Science
VOL 341, ISSUE 6152, PAGES 1313-1420 (20 SEPTEMBER 2013)
Editors' Choice
Reconstructing Plate Tectonics
プレートテクトニクスを復元する
Earth Planet. Sci. Lett. 373, 93 (2013).
プレートテクトニクス(大陸の離散・集合など)は時代とともに変化し続けているが、予測は可能なのだろうか?過去20億年間のプレートテクトニクスのモデリングから、大きなプレートは1億年の時間スケールではサイズに応じて均質或いは不均質な状態のいずれかを形成する傾向があることが分かった。
Historic Hg Legacy
歴史的な水銀の名残
Environ. Sci. Technol. 10.1021/es401352n (2013).
金属の精錬や石炭発電によって大気中へと放出される水銀は2年間は大気に滞留し、その後地面に落ちると考えられている。2013年10月からそうした排出は環境への影響を考慮して、水俣条約のもと規制されることになる。カナダ・マニトバ州の銅の製錬所付近(2010年に閉山になるまでカナダ最大の水銀の排出源だった)の調査から、鉱山が閉まってからも大気と降水の水銀濃度が他の観測所よりも高いことが示された。地表から舞い上がる塵が放出源と考えられている。
News of the Week
Early Cichlids Traversed the World’s Oceans
初期のシクリッドが世界の海を横断した
様々な色と形を持つシクリッド(カワスズメ)は世界中の淡水に棲息し、その種数は1,600種を超えると考えられている。従来、ゴンドワナ大陸が分裂した1億3,500万年前に様々な大陸に移ったと考えられていたものの、最古の化石は4,500万年前からしか得られておらず問題となっていた。新たな化石研究から、シクリッドの起源は6,500-5,700万年前であり、はるかに最近であることが分かった。決死の覚悟で海を渡り世界中へと拡散したものと思われる。
>より詳細な記事(Science NOW)
Tracing Cichlids Through the Seas
海中のシクリッドを追跡する
News & Analysis
Kenyan Find Heralds New Era in Water Prospecting
ケニアの発見が水探査における新時代の前触れを告げる
Carolyn Gramling
ケニアにおける大量の地下水の発見は、水探査法の進展を表している。
>関連した記事(Nature#7467 "SEVEN DAYS")
Kenya strikes water
ケニアが水に当たる
人工衛星と地震波を用いた探査によって、ケニア北部で2,500億立方メートルの莫大な地下水貯蔵庫が発見された。うち持続利用が可能なものは34億立方メートルと推定されており、ケニアが利用可能な持続性の水資源が17%増加したことになる。
India Aims a Probe at Mars—And at Earthly Prestige
インドは火星に探査機を送ろうとしている−地球の威信をかけて
Pallava Bagla
インドは来月、火星の大気中のメタン(生命存在の兆候となる)を探るための探査衛星を打ち上げる予定となっている。
What Happens When Weed Killers Stop Killing?
除草剤が雑草を殺すのをやめたとき何が起きるのだろう?
Robert F. Service
アメリカ化学会のシンポジウムがインディアナポリスで開かれ、北米の農業において大きくなりつつある脅威に焦点が当てられた。科学者が効果的な新たな除草剤を開発し、農業従事者にそれを供給するよりもはるかに早く、雑草の除草剤に対する耐性が進化し続けているからである。
News Focus
Predators in the 'Hood
近所の捕食者
Virginia Morell
クーガー・コヨーテ・熊などが人家に出没しているが、科学はどのようにして人と捕食動物が共存できるかを示す助けとなる。
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Research
Perspectives
Causes of the Cambrian Explosion
カンブリア爆発の原因
M. Paul Smith and David A. T. Harper
カンブリア紀初期の動物種の急速な多様化は、多種多様な生物・非生物プロセスの結果かもしれない。
Reports
Linear Structures in the Core of the Coma Cluster of Galaxies
かみのけ座銀河団の中心の線形構造
J. S. Sanders, A. C. Fabian, E. Churazov, A. A. Schekochihin, A. Simionescu, S. A. Walker, and N. Werner
宇宙からのX線の観測から、地球のすぐ近くの銀河団の融合の歴史に関する知見が得られた。
Deep-Focus Earthquake Analogs Recorded at High Pressure and Temperature in the Laboratory
室内の高温高圧実験によって記録された深発地震のアナログ
Alexandre Schubnel, Fabrice Brunet, Nadège Hilairet, Julien Gasc, Yanbin Wang, and Harry W. Green II
マントル中の鉱物の相転移によって生成されるヒビが深部地震に似た音波を放出することが室内実験から確かめられた。
Energy Release of the 2013 Mw 8.3 Sea of Okhotsk Earthquake and Deep Slab Stress Heterogeneity
2013年のマグニチュード8.3のオホーツク海における地震のエネルギー放出と深部のスラブの圧力の不均質性
Lingling Ye, Thorne Lay, Hiroo Kanamori, and Keith D. Koper
沈み込みスラブの強度が高い・低い場所の分布がこれまで記録された最大の深部地震の範囲をコントロールしていた。