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☆主なコンテンツ
1、新着論文 2、論文概説 3、コラム 4、本のレビュー 5、雑記(PC・研究関連)
6、気になった一文集(日本語English) 7、日記(日本語English

2012年6月22日金曜日

新着論文(Nature#7403)

Nature
Volume 486 Number 7403 pp293-434 (21 June 2012)

Research Highlights
Graphene can desalinate water
グラフェンは水の塩分を除去することができる

Nano Lett. http://dx.doi. org/10.1021/nl3012853 (2012) 
間隙の間隔が0.7-0.9nmのグラフェンは水は通すが塩分は除去するらしい。グラフェンの端に水酸基をつけると水の通りが良くなる一方で塩分の除去効率も落ちてしまう。逆に水素原子をつけると除去効率はアップするらしい。

Melting ice behind Arctic warming 
北極の温暖化の裏で氷が融ける
Geophys. Res. Lett. http://dx.doi.org/10.1029/2012GL051598 (2012)
モデルシミュレーションから地表付近は局地的な海氷の融解に伴う海表面での熱の交換がSSTの上昇に効いているが、一方で大気の下層は低緯度からの熱の運搬によって温暖化していることが分かった。

One mummy but three people 
1つのミイラだが、3人の人間
J. Archaeol. Sci. http://dx.doi. org/10.1016/j.jas.2012.04.030 (2012)
スコットランドから発掘されたミイラの骨のDNAを測ってみると、実は3人の全く異なる人物の骨からできていることが分かった。異なる家系を1つにまとめるという意味のシンボルに使われた?

Seven days
Ocean acidity
海の酸性度

IAEAは海洋酸性化研究を促進し、情報交換するための機関をこの夏に設立する。放射性元素の適切な利用を管理する目的があるが、例えばカルシウムの同位体は石灰化の評価に有用である。

Fossil smuggling
化石の密輸出

モンゴルから密輸出されたティラノサウルスの骨の化石がアメリカで先月オークションにかけられてしまった。モンゴル政府は市民の声を受けて訴訟を起こしていた。

Diesel cancer links
ディーゼルとガンの繋がり

International Agency for Research on Cancer (IARC)はディーゼル燃料に発がん性があり、肺がんのリスクが高まると発表した。

News in Focus
Peru battles the golden curse of Madre de Dios
Madre de Diosの呪いとペルーが戦う

Madre de Diosでの採鉱に伴う健康被害に国民の不安が高まる。

Correspondence
More ways to govern geoengineering 
地球工学を統合するためのより多くの方法
地球工学の一種であるSPICE計画中止によって、科学者は研究をより透明性のあるものにすべきことを学ぶことができる。

Use fast reactors to burn plutonium
プルトニウムを燃やすのに速い原子炉を使う
原発から廃棄されるプルトニウムをリサイクルすることで新しい利益が生まれ、放射能を低減することができる。試作機は20年前にはできており、現在は日立が311MW級の発電所を開発しているらしい。冷却系統が停止しても温度を低く維持することのできるシステムを採用しており’安全’で、電力供給力は従来のウランを使って捨てる方法の150倍に伸びるとか。副産物である廃棄物も兵器を作るには適さず、流出のリスクも少ないとか。

Monitor sea pollution to stop strandings
座礁を止めるために海の汚染のモニタリングを

ペルーの海岸に何百ものイルカが打ち上げられる事故が相次いでいる。海中での聴覚障害が原因として考えられている。海軍のソナーや油田開発の地震波探査がイルカの座礁を招くことが知られているが、今回の件はイルカの体内に蓄積した汚染物質が原因である可能性が高い。エルニーニョによって餌が不足することで免疫力が低下し有害な藻類の異常繁殖に脆弱になってしまうらしい。

News & Views
Planetary science: Early start for rocky planets
惑星科学:岩だらけの惑星は早い時期に生まれた

Debra Fischer
小型の惑星を持つ恒星の化学組成は、大型の惑星を持つ親星に比べて変動が多いらしい。この知見は、岩石でできた惑星の始まりと、太陽以外の恒星の周囲での生命の出現がもっと古いことを示しているのかもしれない。

Letters
An abundance of small exoplanets around stars with a wide range of metallicities
Lars A. Buchhave et al.
太陽に似た星の重元素の存在度(金属量)から、初期の原始惑星系円盤の化学組成の「化石」記録が得られる。金属の豊富な星には、巨大ガス惑星が存在している可能性がきわめて高く、惑星が塵や氷の粒子の集積によって形成されるというモデルを裏付けている。NASAのケプラー計画によって発見された226個の小さな系外惑星候補の親星の金属量を分光法によって求めたところ、大きな惑星は金属量がより多い星の周囲に選択的に形成される傾向があることがわかった。地球型惑星は天の川銀河系円盤に広く分布している可能性がある?

Constraints on the volatile distribution within Shackleton crater at the lunar south pole
Maria T. Zuber et al.
月の南極にはシャクルトンクレーターがあり、その内部は直射日光をほとんど受けず、永久的な冷却トラップ領域であるので、シャクルトンクレーターは隔離された揮発性物質を探し出すための有望な候補場所となっている。ルナー・リコネッサンス・オービター搭載のルナー・オービター・レーザー高度計による観測結果から、クレーターの内壁が縁やクレーター底よりも新しいことが明らかになった。シャクルトンの底の堆積物は縁とほぼ同じ年齢であり、これはクレーターが30億年以上前に形成されてから、底への堆積がほとんど起こっていないことを示唆している。壁表面のレゴリスの滑落によってその下から出てきた物質があらわになったと考えればおおむね説明できる。クレーター底が相対的に明るいことは、日陰であるために宇宙風化が減少したか厚さ1 μmの氷を20%含む層による反射?

First dairying in green Saharan Africa in the fifth millennium bc
Julie Dunne, Richard P. Evershed, Mélanie Salque, Lucy Cramp, Silvia Bruni, Kathleen Ryan, Stefano Biagetti & Savino di Lernia
アフリカ北部の先史時代の緑のサハラでは古代人による酪農が始まっていた可能性があるが、家畜の骨があまり残っていないことからその始まった年代を推定することが困難であった。陶器に吸着した牛乳の残渣(乳脂肪のアルカン酸)のd13CとΔ13Cを測定することで、BC5,000に酪農が始まっていたことが分かった。