「日本の近海にはメタンハイドレートとして大量の天然ガスが眠っており、それが日本の不景気脱出および今後の経済発展の起爆剤になる」
などと頻繁にもてはやされる、天然ガス。
僕自身は天然ガスをはじめとするエネルギー資源の専門家でもなんでもありませんが、日々の科学ニュースからはあらゆる情報が流れ込んできます。
今回は科学界における天然ガスやメタンハイドレートの位置づけや、それに関する個人的な興味・所見などをまとめてみたいと思います。
まずはシェールガスについて。
シェール(shale)とは頁岩(本のページのようにペリペリめくれる)と訳され、主に古代の海で珪藻が生産した有機物が海底堆積物中やその後の地質学的変質過程で熟成し、炭化水素へと姿を変えたものです。
通常の採掘方法では抽出できないものの、'fracking'と呼ばれる技術で流体を地下深部に高圧で注入することで無理矢理採掘しているようです。
有名な産地は北米のノースダコタ州で、日本にも一応存在しますが、他に比べると埋蔵量はほとんど無いに等しく、期待過剰と言えそうです(wikipedia「シェールガス」)。
この際、注入された流体や種々の薬剤が周辺の環境や、最悪の場合周辺住民の飲料水にも混入することが、広く問題視されています。
また(frackingではないらしいですが)流体注入がM5.7の大地震を招いた可能性がアメリカ・オクラホマ州で示され、大きな話題を呼んでいます(Geologyの論文)。
もう一つ、個人的にもっとも関心を寄せているのは、以下に挙げられているような、CO2やメタンが大気中に流出されていたり、輸送運搬の過程で間接的にCO2を放出している事実です。
Drawbacks to Natural Gas
天然ガスの欠点
Sara Souther
Science (12 APRIL 2013)
エネルギー依存型の社会を維持するために天然ガスの使用が’クリーン’だとしてもてはやされているものの、天然ガスは確かに石油や石炭よりも燃やした時にはよりクリーンだが、生産から消費までの一連の流れの中で発生する炭素の量(carbon footprint)は従来法よりも多い。さらに近年急増するシェールガス生産も近隣の淡水汚染を引き起こしており、アメリカ・ワイオミング州などでは飲料用の井戸水に毒性のある、発がん性の物質が検出されている。
シェール(shale)とは頁岩(本のページのようにペリペリめくれる)と訳され、主に古代の海で珪藻が生産した有機物が海底堆積物中やその後の地質学的変質過程で熟成し、炭化水素へと姿を変えたものです。
通常の採掘方法では抽出できないものの、'fracking'と呼ばれる技術で流体を地下深部に高圧で注入することで無理矢理採掘しているようです。
有名な産地は北米のノースダコタ州で、日本にも一応存在しますが、他に比べると埋蔵量はほとんど無いに等しく、期待過剰と言えそうです(wikipedia「シェールガス」)。
この際、注入された流体や種々の薬剤が周辺の環境や、最悪の場合周辺住民の飲料水にも混入することが、広く問題視されています。
また(frackingではないらしいですが)流体注入がM5.7の大地震を招いた可能性がアメリカ・オクラホマ州で示され、大きな話題を呼んでいます(Geologyの論文)。
もう一つ、個人的にもっとも関心を寄せているのは、以下に挙げられているような、CO2やメタンが大気中に流出されていたり、輸送運搬の過程で間接的にCO2を放出している事実です。
石油を採掘する際にガスを燃やして大気に捨てることは、環境(温暖化や空気汚染)に良くないだけでなく、もはや過去と違い正当化されない。特に石油採掘技術が世界で最も成熟したアメリカこそ、この天然資源を活用する手段を模索すべきである。
現在アメリカのノースダコタ州でシェール・ガスの集中的な採掘がなされているが、2012年に大気中に放出されたCO2の量は390万トンであり、さらに悪いことに、CO2よりも温室効果の大きいメタンが大量に大気に漏れ出していると考えられている。
「燃やされるガスにも課税する」「石油・ガス産業により厳しい規制を設ける」などの措置を施すことで、この動きを止める手だてとなるかもしれない。
[以下は引用文]
As a result, the public gets a smaller return on the environmental price being paid to recover this oil — the inevitable impacts on public infrastructure, air and water resources, and on the landscape itself.
結果として、この石油を採掘するのに犠牲となる環境の価値に対して民衆が得られる見返りはより少なくなる。公共インフラ、大気・水資源、景観そのものへの避け難い悪影響など。
But it will be up to scientists to pin down the full suite of impacts from the new oil and gas developments and to help policy-makers better understand the choices that they are making.
しかし、新たな石油やガスの発展がもとで生じる一連の影響を分かりやすく説明し、政策決定者が自らの選択をより理解する手助けをするのが科学者の役割であろう。
現在アメリカのノースダコタ州でシェール・ガスの集中的な採掘がなされているが、2012年に大気中に放出されたCO2の量は390万トンであり、さらに悪いことに、CO2よりも温室効果の大きいメタンが大量に大気に漏れ出していると考えられている。
「燃やされるガスにも課税する」「石油・ガス産業により厳しい規制を設ける」などの措置を施すことで、この動きを止める手だてとなるかもしれない。
[以下は引用文]
As a result, the public gets a smaller return on the environmental price being paid to recover this oil — the inevitable impacts on public infrastructure, air and water resources, and on the landscape itself.
結果として、この石油を採掘するのに犠牲となる環境の価値に対して民衆が得られる見返りはより少なくなる。公共インフラ、大気・水資源、景観そのものへの避け難い悪影響など。
But it will be up to scientists to pin down the full suite of impacts from the new oil and gas developments and to help policy-makers better understand the choices that they are making.
しかし、新たな石油やガスの発展がもとで生じる一連の影響を分かりやすく説明し、政策決定者が自らの選択をより理解する手助けをするのが科学者の役割であろう。
Drawbacks to Natural Gas
天然ガスの欠点
Sara Souther
Science (12 APRIL 2013)
エネルギー依存型の社会を維持するために天然ガスの使用が’クリーン’だとしてもてはやされているものの、天然ガスは確かに石油や石炭よりも燃やした時にはよりクリーンだが、生産から消費までの一連の流れの中で発生する炭素の量(carbon footprint)は従来法よりも多い。さらに近年急増するシェールガス生産も近隣の淡水汚染を引き起こしており、アメリカ・ワイオミング州などでは飲料用の井戸水に毒性のある、発がん性の物質が検出されている。
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天然ガスが’クリーン’と言われる理由は、石油や石炭に比べて純粋で、しかも燃焼効率と発熱エネルギーが高いことから、CO2や種々の不純物(煤や窒素・硫黄酸化物など)を排出しにくいことに起因します。
ただし、例えば煤(ブラック・カーボン)は地球温暖化を促進しますが(JGRの論文)、一方で窒素・硫黄酸化物をはじめとする物質が作るエアロゾル(+雲)は地球を’寒冷化’させていると考えられています。
天然ガスが’クリーン’と言われる理由は、石油や石炭に比べて純粋で、しかも燃焼効率と発熱エネルギーが高いことから、CO2や種々の不純物(煤や窒素・硫黄酸化物など)を排出しにくいことに起因します。
ただし、例えば煤(ブラック・カーボン)は地球温暖化を促進しますが(JGRの論文)、一方で窒素・硫黄酸化物をはじめとする物質が作るエアロゾル(+雲)は地球を’寒冷化’させていると考えられています。
そのため、単に不純物を取り除いたからといって、大気汚染的にはよりクリーンだとは言えますが、地球温暖化対策的にはクリーンとは言えないというややこしい側面があります(例えば、Nature Climate Changeの論文)。
話をCO2に戻すと、炭化水素の燃焼によって生じるCO2は基本的には大気中に放出されるので、必ずしもクリーンとは言えないわけです。
CO2捕獲・貯留(Carbon Capture and Strage; CCS)と呼ばれる、地質構造帯や深海底に液化もしくは固化したCO2を隔離する技術も研究はなされていますが、まだ実用段階には入っていません。
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炭素捕獲・貯留の最後のチャンス
Vivian Scott, Stuart Gilfillan, Nils Markusson, Hannah Chalmers & R. Stuart Haszeldine
Nature Climate Change (Dec 2012)
依然として世界のエネルギー生産の大部分は化石燃料の燃焼によって賄われており、結果生じたCO2は大気中へと自由に放出されている。
さらに炭素捕獲・貯留技術が応用されている火力発電所は一基もないという現実がある。
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CCSにおいて期待されているのは、石油や天然ガスの採掘で用いた掘削孔を用いて空いた穴をCO2で埋める方法です。
何故ならばそこは数万年〜場合によっては数億年にわたって’安定に’石油や天然ガスを保管し続けてきた場所だからです。
人間が採掘可能な天然ガスが眠る場所は、大陸棚や深海底に限らず、実は陸上にも存在します。
特に北極圏のツンドラ地帯には大量のメタンハイドレートが眠っています。
最近特に北極圏の温暖化が著しく、次第に開発可能な土地が開けつつあります。ちなみに南極や北極の氷の下にもこうした資源が眠っているとされ、期待が寄せられています。
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Atmospheric observations of Arctic Ocean methane emissions up to 82° north
北極海からのメタン排出の82ºNまでの大気観測
E. A. Kort, S. C. Wofsy, B. C. Daube, M. Diao, J. W. Elkins, R. S. Gao, E. J. Hintsa, D. F. Hurst, R. Jimenez, F. L. Moore, J. R. Spackman & M. A. Zondlo
Nature Geoscience (May 2012)
北極にはガスハイドレートや永久凍土として大量のメタンが蓄積されており、しかも北極海の海水はメタンに関して過飽和の状態にある。航空機を用いて北極のメタン濃度を計測したところ、海氷の割れ目や海氷が変動しやすい地域で、シベリアの大陸棚に匹敵するほどの大量のメタン放出が見つかった。一酸化炭素の量の変動は見られなかったため、燃焼由来のものではないと考えられる。
Potential methane reservoirs beneath Antarctica
北極にはガスハイドレートや永久凍土として大量のメタンが蓄積されており、しかも北極海の海水はメタンに関して過飽和の状態にある。航空機を用いて北極のメタン濃度を計測したところ、海氷の割れ目や海氷が変動しやすい地域で、シベリアの大陸棚に匹敵するほどの大量のメタン放出が見つかった。一酸化炭素の量の変動は見られなかったため、燃焼由来のものではないと考えられる。
Potential methane reservoirs beneath Antarctica
南極の下の可能性のあるメタン貯蔵庫
J. L. Wadham, S. Arndt, S. Tulaczyk, M. Stibal, M. Tranter, J. Telling, G. P. Lis, E. Lawson, A. Ridgwell, A. Dubnick, M. J. Sharp, A. M. Anesio & C. E. H. Butler
Nature (30 August 2012)
南極においてはこれまで生命はほとんど存在しないと考えられてきたが、最近ではメタン生成古細菌(methanogenic archaea)が氷の下で有機炭素分解を行っていると考えられているが、これまで評価がされて来なかった。南極氷床の下には21,000PgCもの有機炭素が埋没している。他の氷河における実験によって氷床の下でメタン生成に繋がる有機物分解があることを示し、数値モデルから南極におけるメタンハイドレートの埋没量を推定。西南極氷床の下には300m深に、東南極氷床の下には700m深にメタンハイドレート形成に適した温度・圧力条件が実現していることが分かった。北極周辺の永久凍土に匹敵する埋蔵量かも?南極氷床融解時には温室効果に正のフィードバックをもたらす重要なメタンの放出源となる可能性がある。
J. L. Wadham, S. Arndt, S. Tulaczyk, M. Stibal, M. Tranter, J. Telling, G. P. Lis, E. Lawson, A. Ridgwell, A. Dubnick, M. J. Sharp, A. M. Anesio & C. E. H. Butler
Nature (30 August 2012)
南極においてはこれまで生命はほとんど存在しないと考えられてきたが、最近ではメタン生成古細菌(methanogenic archaea)が氷の下で有機炭素分解を行っていると考えられているが、これまで評価がされて来なかった。南極氷床の下には21,000PgCもの有機炭素が埋没している。他の氷河における実験によって氷床の下でメタン生成に繋がる有機物分解があることを示し、数値モデルから南極におけるメタンハイドレートの埋没量を推定。西南極氷床の下には300m深に、東南極氷床の下には700m深にメタンハイドレート形成に適した温度・圧力条件が実現していることが分かった。北極周辺の永久凍土に匹敵する埋蔵量かも?南極氷床融解時には温室効果に正のフィードバックをもたらす重要なメタンの放出源となる可能性がある。
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僕自身が最も危惧するのは、以下の二つの論文・記事で述べられているような、永久凍土帯の温室効果を促進させる「正のフィードバック」に関する知見です。
これは以前日本語にした記事をまとめたものがあるので、良かったら読んでみてください。(拙ブログ記事「永久凍土が溶けるとより温暖化が進行する」)
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永久凍土の微生物コミュニティーのメタゲノム解析が融解に対する急速な応答を明らかに
Rachel Mackelprang, Mark P. Waldrop, Kristen M. DeAngelis, Maude M. David, Krystle L. Chavarria,Steven J. Blazewicz, Edward M. Rubin & Janet K. Jansson
Nature (15 December 2011)
High risk of permafrost thaw
Rachel Mackelprang, Mark P. Waldrop, Kristen M. DeAngelis, Maude M. David, Krystle L. Chavarria,Steven J. Blazewicz, Edward M. Rubin & Janet K. Jansson
Nature (15 December 2011)
High risk of permafrost thaw
永久凍土融解の高いリスク
Edward A. G. Schuur & Benjamin Abbott
Nature (15 December 2011)
Edward A. G. Schuur & Benjamin Abbott
Nature (15 December 2011)
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地質学時代においてはメタンハイドレートの崩壊が暴走温暖化や海洋酸性化を招き、大量絶滅へと繋がったと考える科学者も多くいます。
興味深いのは、「シベリアの洪水玄武岩(Large Igunious Provinces; LIPs)が噴いたことが永久凍土の炭素貯蔵庫の不安定化を起こし、それが火山性CO2の放出に加えて、更なるCO2放出を招いた」とする説などです。
Paleocene-Eocene Thermal Maximum; PETMと呼ばれる急激な温暖期にも、メタンハイドレート崩壊が重要な役割を負っていたと考えられています。
昔のメタンハイドレート崩壊と'海洋酸性化'の関係については、以前書いた記事でも触れられています。(拙ブログ記事「地質時代の海洋酸性化の記録」)
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三畳紀初期の海の生命
David J. Bottjer
Science (10 October 2012)
来る100年間は地球は温暖化し、さらに海洋は酸性化や貧酸素の状態も同時に起きることが予想されている。PETMが温暖化した世界のアナログになるとして盛んに研究がなされているが、それでも温暖化の速度や規模、その厳しさは足りないと考える科学者もおり、顕世代史上最大の大量絶滅が起きたP/T境界の温暖期にも注目が集まっている。それはおよそ2億5千万年前に相当し、シベリアの洪水玄武岩が地下の石炭や有機物に富んだ堆積物を燃焼させ、発生したCO2による温室効果によって地表温度は極めて高かったと考えられている。熱帯地域での表層水温は約40℃で、それによって生じた海洋無酸素、緑色硫黄バクテリアによる硫化水素生成による毒によって回復におよそ1億年を要するほどの大量絶滅が起きたと想像されている。海洋酸性化、貧酸素、浅海域の硫黄濃度上昇は短い時間スケールで、温暖化はより長い時間スケールで生物に対して致命傷を与えたと考えられる(特にサンゴなど)。当時の大陸は集合していて超大陸パンゲアを形成しており、また炭酸塩骨格を持つプランクトンも登場していなかったため、海洋のアルカリ度や堆積物によるバッファーもうまく効かなかったと考えられる。そのため現在とは全く異なるセッティングで温暖化が進行したことも指摘されている。しかし炭素循環や生物の大量絶滅、温暖化に対する知見を深めてくれることが期待されている。
来る100年間は地球は温暖化し、さらに海洋は酸性化や貧酸素の状態も同時に起きることが予想されている。PETMが温暖化した世界のアナログになるとして盛んに研究がなされているが、それでも温暖化の速度や規模、その厳しさは足りないと考える科学者もおり、顕世代史上最大の大量絶滅が起きたP/T境界の温暖期にも注目が集まっている。それはおよそ2億5千万年前に相当し、シベリアの洪水玄武岩が地下の石炭や有機物に富んだ堆積物を燃焼させ、発生したCO2による温室効果によって地表温度は極めて高かったと考えられている。熱帯地域での表層水温は約40℃で、それによって生じた海洋無酸素、緑色硫黄バクテリアによる硫化水素生成による毒によって回復におよそ1億年を要するほどの大量絶滅が起きたと想像されている。海洋酸性化、貧酸素、浅海域の硫黄濃度上昇は短い時間スケールで、温暖化はより長い時間スケールで生物に対して致命傷を与えたと考えられる(特にサンゴなど)。当時の大陸は集合していて超大陸パンゲアを形成しており、また炭酸塩骨格を持つプランクトンも登場していなかったため、海洋のアルカリ度や堆積物によるバッファーもうまく効かなかったと考えられる。そのため現在とは全く異なるセッティングで温暖化が進行したことも指摘されている。しかし炭素循環や生物の大量絶滅、温暖化に対する知見を深めてくれることが期待されている。
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もちろん地質時代の記録は、’地球の気候変動の極端な解’を僕らに教えてはくれますが、必ずしも現在進行中の温暖化の完璧な鑑(アナログ)にはならないことに注意が必要です。
最後に、天然ガスとエネルギー政策に関する個人的な所見を端的に述べてみます。
もし排出されるCO2が100%(或いはそれに限りなく近い形で)捕獲・貯留できるのであれば、その開発は(できる限り環境に負荷を与えない形で)行っても良い、或いは行うべきだとも考えています。
人類にとってエネルギーは必要不可欠なものですし、他に取って代わるエネルギー源がないのが現状ですから。
もし再生可能エネルギー(水力・風力・太陽光・地熱・バイオマスなど)や原子力(やそれに類するもの)エネルギーだけですべてのエネルギーを賄うことができればそれに越したことはありませんが、それは今すぐに実現するものではなく、各国のエネルギー政策を鑑みるに、かなり長期的な目標と言えそうです。
ゆくゆくはそうなって欲しいものですが、依然として石油・石炭が安価である現状で、特に中国・インドをはじめとする途上国は果たしてそのような長期的視野でもって発展を遂げるでしょうか?
エネルギーや水・食糧を湯水のように使い続ける先進国に自らの生活を変える意思はあるのでしょうか?
短絡的な目先の利益にだけとらわれず、視野を長〜く広げて、冷静に地球との共存の道を模索したいものです。
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※2013.5.17 追記
Science誌にて「シェールガス掘削が環境に及ぼす影響」に関するレビュー論文が掲載されたので、下にその概要を載せておきます。
Impact of Shale Gas Development on Regional Water Quality
シェールガスの発展が地域の水質に与える影響
R. D. Vidic, S. L. Brantley, J. M. Vandenbossche, D. Yoxtheimer, and J. D. Abad
Background: 背景
・従来型の石油・石炭から天然ガスへの転換は比較的クリーンな化石燃料使用へと繋がり、エネルギーを輸入に頼る国々にとって依存性を軽減する上でも重要である。また発電所から出される汚染物質や水銀も低減される。
・水平掘削や水圧fracturingといった新技術がシェールガスという非在来型の天然ガス採掘を可能にした。しかし地域的な水質汚染・ガス漏れ・コンタミ・汚染水排出・事故によるガス流出などの危険が報告されている。
Advances:進展
・最も一般的な問題は地下水への漏れ出しである。掘削が行われている場所で地下水中のメタン検出が報告され、それが自然によるものか人工によるものかが議論を呼んでいる。
・ガス抽出に用いられる水の再利用もまた表層に汚染物質を大量にもたらしていると考えられ、新たな管理戦略が必要とされており、それは今後も強化されると思われる。
Outlook:見込み
・汚染物質の長期モニタリングとデータ統合が水質汚染が招くリスクを軽減させると考えられる。
・法的な調査の秘密性・資金援助が限られていること・発展が早いことなどが環境影響評価研究を妨げている。
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※2013.5.17 追記
Science誌にて「シェールガス掘削が環境に及ぼす影響」に関するレビュー論文が掲載されたので、下にその概要を載せておきます。
Impact of Shale Gas Development on Regional Water Quality
シェールガスの発展が地域の水質に与える影響
R. D. Vidic, S. L. Brantley, J. M. Vandenbossche, D. Yoxtheimer, and J. D. Abad
Background: 背景
・従来型の石油・石炭から天然ガスへの転換は比較的クリーンな化石燃料使用へと繋がり、エネルギーを輸入に頼る国々にとって依存性を軽減する上でも重要である。また発電所から出される汚染物質や水銀も低減される。
・水平掘削や水圧fracturingといった新技術がシェールガスという非在来型の天然ガス採掘を可能にした。しかし地域的な水質汚染・ガス漏れ・コンタミ・汚染水排出・事故によるガス流出などの危険が報告されている。
Advances:進展
・最も一般的な問題は地下水への漏れ出しである。掘削が行われている場所で地下水中のメタン検出が報告され、それが自然によるものか人工によるものかが議論を呼んでいる。
・ガス抽出に用いられる水の再利用もまた表層に汚染物質を大量にもたらしていると考えられ、新たな管理戦略が必要とされており、それは今後も強化されると思われる。
Outlook:見込み
・汚染物質の長期モニタリングとデータ統合が水質汚染が招くリスクを軽減させると考えられる。
・法的な調査の秘密性・資金援助が限られていること・発展が早いことなどが環境影響評価研究を妨げている。