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1、新着論文 2、論文概説 3、コラム 4、本のレビュー 5、雑記(PC・研究関連)
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2012年6月18日月曜日

新着論文(Ncom, GRL, JGR)

Nature Communications
12 June 2012

Surface changes in the north Atlantic meridional overturning circulation during the last millennium
Alan D. Wanamaker Jr, Paul G. Butler, James D. Scourse, Jan Heinemeier, Jón Eiríksson, Karen Luise Knudsen and Christopher A. Richardson 
大西洋の高緯度域から採取された二枚貝(Arctica islandica)の殻年輪に沿って14Cを測定することで、過去1350年間の海洋リザーバー年代を復元。中世温暖期(最近は中世気候’変調期’と呼ばれるらしい)/小氷期に新しい/古い炭素が得られ、AMOCは強化/弱化していたと考えられる。

GRL
10-17 June 2012
Stable isotopes in global precipitation: A unified interpretation based on atmospheric moisture residence time
Aggarwal, P. K., O. A. Alduchov, K. O. Froehlich, L. J. Araguas-Araguas, N. C. Sturchio, and N. Kurita
降水のd18Oを理解するための新しい枠組みについて。従来のRayleigh蒸散を利用した方法(amount effect)ではなく、大気中の水蒸気の滞留時間を用いている。

Delayed deglaciation or extreme Arctic conditions 21-16 cal. kyr at southeastern Laurentide Ice Sheet margin?
Peteet, D. M., M. Beh, C. Orr, D. Kurdyla, J. Nichols, and T. Guilderson
数多くの湖や沼から得られた堆積物中の化石の14Cからローレンタイド氷床の南東部の後退のタイミングを決定したところ、後退は16ka頃から始まっており、従来の28-21kaに比べてはるかに‘若い’年代が得られた。

Biomass burning as a potential source for atmospheric ice nuclei: Western wildfires and prescribed burns
Prenni, A. J., P. J. DeMott, A. P. Sullivan, R. C. Sullivan, S. M. Kreidenweis, and D. C. Rogers
アメリカ西部の大気観測から、燃焼由来のススの冷たい雲(氷)の凝結核としての能力について議論。森林火災由来のススは氷の凝結核として大きな役割を負っていると考えられる。

JGR-Oceans
10-17 June 2012
Mapping phytoplankton iron utilization: Insights into Southern Ocean supply mechanisms
Boyd, P. W., K. R. Arrigo, R. Strzepek, and G. L. van Dijken
リモートセンシングで南大洋の鉄利用効率を定量化。パタゴニア砂漠起源の塵が多く供給される海域ほど利用効率は高く、逆に懸濁粒子が多い海域で低かった。また従来考えられていたほど南大洋の鉄利用効率は高くない可能性がある。

Statistical evidence for the natural variation of the central Pacific El Niño
Kim, J.-S., K.-Y. Kim, and S.-W. Yeh
近年太平洋のエルニーニョは中部の方が東部よりも「頻繁に」「強く」起きているらしい。2つのモードが関与しており、1990年以降の2つのモードの位相の一致がこの現象を説明できるかもしれない。モデルシミュレーションでも再現できたが、これが自然変動なのか人為起源の気候変動かは判別困難であった。