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1、新着論文 2、論文概説 3、コラム 4、本のレビュー 5、雑記(PC・研究関連)
6、気になった一文集(日本語English) 7、日記(日本語English

2013年9月22日日曜日

新着論文(PNAS, Ncom, SR)

PNAS
17 September 2013; Vol. 110, No. 38
Commentaries
Observational evidence supports the role of tropical cyclones in regulating climate
Ryan L. Sriver
Mei et al.の解説記事。
地球温暖化と熱帯低気圧の関係について。

Reports
Origin and provenance of spherules and magnetic grains at the Younger Dryas boundary
Yingzhe Wu, Mukul Sharma, Malcolm A. LeCompte, Mark N. Demitroff, and Joshua D. Landis
YDの原因として隕石衝突説が挙げられている。北米大陸各地で採取したYD境界の堆積物のオスミウム同位体(187Os/188Os)を報告。アリゾナ州・ミシガン州・ニューメキシコ・ニュージャージー州・オハイオ州は大陸地殻の値をとるが、ベルギーとペンシルベニア州のものは地球外物質と大陸地殻の混合した値を示す。ベルギーのものは怪しいが、ペンシルベニア州のものは2-5mm径のスフェリュールも含んでおり、イジェクタによるものと思われる。アメリカ北東部のGrenville Provinceが起源?

Sea surface height evidence for long-term warming effects of tropical cyclones on the ocean
Wei Mei, François Primeau, James C. McWilliams, and Claudia Pasquero
熱帯低気圧が通過した跡の海水の熱膨張(海面高度)を直接観測することによって、熱帯低気圧が海水温に与える影響を評価。1993-2009年にかけて熱帯域の温暖化の23倍という大きさで単位面積あたりの海表面を暖めていると考えられ、大気-海洋系の熱輸送(つまり気候)に影響していると思われる。温暖化によってサイクロンの強度は増すと思われ、それとサイクロンの位置のシフトによって、ますます海は暖まると思われる。

Model projections of atmospheric steering of Sandy-like superstorms
Elizabeth A. Barnes, Lorenzo M. Polvani, and Adam H. Sobel
地球温暖化とともにSandyのような大型熱帯低気圧がより頻発化するかどうかはまだはっきりとしていない。CMIP5のモデルから、Sandyをアメリカ東海岸へ押しやったような大気循環のパターンは頻度・持続期間ともに低下することが予測された。

End of the Little Ice Age in the Alps forced by industrial black carbon <OPEN>
Thomas H. Painter, Mark G. Flanner, Georg Kaser, Ben Marzeion, Richard A. VanCuren, and Waleed Abdalati
19世紀中頃以降ヨーロッパの山岳氷河は急速に後退しているが、その始まりにおいて産業から排出されたブラックカーボンが大きな役割を負っていたことが、アルプス山脈から得られたアイスコアから示された。ブラックカーボンによる放射強制力と氷河の質量収支のモデリングから、1900年には15m、1930年には30mに相当する量の水が失われたと推測され、氷河後退の観測事実とも整合的である。

Future reef decalcification under a business-as-usual CO2 emission scenario <OPEN>
Sophie G. Dove, David I. Kline, Olga Pantos, Florent E. Angly, Gene W. Tyson, and Ove Hoegh-Guldberg
 温暖化や海洋酸性化がサンゴ礁の脅威になると予測されているが、それは主に実験室で得られた知見をもとにしており、実際のフィールドで複数の変動要因が日周期・季節変動を伴ってどのようにサンゴ礁に影響するかを研究した例は多くない。
 グレートバリアリーフの生物を対象としたメソコスモCO2添加実験から、すべての変数を考慮すると、高い排出シナリオのもとでは石灰化速度は低下するが、軽減された排出シナリオのもとでは石灰化速度が増加する可能性があることが示された。どちらの場合も、サンゴの死亡率は増加し、一次生産量はほとんど変わらない可能性がある。


Nature Communications
18 September 2013
The tiger genome and comparative analysis with lion and snow leopard genomes <OPEN>
Yun Sung Cho et al.
>Nature姉妹紙 注目のハイライト
トラのゲノムに示された捕食への適応
>関連した記事(ナショナルジオグラフィック ニュース)
絶滅危惧種、シベリアトラのゲノム解読

Osmium isotope evidence for a large Late Triassic impact event <OPEN>
Honami Sato, Tetsuji Onoue, Tatsuo Nozaki and Katsuhiko Suzuki
>関連した記事(Yahooニュース)
巨大隕石落下の証拠発見=2.1億年前、岐阜と大分で―カナダにクレーター

Advection shapes Southern Ocean microbial assemblages independent of distance and environment effects
David Wilkins, Erik van Sebille, Stephen R. Rintoul, Federico M. Lauro and Ricardo Cavicchioli
南大洋の主要な水塊を採取し、微生物群集分布に対する移流の効果を推定。移流の距離と種の分別との間に正相関が確認され、移流が確かに微生物に影響を与えていることが示唆された。

Time-calibrated Milankovitch cycles for the late Permian <OPEN>
Huaichun Wu, Shihong Zhang, Linda A. Hinnov, Ganqing Jiang, Qinglai Feng, Haiyan Li and Tianshui Yang
 ミランコビッチ・サイクルで代表される地球の軌道要素については新生代と中生代のものしか分かっていない。軌道要素は年代決定の手法としても近年重要度を増してきている。
 中国南部で得られたペルム紀末の岩石に対するU-Pb年代と磁化率の変動で表される軌道要素との関係が調べられた。

Carbon precipitation from heavy hydrocarbon fluid in deep planetary interiors
Sergey S. Lobanov, Pei-Nan Chen, Xiao-Jia Chen, Chang-Sheng Zha, Konstantin D. Litasov, Ho-Kwang Mao and Alexander F. Goncharov
惑星内部の高温高圧状態に置ける炭素-水素基の化学反応性について。


Scientific Reports
17 September 2013
Testing the annual nature of speleothem banding <OPEN>
Chuan-Chou Shen, Ke Lin, Wuhui Duan, Xiuyang Jiang, Judson W. Partin, R. Lawrence Edwards, Hai Cheng & Ming Tan
しばしば鍾乳石は年縞を形成すると仮定されている。中国の仙人洞(Xianren Cave)から得られた鍾乳石の過去300年分の縞一つ一つを年代決定の精度±0.5年でU/Th年代測定したところ、その仮定が成り立っていないことが示された。偽の縞の存在や縞が消えていることによって、絶対年代が数年ずれることが分かった。

One hundred years of Arctic surface temperature variation due to anthropogenic influence <OPEN>
John C. Fyfe, Knut von Salzen, Nathan P. Gillett, Vivek K. Arora, Gregory M. Flato & Joseph R. McConnell
モデルを用いて1900年以降の数十年規模の北極圏の気温変動の原因を推定。温室効果ガス・エアロゾル・火山噴火による放射強制力でほとんどの変動を説明できることが示された。また感度実験から、自然の変動だけではそうした変動が生まれないことも分かった。

Size matters: implications of the loss of large individuals for ecosystem function <OPEN>
Alf Norkko, Anna Villnäs, Joanna Norkko, Sebastian Valanko & Conrad Pilditch

Glyphosate applications on arable fields considerably coincide with migrating amphibians <OPEN>
Gert Berger, Frieder Graef & Holger Pfeffer

Worldwide isotope ratios of the Fukushima release and early-phase external dose reconstruction <OPEN>
Kittisak Chaisan, Jim T. Smith, Peter Bossew, Gerald Kirchner & Gennady V. Laptev
福島第一原発事故の直後に世界中の大気へと拡散した放射性物質の挙動について。