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☆主なコンテンツ
1、新着論文 2、論文概説 3、コラム 4、本のレビュー 5、雑記(PC・研究関連)
6、気になった一文集(日本語English) 7、日記(日本語English

2013年5月7日火曜日

新着論文(PNAS)

Proceedings of the National Academy of Sciences
☆23 April 2013; Vol. 110, No. 17
Letters
Inferring the anthropogenic contribution to local temperature extremes
地域的な極端な温度に対する人為起源の寄与に関して
Dáithí A. Stone, Christopher J. Paciorek, Prabhat, Pardeep Pall, and Michael Wehner
「2011年のテキサスの熱波、2010年のモスクワの熱波、2003年のフランスの熱波が温暖化起源だ」とするHansen et al. (2012, PNAS)の統計上の問題点の指摘。

Reply to Stone et al.: Human-made role in local temperature extremes
Stone et al.への返答:地域的な極端な温度における人間の寄与
James Hansen, Makiko Sato, and Reto Ruedy

Earth, Atmospheric, and Planetary Sciences
Abrupt drainage cycles of the Fennoscandian Ice Sheet
フェノスカンジアン氷床の急激な氷河流出サイクル
Guillaume Soulet, Guillemette Ménot, Germain Bayon, Frauke Rostek, Emmanuel Ponzevera, Samuel Toucanne, Gilles Lericolais, and Edouard Bard
氷期にヨーロッパを覆っていたフェノスカンジアン氷床(Fennoscandian Ice Sheet; FIS)は黒海とも繋がっていた。黒海から得られた堆積物中のεNd、元素分析、バイオマーカーなどから最終退氷期における堆積物の起源や河川流量などを推定。HS1に大きな淡水流入があったことが示唆される。

Ecology
Plant diversity effects on soil food webs are stronger than those of elevated CO2 and N deposition in a long-term grassland experiment
長期間的な草原においては植物の多様性が土壌の食物網に与える影響は上昇したCO2濃度や窒素蓄積の影響よりも多い
Nico Eisenhauer, Tomasz Dobies, Simone Cesarz, Sarah E. Hobbie, Ross J. Meyer, Kally Worm, and Peter B. Reich
ミネソタ州におけるCO2とNの土壌への13年間にわたる添加実験から、これらの影響は植生の多様性に比べて土壌の食物網にあまり影響しないことが示された。

Environmental Sciences
Climate change, wine, and conservation
気候変化、ワイン、保全
Lee Hannah, Patrick R. Roehrdanz, Makihiko Ikegami, Anderson V. Shepard, M. Rebecca Shaw, Gary Tabor, Lu Zhi, Pablo A. Marquet, and Robert J. Hijmans
気候変化は生物種に与える影響を介して生態系全体に影響するが、そうした変化が農業活動に与える影響はよく調べられていない。気候変化が淡水生態系の変化を通して世界のブドウ生産に大きな影響を与えることを示す。RCP8.5のシナリオでは2050年までに生産量は25-73%低下し、RCP4.5シナリオの場合19-62%低下すると考えられる。気候変化の結果より高地にブドウの産地が移動することで、高地の生態系が圧迫されることに繋がる。さらに低地で継続してブドウの品質を守ろうとして水まきなどを行うと、今度は淡水生態系に悪影響が生じる。

Evolution
Evolutionary change during experimental ocean acidification 
実験的な海洋酸性化の間の進化的変化
Melissa H. Pespeni, Eric Sanford, Brian Gaylord, Tessa M. Hill, Jessica D. Hosfelt, Hannah K. Jaris, Michèle LaVigne, Elizabeth A. Lenz, Ann D. Russell, Megan K. Young, and Stephen R. Palumbi
海洋酸性化は生物種ごとに様々な影響を与える。ムラサキウニの幼生を用いた酸性化実験から、ウニの幼生の発達や形態には際立った変化は見られないことが示された。逆に遺伝子に際立った変化が見られ、それは生物硬化作用、脂質代謝、イオン・ホメオスタシス(一定状態に維持する作用)に関連する遺伝子であった。外形に変化が見られないような生物は内部でこうした変化が起きているかもしれず、これまでの研究で見落とされている可能性がある。急速な環境の変化にも潜在的な遺伝的多様性によって進化することで適応できる生物がいることを示している。

30 April 2013; Vol. 110, No. 18
Ecology
Ocean acidification alters the otoliths of a pantropical fish species with implications for sensory function
海洋酸性化が熱帯に広く分布する魚種の耳石を変え、感覚機能に影響する可能性
Sean Bignami, Ian C. Enochs, Derek P. Manzello, Su Sponaugle, and Robert K. Cowen
海洋酸性化が石灰化生物に与える影響はこれまで広く研究されてきたが、魚に与える影響はよく分かっていない。熱帯域に広く分布するスギ(cobia; Rachycentron canadum)の幼魚を2,100μatmのpCO2下で飼育したところ、耳石のサイズだけでなく、耳石密度も’増加’することが分かった。聴覚が強化される可能性が示唆される。魚の生存率や繁殖活動に影響が出る可能性がある。