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☆主なコンテンツ
1、新着論文 2、論文概説 3、コラム 4、本のレビュー 5、雑記(PC・研究関連)
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2012年12月14日金曜日

新着論文(Science#6113)

Science
VOL 338, ISSUE 6113, PAGES 1385-1496 (14 DECEMBER 2012)
Editors' Choice
Unlucky in Love
愛の不幸
J. Nat. Hist. 10.1080/00222933.2012.724720 (2012).
カエルの中には(anurans)オスが集団でメスにのしかかり、繁殖の機会を増やす戦略を取るものがいるが、時折メスが圧死してしまう。そのため逆に繁殖に不利に働くかと思いきや、実はオスは死んだメスから卵を取り出すことが可能で、その卵から子供が産まれることが分かった。

Recording the Doldrums
無風地帯を記録する
Geology 10.1130/G33688.1 (2012).
熱帯域はほとんど風がなく、嵐も起きないが、それは地質学時代にもそうであったらしい。6,000kmにもまたがるオルドビス紀の地層(北米〜北ヨーロッパ)の生痕化石や腕足動物の殻を用いた研究から、当時の赤道域(地磁気で緯度を決定)の浅海域もまた穏やかな環境であったことが示唆されている。

News of the Week
※今回は省略

News & Analysis
特になし

News Focus
How to Build a Smarter Rock
スマート・ロックの作り方
Emily Underwood
岩や砂が川によっていつ・どこへ運ばれるかを予測することは難しい。岩(正確には岩を模した金属)の内部に電子機器を埋め込み、追跡することで問題が解決するかもしれない。

Letters
Cloudy Forecast for Weather Satellite Data
気象衛星観測データに対する曇った予報
D. James Baker
Weather forecasts slowly clearing up (Science 9 Nov, pp. 734)”の中で、人工衛星による観測網のさらなる整備によって天気予報の予測精度が向上すると強調されていたが、実際には極域の人工衛星の問題を解決しなければ実現しない。極域の観測データもまた世界各国の天気予報の素データに組み込まれているからである。現在、アメリカの所有する観測システム(National Polar-orbiting Operational Environmental Satellite System)は運用を停止しており、NOAAによる新たなシステムがスタートし始める状態にある。さらにヨーロッパによる極域の観測システムにも欠陥があることが指摘されている。

Pushing the Planetary Boundaries
惑星の限界を押し上げる
Karl-Heinz Erb, Helmut Haberl, Ruth DeFries, Erle C. Ellis, Fridolin Krausmann, and Peter H. Verburg
A measurable planetary boundary for the biosphere (Science 21 Sep, pp. 1458)”の中で、著者らは総一次生産(NPP)に基づいて’惑星の限界’の定義を導入した。しかし総一次生産は必ずしも人間活動の指標としては機能しないことを指摘する。

Pushing the Planetary Boundaries—Response
惑星の限界を押し上げる—返答
Steven W. Running and W. Kolby Smith
Erb et al.に対する返答。

Policy Forum
The Greening of Insurance
保険の環境問題意識の高まり
Evan Mills
保険業界のトレンドは市場原理がどれほど気候変動の緩和と適応を支持しているかを示している。

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Research
Perspectives
Who Speaks with a Forked Tongue?
誰が二股の舌でしゃべる?
Jonathan B. Losos, David M. Hillis, and Harry W. Greene
トカゲに対する最新の分子系統学と形態系統学とは根本的に異なっている。

Reports
Arthropod Diversity in a Tropical Forest
熱帯雨林の節足動物の多様性
Yves Basset
ほとんどの真核生物は昆虫であるものの、陸上の昆虫類の多様性は未だに明らかになっていない。パナマの熱帯雨林において0.48ヘクタールの土地から6144種の昆虫を採取し(土壌から木の枝まで)、それを全体の6,000ヘクタールに外挿したところ、おおよそ25,000種がいると推定される。1へクタールだけでも6割以上の多様性があるらしい。