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☆主なコンテンツ
1、新着論文 2、論文概説 3、コラム 4、本のレビュー 5、雑記(PC・研究関連)
6、気になった一文集(日本語English) 7、日記(日本語English

2013年10月28日月曜日

新着論文(AGU・EGU)

G3
Westerly jet–East Asian summer monsoon connection during the holocene
Kana Nagashima, Ryuji Tada, Shin Toyoda 
日本海から得られた堆積物中のダストの化学分析から、完新世の東アジアモンスーンと偏西風の変動を復元。ゴビ砂漠とタクラマカン砂漠起源のダストが千年〜数千年スケールで変動を示している。偏西風の位置の変動が東アジアモンスーンの降水にも影響をしており、中国大陸の南北での対照的な変動を生み出していると思われる。

GRL
Unprecedented recent summer warmth in Arctic Canada
Gifford H. Miller, Scott J. Lehman, Kurt A. Refsnider, John R. Southon, Yafang Zhong 
近年北極海においては海氷・氷河の後退などが報告されているが、それが自然変動の範疇にあるかははっきりとしていない。ツンドラに自生する植物の放射性炭素年代測定から、カナダ北極圏東部においては最近が過去44kaで最も温暖であり、過去5kaの寒冷化の傾向を打ち消していることが示唆された(完新世初期に特に温暖だった)。

Efficient gas exchange between a boreal river and the atmosphere
Jussi Huotari, Sami Haapanala, Jukka Pumpanen, Timo Vesala, Anne Ojala
河川における炭素循環はあまりよく分かっていない。フィンランドにおける30日間に渡る炭酸系の観測から、二酸化炭素に関するガス輸送速度を推定したところ、従来考えられていたよりも高い値が得られ、河川からのCO2フラックスが大きいことが示唆された。

JGR-Oceans
Wave power variability and trends across the North Pacific
Peter D. Bromirski, Daniel R. Cayan, John Helly, Paul Wittmann
1948年以降の北太平洋における波の力(wave power)の変動を議論。ENSO・レジームシフト・PDOなどとの関連性。

New zealand 20th century sea level rise: Resolving the vertical land motion using space geodetic and geological data
Abdelali Fadil, Paul Denys, Robert Tenzer, Hugh R. Grenfell, Pascal Willis
20世紀のニュージーランドの海水準は1.46±0.10 mm/yrで上昇している。潮位計と海水面の衛星観測記録から土地の隆起の影響を評価。海水準上昇には数十年スケールの3つのフェーズが見られることが分かった。

Temporal variability of transformation, formation and subduction rates of upper Southern Ocean waters
Eun Young Kwon
南大洋の表層・中層水の挙動を動力学的・熱力学的に評価し、海洋循環モデルを用いて亜南極モード水(SAMW)の数十年規模のモデリングを行った。冬季に混合層の水が収束し、それに続く春に等密度線に沿って沈み込み、さらに春の表層水の温暖化によって密度的に蓋をされるプロセス(成層化)がSAMWの形成に重要であることが分かった。SAMWは年々変動を示し、主に混合層の深さと関連が大きいことが分かった。また、SAMとは直接的に関係していないものの、エクマン沈降・湧昇プロセスを通じて間接的に関係していると思われる。

Widespread freshening in the seasonal ice zone near 140°E off the Adélie Land Coast, Antarctica, from 1994 to 2012
S. Aoki, Y. Kitade, K. Shimada, K.I. Ohshima, T. Tamura, C.C. Bajish, M. Moteki, S.R. Rintoul
南極沖の140ºE線で行われている1994-2012年の定期観測記録から、近年の表層水から底層水のすべてに淡水化の傾向が見られた。2012年には底層水塊の厚さが異常に薄く、Mertz氷舌(glacier tongue; 氷河末端)の急激な崩壊とそれに伴う海氷形成の減少との関連が示唆される。

Paleoceanography
Influence of seawater exchanges across the Bab-el-Mandab Strait on sedimentation in the Southern Red Sea during the last 60 ka.
Alexandra Bouilloux, Jean-Pierre Valet, Franck Bassinot, Jean-Louis Joron, Fabien Dewilde, Marie-Madeleine Blanc-Valleron, Eva Moreno
紅海の南端で得られた堆積物コアのMS・TOC・浮遊性有孔虫δ13Cなどから、過去60kaの気候変動を復元。氷期-間氷期スケールの変動、D/Oイベント・最終退氷期の海水準上昇に伴う大陸棚の浸水と岩屑物の堆積イベントなどが見られる。

Recovering the true size of an Eocene hyperthermal from the marine sedimentary record
Sandra Kirtland Turner, Andy Ridgwell 
地球システムモデル(cGENIE)を用いて小規模なMECO(Cnn2H3; ~49.2Ma)温暖化イベントの規模・継続期間、炭素インプット速度などを推定。さらに堆積プロセスのモデル化も行い、真の炭素擾乱を推定。ODP1258コアの底性有孔虫δ13Cの-0.95‰のエクスカージョンは大気中CO2のδ13Cの-1.45‰の変化があれば説明できることが示された。従来法の推定から得られる量よりも2/3大きい炭素インプットが必要であると思われる。

GBC
Variability of the Oxygen Minimum Zone in the Tropical North Pacific during the Late 20th Century
Takamitsu Ito, Curtis Deutsch
海洋物理・生物地球化学モデルを用いて1980年代以降の東太平洋熱帯域の酸素極小層(OMZ)の拡大の原因を評価。

Climate of the Past
Holocene climate variability in the winter rainfall zone of South Africa
S. Weldeab, J.-B. W. Stuut, R. R. Schneider, and W. Siebel
アフリカ南東部沖で得られた堆積物コアの浮遊性有孔虫δ18O・δ13C・87/86Sr・εNdを用いて完新世の気候変動を復元。小氷期に最も湿潤な期間があり、南半球の偏西風の北方シフトと関連していると思われる。さらにAgulhas leakageや南極氷床へのダスト量などとの関係性も議論。

Pre-LGM Northern Hemisphere ice sheet topography
J. Kleman, J. Fastook, K. Ebert, J. Nilsson, and R. Caballero
地質調査や数値モデルなどを組み合わせてMIS5bとMIS4の北半球氷床の高度・範囲などを推定。MIS5bから徐々に北半球の氷床が成長し4つほどとなり、MIS4には大規模氷床の数はほぼMIS5b時と同じで、その後LGMに北米氷床は一つに融合したと思われる。

Eurasian Arctic climate over the past millennium as recorded in the Akademii Nauk ice core (Severnaya Zemlya)
T. Opel, D. Fritzsche, and H. Meyer
ロシアのセヴェルナヤ・ゼムリャ諸島において得られたアイスコアのδ18OとNaなどから過去1100年間の気候変動を復元。AD1800頃に最も寒冷であった。20世紀初頭には異常な2つのピークが確認された。δ18Oには小氷期も中世気候変調期の変動も検出されなかったが、他の時期には温暖化・寒冷化イベントなどが確認され、大気循環の変動と関連していると思われる。

Re-evaluation of the age model for North Atlantic Ocean Site 982 – arguments for a return to the original chronology
K. T. Lawrence, I. Bailey, and M. E. Raymo
ODP982の年代モデルの再考。Gauss–Matuyamaクロンの位置には影響はないが、3.2-3.0Maにハイエタスが確認された。

Biogeosciences
Technical Note: Precise quantitative measurements of total dissolved inorganic carbon from small amounts of seawater using a gas chromatographic system
T. Hansen, B. Gardeler, and B. Matthiessen
クロマトグラフィーを用いて海水中の全炭酸を精度良く測ることのできる新手法を開発。

Global atmospheric carbon budget: results from an ensemble of atmospheric CO2 inversions
P. Peylin, R. M. Law, K. R. Gurney, F. Chevallier, A. R. Jacobson, T. Maki, Y. Niwa, P. K. Patra, W. Peters, P. J. Rayner, C. Rödenbeck, I. T. van der Laan-Luijkx, and X. Zhang
大気CO2観測記録から過去20年間の炭素のソース・シンクなどについて議論。