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☆主なコンテンツ
1、新着論文 2、論文概説 3、コラム 4、本のレビュー 5、雑記(PC・研究関連)
6、気になった一文集(日本語English) 7、日記(日本語English

2013年10月3日木曜日

新着論文(Nature#7469)

Nature
Volume 502 Number 7469 pp5-134 (3 October 2013)

WORLD VIEW
The Anthropocene could raise biological diversity
人類の時代は生物多様性を押し上げることができるかもしれない
「人類は生態系の改変に取り組んできた。今こそ外来種に対するばかげた嫌悪感に対して再考すべきだ」とChris D. Thomasは主張する。

RESEARCH HIGHLIGHTS
Easy to thresh and better to sow
簡単に脱穀でき、よりうまく種を撒ける
Ann. Bot. 112, 829–837 (2013)
新石器時代の人類は、小麦の栽培において、実りの時期まで実が茎についているような種を好んでいたらしい。そのことによって収穫がより楽になっただけでなく、穀粒をもみがらから仕分ける作業もまた早くなったらしい。

Fine weather on far-off planet
遠くの惑星のいい天気
Astron. Astrophys. http://doi. org/n2b (2013)
アリゾナ州にある大双眼望遠鏡(Large Binocular Telescope)を用いて、地球の14倍の大きさの系外惑星(GJ3470)の大気組成がトランジット法によって観測された。惑星の大気は青く、雲のない空が広がっていることが示唆された。宇宙望遠鏡だけでなく、地上の望遠鏡でも系外惑星の探査が十分可能であることも示された。

How plants helped Earth to stay cool
いかにして植物が地球を冷たく保つのを助けたのか
Proc. Natl Acad. Sci. USA http://doi.org/n2c (2013)
プリンストン大学の研究グループは地球システムモデル(ESM2G)を用いて、産業革命以降のCO2排出や土地利用の変化を再現した。「大気中CO2濃度の上昇が植物の生育を促進する」という効果を組み込んだところ、植物の炭素取り込みの促進なしには大気中CO2濃度がさらに85ppmほど増加していた(0.31℃の温暖化に寄与)可能性が示唆された。
>話題の論文
Historical warming reduced due to enhanced land carbon uptake
Elena Shevliakova, Ronald J. Stouffer, Sergey Malyshev, John P. Krasting, George C. Hurtt, and Stephen W. Pacala

Chimps ignore watching eyes
チンパンジーは一目を気にしない
Anim. Behav. 86, 595–602 (2013)
人と異なり、チンパンジーは一目を気にしないことが実験から確かめられた。実験では、こちらを見つめる巨大な絵の前で、チンパンジーが殻付きピーナッツを食べる動作に変化があるかどうかが調べられた。人間の場合、一目があると慈悲心や正直さといった行動に変化が生じることも示された。

SEVEN DAYS
Climate report
気候の報告書
IPCCの最新の報告書が9/27に公表された。報告書の中では、地球温暖化を2℃以下に抑えるためにには、CO2排出の総量を1,800Gt以内に抑える必要があることが示されている。現在の排出速度のままだと、50年以内に訪れることになる。
>より詳細な記事(Nature NEWS)
IPCC: Despite hiatus, climate change here to stay
IPCC: ハイエタスにも関わらず、気候変化は依然続いたまま
Quirin Schiermeier
>関連した記事(ナショナルジオグラフィック ニュース)
IPCC、6年ぶりの評価報告書
>関連した記事(ナショナルジオグラフィック ニュース)
IPCCの気候変動報告書、5つの要点

Pakistan quake throws up island
パキスタンの地震が島を吐き出す
パキスタン中部のM7.7の地震の後、アラビア海に島が生じた。Gwadar沿岸部から1km沖にできた泥火山で、数ヶ月もすれば波によって消え去ると考えられている。地震の揺れで地下のメタンガスと泥とが混ざって生じたのだと思われる。

Space delivery
宇宙のデリバリー
国際宇宙ステーションへの無人の商用カーゴの2号機(Cygnus craft)が9/29に700KGの荷物を無事送り届けた。1ヶ月ほど宇宙ステーションにドッキングしたままとなり、その後ゴミを搭載して大気に突入し、燃え尽きることになる。

TREND WATCH
MORE SOLAR THAN WIND
風よりも太陽
Bloomberg New Energy Financeによる分析によると、アメリカと中国の風力発電に対する不確かなエネルギー政策を受けて、今年度の新設の風力発電所は25%落ち込むと予測されている。そのために、初めて太陽光発電が風力発電を追い越すと思われる。

NEWS IN FOCUS
Geologists take drill to Triassic park
地質学者が三畳紀の公園にドリルを持って行く
Alexandra Witze
アリゾナの大地が掘削され、動乱の三畳紀に対して一貫した説明が与えられようとしている。

Overhauls set scientists on edge
修理が科学者を崖っぷちに
Cheryl Jones
オーストラリア新政府は炭素税を廃止し、科学省の長を指名した。しかし、一方で研究への基金は削減しないと言っている。

FEATURES
Astrometry: Europe's star power
天文学:ヨーロッパの星の力
Devin Powell
まもなくESAがガイアを打ち上げる。宇宙の詳細な地図を作ること(20等級以下の約10億個の星の位置を調べること)がミッションの目標である。2013年11月にロシアのソユーズロケットを用いて打ち上げられる予定となっている。

COMMENT
Seismic hazards: Seconds count
地震災害:秒読み
「アメリカは次の巨大地震が襲う前に、地震の早期警報システムを直ちに導入すべきだ」と、Richard Allenは語る。

CORRESPONDENCE
Reducing emissions: Keep Australia's carbon pricing
排出削減:オーストラリアの炭素価格を維持せよ
Frank Jotzo

Carbon emissions: Learn from China's local pilot schemes
炭素排出:中国の地域的なパイロット計画から学べ
Xufeng Zhu

Development: Big data for a sustainable future
発展:持続可能な将来のための巨大データ
Hubert Gijzen
Global Pulse
[以下は引用文]
Managing these issues will also help to rebalance important biogeochemical cycles (especially the carbon, nitrogen and phosphorus cycles), mitigate climate change, reverse ocean acidification and reduce the loss of biodiversity. Big data will help to illuminate the origins, nature and scale of these challenges, and how they relate to one another.
こうした問題に取り組むことは、重要な生物地球化学循環(特に炭素・窒素・リン循環)を修復し、気候変化を緩和し、海洋酸性化を打ち消し、生物多様性の消失を軽減することの助けにもなるだろう。巨大データはこうした課題の起源、性質、規模とそれぞれの関係性について明らかにする助けとなるだろう。

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RESEARCH
ARTICLES
Supervolcanoes within an ancient volcanic province in Arabia Terra, Mars
火星のArabia Terraにおける古代の火山岩岩石区内部の超巨大噴火
Joseph R. Michalski & Jacob E. Bleacher
火星のArabia Terraに位置するクレーターのいくつかが不規則な形をしていることは、高地性の新たな火山活動によって形成されたものであることを示唆している。これは地球の超巨大火山のものに類似している。火星の古代の火山活動や気候変動を根本から変える可能性を秘めている。

LETTERS
Calving fluxes and basal melt rates of Antarctic ice shelves
南極の棚氷の分離フラックスと底面の融解
M. A. Depoorter, J. L. Bamber, J. A. Griggs, J. T. M. Lenaerts, S. R. M. Ligtenberg, M. R. van den Broeke & G. Moholdt
南極全ての棚氷の質量収支の構成要素の推定から、棚氷表面の質量獲得のうちの半分は、海水による浸食によって氷が氷崖に到達するまでに失われていることが示された。そのため、氷山分離による質量損失は従来考えられていたよりも34%ほど少ないことを示唆している。底面における質量損失は、海の強制力に対する将来の棚氷の脆弱性を予測する上で、有効な判断基準となる。