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☆主なコンテンツ
1、新着論文 2、論文概説 3、コラム 4、本のレビュー 5、雑記(PC・研究関連)
6、気になった一文集(日本語English) 7、日記(日本語English

2012年12月21日金曜日

新着論文(Science#6114)

Science
VOL 338, ISSUE 6114, PAGES 1497-1676 (21 DECEMBER 2012)

Editors' Choice
A Productively Repellant Aura
利益をもたらす防虫オーラ
Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 109, 20124 (2012).
トマトは害虫に弱いが、トマトの野生種のなかにはジューシーな実はならさないが害虫には強いものがいる。そうした種と交配することでケジラミやハダニなどに強いトマトを作ることができるらしい。

A Map of Earth’s Rocks
地球の岩の地図
Geochem. Geophys. Geosys. 13, Q12004 (2012).
地質図や文献調査をもとに、大陸上の地質図をより詳細に描いたところ、大陸は炭酸塩が20%、変成岩が13%ずつ、火成岩が13%を占めている計算となった。また10%は水や氷で覆われている。各大陸に岩石タイプは不均質に分布しており、例えばアフリカには変成岩が、北米やヨーロッパ北部には堆積岩が広く分布している。

News of the Week
The Top 10 ScienceNOWs of 2012
2012年のScienceNOWsのトップ10
交尾中に死んだ亀の化石、防衛のために爆発する老いたシロアリ、次の超大陸、数100万年間放射性廃棄物を保管するための施設など。

News & Analysis
Sutter's Mill Meteorite Produces Mother Lode of Research
Sutter's Mill隕石が研究の主脈を作る
Emily Underwood
Sutter's Mill隕石は始源的な惑星がもとになった珍しい炭酸塩質のコンドライトである。そのうちNASAはこの天体に宇宙飛行士を送り込むかもしれない。

No Lake Mud for Curiosity Rover to Investigate?
キュリオシティーが探査すべき泥は湖にはない?
Richard Kerr
火星のGaleクレーターは初期生命の痕跡を残しているかもしれない湖の堆積物を採取するのに非常に魅力的な地域であるが、AGU'12 Fall Meetingにて発表された研究によると、その望みは薄いかもしれない

Tying Megaeruptions to a Mass Extinction Long After the Fact
巨大噴火とそれより遥か後の大量絶滅を結ぶ
Richard Kerr
放射性核種を用いた詳細な年代決定から、201Maに始まる大西洋の拡大とそれに伴う大規模な火山噴火によって、大量絶滅が起こり、恐竜が繁栄するための環境が整ったことが分かった。

Buildup to Quakes Spied in Both Model And Real World
モデルと現実世界に潜む地震を構築する
Richard A. Kerr
どのようにして地震が起きるのかを知りたい地震学者は、一歩だけ問題解決へと近づいた。

Drying out Mars.
火星を乾燥させる
Richard A. Kerr
火星表面の渓谷は年々変化することが分かっており、「固体の氷が夏の日射が強い時期に融けて流れることで形成されているのではないか」と考えられていた。しかし、アメリカ地質調査所のColin Dundasによれば、その原因は霜になったCO2であるという。Mars Reconnaissance Orbiterによる詳細な観測によると、冬の時期に渓谷の活動は集中しており、CO2の霜が融けたり凍ったりを繰り返すことが原因ではないかと考えられている。冬には水は固体のままなので候補から外れる。ただし、過去においては水が渓谷を作っていた可能性があるとも指摘されている。

Making a bigger Big One.
より大きい大きなものを作る
Richard A. Kerr
いわゆる’fracking’技術によってニューメキシコ、アラスカ、オハイオにおいてかなり大きな地震が引き起こされた。2011年11月にオクラホマで起きたM5.7の地震もまた掘削坑への流体注入がきっかけとなって起きた可能性が指摘されているが、Katie Keranenらによる調査によると、破壊された断層は掘削坑から200mしか離れておらず、掘削坑の最新部まで破壊が及んでいたという。注入された流体は地質構造によって再分配されるため、破壊はすぐには起きない。しかしながら、人間の手によって数世紀は起きないはずの大規模な地震が引き起こされる可能性が示された。

Letters
Dam Threatens Mekong Ecology
ダムがメコン川の生態系を脅かす
Guy R. Lanza
メコン川に建設される予定の水力発電用のXayaburi Damは建設を中止すべきだ。仏教の教えが環境保全に有用だとする指摘があるが、おそらく役に立たない。ダム建設による環境・社会影響の評価は歪められている。

Shark Sanctuaries: Substance or Spin?
サメの楽園:内容か姿勢か?
Lindsay N. K. Davidson
サメの個体数が主に過漁獲が原因で減少していることを受けてポリネシア・ベネズエラ・モルディブなどはサメ漁を禁止する地域を設けるなどの措置をとっているが、果たしてこれは本当に効果があるのだろうか?これは一時的な、しかも空間的にも限られたものでしかなく、実質的な保全にはより厳密なモニタリングや長期的な金銭援助が必要となる。

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Research
Perspectives
Modeling the Formation of Porphyry-Copper Ores
斑岩銅鉱の形成のモデリング
Steven E. Ingebritsen
マグマ流体から斑岩銅鉱(porphyry-copper ore)が形成されるには地殻の透水性がダイナミックに変化する必要がある。

Research Articles
Radar-Enabled Recovery of the Sutter’s Mill Meteorite, a Carbonaceous Chondrite Regolith Breccia
Peter Jenniskens et al.
珍しい炭酸塩質の隕石(Sutter’s Mill meteorite)の分析から、C-classの小惑星の表面は従来考えられていたよりも複雑であることが分かった。この隕石は歴史上最速(28.6km/s)でシエラネバダの丘陵地帯に激突したらしい。

Reports
Porphyry-Copper Ore Shells Form at Stable Pressure-Temperature Fronts Within Dynamic Fluid Plumes
P. Weis, T. Driesner, and C. A. Heinrich
数値モデルから、斑岩中の金属の蓄積物は大きなマグマチャンバーを起源とする流体がもとになっていることが示された。

Apatite 4He/3He and (U-Th)/He Evidence for an Ancient Grand Canyon
R. M. Flowers and K. A. Farley
コロラド川がグランドキャニオンを下刻した年代についてはよく分かっていない。グランドキャニオンの地層から発掘された燐灰石の4He/3He分析などから、70Maまでにはほぼ現在の深さまで(残り数百メートル)下刻していたことが分かった。「5 - 6Ma以降に下刻された」とする従来の考えと全く一致しない結果となった。