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☆主なコンテンツ
1、新着論文 2、論文概説 3、コラム 4、本のレビュー 5、雑記(PC・研究関連)
6、気になった一文集(日本語English) 7、日記(日本語English

2013年9月17日火曜日

新着論文(BG, CP)

◎Biogeosciences
Role of regression model selection and station distribution on the estimation of oceanic anthropogenic carbon change by eMLR
Y. Plancherel, K. B. Rodgers, R. M. Key, A. R. Jacobson, and J. L. Sarmiento
海水中の人為起源のDIC量を正確に推定することは自然変動のために難しい。eMLR法によって、経験的な重回帰分析を行うことでそうした自然変動の影響をなくすことができる(らしい?)。

Summertime calcium carbonate undersaturation in shelf waters of the western Arctic Ocean – how biological processes exacerbate the impact of ocean acidification
N. R. Bates, M. I. Orchowska, R. Garley, and J. T. Mathis
北極海の西部、チュクチ海では2009年〜2011年にかけて底層水の飽和度が季節的に不飽和状態になっていたことが分かっている。カルサイトとアラゴナイトに関する飽和度の季節変化はそれぞれ0.8と0.5で、一年のほとんどを通して底性生物殻や堆積物に影響を与えていると思われる。それを引き起こすメカニズムは大気とのCO2交換、植物プランクトンによる光合成、有機物生成+分解・融水の流入・石灰化などが複雑に関連していると考えられ、(まだ多くのことが不確かなままであるが)、将来も継続して監視する必要がある。
Bates et al.を改変。
様々なプロセスがΩの変動に関与しており、まだまだ観測も足りず、分からないことだらけ


◎Climate of the Past
Mid-pliocene Atlantic Meridional Overturning Circulation not unlike modern
Z.-S. Zhang, K. H. Nisancioglu, M. A. Chandler, A. M. Haywood, B. L. Otto-Bliesner, G. Ramstein, C. Stepanek, A. Abe-Ouchi, W.-L. Chan, F. J. Bragg, C. Contoux, A. M. Dolan, D. J. Hill, A. Jost, Y. Kamae, G. Lohmann, D. J. Lunt, N. A. Rosenbloom, L. E. Sohl, and H. Ueda
PlioMIPによる8つの気候モデルによるPlioceneのAMOCの復元結果を調べたところ、一つとしてプロキシから示唆されているような強化を再現していなかった。共通して確認されたのはAMOCの沈み込みの浅化で、原因としてはNADWの影響が弱くなったことが考えられる。また北向き輸送も現在と同程度と推定され、高緯度域の温暖化を説明するのに「AMOCが強化された」というのは当てはまらないと思われる。

An optimized multi-proxy, multi-site Antarctic ice and gas orbital chronology (AICC2012): 120–800 ka
L. Bazin, A. Landais, B. Lemieux-Dudon, H. Toyé Mahamadou Kele, D. Veres, F. Parrenin, P. Martinerie, C. Ritz, E. Capron, V. Lipenkov, M.-F. Loutre, D. Raynaud, B. Vinther, A. Svensson, S. O. Rasmussen, M. Severi, T. Blunier, M. Leuenberger, H. Fischer, V. Masson-Delmotte, J. Chappellaz, and E. Wolff
NGRIP・TALDICE・EDML・Vostok・EDCのすべてのアイスコアの共通年代モデル(AICC2012)を過去800kaまで延伸。大気中のδ18Oの測定によってアイスコア間の年代を繋ぐことが可能に。他の年代モデル(EDC3・Dome Fなど)との違いはそれほど大きくなかった(例えばMIS5でEDC3との違いが5400年)。

The Antarctic ice core chronology (AICC2012): an optimized multi-parameter and multi-site dating approach for the last 120 thousand years
D. Veres, L. Bazin, A. Landais, H. Toyé Mahamadou Kele, B. Lemieux-Dudon, F. Parrenin, P. Martinerie, E. Blayo, T. Blunier, E. Capron, J. Chappellaz, S. O. Rasmussen, M. Severi, A. Svensson, B. Vinther, and E. W. Wolff
南極アイスコア(TALDICE・EDML・Vostok・EDC)とグリーンランドアイスコア(NGRIP)の共通年代モデルを南極アイスコアをベースに作成(AICC2012)。特に120kaに焦点を当てると、氷期の開始(glacial inception)のタイミングが改善され、さらにδ15N測定によって大気捕獲深度(lock-in depth)が改善した。それによってMIS3のタイミングが改善し、グリーンランドアイスコアのピークよりも数百年先に南極アイスコアのピークが最大となることが示された。60.2kaまではNGRIPの年代モデルはGICC05とAICC2012と同一。

Tropical vegetation response to Heinrich Event 1 as simulated with the UVic ESCM and CCSM3
D. Handiani, A. Paul, M. Prange, U. Merkel, L. Dupont, and X. Zhang
HS1の際の大西洋熱帯域の植生の応答を調べるために、2つの気候モデル(UVic ESCM、CCSM3)を用いて再現実験。AMOCの弱化とITCZの南下がともに再現されている。モデル間の食い違いが確認されたものの、概ねアフリカ西部やブラジル北東部の花粉復元記録と整合的。

A reconstruction of radiocarbon production and total solar irradiance from the Holocene 14C and CO2 records: implications of data and model uncertainties
R. Roth and F. Joos
EMICsにIntCal09/SHCal04のΔ14C・アイスコアCO2・地磁気変動・黒点数などの変数を与え、過去21kaの14Cの大気生成量・太陽活動・総放射量(TSI)などを計算。完新世におけるTSIの変動は1W/m2のオーダーで非常に小さく、マウンダー極小期でも0.85±0.16W/m2程度にしか低下していなかった。また21世紀を通してTSIは完新世の平均値よりも低くなると思われる。


◎その他
Risks to coral reefs from ocean carbonate chemistry changes in recent earth system model projections
K L Ricke, J C Orr, K Schneider and K Caldeira
Environmental Research Letters 8 (2013)
CMIP5に参加した地球システムモデルを用いてアラゴナイト不飽和度の将来予測。産業革命前にはΩが3.5を超すサンゴ礁が99.9%であったものの、RCP8.5排出シナリオのもとでは21世紀末にすべてのサンゴ礁でΩが3を下回り、種ごとの応答の閾値にはほとんど関係がないことが示された。一方CO2排出が管理された場合、閾値を超すかどうかがサンゴ礁の命運を決めることが示された。Ωを3.5以上に維持するにはかなりアグレッシブな削減努力が必要となる。

A high-throughput system for boron microsublimation and isotope analysis by total evaporation thermal ionization mass spectrometry
Yi-Wei Liu, Sarah M. Aciego, Alan D. Wanamaker Jr., Bryan K. Sell
Rapid Communications in Mass Spectrometry 27, 1705–1714 (2013)
超微少量(<1ng)でホウ素同位体を測定する手法について。研究室のサンゴ試料で再現性が1.17‰(2STD, n=14)。