Main contents


☆主なコンテンツ
1、新着論文 2、論文概説 3、コラム 4、本のレビュー 5、雑記(PC・研究関連)
6、気になった一文集(日本語English) 7、日記(日本語English

2013年4月21日日曜日

新着論文(BG, CP)

Global ocean storage of anthropogenic carbon
S. Khatiwala, T. Tanhua, S. Mikaloff Fletcher, M. Gerber, S. C. Doney, H. D. Graven, N. Gruber, G. A. McKinley, A. Murata, A. F. Ríos, and C. L. Sabine
Biogeosciences, 10, 2169-2191, 2013
人為起源の二酸化炭素がどのように・どれだけの量、海水に溶けたかを見積もることは重要である。観測・モデルの双方のアプローチによる推定をレビュー。手法ごとに大きく異なること、長期的な観測が依然として必要であること、を強調。最も良い推定値は今のところ2010年までで「155 ± 31 PgC」である。

The non-steady state oceanic CO2 signal: its importance, magnitude and a novel way to detect it
B. I. McNeil and R. J. Matear
Biogeosciences, 10, 2219-2228, 2013
近年の観測から、海が吸収できるCO2の量は減少していることが示されている。現在海が吸収できるCO2を推定する場合、海洋循環や生物活動が安定状態にあることを暗に仮定しているが、それが食い違いの原因と思われる。新たな手法で’安定状態でない’CO2の量を見積もったところ、産業革命以降、全体の9%が海から大気への放出に相当するが、近年(1989-2007年)は18%に増加していることが示された。今後さらなる観測と手法開発が必要。
McNeil & Matear (2013)を改変。
安定状態での海によるCO2吸収の推定値(黒)と実際の観測(赤)

Impact of global change on coastal oxygen dynamics and risk of hypoxia
L. Meire, K. E. R. Soetaert, and F. J. R. Meysman
Biogeosciences, 10, 2633-2653, 2013
気候変化や人間活動による栄養塩供給の変化の結果、沿岸部の酸素濃度が著しく低下すると考えられているが、次の数十年にそれぞれがどれほど寄与するかはよく分かっていない。北海のカキの産地(Oyster Grounds)でモデルシミュレーションを行ったところ、2100年には夏の終わりの底層水の酸素濃度が24μMまで低下することが示された。その大部分は海の成層化に起因し、続いて温度上昇による酸素の溶存量の低下である。栄養塩の供給量も大きく影響し、流入量を抑えることで貧酸素のリスクを軽減できる。

Climatic impacts of fresh water hosing under Last Glacial Maximum conditions: a multi-model study
M. Kageyama, U. Merkel, B. Otto-Bliesner, M. Prange, A. Abe-Ouchi, G. Lohmann, R. Ohgaito, D. M. Roche, J. Singarayer, D. Swingedouw, and X Zhang
Climate of the Past, 9, 935-953, 2013
将来のグリーンランド氷床融解のAMOCへの影響および過去の千年スケールの気候変動におけるAMOCの重要性を評価するために、北大西洋への’水撒き実験’が頻繁に行われている。6つの異なるモデルによる北大西洋の中〜高緯度域へのLGMの背景場の水撒き実験の結果を評価したところ、共通してみられた特徴として、「北大西洋の寒冷化」「亜熱帯循環の拡大」「ITCZの南下」が確認された。しかし、バイポーラー・シーソーについてはモデル感で結果が大きく食い違った。また北大西洋の変動がインド・アジアやアフリカへとテレコネクションする過程はモデル間で異なった。

Model sensitivity to North Atlantic freshwater forcing at 8.2 ka
C. Morrill, A. N. LeGrande, H. Renssen, P. Bakker, and B. L. Otto-Bliesner
Climate of the Past, 9, 955-968, 2013
モデルシミュレーションで8.2kaイベントを再現。Hudson BayまたはLabrador Seaに年間2.5Svで水撒きを行ったところ、AMOCへの擾乱と全球への気候変動のシグナルの伝播が確認された。しかし温度変化は間接指標の半分程度しか再現されなかった。さらに継続期間も数十年と、間接指標から示されている150年と比べて非常に短かった。食い違いの原因は「完新世初期の気候場の再現」と「水撒きの仕方」にあるかもしれない。