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☆主なコンテンツ
1、新着論文 2、論文概説 3、コラム 4、本のレビュー 5、雑記(PC・研究関連)
6、気になった一文集(日本語English) 7、日記(日本語English

2012年5月18日金曜日

新着論文(Nature#7398)

Nature
Volume 485 Number 7398 pp279-410 (17 May 2012)

Reseach Highlights
Less biodiversity, more allergies 
生物多様性が少ないほど、アレルギーになる
Proc. Natl Acad. Sci. USA http://dx.doi.org/10.1073/ pnas.1205624109 (2012)
ノルウェーの青年を対象にした実験をしたところ、皮膚上により細菌がいるほどアレルギーに対する耐性があることが分かった。アレルギーの原因の1つとして「自然に触れる機会が減ったこと、皮膚上に細菌が少ないこと」が考えられているらしいが、今回の実験はこの説を支持する結果となった。アレルギーがない人ほど、皮膚上の多様性に満ちた細菌が免疫に関するタンパク質を頻繁に生産しているらしい。

Planet-like asteroid 
惑星のような小惑星
Science 336, 684–686; 687–690; 690–694; 694–697; 697–700; 700–704 (2012)
小惑星の1つであるVestaは200万年後に形成されたが、衛星を持つ、クレーターを多数持つ、太陽系で2番目に大きい小惑星であることなどからより惑星に近い存在として注目を浴びている。南極に2つの巨大なクレーターがあるが、Vestaのコアが鉄に富むことが巨大な天体衝突後も原型を留めていたことを説明するかもしれない。

Exoplanet signals ring true 
系外惑星のシグナルが真実を告げている
Astrophys. J. 750, 112 (2012)
恒星の前を惑星が通過する時に、光を遮断することで、地球上から系外惑星について知ることができる。従来考えられていたよりも多く、ケプラー望遠鏡から観測される3分の1以上の恒星が多数の惑星を持つことが分かった。

Ancient Mayan wall calendar 
古代のマヤ文明の壁に刻まれた暦
Science 336, 714–717 (2012)
マヤ文明の遺跡の壁に刻まれた壁画は、当時のマヤ文明の人々が金星、月、火星、そして水星さえもその再来周期を正確に見積もっていたことを物語っている。

News in Focus
Malaria surge feared
マラリアの恐怖が巻き起こる
殺虫剤に耐性のある蚊の蔓延を防ぐためのWHOの取り組みについて

Comments
Transit of Venus: Last chance to see
金星の横断:見る最後の機会
6月に起きる金星の太陽横断は我々が系外惑星が恒星の前を横断する現象の良い鑑となる。

Books and Arts
Astronomy: On the track of the transit
天文学:横断の軌跡の上で

Review of Chasing Venus: The Race to Measure the Heavens The Day the World Discovered the Sun: An Extraordinary Story of Scientific Adventure and the Race to Track the Transit of Venus
Andrea Wulf & Mark Anderson

過去の金星横断時における2つの物語の紹介。1つはJames Cookによるタヒチ訪問。

Biology: Mammary chronicles
生物学:乳房の変遷史

Review of Breasts: A Natural and Unnatural History
Florence Williams

人類の母乳の歴史について。母乳には乳児の脳を大きくするための栄養分が豊富に含まれるが、同時に現代人の母乳には種々の毒物が含まれている。

Correspondence
Don’t let furore over neutrinos blur results
ニュートリノに対する曖昧な実験結果を出すことで騒動を招いてはならない

素粒子学者はセンセーショナルな実験結果を一刻も早く世に出す姿勢を改め、まずは実験結果を疑うことからはじめるべきだ。

Control electronic waste in India
インドにおける電子部品の廃棄物を制御する

インドにおいては法的規制がないことから電子部品の製造において出てくる毒性のある廃棄物が河川や海にそのまま捨てられている。新たな方の制定と汚染監視機関による監視が必要だ。

Preserve Brazil’s aquatic biodiversity
ブラジルの水生生物の多様性を守れ
ブラジルの水生生物の生物多様性は危機に瀕しているが、外来種を養殖することを認める法律が議会に通れば、さらなる危機にさらされるだろう。

Research Highlights
Planetary science: Martian sand blowing in the wind
惑星科学:火星の砂は風に舞っている
Jasper Kok
従来考えられていたよりも火星の表面はアクティブに変化し続けているかもしれない。高解像度の人工衛星の観測より。

Earth science: Geomagnetism under scrutiny
地球科学:検査中の地磁気
Bruce Buffett
従来考えられていたよりも、地球のコアの電気抵抗は小さいかもしれないことが計算より分かった。

Letters
Earth-like sand fluxes on Mars
N. T. Bridges, F. Ayoub, J-P. Avouac, S. Leprince, A. Lucas & S. Mattson
火星のNili Patera砂丘の変化を人工衛星で観測したところ、砂丘はほぼ定常状態にあり、予想以上に高いフラックスを持っていることが分かった。火星の表面は地球と似た地形変化の速度を持っていると考えられる。

Recent Northern Hemisphere tropical expansion primarily driven by black carbon and tropospheric ozone
Robert J. Allen, Steven C. Sherwood, Joel R. Norris & Charles S. Zender
ここ数十年、世界が温暖化するにつれて熱帯域の幅が広がっているが、特に北半球の熱帯域の拡大の駆動因はよくわかっておらず、この拡大はこれまで気候モデルで再現されていなかった。新しい素過程を組み込んだモデルでシミュレーションを行ってみると、温室効果ガス以上にブラックカーボンや対流圏オゾンがこの拡大に大きく寄与していることが分かった。
「ブラックカーボンと対流圏オゾンによる中緯度域大気の加熱→対流圏ジェットの極側への移動→熱帯気団と温帯気団の境界の移動→熱帯域の拡大」
というメカニズムらしい。

Thermal and electrical conductivity of iron at Earth’s core conditions
Monica Pozzo, Chris Davies, David Gubbins & Dario Alfè
地球磁場は固体の内核が成長する際の冷却と凝固によって放出される熱と、凝固の際に液体から押し出される軽元素による化学的対流によって駆動されるダイナモにより、液体鉄の核中で生成される。密度汎関数理論を用いて第一原理から核の条件下での液体鉄混合物のこれらの伝導率を計算したところ、外核・内核ともに現在使われている見積もりよりも2~3倍大きいことがわかった。核の最上部は熱的に成層構造をしており、核上部は逆向きの熱的浮力やCMB熱流束の水平方向の変動に抗して、化学的対流によって駆動されている?