Main contents


☆主なコンテンツ
1、新着論文 2、論文概説 3、コラム 4、本のレビュー 5、雑記(PC・研究関連)
6、気になった一文集(日本語English) 7、日記(日本語English

2012年12月14日金曜日

新着論文(GCA, CG, PO, GRL, G3)

Sr/Ca Sensitivity to Aragonite Saturation State in Cultured Subsamples from a Single Colony of Coral: Mechanism of Biomineralization During Ocean Acidification
Alexander C. Gagnon, Jess F. Adkins, Jonathan Erez, John M. Eiler, Yunbin Guan
Geochimica et Cosmochimica Acta, Available online 10 December 2012, Pages 
温度一定でpHを変化(7.9 - 8.5)させて飼育したショウガサンゴ(Stylophora pistillata)のSr/CaをNanoSIMA測定したところ、明瞭な違いは得られなかった。従ってΩargの変化はSr/Ca温度計にはそれほど大きく影響しないと考えられる。しかしながら、Ωarg=1.0〜2.4あたりにサンゴが石灰化流体にアルカリ度をポンピングできない閾値が存在し、その閾値を超えると石灰化流体のpHも次第に低下すると考えられる。

Boron, carbon, and oxygen isotopic composition of brachiopod shells: intra-shell variability, controls, and potential as a paleo-pH recorder
Donald E. Penman, Bärbel Hönisch, E. Troy Rasbury, N. Gary Hemming, Howard J. Spero
Chemical Geology, Available online 7 December 2012, Pages
炭酸塩のホウ素同位体は海水のpH復元のツールになることが知られているが、腕足動物の殻はカンブリア紀まで遡ることが可能な有用な試料の一つである。現生腕足動物(Terebratulid brachiopod)の殻のδ11B、δ18O、δ13Cの測定から、殻の外側と内部とでそれぞれの同位体の相関が変化することが分かった。また種ごとにもどの殻の部分が海水の指標として有用かどうかが異なるため、過去の復元には単一の種を用いるか、種間の較正をさらに進める必要がある。

Oceanic carbon and water masses during the Mystery Interval: A model-data comparison study
Huiskamp, WN; Meissner, KJ
PALEOCEANOGRAPHY, 27 10.1029/2012PA002368 NOV 14 2012
ミステリー・インターバルには大気中のCO2濃度が50ppm上昇し、一方で大気中のΔ14Cが大きく低下したことが知られている。この現象は長く隔離されていた海の’古い’炭素が大気へと移動した結果と考えられている。地球システムモデル(UVic Earth System Climate Model)を用いてハインリッヒ・イベントを再現したところ、「そこそこのNADWの形成」「南半球の偏西風は現在の位置」で17.5kaの境界条件でシミュレーションを行うことで現象をうまく再現できることが分かった。シミュレーションの中ではAMOCが大気-海洋の炭素フラックスを大きく決定しており、南半球の偏西風の南北移動は大西洋と太平洋の溶存炭素の分配に寄与していることが分かった。観測に近い結果が得られたが、大気との炭素交換は現実よりも長くは継続しなかった。

Monsoonal influence on Southern Hemisphere 14CO2
Quan Hua, Mike Barbetti, Vladimir A. Levchenko, Rosanne D. D'Arrigo, Brendan M. Buckley and Andrew M. Smith
GEOPHYSICAL RESEARCH LETTERS, VOL. 39, L19806, 5 PP., 2012
インドネシアで得られた木の1951–1979年に相当する部分のΔ14Cを測定。1965年の始めに最大値に達していた(ボムピーク)。南半球の他の地域に比べると高いΔ14Cを持っているため、ITCZがインドネシアよりも南に位置する際に北半球起源の気団の影響が増していたことが原因と考えられる。

Cenozoic seawater Sr/Ca evolution
Sindia M. Sosdian, Caroline H. Lear, Kai Tao, Ethan L. Grossman, Aaron O'Dea and Yair Rosenthal
Geochem. Geophys. Geosyst., 13, Q10014, doi:10.1029/2012GC004240.
化石のイモガイと腹足類の殻のSr/Caから新生代を通しての海水のSr/Caを復元。Eoceneには高かったが、全体を通して一定していたことが分かった。また蒸発岩から得られている過去のCa濃度の記録を用いると、Sr濃度は新生代を通して減少していることが分かった。Miocene中期には大陸棚に沈殿するaragonite/calcite比が変化していたことが示唆され、サンゴ礁形成が急増していた記録とも整合的である。Mg濃度や大気中のCO2濃度とも関連?