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☆主なコンテンツ
1、新着論文 2、論文概説 3、コラム 4、本のレビュー 5、雑記(PC・研究関連)
6、気になった一文集(日本語English) 7、日記(日本語English

2013年6月25日火曜日

新着論文(G3, JGR, MEPS, CP)

◎G3
A core-top study of dissolution effect on B/Ca in Globigerinoides sacculifer from the tropical Atlantic: Potential bias for paleo-reconstruction of seawater carbonate chemistry
R. Coadic, F. Bassinot, E. Douville, E. Michel, D. Dissard, M. Greaves
東赤道大西洋のSierra Leone Riseから得られた堆積物コア中のG. saccliferの殻のB/CaとMg/Caが深度が増すごとに(溶解が進むごとに)値が低下することが分かった。2,640m深と4,950m深でB/Caは14 μmol/mol(pHに換算して0.11程度)、Mg/Caは0.7 mmol/mol変化した。従って、氷期-間氷期のpH復元(0.10-0.15の変化)において非常に大きな障壁になると思われる。

Oceanographic variability in the South Pacific Convergence Zone region over the last 210 years from multi-site coral Sr/Ca records
Henry C. Wu, Braddock K. Linsley, Emilie P. Dassié, and Peter B. deMenocal, Benedetto Schiraldi
トンガとフィジーで得られたハマサンゴSr/Caの測定結果について。1981-2004年までは観測SSTとの相関が良いが、時代をさかのぼるごとにSSTとの相関が悪化する。δ18Oは塩分指標になるが、降水量というよりは異なる水塊との混合によって説明される。過去100年間では最近の20年間はWPWPの拡大とSPCZによる表層水の低塩分化が確認された。さらに偏西風の強化に伴い、南太平洋亜熱帯循環が強化され南下したことで、SPCZが南東部へと拡大していると考えられる。

◎JGR-atm
Atmospheric CH4 in the first decade of the 21st century: Inverse modeling analysis using SCIAMACHY satellite retrievals and NOAA surface measurements
P. Bergamaschi, S. Houweling, A. Segers, M. Krol, C. Frankenberg, R. A. Scheepmaker, E. Dlugokencky, S. C. Wofsy, E. A. Kort, C. Sweeney, T. Schuck, C. Brenninkmeijer, H. Chen, V. Beck, and C. Gerbig
近年大気中のメタン濃度は急増しているが、その放出源についてはまだ議論が分かれている。2000年代以降の人工衛星観測と地上観測記録からメタン放出を逆算したところ、2003-2005年平均に比べて2007-2010年平均の排出量が16-20 TgCH4/yr増加していた。増加しているのは北半球の低・中緯度がメインで、北極圏からの排出に有為な増加傾向は見られなかった。人為起源のメタン排出増加に上乗せされる形で、自然の大きなメタン変動も観察された(湿地や森林火災を起源とするもの)。

The relationship between the ITCZ and the Southern Hemispheric eddy-driven jet
Paulo Ceppi, Yen-Ting Hwang, Xiaojuan Liu, Dargan M. W. Frierson, and Dennis L. Hartmann
北半球の温暖化(寒冷化)がITCZや南半球のジェット・偏西風に与える影響を評価。また古気候研究において提案されているメカニズムを議論。

◎MEPS
Effects of ocean acidification on the calcification of otoliths of larval Atlantic cod Gadus morhua
Maneja R. H., Frommel A. Y., Geffen A. J., Folkvord A., Piatkowski U., Chang M. Y. & Clemmesen C.
海洋酸性化がタイセイヨウダラ(Atlantic cod; Gadus morhua L.)の耳石形成に与える影響を2ヶ月の酸性化実験で評価。sagittaeとlapilliがpCO2が高いものほど大きくなった。耳石の形や対称性に対する影響は見られなかった。

◎Climate of the Past
Spatial gradients of temperature, accumulation and δ18O-ice in Greenland over a series of Dansgaard–Oeschger events
M. Guillevic, L. Bazin, A. Landais, P. Kindler, A. Orsi, V. Masson-Delmotte, T. Blunier, S. L. Buchardt, E. Capron, M. Leuenberger, P. Martinerie, F. Prié, and B. M. Vinther
グリーンランドから得られている4本のアイスコア(GRIP・GISP2・NGRIP・NEEM)のDO8・9・10に相当する時期の温度変化の違いについて。亜氷期-亜間氷期の温度変化は北西部よりも中央部で2℃ほど高いことが示された。δ18O-温度関係式の傾きもNEEMの掘削地点では大きく、おそらく降水量の季節性を反映していると思われる。

Abrupt shifts of the Sahara–Sahel boundary during Heinrich stadials
J. A. Collins, A. Govin, S. Mulitza, D. Heslop, M. Zabel, J. Hartmann, U. Röhl, and G. Wefer
アフリカ大陸北西岸の南北トランゼクトで得られた堆積物コアの主成分分析から、氷期のハインリッヒ・イベント時のサハラ砂漠のダストフラックスを復元。ハインリッヒ・イベント時にはサハラ-サヘル境界がより赤道側に南下し、最大で13ºNまで(現在は20ºN)到達していたと考えられる。同時期に北大西洋が寒冷化していることから(AMOCの弱化)、乾燥化と風の強化が原因と考えられる。

◎その他
Could some coral reefs become sponge reefs as our climate changes?
Bell J. J., Davy S. K., Jones T., Taylor M. W. & Webster N. S.
Global Change Biology (in press)
現在の温暖化と海洋酸性化がサンゴ礁を脅かしているが、過去にもサンゴは何度も絶滅を経験してきた。例えば三畳紀末の大量絶滅時には石灰化生物の多くが絶滅したが、その後カイメン類が栄えた。カイメンが支配する環境は安定的に長期間継続したことから、将来のサンゴ礁の姿としてカイメン礁というのも十分あり得るかもしれない。この仮説を検証するために、
(ⅰ)地質学時代のカイメン礁の存在
(ⅱ)サンゴからカイメンにシフトしていることが報告されている生態系
(ⅲ)スポンジ共同体(holobiont)の温度・pH変化に対する応答
を紹介し、議論する。将来の気候変化シナリオにおいてはカイメンが恩恵を被り、多くのサンゴ礁で優先種になる可能性がある。サンゴ礁全体としての機能に大きな変化が生じると思われる。