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1、新着論文 2、論文概説 3、コラム 4、本のレビュー 5、雑記(PC・研究関連)
6、気になった一文集(日本語English) 7、日記(日本語English

2012年7月25日水曜日

新着論文(PNAS, Ncom, Geology)

PNAS
24 July 2012; Vol. 109, No. 30

Earth, Atmospheric, and Planetary Sciences
Improving aerosol distributions below clouds by assimilating satellite-retrieved cloud droplet number
Pablo E. Saide, Gregory R. Carmichael, Scott N. Spak, Patrick Minnis, and J. Kirk Ayers
エアロゾルをうまく制約できないことが大気モデルの妨げとなっている。人工衛星によってエアロゾルの光学特性を制約することができるが、曇りの日にはそれはできない。雲の水滴数を差し引くという新しい手法(?)でうまく雲の下にあるエアロゾルの質量や数を推定できるようになるらしい。エアロゾルをうまく制約することで健康被害、大気の放射、大気汚染、天気、気候変動予測などの研究の進展につながることが期待される

Bedrock displacements in Greenland manifest ice mass variations, climate cycles and climate change
Michael Bevis, John Wahr, Shfaqat A. Khan, Finn Bo Madsen, Abel Brown, Michael Willis, Eric Kendrick, Per Knudsen, Jason E. Box, Tonie van Dam, Dana J. Caccamise, II, Bjorn Johns, Thomas Nylen, Robin Abbott, Seth White, Jeremy Miner, Rene Forsberg, Hao Zhou, Jian Wang, Terry Wilson, David Bromwich, and Olivier Francis
Greenland GPS Network (GNET)はグリーンランド氷床の縁辺でGPSを用いて基盤の変位を調査している。過去と現在の氷床量の変動を受けて、観測点は隆起しつつある。それに覆い被さる形で年変動も見られるが、それは氷床量と大気の重み(つまり大気圧)が制御している。氷期の氷床解放から推定される速度よりも早く隆起しており、固体地球が弾性体として’早く’振る舞っていることを示唆している。特に2010年の異例な隆起速度は融解日の増加に一致する。

Nature Communications
24 July 2012
Pronounced interannual variability in tropical South Pacific temperatures during Heinrich Stadial 1
Thomas Felis, Ute Merkel, Ryuji Asami, Pierre Deschamps, Ed C. Hathorne, Martin Kölling, Edouard Bard, Guy Cabioch, Nicolas Durand, Matthias Prange, Michael Schulz, Sri Yudawati Cahyarini and Miriam Pfeiffer
最終退氷期の前半は北大西洋の寒冷化で特徴づけられる(ハインリッヒ1)が、この時期における赤道太平洋の応答はそれほどよく理解されていない。IODP310で得られた化石サンゴの成長縞に沿ったSr/Ca測定からこの時期にTahitiにおいてENSOの周期での海水温変動が見られた。現在Tahitiでは明瞭に海水温のENSO変動が見られないため、この結果はハインリッヒ1の時期にENSOがより強化されていた可能性を示唆している。ENSOの海水温変動の影響がより南に伸長していた?

Geology
1 August 2012; Vol. 40, No. 8
Evidence of very rapid reef accretion and reef growth under high turbidity and terrigenous sedimentation
C.T. Perry, S.G. Smithers, P. Gulliver, and N.K. Browne
気候変動によってサンゴの生育が妨げられることが予測されているが、それ以上に陸源の砕屑物質の流入によるサンゴ礁の海水の濁度の上昇がサンゴに大きな脅威を与えている。水質悪化がサンゴの被服度や成長を阻害し、サンゴ礁の成長が抑制され、多様性も低下すると考えられている。グレートバリアリーフのMiddle Reefでサンゴ礁を掘削し、過去9,000年間のサンゴ礁の成長量を復元。年代はすべて放射性炭素によって得られている。Middle Reefは現在陸源の砕屑物が供給されている場で、成長が阻害されていると考えられているが、ここ700年間は非常に早く(年間8.3mm)成長していることが分かった。過去において成長率は様々に変化したが、成長率が最も早いのは細粒の陸源物質が最も多く流入している時期と一致し、死んだサンゴを地中に保存するのに陸源物質が寄与していることが示唆される。またサンゴ礁の中部・外部でも過去9,000年間で最も成長率が早かったのはもっとも水が綺麗な時期に一致していた。またそれは他の太平洋・インド洋のサンゴ礁でも同様のことが観察されている。つまり、濁度の大きい環境においても一時的にサンゴの成長は阻害されるかもしれないが、基本的に成長は維持され、サンゴ礁は早く成長することができる。

Hydrologic forcing of ice stream flow promotes rapid transport of sediment in basal ice
M. Bougamont and P. Christoffersen
高緯度域の大陸棚には氷河性堆積物がたまっているが、それがどのように浸食され、運搬され、堆積するかの理解は不足している。3次元の氷河流動モデルを利用して氷河の下で起きている物理現象を再現。南極のKamb氷河の底から15mに位置する氷の層の観測事実から、砕屑物を含んだ状態で流動し、氷河中で砕屑物が運搬され、そして最終的には融解によって解放されるという現象がもっとも効率の良い氷河浸食・運搬するというモデルを提唱する。モデルの再現では氷河の流れは早い時と遅い時と様々な状態を示す。また氷河速度と堆積物の運搬量の間には強い相関が見られ、砕屑物を含む層
の成長は基底部分の水の獲得などによって支配されている。モデルは南極の氷河や最終退氷期の不思議な氷河の振る舞いをよく再現できているらしい。

Evidence for end-Permian ocean acidification from calcium isotopes in biogenic apatite
Jessica L. Hinojosa, Shaun T. Brown, Jun Chen, Donald J. DePaolo, Adina Paytan, Shu-zhong Shen, and Jonathan L. Payne
ペルム紀の終わり(約252Ma)には海洋酸性化が海洋生物の大量絶滅に寄与していたことが示唆されている。中国南部の炭酸塩のδ44/40Caは同時期に負のエクスカージョンを示しており、海水のδ44/40Caが変化したか、炭酸塩のcalcite/aragonite比が変化していたことを示唆している。中国のMeishanのコノドント(アパタイトで構成される生物遺骸)化石のδ44/40Caを測定したところ、同じようなδ44/40Caの負のエクスカージョンが見られたことから、海水のδ44/40Caが変化していたことが示唆される。またその原因は海洋酸性化が考えられる。