Palaeogeography, Palaeoclimatology, Palaeoecology
Volumes 363–364, Pages 1-192 (20 November 2012)
Late Permian to Early Triassic environmental changes in the Panthalassic Ocean: Record from the seamount-associated deep-marine siliceous rocks, central Japan
Hiroyoshi Sano, Takuya Wada, Hiroshi Naraoka
中部日本の美濃帯のP/T境界に相当する頁岩層(パンサラッサ海の海山に堆積した遠洋堆積物と考えられている)のTOCと有機物の炭素同位体を測定。P/T境界を挟んでTOCが大きく増加し、表層における一次生産量の増加と海洋無酸素状態が示唆される。一方、δ13CorgはP/T境界の前に最も低い値を示し、シベリア洪水玄武岩起源のδ13Cの軽いガスが大気中に放出されたことを示唆している。P/T境界の海洋無酸素により放散虫は大量絶滅するが、テチス海やパンゲア大陸の沿岸部に比べて早く回復していたことが分かった。
Late Quaternary productivity changes from offshore Southeastern Australia: A biomarker approach
Raquel A. Lopes dos Santos, Daniel Wilkins, Patrick De Deckker, Stefan Schouten
オーストラリア南東部で得られた堆積物コアの浮遊性有孔虫(G. bulloides)のδ13C、TOC、珪藻・ハプト藻バイオマーカーを用いて過去140kaの海洋環境変動を復元。最終退氷期とMIS4/3移行期にδ13Cが大きく低下し、南大洋起源の水が到達していたことが示唆される。しかしTOCやアルケノンのフラックスから示唆される一次生産はLGMで最も高く、一方で珪藻が最も多かったのは最終間氷期とMIS3であった。これらは主に南半球の偏西風の強弱とケイ酸濃度によって支配されている?
Reconstruction of vertical temperature gradients in past oceans — Proxy data from the Hauterivian–early Barremian (Early Cretaceous) of the Boreal Realm
Jörg Mutterlose, Matthias Malkoc, Stefan Schouten, Jaap S. Sinninghe Damsté
ドイツとイギリスの泥岩層からTEX86を抽出し、白亜紀初期の水温を復元。安定して温暖な気候であったことが分かった(24-26℃)。このことは白亜紀の気候が極域でも亜熱帯的であったことと整合的である。また同層準のベレムナイトの殻の酸素同位体から求められる水温とは大きく食い違っており、これは塩分の変化かベレムナイトの生息水深の問題と考えられる。ベレムナイトが温度躍層よりも下に棲息していたとすると、水柱の温度差は4-5℃、温度躍層の下の塩分は38‰という計算になる。
The spatial (nearshore–offshore) distribution of latest Permian phytoplankton from the Yangtze Block, South China
Yong Lei, Thomas Servais, Qinglai Feng, Weihong He
PETMの温暖期を挟んで哺乳類の体長が小型化したことが知られている。コロラド州の地層から得られた今は絶滅してしまった哺乳類の化石(歯など)から、PETM後に南部に棲息していた小型の哺乳類が棲息範囲をより北へ広げていたことが分かった。温暖化すると生物がより北へ移動するというモデルと一致する結果が得られた。