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☆主なコンテンツ
1、新着論文 2、論文概説 3、コラム 4、本のレビュー 5、雑記(PC・研究関連)
6、気になった一文集(日本語English) 7、日記(日本語English

2012年10月25日木曜日

新着論文(PNAS, Geology)

PNAS
☆16 October 2012; Vol. 109, No. 42
Oxygen isotopes in tree rings are a good proxy for Amazon precipitation and El Niño-Southern Oscillation variability
Roel J. W. Brienen, Gerd Helle, Thijs L. Pons, Jean-Loup Guyot, and Manuel Gloor
アマゾンの木の年輪に沿ったδ18Oが降水の指標として使えそう。わりと遠方の雨のδ18Oやアンデス山脈のアイスのδ18Oとも良く合うらしい。

Evidence for the respiration of ancient terrestrial organic C in northern temperate lakes and streams
S. Leigh McCallister and Paul A. del Giorgio
陸域の河川や湖沼などからCO2が放出されていることは広く認識されているが、そのパスやメカニズムについてはよく分かっていない。ケベックの温帯淡水系で微生物によって分解されている有機物(CO2放出)を直接放射性炭素で年代測定。1,000-3,000年という古い年代値を持っている。

☆23 October 2012; Vol. 109, No. 43
特になし

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Geology
☆1 October 2012; Vol. 40, No. 10 
Enhanced seasonality of precipitation in the Mediterranean during the early part of the Last Interglacial
Alice M. Milner, Richard E.L. Collier, Katherine H. Roucoux, Ulrich C. Müller, Jörg Pross, Stavros Kalaitzidis, Kimon Christanis, and Polychronis C. Tzedakis
地中海東部へのsapropel(有機物に富んだ堆積物)の沈殿はアフリカモンスーンが強かった時期に降水量が増加していたことを物語っている。泥炭地の堆積物コアの様々なプロキシから最終間氷期の前期(130-119ka)のギリシャ北東部の降水の季節性を復元。当時の夏は非常に蒸発が盛んであった。一方で冬の降水が非常に多く、sapropelを沈殿させる元になっていたらしい。

Mid-Pacific microatolls record sea-level stability over the past 5000 yr
Colin D. Woodroffe, Helen V. McGregor, Kurt Lambeck, Scott G. Smithers, and David Fink
クリスマス島(Kilitimati)の化石サンゴから過去6,000年間の海水準変動を復元。microatoll(死んだサンゴの化石の上または横に次の生きたサンゴが定着すること)を辿ると過去6,000年間にほとんど海水準が変化しておらず、他の地域と異なり少なくとも0.25mの変動に収まっていたらしい。far-fieldであることとテクトニクス的に安定であることで、汎世界的な海水準上昇と氷床融解後のアイソスタシーの再編とがうまくキャンセルした結果と考えられる。

Seasonal Laurentide Ice Sheet melting during the "Mystery Interval" (17.5–14.5 ka)
Carlie Williams, Benjamin P. Flower, and David W. Hastings
最終退氷期のMistery Interval(Heinrich Stadial 1; H1)とYounger Dryasにおいて北半球の気候は千年スケールの急激な寒冷化を経験していたが、その原因として考えられているローレンタイド氷床の融氷水の大西洋への流入はYDにおいては確かめられているものの、H1においてはまだよく分かっていない。メキシコ湾のOrca海盆の堆積物コアの浮遊性有孔虫のMg/Caとδ18Oからδ18OSWを計算したところ、17.5 - 12.9 kaの間に3回の融氷水のインプットがあったことが示唆される。特に夏の融水が冬期の海氷形成に寄与し、極端に寒い冬をもたらした可能性がある。

☆1 November 2012; Vol. 40, No. 11 
Negative C-isotope excursions at the Permian-Triassic boundary linked to volcanism
Jun Shen, Thomas J Algeo, Qing Hu, Ning Zhang, Lian Zhou, Wenchen Xia, Shucheng Xie, and Qinglai Feng
顕世代史上最も大きな絶滅が起きたP/T境界においては炭酸塩と堆積物のδ13Cが不の方向に大きくシフトしていたことが分かっている。中国の地層から、δ13Cの負のエクスカージョンが見られる時に厚い火山灰が堆積していることが分かった。火山灰の起源は従来考えられていたテチス海の沈み込み帯起源というよりもむしろシベリア・トラップ起源と考えられる。

Late glacial fluctuations of Quelccaya Ice Cap, southeastern Peru
Meredith A. Kelly, Thomas V. Lowell, Patrick J. Applegate, Colby A. Smith, Fred M. Phillips, and Adam M. Hudson
最終退氷期においては北半球の温暖化と南半球の寒冷化という逆の傾向(バイポーラーシーソー仮説)が確認されていたが、特にACR(B/A)やYDの時期において温度の逆転が報告されている(※H1も)。ペルー南東部の氷冠は17.2ka頃から後退し始め、12.5 - 12.4kaの間(YDの始まり)に再度成長していたことが分かった。

Twentieth-century warming revives the world’s northernmost lake
Bianca B. Perren, Alexander P. Wolfe, Colin A. Cooke, Kurt H. Kjær, David Mazzucchi, and Eric J. Steig
北極圏の湖において生態系が近年激変しているが、それが気候の温暖化によるものか人為起源の反応性の高い窒素(reactive nitrogen; Nr)の沈着が原因かははっきりと分かっていない。グリーンランド北部の湖の堆積物コアを採取し、微化石(珪藻、黄金色藻など)の分析を行い、過去3,500年間の環境変動を復元。2,400年前に姿を消し、20世紀になって再び出現していたことが分かった(特にAD1980年以降に急増)。大気由来の栄養塩の沈着を伴っていないため、夏の温暖化が主な原因と考えられる。過去2,400年間では近年の変化は例がなく、温暖化が環境・生態系の変化の主要因と考えられる。

Mild Little Ice Age and unprecedented recent warmth in an 1800 year lake sediment record from Svalbard
William J. D’Andrea, David A. Vaillencourt, Nicholas L. Balascio, Al Werner, Steven R. Roof, Michael Retelle, and Raymond S. Bradley
将来の気候変動予測のためにも高緯度域の気候変動を予測することが重要である。Svalbardの湖から得られた堆積物コアのアルケノン分析から過去1,800年間の夏の古水温を復元。年代モデルは火山灰と210Pbによって求めている。小氷期には氷河が成長していたことが知られているが、夏の水温は特に低下していなかったため、降水量の変化が原因と考えられる。特に近年の温暖化が顕著。

A subseafloor carbonate factory across the Triassic-Jurassic transition
Sarah E. Greene, David J. Bottjer, Frank A. Corsetti, William M. Berelson, and John-Paul Zonneveld
T/J境界(三畳紀-ジュラ紀)は生物の大量絶滅とともに炭酸塩の不在を伴っている(海洋酸性化を示唆)。境界の直後にこれまで二次続成の結果と考えられてきた炭酸塩堆積物が見つかっていたが、異なる3地点について詳細に調べたところ、堆積物と海水の境界のすぐ下で堆積したものである可能性が示唆された。海洋酸性化で表層の炭酸塩は消滅してしまったが、その後の回復過程においては堆積物の下で炭酸塩が復活していた可能性がある。

Hotspots in the Arctic: Natural archives as an early warning system for global warming
Robert F. Spielhagen
北極周辺の予想を遥かに超えた近年の温暖化について。
※そのうち記事にまとめます。