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☆主なコンテンツ
1、新着論文 2、論文概説 3、コラム 4、本のレビュー 5、雑記(PC・研究関連)
6、気になった一文集(日本語English) 7、日記(日本語English

2012年10月10日水曜日

新着論文(QSR)

QSR
☆Volume 48, Pages 1-112 (10 August 2012)
Vegetation and climate in Southern Hemisphere mid-latitudes since 210 ka: new insights from marine and terrestrial pollen records from New Zealand
M.T. Ryan, G.B. Dunbar, M.J. Vandergoes, H.L. Neil, M.J. Hannah, R.M. Newnham, H. Bostock, B.V. Alloway
ニュージーランド・タスマン海から得られた堆積物コアの有孔虫δ18O・有機物化石(花粉など)分析から過去210kaの古環境を復元。陸上の泥炭掘削コアと整合的な結果が得られた。水温が最も高く、氷が最も少ない時期に最も森林が拡大していた。またMIS5におけるSSTの変動は森林の拡大には特に影響していなかったと考えられ、他のローカルな気候が影響していたと考えられる。

☆Volume 49, Pages 1-112 (23 August 2012)
A 16,000-yr tephra framework for the Antarctic ice sheet: a contribution from the new Talos Dome core 
Biancamaria Narcisi, Jean Robert Petit, Barbara Delmonte, Claudio Scarchilli, Barbara Stenni
東南極Talos Domeで得られたアイスコア(TALDICE)の火山灰年代を用いた過去16kaの年代モデル構築について。26の火山灰噴出イベントを特定。ほとんどが近くのMerbourne火山帯からもたらされており、一部は遠くのBerlin山(西南極)やErebus山(ロス島)。20年間の逆軌道解析を行ったところ、ほんのわずかな火山灰が周極偏西風に乗って南米やニュージーランドから運ばれていることが分かった。他のアイスコアや堆積物コアとの年代の対比に有望

☆Volume 50, Pages 1-154 (12 September 2012)
Late Pleistocene evolution of Scott Glacier, southern Transantarctic Mountains: implications for the Antarctic contribution to deglacial sea level
Gordon R.M. Bromley, Brenda L. Hall, John O. Stone, Howard Conway
10Beの表面露出年代から西南極のScott氷河の拡大はLGMの時が最大であり、ロス海の氷が着底した時期と一致していることが分かった。その際にScott氷河と西南極氷床は標高1,100mに達していたと推定される。他の記録とも整合的だが、モデルシミュレーションとは一致しない(モデルはScott氷河の厚さを過大評価している)。MWP-1Aには本当に西南極氷床が寄与していたのかに対して疑問を提示する。

☆Volume 51, Pages 1-94 (19 September 2012)
特になし

☆Volume 52, Pages 1-76 (2 October 2012)
Lake or bog? Reconstructing baseline ecological conditions for the protected Galápagos Sphagnum peatbogs
Emily E.D. Coffey, Cynthia A. Froyd, Katherine J. Willis
Galapagos島のSanta Cruz島のミズゴケ(Sphagnum)湿原における過去10kaの古環境記録について。島の中央の火口カルデラに堆積したミズゴケ類の堆積物コアを採取したところ、植生・地理が過去10kaの間に大きく変化していたことが分かった(湖と湿地の繰り返し)。現在島には棲息していないミゾハコベ(Elatine)も初めて見つかった。植生の変化は主に東赤道太平洋の気候シフトと関係していると考えられる。ここ100年間に関しては人為起源の影響(森林火災など)も見られる。

☆論文アラート
Rapid sea-level rise
Thomas M. Cronin
海水準変動はそれぞれの海岸ごとに様々な全球的な/ローカルな要因で起きる。
○全球的な要因
1、海洋の質量変化(氷床融水の流入)(glacio-eustasy)
2、海の体積変化(steric effect)
3、マントルの流動に起因する大陸移動(glacioisostatic adjustment)
4、陸上の水資源量の変化
○地域的な要因
1、海洋循環の変化
2、地域的な氷河の融解
3、地域的な大陸移動
4、沈降
それらの影響が相互作用し、年間3mmを超える速度で海水準が上昇することが古気候学的な記録から知られている。特にアメリカ東海岸を例にとって古気候記録を頼りにしながら、完新世後期の海水準の安定性、数千年スケールの海水準変動パターンを評価することの難しさについてレビューする。