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☆主なコンテンツ
1、新着論文 2、論文概説 3、コラム 4、本のレビュー 5、雑記(PC・研究関連)
6、気になった一文集(日本語English) 7、日記(日本語English) おまけTwilog

2013年2月3日日曜日

新着論文(GRL)

Geophysical Research Letters
Multi-decadal trends in the advection and mixing of natural carbon in the Southern Ocean
Nicole S. Lovenduski, Matthew C. Long, Peter R. Gent, Keith Lindsay
渦は再現していないが、渦による移流をパラメタ化したモデルを用いて1958-2007年の南大洋における炭素フラックスを再現。この期間に増加する風速によって自然起源のCO2の大気への放出が強化されていた。

Quantifying uncertainty in future Southern Hemisphere circulation trends
Peter A. G. Watson, David J. Karoly, Myles R. Allen, Nicholas Faull, David S. Lee
成層圏のオゾン層の破壊と温室効果ガスの増加によって南極の大気循環が変化しているが、21世紀にはオゾン層は復活すると考えられており、それがどのような影響を及ぼすかは不確かなままである。AO-GCMを用いたシミュレーションから、オゾンが復活することで対流圏のジェット気流の強度および位置が変化するが、モデルのパラメタ化に大きく依存することが示された。

Human influence on extratropical Southern Hemisphere summer precipitation
J. C. Fyfe, N. P. Gillett, G. J. Marshall
南半球の降水は近年変化しつつあるが、観測記録とモデルシミュレーションからそれが人為起源の温暖化とオゾン層の破壊によって引き起こされていることが示された。自然変動では説明できないという。

Decadal time evolution of oceanic uptake of anthropogenic carbon in the Okhotsk Sea
Yutaka W. Watanabe, Jun Nishioka, Takeshi Nakatsuka
CFC-11・CFC-12・SF6などの人工化学物質を化学トレーサーにして、1993 - 2006年におけるオホーツク海の人為起源炭素の吸収量を推定。徐々に取り込みが小さくなっており、原因としては淡水流入による成層化が考えられる。炭素の深海への輸送が難しくなるかもしれない。

Direct ventilation of the North Pacific did not reach the deep ocean during the last deglaciation
S. L. Jaccard, E. D. Galbraith
HS1の際には北太平洋でも高密度水の沈み込みが起きていたことが報告されている。亜寒帯太平洋で採取された堆積物コア(49.7181 ºN, 168.3019º E, 2393m)中の還元状態に敏感な微量元素(U, Th)を用いて深層水形成の深さを考察。他の堆積物コアとも比較したところ、2393mより深いものでHS1に気体交換が活発になったことを示す証拠は得られなかった。そうした証拠が見られるもので最も深いものは1366mであった。従って中層水(NPIW)はよく気体交換がなされていたが、深層水にはそうした影響はなかったものと考えられる。