Main contents


☆主なコンテンツ
1、新着論文 2、論文概説 3、コラム 4、本のレビュー 5、雑記(PC・研究関連)
6、気になった一文集(日本語English) 7、日記(日本語English

2013年5月15日水曜日

新着論文(Scientific Reports)

Scientific Reports (Open Access)
Evidence of a large cooling between 1690 and 1740 AD in southern Africa
アフリカ南部で西暦1690~1740年に生じた大規模な寒冷化の証拠 
H. S. Sundqvist, K. Holmgren, J. Fohlmeister, Q. Zhang, M. Bar Matthews, C. Spötl & H. Körnich
南アフリカで得られた鍾乳石δ18Oから350年間の気温を復元。マウンダー極小期から少し遅れて、1690-1740年に1.4℃ほどの寒冷化が起きていたおことが示された。また22年・11年・4.8年の周期が卓越しており、太陽とENSOの変動が原因と考えられる。
Sundqvist et al.を改変。
赤が鍾乳石のδ18O、青が近傍のサンゴのδ18Oの変動。MM; Maundar Minimum。灰色のシェードは鍾乳石δ18Oと観測気温との相関が悪い部分。MM後の寒冷化が2つの指標に見られている。

Climate variability and outbreaks of infectious diseases in Europe
ヨーロッパの気候変動と伝染病発生 
Serge Morand, Katharine A. Owers, Agnes Waret-Szkuta, K. Marie McIntyre & Matthew Baylis
マラリアのような昆虫媒介性の疫病の発生はENSOといった気候異常と関連している証拠が最近になって報告され始めている。過去50年間のヨーロッパにおける13回の疫病の発生とNAOの関係性を調べたところ、うち7回は通常よりも冬の気温と降水量が高い時期(NAOの正のフェーズ)に発生していたことが分かった。また2回は夏のNAOの正・負のフェーズの時に起きていた。早期警告システムの構築にこの知見が寄与すると思われる。

High risk of extinction of benthic foraminifera in this century due to ocean acidification
海洋酸性化による今世紀の底生有孔虫の高い絶滅リスク
S. Uthicke, P. Momigliano & K. E. Fabricius
パプアニューギニアの海底下からCO2が噴いている海域(海洋酸性化のアナログになる)で底性有孔虫の調査を行ったところ、pCO2の増加とともに有孔虫の密度・多様性ともに減少することが分かった。pHが7.9を下回るところでは有孔虫は確認されず、石灰化を行わない生物の方が減少の程度は小さかった。地質学時代の絶滅のように、2100年には熱帯域の浅海に棲む底性有孔虫は絶滅するのではないかと思われる。
Uthicke et al.を改変。
pHの低下とともに有孔虫の密度・多様性ともに減少することが見て取れる。

Coralline algal Barium as indicator for 20th century northwestern North Atlantic surface ocean freshwater variability
20世紀の北大西洋北西部の海洋表層水の淡水変動の指標としての石灰藻のバリウム 
S. Hetzinger, J. Halfar, T. Zack, J. V. Mecking, B. E. Kunz, D. E. Jacob & W. H. Adey
過去数十年間に渡って北大西洋の淡水流入量は大きく変化してきた。しかし観測が始まる以前の1950年よりも昔の変動についてはよく分かっていない。北大西洋北西部で得られた石灰藻(アナアキキタイシモ; Clathromorphum compactum)のBa/Caが淡水(塩分)の変動の指標になる可能性を報告する。淡水の変動はさらに海洋の成層化の指標になり、気候変動にとっても重要な知見を与えることが期待される。
Hetzinger et al.を改変。
石灰藻のBa/Caと種々の環境変数(水温、塩分、海氷量など)がよく一致した変動を示している。

Geology
North Atlantic versus Southern Ocean contributions to a deglacial surge in deep ocean ventilation
L.C. Skinner, A.E. Scrivner, D. Vance, S. Barker, S. Fallon, and C. Waelbroeck
最終退氷期におけるCO2濃度上昇は南大洋におけるガス交換が原因と考えられているが、その証拠は限られている。放射性炭素(Skinner et al., 2010, Science)と新たに得られたεNdから、最終退氷期における大西洋南部の海洋循環を復元。大西洋の子午面循環だけでなく、南大洋の底層水形成も重要な役割を負っていたと考えられる。大西洋が重要なフィードバックを担っていた?

Profiles of ocean island coral reefs controlled by sea-level history and carbonate accumulation rates
Michael Toomey, Andrew D. Ashton, and J. Taylor Perron
太平洋に広がる海洋島周辺のサンゴ礁は様々な形態をとる(e.g. fringing reef, barrier reef, terraces)。ダーウィンがかつて火山島の形成とその後の沈降がサンゴ礁の地形発達パターンを説明することを発見したが、現在見られているサンゴ礁は必ずしもその学説に従っていない。沈降だけでなく、サンゴの成長や第四紀の海水準変動も地形形成に重要な役割を負っていることを示す。モデルシミュレーションでバリエーションをよく再現できることが分かった。