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☆主なコンテンツ
1、新着論文 2、論文概説 3、コラム 4、本のレビュー 5、雑記(PC・研究関連)
6、気になった一文集(日本語English) 7、日記(日本語English

2013年4月4日木曜日

新着論文(Nature#7443)

Nature
Volume 496 Number 7443 pp5-132 (4 April 2013)

A record made to be broken
破られるべく作られた記録
科学技術振興機構(JST)は日本の主要な科学助成を行っている機関で、研究上の間違った振る舞いに関して豊富な情報を持っている。現実には最近不正は頻発しているものの、1957年の発足以来JSTが状況を把握したものは0件である。藤井善隆や井上明久の事例の紹介。

Doing nothing apparently has no consequences.

Against the law
法則に反する
観察されたブラックホールの振る舞いは物理法則の予測に反している。

RESEARCH HIGHLIGHTS
Mechanics behind seashell spines
貝殻のとげに隠された数学
Proc. Natl Acad. Sci. USA http://dx.doi.org/10.1073/ pnas.1220443110 (2013)
貝はあらゆる形を持っているが、それでも形状が似ていることは、捕食者から逃れるのに適した形に収斂進化したことが原因と考えられてきた。オクスフォード大の研究グループは、ある巻貝の種に対して貝殻と軟体部の石灰化を担う部分の相互作用を数値モデル化し、成長量の早さと殻の固さで形状を再現できることを示した。

SEVEN DAYS
UK open access
イギリスのオープン・アクセス
イギリス政府に助成を受けた研究の結果得られた論文は「半年〜2年以内にオープン・アクセス化する」という規則が4/1にスタートした。2014年に再度レビューされる予定だという。

Climate change
気候変化
スタンフォード大による1,174人を対象にした意識調査から、アメリカ国民の82%が「現在地球が温暖化しており、沿岸部に住む人々は海水準上昇やより大きな嵐に警戒すべきだ」と考えていることが示された。しかし一方で大部分の人が「アメリカ国民全体で適応のコストを捻出するのではなく、実際に被害を受ける人たち(全国民の39%)で負担をすべきだ」と考えていることもインターネット上のGfK Researchによるアンケートから明らかに。
>より詳細な記事
Poll finds US support for adaptation to climate change
意識調査によりアメリカが気候変化への適応を支持することが明らかに
Lauren Morello

Deep-sea dive
深海への潜水
映画監督James Cameronは自身の有人深海潜水艇DEEPSEA CHALLENGERをウッズホール海洋研究所に寄付することを3/26に発表した。DEEPSEA CHALLENGERは人が乗って7,000mよりも深い場所に行ける乗り物としては世界で唯一のものである。3人乗りのAlvinの後続機も今年春に試験運用される予定だという。
>より詳細な記事
James Cameron makes deep donation to oceanographers
ジェームズ・キャメロンが海洋学者に深い寄贈を行う
Richard Monastersky

ARCTIC ICE MAXIMUM
北極の氷の最大値
2012年夏には北極の海氷範囲が歴史上類を見ないほどに縮小したが、2012-2013年にかけての冬の範囲も1979年にはじまる人工衛星観測史上6番目に小さかった。季節性が大きくなり、1年氷が支配的な状態(多年氷が少ない)へと変化しているという。

NEWS IN FOCUS
Detectors zero in on Earth’s heat
Alexandra Witze
ジオニュートリノがマントル深部の過程を描き出す。

Detective work uncovers under-reported overfishing
捜査によって報告されていない過漁業が明らかになる
Christopher Pala
中国の漁船による行き過ぎた漁獲が西アフリカの人々の暮らしと生態系を脅かしている。

FEATURE
Fire in the hole!
穴の中の炎!
Zeeya Merali
ブラックホールに吸い込まれた宇宙飛行士は潰れるのだろうか、それとも燃え尽きるのだろうか?

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RESEARCH
NEWS & VIEWS
Western North America's jigsaw
北米西部のジグゾーパズル
Saskia Goes
北米大陸のプレートテクトニクス史は、多くのピースが摩耗し失われてしまっていることにより、非常に難しいジグゾーパズルとなっている。地球深部の地震波イメージングにより、我々の抱いている復元像が変わるかもしれない。Sigloch & Mihalynukの解説記事。

ARTICLES
Patterns and mechanisms of early Pliocene warmth
鮮新世初期の温暖化のパターンとメカニズム
A. V. Fedorov, C. M. Brierley, K. T. Lawrence, Z. Liu, P. S. Dekens & A. C. Ravelo
5-4Maの鮮新世初期には大気中CO2濃度が産業革命前よりも100ppm高く(~380ppm)、全球的に温暖であったと考えられている。地球化学的なプロキシを用いた海水温の復元例をまとめたところ、当時の海水温の最大値は現在と大差ないが、一方で緯度方向や緯度・経度方向の温度傾度はかなり小さくなっていたことが示された。地球システムモデルを用いることで、これらの特徴をすべて説明できるようなメカニズムが現在のところ見つからず、何らかの力学過程(海水混合や雲アルベドなど?)がモデル内で低く見積もられている可能性が示唆された。

Intra-oceanic subduction shaped the assembly of Cordilleran North America
海洋内部の沈み込みがコルディレラン北米の集合体を形作った
Karin Sigloch & Mitchell G. Mihalynuk
北米西部の険しい山で構成されるCordillera地域の起源に関する新たな説明が提案された。

LETTERS
July 2012 Greenland melt extent enhanced by low-level liquid clouds
低層液体雲によって促進された2012年7月のグリーンランドの融解範囲
R. Bennartz, M. D. Shupe, D. D. Turner, V. P. Walden, K. Steffen, C. J. Cox, M. S. Kulie, N. B. Miller & C. Pettersen
2012年7月、グリーンランドを襲った熱波は氷床表面を激しく融解させ、洪水を起こした。その際に大気を覆っていた液体で構成される低層雲(liquid cloud)が太陽からの短波放射をより地表にもたらし、さらに下向き長波放射も増加させるような役割を担っていたことが、氷床表面を暖め、融解を促進させた可能性が示唆される。こうした雲が頻繁に生じていることも分かり、モデルでうまく北極圏のエネルギー収支を説明できないことの原因かもしれない。