Main contents


☆主なコンテンツ
1、新着論文 2、論文概説 3、コラム 4、本のレビュー 5、雑記(PC・研究関連)
6、気になった一文集(日本語English) 7、日記(日本語English

2012年6月24日日曜日

新着論文(Geology)

Geology
1 July 2012; Vol. 40, No. 7

Extreme change in sulfide concentrations in the Black Sea during the Little Ice Age reconstructed using molybdenum isotopes
G.L. Arnold, T.W. Lyons, G.W. Gordon, and A.D. Anbar
モリブデン同位体を間接指標とすることで、過去300年間の黒海における溶存硫化物濃度を復元。特に小氷期に上昇が見られ、温度低下や風の変化が化学躍層を変化させたことが原因?

Nile Delta vegetation response to Holocene climate variability
Christopher E. Bernhardt, Benjamin P. Horton, and Jean-Daniel Stanley
ナイル川の三角州の堆積物から過去7,000年間のナイル川周辺域の環境変動を復元。降水量に敏感な植物の花粉を用いることで、降水量を復元したところ、いくつかの時期に急激な乾燥化が見られた。ITCZの南下が原因か?古代人の文明とも関係していたかも。

European climate optimum and enhanced Greenland melt during the Last Interglacial
Maria Fernanda Sánchez Goñi, Pepijn Bakker, Stéphanie Desprat, Anders E. Carlson, Cédric J. Van Meerbeeck, Odile Peyron, Filipa Naughton, William J. Fletcher, Frédérique Eynaud, Linda Rossignol, and Hans Renssen
最終間氷期のAMOCはモデルによって強化するものと弱化するものとがあり、食い違いが見られる。北大西洋の堆積物コアからグリーンランド氷床の融氷水がAMOCを弱化させた証拠が得られた。しかし一方でヨーロッパは温暖化。モデルを用いてシミュレーションを行ったところ、AMOCの弱化はグリーンランドの南岸では顕著だったが、Nordic海における沈み込みは弱化しなかったことで、ヨーロッパの寒冷化が起きなかった可能性がある。

Northern Hemisphere forcing of the last deglaciation in southern Patagonia
Daniel S. Murray, Anders E. Carlson, Brad S. Singer, Faron S. Anslow, Feng He, Marc Caffee, Shaun A. Marcott, Zhengyu Liu, and Bette L. Otto-Bliesner
南半球の最終退氷期の気候変動はあまり制約ができていない。パタゴニア氷床のモレーンの10Beを用いて氷床後退のタイミングを推定。南半球の温度推定例と整合的な結果が得られた。温度上昇が始まるとともに、氷床の後退も始まった。一番始めは19.7±1.1kaであったと考えられる。

Strengthening of the Northeast Monsoon over the Flores Sea, Indonesia, at the time of Heinrich event 1
Joanne Muller, Jerry F. McManus, Delia W. Oppo, and Roger Francois
インドネシアのSunda shelfとSahal shelfの間から採取された堆積物コアから、最終退氷期の堆積環境と気候変動との繋がりを復元。232Thを陸源物質、230Thを生物源物質の流入量の指標としている。H1に生物源、陸源砕屑物の増加が確認された。ITCZの南下によって河川流入が増加したことが原因?232Thの陸源物質流入量の指標としての有用性を強調。

Seawater oxygenation during the Paleocene-Eocene Thermal Maximum
Alexander J. Dickson, Anthony S. Cohen, and Angela L. Coe
北極海から得られたIODP302の堆積物コアからPETMにおける海水の酸素濃度を復元。モリブデン同位体、モリブデン・レニウム・ウラン濃度を間接指標として用いている。PETM初期には貧酸素の状態はそれほど広くは起きていなかった?また温暖化のタイミングと同時に貧酸素の状態が少なくとも10万年間維持したことが示唆される。

Reef response to sea-level and environmental changes during the last deglaciation: Integrated Ocean Drilling Program Expedition 310, Tahiti Sea Level
Gilbert F. Camoin, Claire Seard, Pierre Deschamps, Jody M. Webster, Elizabeth Abbey, Juan C. Braga, Yasufumi Iryu, Nicolas Durand, Edouard Bard, Bruno Hamelin, Yusuke Yokoyama, Alexander L. Thomas, Gideon M. Henderson, and Philippe Dussouillez
IODP310において得られたタヒチの珊瑚礁掘削コアから最終退氷期における海水準上昇とそれに対する珊瑚礁の応答を復元。以前得られた陸上における珊瑚礁掘削のデータも併せることで、16-10kaの間は平均10mm/yrの成長率で停止することなく成長し続けていたことが分かった。MWP-1a(~14.6ka)においては表層生息種の衰退が見られ、珊瑚礁が溺れかけた。バルバドスで確認されているようなMWP-1bはタヒチでは確認されなかった。