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☆主なコンテンツ
1、新着論文 2、論文概説 3、コラム 4、本のレビュー 5、雑記(PC・研究関連)
6、気になった一文集(日本語English) 7、日記(日本語English

2012年10月21日日曜日

新着論文(EPSL, GPC, MG, QSR)

※論文アラートより

A deep Eastern Equatorial Pacific thermocline during the early Pliocene warm period    
Earth and Planetary Science Letters, Volumes 355–356, 15 November 2012, Pages 152-161 
Heather L. Ford, A. Christina Ravelo, Steven Hovan
Pliocene初期には東赤道太平洋の湧昇域の表層水温は現在よりも高かったことが知られている。しかしこの時の温度躍層の時空間変動はあまり良くわかっていない。50-100m深に生息するGloborotalia tumidaの殻のMg/Caから温度躍層の水温変動を復元。Pliocene初期には約4〜5℃ほど高く、温度躍層は深くなっていたらしい。4.8-4.0Ma頃に急激に温度低下するが、パナマ海峡による制限が関係していると考えられる。その後南東貿易風が強化され、現在のような温度躍層が形成されている。赤道湧昇帯の変動が全球の大気海洋循環に影響し、温暖なPlioceneから寒冷なPleistoceneへと変移したと考えられる。

Evolution of the El Nino-Southern Oscillation in the Late Holocene and Insolation Driven Change in the Tropical Annual SST Cycle
Global and Planetary Change, Available online 13 October 2012, Pages 
Paul Loubere, Winifred Creamer, Jonathan Haas
南米の湖の記録は過去3,000年間に東赤道太平洋におけるエルニーニョの発生頻度が上昇していることを示唆している。ペルー中部の遺跡から発掘された砂浜に生息する貝の化石(Mesodesma donacium)から、過去のSSTの季節変動を復元。4.5-2.5kaにかけてSSTの季節変動が現在よりも大きくなっており、ENSOが強化されていた可能性が示唆される。日射量変動が原因か?

Glacial to Holocene changes in the surface and deep waters of the northeast Indian Ocean
Marine Geology, Available online 10 October 2012, Pages 
Syed M. Ahmad, Hongbo Zheng, Waseem Raza, Bin Zhou, Mahjoor A. Lone, Tabish Raza, Gorti Suseela
インド洋北東部(ベンガル湾)で採取された堆積物コア中の浮遊性有孔虫(G. ruber)と底性有孔虫(Cibicidoides spp.)の殻のδ18Oとδ13Cから過去60kaの表層・深層水の状態を復元。浮遊性有孔虫のδ18O変動のスペクトル解析を行ったところ、北大西洋のシグナルが検出された。また氷期の底層水にはNADWの影響が低下し、代わりに南大洋起源のSODWの影響が増していたことが示唆される。深層水の(底性有孔虫殻の)δ13Cの大きな変化は有機物酸化の影響か深層水の年代の変化が原因と考えられる。

Simulating atmospheric CO2, 13C and the marine carbon cycle during the Last Glacial–Interglacial cycle: possible role for a deepening of the mean remineralization depth and an increase in the oceanic nutrient inventory
Quaternary Science Reviews, Volume 56, 21 November 2012, Pages 46-68 
L. Menviel, F. Joos, S.P. Ritz
EMICs(Bern3D)を用いて氷期-間氷期スケールの大気中CO2濃度の変動をシミュレーション。80-100ppmの変動の3分の1(30ppm)は「温度」「塩分」「AMOCの変動」「鉄肥沃」「陸域炭素リザーバーの変化」で説明ができる。海洋のリン酸の保存量が10%変化するだけで間氷期から氷期にかけて50ppmほどCO2濃度を低下させることが可能だが、逆に氷期から間氷期にかけては5ppmしか寄与しない。このメカニズムは氷期のexport productionやδ13CO2をうまく説明できる。有機物粒子が酸化分解される深度が深くなると深層水の[CO32-]が大きく増加、またexport productionが変化してしまい、間接指標とは符合しなくなる。氷期には堆積物との相互作用がpCO2の低下には重要だったと考えられる。