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1、新着論文 2、論文概説 3、コラム 4、本のレビュー 5、雑記(PC・研究関連)
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2012年10月25日木曜日

新着論文(Nature#7421)

Nature
Volume 490 Number 7421 pp445-576 (25 October 2012)

※時間の都合で簡略版

RESEARCH HIGHLIGHTS
How to move a 4-tonne statue
どのように4トンの像を動かすか
J. Archaeol. Sci. http://dx.doi.org/10.1016/ j.jas.2012.09.029 (2012)
イースター島のモアイ像を先住民が丘まで移動させたとき、彼らは像が歩くように左右に揺らしながら動かしていた可能性がある。水平な道は丸太を使って転がしていたようだが、坂道は丸太ではなく’歩かせていた’かもしれないという。上り道の道端には背中を下にして倒れているモアイ像の残骸が多く、逆に下り坂ではうつぶせに倒れているモアイ像が多く残っている。この方法で高さ3メートルあるモアイ像の模型を18人かけて40分で100m進ませることができたという。

Moon spun off from Earth
月は地球から派生した
Science http://dx.doi. org/10.1126/science.1226073; http://dx.doi.org/10.1126/ science.1225542 (2012)
ジャイアント・インパクトにおける月の形成モデルについて。衝突の際に地球が現在よりも早く自転しており、衝突によって放出された岩屑が集積することで月が形成されたとすると、2つのシナリオが考えられるらしい。1つのモデルでは従来考えられていたよりも大きな天体を衝突させる必要があることが示され、もう1つのモデルでは小さい天体でも良いがより早く衝突させる必要があることが示された。

Super-reflective fish skin
非常に反射しやすい魚の皮膚
Nature Photon. http://dx.doi. org/10.1038/nphoton.2012.260 (2012)
タイセイヨウニシン(Atlantic herring; Clupea harengus)、ヨーロッパイワシ(European sardine; Sardina pilchardus)、キビナゴ(sprat; Spratus spratus)といった魚は光を良く反射することが知られているが、その理由はどうやら細胞質とグアニンの結晶でできた層が互層になっていることが原因らしい。その混合比がある範囲になると光を良く反射するという。発光ダイオードなどの光学装置への応用が期待される。

A more accurate carbon clock
より正確な炭素の時計
Science 338, 370–374 (2012)
日本の湖から採取された長さ70mほどの堆積物の記録によって、放射性炭素年代の精度が飛躍的に向上する。これによって考古学などにおける重要な出来事(例えばネアンデルタール人と人類の交代など)の年代決定がより確かになる。

Sudden rupture in deadly earthquake
死を招く地震の急激な破壊
Geophys. Res. Lett. http://dx.doi.org/10.1029/2012GL052516 (2012)
2008年5月12日に起きた四川大地震では69,000人もの人が亡くなったが、その原因となったのは2回目の破壊による地震であったらしい。中国に張り巡らされた地震ネットワークのデータを解析したところ、震源の近くの地殻は最初の30秒は応力に持ちこたえたらしい。そしてその後破壊を伴って12.5mも滑ったらしい。

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RESEARCH
NEWS & VIEWS
Signs of instability
不安定の兆し
Juergen Mienert
海洋底堆積物中のガスハイドレート(天然ガスを捕獲している物質)が従来考えられていたよりも深くに存在することは、ハイドレートが不安定化しつつあり、数Gtものメタンを放出する可能性があることを示唆している。

LETTERS
Recent changes to the Gulf Stream causing widespread gas hydrate destabilization
湾流の最近の変化が広い範囲でのガスハイドレートの不安定化を引き起こしている
Benjamin J. Phrampus & Matthew J. Hornbach
湾流が流れる大西洋の東海岸においては非常に温度躍層が深く(~1,000m)、湾流による熱輸送が深海底に存在するメタンハイドレートの安定性に大きく寄与していると考えられる。ノースカロライナ州の沖の大陸斜面におけるメタンハイドレートの深度分布は、現在の温度・圧力から予想されるメタンハイドレートの分布とは異なっており、完新世以降の温度変化がその主要因として考えられる。不安定化しているメタンハイドレートの範囲は約10,000km2と推定され、もし中層水の温度が5℃上昇すると、PETMと同じ規模の温暖化と海洋酸性化が起きる可能性がある。過去5,000年間において湾流に起きた変化によって2.5Gtに相当するメタンハイドレートが現在不安定化している(PETMを引き起こすのに必要な量の0.2%)。この不安定状態はあと数世紀は持続すると考えられ、さらに北西大西洋に限らず他の西岸境界流海域や北極海においても同時に進行していると予想される。そのため2.5Gtのメタンハイドレートというのは見積もり値としては最低値であり、世界全体のほんのわずかに過ぎない。メタンハイドレートが崩壊して海水中に放出され、それが結果的に大気に放出された時に気候に与える影響については不確かなままである。また同時に津波を発生する規模の大陸斜面の崩壊も起きる可能性が示唆される。