham D. Farquhar

The devil’s in the detail
悪魔は細部に宿る
Ecol. Lett. http://doi.org/msf (2013)
 気候変化に対する生態系の応答は、全球的な・地域的な変化の上に合わさった、極めてローカルな気象・気候の影響に支配されると思われる。そのため、高解像度の気候モデルによって変化予測を行うことが重要である。
 イギリスに生息するチョウ(Hesperia comma)に対する影響を分析したところ、微気候(microclimate)の影響を考慮した方がチョウの動態をうまく再現できることが分かった。

Weather and climate
気象と気候
Clim. Dynam. http://dx.doi.org/msg (2013)
気候変化は日々の気象の変化という短い時間スケール(1日ごと)でも考慮されるべきであるが、現状気候モデルでは数年や数十年の気候の平均場の予測をするに留まっている。韓国の研究グループはCMIP5の気候変化予測結果をもとに21世紀の日々の気象変化の解析を行った。高緯度域の冬は気温が低下し、風が弱まるという予測結果が得られた。北半球全体で春の風は弱まり、中緯度の春と冬の降水量は増加するという予測も抽出された。

Thirsty biofuels
喉が渇くバイオ燃料
Environ. Sci. Technol. 47, 6030–6037 (2013)
 2012年には20年間でもっとも厳しい干ばつがアメリカを襲った。その結果トウモロコシの生産量は12%減少した。こうしたことは、バイオ燃料用作物が異常気象に対して脆弱であるという、政策上の問題を浮き彫りにした。
 将来40年間にわたって気候変化がバイオ燃料用の灌漑トウモロコシ栽培の水需要に与える影響を評価したところ、Energy Independency and Security Actに沿うために必要なバイオ燃料栽培を行う際に必要な蒸発性の水消費(evaporative water consumption)が10%増加し、灌漑用の水消費(irrigation water consumption)が19%増加することが示された。水需要が完全に満たされたとしてもトウモロコシの生産量は平均的に減少することが示された。この結果は、アメリカにおけるバイオ燃料政策を見直す必要があることを物語っている。

Relocation hurdles
引っ越しの障壁
Proc. Natl Acad. Sci. USA 110, 9320–9325 (2013)
 沿岸部に住む人々は気候変化による頻繁な異常気象の脅威にさらされている。適応策のもっとも極端なケースがコミュニティー全体の引っ越し(relocation)である。
 アラスカ大学の研究グループによって、気候変化による沿岸部浸食、異常気象などによって引っ越しの必要性に迫られているアラスカの原住民コミュニティー(Kivalina, Shishmaref, Newtok)が抱える問題が評価された。KivalinaShishmarefの場合、引っ越し先の場所選択に対する明確なガイドラインが用意されていないことが引っ越しの最大の障壁となっていることが分かった。またNewtokの場合、資金的な援助を行う機関が存在しないことが問題となっていることが分かった。引っ越しを実行するためのガバナンスと組織的枠組みが必要とされている。
>話題の論文
Adaptive governance and institutional strategies for climate-induced community relocations in Alaska
Robin Bronen and F. Stuart Chapin III

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
Research
News and Views
Public opinion: Stunted policy support
公共意見:阻止された政策支援
James N. Druckman
’気候変化’、’代替エネルギー使用’、’政策への責任(responsibility for policy)’のテーマに関しては、エネルギー政策は広く議論されている。新たな研究によって、エネルギー政策に関する公の議論における市民の役割が重要であること、それが政策をどれほど左右するものであるかが明らかに。

Oceanography: Has global warming stalled?
海洋学:地球温暖化は減速したのだろうか?
Doug Smith
急速な温暖化に見舞われた1970年代に比べれば、最近の温暖化は失速したように見える。海洋上層部における熱の吸収を分析した研究により、その原因が浮き彫りになり、さらに失速は以前から予測できていたことが示唆されている。
Virginie Guemas et al.の解説記事。

Atmospheric Science: Volcanic rain shift
大気科学:火山による雨のシフト
Yochanan Kushnir
成層圏におけるダスト粒子の分布が熱帯の降水帯の位置に影響する。そうした現象を含むあらゆる可能性は、(粒子を成層圏に注入する)地球工学技術が実行される前に考慮されるべきである。
Jim M. Haywood et al.の解説記事。

Perspectives
Integrated analysis of climate change, land-use, energy and water strategies
気候変化、土地利用、エネルギー、水戦略の統合的な分析
Mark Howells, Sebastian Hermann, Manuel Welsch, Morgan Bazilian, Rebecka Segerström, Thomas Alfstad, Dolf Gielen, Holger Rogner, Guenther Fischer, Harrij van Velthuizen, David Wiberg, Charles Young, R. Alexander Roehrl, Alexander Mueller, Pasquale Steduto & Indoomatee Ramma
土地・エネルギー・水利用は気候変化に影響し、逆に気候変化はそれらの資源をもたらす地球システムに影響する。効率的な資源管理が気候変化を緩和し、適応行動を援助すると思われる。資源アセスメントと政策決定を統合する新たなアプローチを提案。

Characteristics of low-carbon data centres
低炭素データセンターの特徴
Eric Masanet, Arman Shehabi & Jonathan Koomey
IT機器類とデータセンター業務の効率が改善することを仮定すると、ITサービスをより使うことで炭素排出量を軽減することができると思われる。しかし、炭素排出を最小化ことを目的としたデータセンターに報いるための信頼のおける尺度はまだ欠けている。低炭素データセンターの特徴とその実効性を支配する要因についての視点を提供する。

Building resilience to face recurring environmental crisis in African Sahel
アフリカのサヘル地帯で循環する環境危機に立ち向かうための強さを作る
Emily Boyd, Rosalind J. Cornforth, Peter J. Lamb, Aondover Tarhule, M. Issa Lélé & Alan Brouder
大規模な危機に繋がりかねない気候ショックを吸収するためにも、先を見据えた政策決定が常に気候情報にアクセスできることは重要である。Rainwatchの価値は2011年の西アフリカモンスーンの失敗のときに浮き彫りになった。
※Rainwatch…地元住民と密着したGISを使った雨の観測プロジェクト
>関連した記事(NOAA)
Rainwatch keeps eye on rainfall for West African farmers
May 12, 2011

Letters
Effects of climate change on US grain transport
アメリカの穀物輸送に対する気候変化の影響
Witsanu Attavanich, Bruce A. McCarl, Zafarbek Ahmedov, Stephen W. Fuller & Dmitry V. Vedenov
気候変化によって穀物の割合が変わることで、輸送システムにも変更が生じると思われる。アメリカにおいて、それがミシシッピ川下流域の港の重要性を下げる一方で、太平洋側の北西部・五大湖・大西洋側の重要性を上げることが示された。

Intensification of winter transatlantic aviation turbulence in response to climate change
気候変化に応答した冬期の大西洋横断航路の乱気流の強化
Paul D. Williams & Manoj M. Joshi
ほとんどの気象関連の航空機事故は乱気流によって生じている。しかしながら、それが気候変化ともにどう変化するかはよく分かっていない。気候モデルシミュレーションから、CO2濃度が2倍になることで、晴天乱気流に変化が生じ、大西洋横断航路に大きな影響が出ることが分かった。今世紀中頃には航行中の揺れが大きくなると思われる。

Retrospective prediction of the global warming slowdown in the past decade
過去10年間の温暖化の鈍化に対する回想的な予測
Virginie Guemas, Francisco J. Doblas-Reyes, Isabel Andreu-Burillo & Muhammad Asif
 近年(2000-2010年)、温室効果ガスの排出量は増加しているにもかかわらず、温暖化の進行が頭打ちになっている。海の熱吸収量の増加・太陽活動の弱化が長く続いていいること・成層圏の水蒸気・成層圏と対流圏のエアロゾルなどの要因が影響していると考えられているものの、まだはっきりと分かっていない。
 過去になされた5年先の予測シミュレーションから、それが海洋内部の熱吸収量が増加したことが原因であることが示された。大気上層から入ってくるエネルギー量は一定のため、過剰の熱の大半は海洋の700mよりも浅い部分に吸収されており、またうち65%は赤道太平洋・大西洋に吸収されたと考えられる。ハインドキャストによってこの鈍化が再現されたことから、気候モデルの厳密性を強めるものとなっただけでなく、さらに社会経済的に見ても10年予測は重要であることを示す結果となった。
>関連した論文
Distinctive climate signals in reanalysis of global ocean heat content
全球の海洋の熱容量の再解析における際立った気候シグナル
Magdalena A. Balmaseda, Kevin E. Trenberth, Erland Källén
Geophys. Res. Lett. 10.1002/grl.50382 (2013).
1958年〜2009年にかけての海水温の観測をもとに、温暖化の傾向と2004年以降の表層水の温暖化の停止(warming hiatus)の原因を評価。ここ10年間は700mよりも深い部分で温暖化が起きており、風の変化に伴う海洋鉛直構造の変化が原因と考えられる。
※コメント
海が吸収という意味では一致していますが、海のどこに熱が吸収されたのかについては2つの論文で食い違っています。

Upper bounds on twenty-first-century Antarctic ice loss assessed using a probabilistic framework
確率的な枠組みに基づいた21世紀の南極氷床の質量損失の上限値
Christopher M. Little, Michael Oppenheimer & Nathan M. Urban
 半経験的手法(semi-empirical methods)と専門家が考える質量収支シナリオ(expert-informed mass-balance scenarios)に基づくと、将来の海水準上昇はIPCC AR4の予測よりも3倍ほど大きいことが示されている。しかしながら、長期的な氷床の挙動がよく分かっておらず、温暖化によって海水準がどれほど上昇するかを推定することは依然として難しい。
 数値モデルの予測結果と観測記録とを組み合わせて、ベイズ確率に基づいて南極氷床の質量収支を見積もったところ、急激な崩壊がなかったとすると、95%の確率で2100年までに13cm海水準を上昇させるほどの氷が失われると考えられる。この数値は以前の上限値の予測よりも低いものとなっている。ただし、急激な崩壊がないという仮定そのものが予測結果に大きく影響し、今後の課題でもある。

Asymmetric forcing from stratospheric aerosols impacts Sahelian rainfall
成層圏エアロゾルからの非対称なフォーシングがサヘル地域の降水に影響する
Jim M. Haywood, Andy Jones, Nicolas Bellouin & David Stephenson
 1970年代から1990年代にかけてのサヘル地域の干ばつは過去50年間で最悪の災害と言われ、25万人が死亡し、1000万人の難民が出た。過放牧や人為起源の二酸化硫黄排出が大西洋の海水温やサヘル地域の降水に影響したと考えられている。
 1900-2010年における観測記録から、さらに火山噴火の影響も大きな影響を与えていたことを示す。4つの大きな干ばつのうち、3つは北半球における大きな火山噴火のあとに起きていた。さらに、モデルシミュレーションから、地球工学や火山噴火によって成層圏にエアロゾルを注入した場合、北半球だけに注入するとサヘル地域が乾燥化するが、南半球だけに注入すると逆にサヘル地域が湿潤化することが示された。太陽放射管理(SRM)を実行する前に、気候変化に脆弱な地域に対して影響評価をすることが肝要であると思われる。

Multiple greenhouse-gas feedbacks from the land biosphere under future climate change scenarios
将来の気候変化シナリオの下での陸上生物圏からの複数の温室効果フィードバック
Benjamin D. Stocker, Raphael Roth, Fortunat Joos, Renato Spahni, Marco Steinacher, Soenke Zaehle, Lex Bouwman, Xu-Ri & Iain Colin Prentice
 気候変化に対する陸上生物圏のフィードバックは、温室効果ガス(CO2・CH4・N2Oなど)排出を変化させ、温暖化をさらに加速させる可能性を秘めている。
 process-basedのモデルシミュレーションを用いて土地利用の変化と活性度の高い窒素(reactive nitrogen)が温室効果ガスとフィードバックに与える影響を評価。business-as-usualシナリオの下では、2100年にはN2OとCH4の排出がそれぞれ80%、45%増加することが示された。さらに陸上生物圏が炭素の’放出源’になることも示された。陸上生物圏の変化は温暖化の正のフィードバックを増幅し、気候感度を22-27%増加させると予想される。温室効果ガス削減に対する強い規制が必要とされている。

Shifts in Arctic vegetation and associated feedbacks under climate change
気候変化の下での北極圏の植生のシフトとそれに伴うフィードバック
Richard G. Pearson, Steven J. Phillips, Michael M. Loranty, Pieter S. A. Beck, Theodoros Damoulas, Sarah J. Knight & Scott J. Goetz
 温暖化が北極圏の植生の競合・密度・分布に影響している。そうした変化が生物圏・大気間のフィードバックに相反するフィードバックをもたらすと考えられるが、北極圏全体でお互いの寄与がどれほどかはよく分かっていない。植生の変化は気候にも影響すると思われるため、その正確な予測は重要である。
 2050年代を対象にしたモデルシミュレーションから、少なくとも植生の半分は全く異なるものへと変化し、森林被覆が52%も増加することが示された。その変化はアルベド・蒸発散・バイオマスの変化を通じて温暖化を増幅させ、その大きさは従来の見積もりよりも大きいと考えられる。また植生の変化は生態系へも大きく影響する。

Quantifying the benefit of early climate change mitigation in avoiding biodiversity loss
生物多様性の消失を避けるための初期の気候変化緩和の恩恵を定量化する
R. Warren, J. VanDerWal, J. Price, J. A. Welbergen, I. Atkinson, J. Ramirez-Villegas, T. J. Osborn, A. Jarvis, L. P. Shoo, S. E. Williams & J. Lowe
気候変化は生物多様性に大きく影響すると思われるが、気候変化緩和戦略がそうした影響をどれほど軽減できるかはよく分かっていない。一般的で広く分布する生物を対象にしたモデルシミュレーションから、緩和策によって排出量が2016年以降減少に転じれば60%、2030年以降減少に転じれば40%、生物多様性の消失を減らすことができることが示された。

Spatial community shift from hard to soft corals in acidified water
酸性化した海水におけるイシサンゴからソフトコーラルへの空間的な集団シフト
Shihori Inoue, Hajime Kayanne, Shoji Yamamoto & Haruko Kurihara
 海洋酸性化によってサンゴ礁における石灰化量が低下し、非石灰化生物である大型藻類へのシフトが起きると考えられているものの、その他の生物へのシフトの可能性については注意が払われていない。
 硫黄鳥島の火山性CO2による酸性化が起きている海域の調査から、イシサンゴがCO2分圧が225μatmの海水中には分布しているものの、831μatmの海水中ではソフトコーラル(Sarcophyton elegans)が支配的になり、さらに1,465μatmではさらにソフトコーラルも不在になることが分かった。酸性化実験から、S. elegansの光合成量が活発化すること、夜間の反石灰化(decalcification)が増加することが分かった。従って、これらの結果はイシサンゴが今世紀末にはソフトコーラルコミュニティーへとシフトする可能性を示している。