Geology
1 January 2013; Vol. 41, No. 1
Articles
Symbiont ‘bleaching’ in planktic foraminifera during the Middle Eocene Climatic Optimum
K.M. Edgar, S.M. Bohaty, S.J. Gibbs, P.F. Sexton, R.D. Norris, and P.A. Wilson
Middle Eocene Climatic Optimum (MECO)の際には全球的な温暖化が起きたことが知られている。その際に浮遊性有孔虫の一種(Acarinina)が白化現象(共生する褐虫藻が抜け落ちること)を経験していたことが分かった。δ13Cの負の変化とともに、殻サイズの減少も見られ、温暖化(とおそらく酸性化と栄養塩濃度の変化)がストレスとなったものと考えられる。
Late Pleistocene tropical Pacific temperature sensitivity to radiative greenhouse gas forcing
Kelsey A. Dyez and A. Christina Ravelo
堆積物コアの浮遊性有孔虫(G. ruber)Mg/Caから過去500kaの赤道西太平洋のSSTを復元。過去のCO2変化に対しての気候感度を推定したところ、「0.94 - 1.06 ℃/(W/m2)」という数値が得られた。この値は従来考えられていたものよりも高く、モデルでは熱帯域の気候感度を低く見積もっている可能性があるという。ダストや雲などのフィードバック過程が含まれていないのが原因?
Grounding-line retreat of the West Antarctic Ice Sheet from inner Pine Island Bay
Claus-Dieter Hillenbrand, Gerhard Kuhn, James A. Smith, Karsten Gohl, Alastair G.C. Graham, Robert D. Larter, Johann P. Klages, Rachel Downey, Steven G. Moreton, Matthias Forwick, and David G. Vaughan
南極のAmundsen Seaにおける最終退氷期以降の西南極氷床の後退史を堆積物コアから復元。年代モデルは放射性炭素を用いている。10kaにはほぼ現在の位置まで後退しており、Ross Seaなどよりも早く終結していたことが分かった。つまり現在の後退の早さは非常に例外的である。
Coral record of reduced El Niño activity in the early 15th to middle 17th centuries
Kelly A. Hereid, Terrence M. Quinn, Frederick W. Taylor, Chuan-Chou Shen, R. Lawrence Edwards, and Hai Cheng
パプアニューギニアで得られた化石ハマサンゴのSr/Ca・δ18Oを用いてAD1411 - 1644の表層水温・塩分を復元。AD1525 - 1625の間には表層水温・塩分ともに変動が小さい期間が見られ、ENSOが無活動状態だったことが示唆される。ただし太陽活動のプロキシとENSOの相関は見られなかったという。