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2012年7月20日金曜日

新着論文(CP)


Climate of the Past
7 May 2012 - 29 June 2012

The impact of different glacial boundary conditions on atmospheric dynamics and precipitation in the North Atlantic region
D. Hofer, C. C. Raible, A. Dehnert, and J. Kuhlemann
高解像度のAGCMを用いて氷期の異なる境界条件(LGM; 21kaとMiddle Weichselian; 65ka)が北大西洋の大気力学や降水にどのような影響を与えるかを調査(海氷、SST、ほ放射強制力、氷床量など)。特にLaurentaide氷床の高度に大きな違いが見られ、氷床の影響で偏西風の位置が変化することで北大西洋の降水も変化した(特に冬に顕著で、夏はあまり変化は見られなかった)。

Productivity response of calcareous nannoplankton to Eocene Thermal Maximum 2 (ETM2)
M. Dedert, H. M. Stoll, D. Kroon, N. Shimizu, K. Kanamaru, and P. Ziveri
PETM(~56Ma)のあとに起きたETM2(~53.7Ma)にも同様の温暖期が起きていたことが知られている。d13Cの負のエクスカージョンと深海底での炭酸塩の大規模な溶解は大量の炭素が表層にもたらされたことを示唆しており、結果的に海洋酸性化、温暖化、海洋の成層化、栄養塩供給の変化などが海洋の植物プランクトン(中でも石灰化・光合成植物プランクトン)に影響したと考えられる(現在の地球温暖化のアナログになる)。南大西洋と北太平洋から得られた堆積物コア中の石灰化植物プランクトンのSr/CaをICP-AESで測定することで過去の生物生産を推定。ETM2の時に南大西洋では生物生産が増加(湧昇か河川からの栄養塩供給が増加したことが原因?)し、逆に北太平洋では減少していたことが分かった。

Sensitivity of the North Atlantic climate to Greenland Ice Sheet melting during the Last Interglacial
P. Bakker, C. J. Van Meerbeeck, and H. Renssen
EMICs(LOVECLIM)を用いて最終間氷期のグリーンランド氷床の融解とそれが気候に与える影響の感度実験。海氷の範囲や子午面循環の強弱を変えることで、3つの北大西洋のSSTのレジームがあることが分かった。それを間接指標より復元されているSSTと比較することで、どのレジームが現実的かを特定。それによると、Labrador海では約4℃の温度低下、北大西洋の40º-70ºNで約1℃の温度低下が見られた。またグリーンランド氷床は夏の温度極大期とはやや遅れて部分的に融解していることも分かった。

Role of CO2 and Southern Ocean winds in glacial abrupt climate change
R. Banderas, J. Álvarez-Solas, and M. Montoya
氷期の千年スケールの気候変動のメカニズムをEMICs(CLIMBER-3α)を用いて考察。二酸化炭素濃度と南大洋の偏西風を変えることで(ともに増加させた)、AMOCが強化し、北大西洋の海氷の後退とSSTの上昇(初めの数十年で4℃、その後10℃の上昇)が再現された。またAMOCの強化はNADWの形成域をより北上させ、より多くの熱を大気に渡すことで自身は冷たくなり、かつ海氷後退によって淡水の供給も減少することでよりAMOCが強化される(正のフィードバック)という新しいメカニズムが提唱された。

Volcanic synchronisation between the EPICA Dome C and Vostok ice cores (Antarctica) 0–145 kyr BP
F. Parrenin, J.-R. Petit, V. Masson-Delmotte, E. Wolff, I. Basile-Doelsch, J. Jouzel, V. Lipenkov, S. O. Rasmussen, J. Schwander, M. Severi, R. Udisti, D. Veres, and B. M. Vinther
102の火山灰層を特定(電気伝導度、di-electorical profiling、硫黄濃度)することで、EDCアイスコアとVostokアイスコアの0-145kaの年代モデルを再構築。新しい年代モデルはAntarctic Ice Core Chronology 2012に貢献すると考えられる。年代モデルの差異は主に氷の厚さの変化によるもので、表面で雪の降り方が変化したせいではなさそう。新しい年代モデルからは、EDCとVostokで同位体シグナルの時間的な遅れは確認されなかった。またToba大爆発の差異に放出された火山灰と思しき候補は3つあるが、他の火山灰層の方が明瞭である。

Ranges of moisture-source temperature estimated from Antarctic ice cores stable isotope records over glacial–interglacial cycles
R. Uemura, V. Masson-Delmotte, J. Jouzel, A. Landais, H. Motoyama, and B. Stenni
アイスコアの同位体比(δ18O, δD)を用いて氷期-間氷期の極域の温度復元がなされているが、同位体は水蒸気の元となる海域の温度の変化や降水の際の空気の温度に依存して変化してしまうことが知られている。Dome Fujiのアイスコアの360ka分を用いてd-exess法で温度変化のもたらす不確実性を評価。特に後者の効果与える影響が大きいが、効果の見積もりはかなり正確に行えるらしい。