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☆主なコンテンツ
1、新着論文 2、論文概説 3、コラム 4、本のレビュー 5、雑記(PC・研究関連)
6、気になった一文集(日本語English) 7、日記(日本語English

2013年4月9日火曜日

新着論文(Ngeo, Ncom, SR)

Nature Geoscience
☆advance online publication
Caribbean coral growth influenced by anthropogenic aerosol emissions
人為起源のエアロゾル排出によって影響されるカリブ海のサンゴの成長

Lester Kwiatkowski, Peter M. Cox, Theo Economou, Paul R. Halloran, Peter J. Mumby, Ben B. B. Booth, Jessica Carilli & Hector M. Guzman
サンゴの成長率は日射量や海水温によって大きく支配されるが、過去120年間にわたるカリブ海のサンゴの成長率は海水温、すなわち火山噴火や大気中のエアロゾル量によっても支配されていることが、数値モデルから示された。カリブ海の一部の地域のサンゴの成長率は温暖化でも海洋酸性化でも説明できない数十年変動を示し、火山・エアロゾルが原因と考えられる。

Nature Communications
☆03 April 2013
Observations from old forests underestimate climate change effects on tree mortality
古い森の観測が気候変動の木の枯死率に対する影響を低く見積もっている
Yong Luo & Han Y. H. Chen
気候変化が木の枯死率にどういった影響を及ぼすかは、枯死率が気候だけでなく、木の発達過程にも影響されるため不確かである。若い森林も古い森林も同じ影響を被るという仮定をなくし、両者の影響を分けて評価したところ、発達過程の影響がこれまで見過ごされていたことが分かった。若い森ほど古い森に比べて気候変化の影響を受けやすいらしい。

Reconciliation of marine and terrestrial carbon isotope excursions based on changing atmospheric CO2 levels
変化する大気中のCO2濃度が原因で起きる海と陸の炭素エクスカージョンの食い違いの擦り合わせ
Brian A. Schubert and A. Hope Jahren
炭素循環の擾乱は炭素同位体(δ13C)に現れ、地質記録には負のエクスカージョンが多数記録されている。しかし陸と海とでは同位体の変化の大きさが全く異なることが知られている。大気中のCO2濃度の増加が植物による同位体分別に影響することが、食い違いの原因であることを数値モデルから示す。陸と海の記録が得られれば、イベントの背景場のCO2濃度、CO2濃度の最大値などが復元可能であることも示す。PETMの場合に計算を行うと、当時はpCO2が674-1034ppmであり、CO2放出イベント(メタンハイドレートの崩壊が原因と考えられている)時には1,384-3,342ppmであったことが示された。

Scientific Reports
☆2013年4月9日号
The changing seasonal climate in the Arctic
変化しつつある北極圏の季節気候
R. Bintanja & E. C. van der Linden
北極圏は世界で最も早く温暖化すると考えられている。特に冬は夏よりも4倍ほど早く温暖化している。観測記録に基づいたモデルシミュレーションから、冬期の海氷の後退によって海の熱が伝播していることが冬の温暖化に強く影響していることが示された。夏に海氷が完全になくなったとしても、夏の温度上昇には劇的には寄与しないことも示された。

☆2013年4月2日号
Does warmer China land attract more super typhoons?
中国大陸の温暖化は超巨大台風をより引き寄せるか?
Xiangde Xu et al.
台風がいつ・どこに到達するかの予測は人命や物的財産を守るためにも重要である。中国における50年間の長期観測記録と数値モデルから、超巨大台風(最大風速が51m/sを超えるようなもの)の到来と中国大陸の地表気温との間に正の相関があることが示された。

Hot bodies protect amphibians against chytrid infection in nature
高い体温が両生類を自然のツボカビ感染から守る
Jodi J. L. Rowley & Ross A. Alford
近年世界中で両生類に感染するツボカビが個体数の減少や絶滅を招いている。熱帯に生息する3種類のカエルは、体温がツボカビの最適温度よりも高いので、感染の確率が低くなっていることが示された。つまり体温が高い種ほど感染に強く、生き残りやすいことを物語っている。

Nutrient supply from fishes facilitates macroalgae and suppresses corals in a Caribbean coral reef ecosystem
カリブ海のサンゴ礁生態系においては魚からの窒素供給が大型藻類を助け、サンゴを抑制する
Deron E. Burkepile, Jacob E. Allgeier, Andrew A. Shantz, Catharine E. Pritchard, Nathan P. Lemoine, Laura H. Bhatti & Craig A. Layman
サンゴ礁においては、魚の糞を通してサンゴが吸収できる形への栄養の転換が起きている。しかしサンゴが今後衰退することで、大型藻類への生態系のシフトが起きることが予想される。アメリカ・フロリダにおける野外調査から、サンゴ礁の外(fore-reef)においては、他の供給源に対して25倍もの栄養(窒素)が魚の糞を起源とすることが示された。魚の糞が多いほど大型藻類が増え、サンゴ被覆率が減少することも示された。また草食動物が多いと藻類も減ることも示された。

☆2013年3月26日号
Red coral extinction risk enhanced by ocean acidification
海洋酸性化によって促進されるアカサンゴの絶滅リスク
Carlo Cerrano, Ulisse Cardini, Silvia Bianchelli, Cinzia Corinaldesi, Antonio Pusceddu & Roberto Danovaro
アカサンゴ(Corallium rubrum)は中層において生態系を支える重要な生物であるが、過剰な採取と温度上昇による死亡などによって危機にさらされている。0.2pHを低下させた酸性化実験から、骨格成長率とポリプの活動度が低下し、2100年には絶滅する危険が非常に高いことが示された。

Isotopic evidence for long term warmth in the Mesozoic
中生代の長期的な温暖化の同位体的証拠
Gregory D. Price, Richard J. Twitchett, James R. Wheeley & Giuseppe Buono
顕世代のほとんどの期間は現在よりもCO2濃度が高く、地表面気温が高かったと考えられている。しかしながら、特にジュラ紀や白亜紀などには大気中のCO2濃度が変化しても、δ18Oから復元される地表面気温には変動が見られなかった可能性も指摘されていた。腕足動物の殻のδ18Oを加えて温度を復元したところ、CO2濃度の変動に同期した温度の変動が確認され、CO2が温度変動に重要であったことが示された。

Effects of cold stress and heat stress on coral fluorescence in reef-building corals
造礁サンゴのサンゴの蛍光に対する低温・高温ストレスの影響
Melissa S. Roth & Dimitri D. Deheyn
温度ストレスが世界中のサンゴ礁に破滅的な影響をもたらしている。ヤングミドリイシ(Acropora yongei)に対する温度変化実験から、白化現象の前にサンゴの健康度が低下し、緑色蛍光遺伝子(green fluorescent protein)の濃度と蛍光とが低下することが示された。蛍光を使ってサンゴの健康度を推し量ることが可能かもしれない。