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☆主なコンテンツ
1、新着論文 2、論文概説 3、コラム 4、本のレビュー 5、雑記(PC・研究関連)
6、気になった一文集(日本語English) 7、日記(日本語English

2013年4月11日木曜日

新着論文(Nature#7444)

Nature
Volume 496 Number 7444 pp137-264 (11 April 2013)

EDITORIALS
Energy crossroads
エネルギーの分かれ道
ドイツは今世紀中頃までに自国のエネルギー生産の80%を再生可能エネルギーで賄う目標を立てている。国民の理解や技術進展の早さを考えると、目標は計画よりも早く実現するかもしれない。現在は福島第一原発事故を受けて原発は次々に閉鎖され、ドイツは火力発電に頼っているため、短期的な排出削減目標は達成することは難しいだろうが、長期的には可能かもしれない。ただし一方で懐疑的な人は「ドイツがグリーン化に成功できなければ、世界全体がグリーン化に向かうことは難しい」とも指摘している。また国民に対して自宅の屋根に太陽光パネルを設置し、電気自動車に切り替えるなどのインセンティブをどのように与えるかについても明確な見通しは立っていない。

WORLD VIEW
No, we should not just ‘at least do the research’
いいや、私たちは’少なくとも研究はする’という立場でいるわけにはいかない
「気候変化を緩和するために地球工学を採用するという考えはこれまでに考え抜かれたものではない」、とClive Hamiltonは主張する。地球工学に対する様々な疑問・方針・解決すべき課題などを提示。

RESEARCH HIGHLIGHTS
Lizards hatch early to flee
トカゲは危険から逃れるために早く孵化する
Copeia 2013, 159–164 (2013)
トカゲの一種(delicate skinks; Lampropholis delicata)の卵を刺激し、さも捕食者から攻撃を受けているように実験すると、何も刺激を受けていない卵に比べて数日間も早く孵化することが示された。しかしそのコストは大きく、栄養を卵のなかで十分に使い切れず、体長も4%ほど小さくなるらしい。こうした行動は他の両生類や魚類、無脊椎動物などで確認されているという。

Diamonds tick like atomic clocks
ダイアモンドが原子時計のように時を刻む
Phys. Rev. A 87, 032118 (2013)
窒素の不純物を含んだダイアモンドは原子時計のように時間を正確に刻むことが、レーザー照射によって励起される光を検出することで明らかに。他の原子時計に比べてより運びやすく、生産しやすくなる可能性があるという。

Quake linked to drilling
掘削と関連した地震
Geology http://dx.doi.org/10.1130/G34045.1 (2013)
2011年11月、オクラホマにおいて生じたM5.7の地震は、石油・天然ガス掘削のために地中に穴を開け、流体を注入したことが直接の原因であったことが、余震の詳細な分析から明らかになった。18年間にわたって行われた流体注入用のシャフトから200m以内に最初に破壊された断層が位置していた。

More rain for the Central Plains
中央平原により多くの雨
Geophys. Res. Lett. http://dx.doi.org/10.1002/grl.50262 (2013).
1918年から2007年にかけての観測記録から、アメリア中央平原の夏の降水量が増加しており、ミシシッピ川上流の流量が増加していることが示された。モデルシミュレーションから、耕作地のために切り開かれた土地が流量を増加させた地域もあるものの、全体としては水循環の変化が原因であることが示された。ミシシッピ川は大量の窒素をメキシコ湾へと運び、生物の生きられない貧酸素水塊を作るため、窒素流入量の管理が必要になるかもしれない。
>問題の論文
Are climatic or land cover changes the dominant cause of runoff trends in the Upper Mississippi River Basin?
気候の変化と土地被覆の変化のどちらがミシシッピ川上流の流量の変化傾向にとって支配的な原因になっているのだろう?
Chris Frans, Erkan Istanbulluoglu, Vimal Mishra, Francisco Munoz-Arriola, Dennis P. Lettenmaier

SEVEN DAYS
ESA puts focus on biomass
ESAがバイオマスに重点を置く
全球の森林バイオマス量をこれまでで最も良い精度で測定するための人工衛星打ち上げがヨーロッパの宇宙局(European Space Agency; ESA)によって計画されている(BIOMASS計画)。計画の最終判断は5月になされ、2020年頃に打ち上げが行われる予定となっている。

NEWS IN FOCUS
Wild weather can send greenhouse gases spiralling
強烈な気象が温室効果ガスのスパイラルを招く可能性がある
Quirin Schiermeier
熱波・干ばつ・嵐が炭素放出に与える影響が次第に分かりつつある。

FEATURES
Germany’s energy gamble
ドイツのエネルギー・ギャンブル
Quirin Schiermeier
温室効果ガスの排出を大幅に削減するというドイツの野心的な計画は、高くそびえる技術的・経済的ハードルを超えるに違いない。

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RESEARCH
NEWS & VIEWS
Intraterrestrial lifestyles
土の中の生活スタイル
David L. Valentine
Lloyd et al.の解説記事。海底堆積物の遺伝子分析から、古細菌の2つの優先種の代謝の詳細が明らかに。たんぱく質を分解し、地球深部(堆積物及びマントル)へと埋没させる上で重要な役割を負っているかもしれない。

Saturn's ring rain
土星の輪の雨
Jack Connerney
O’Donoghue et al.の解説記事。土星の大気には氷でできた土星の輪の潜像が存在する。電荷を持った氷は輪から発生する磁力線に沿って土星の上層大気へと輸送されているらしい。

LETTERS
The domination of Saturn’s low-latitude ionosphere by ring ‘rain’
輪の「雨」によって支配される土星の低緯度の電離圏
J. O’Donoghue, T. S. Stallard, H. Melin, G. H. Jones, S. W. H. Cowley, S. Miller, K. H. Baines & J. S. D. Blake

Recent temperature extremes at high northern latitudes unprecedented in the past 600 years
過去600年間で例を見ない近年の北半球高緯度域の温度異常
Martin P. Tingley & Peter Huybers
自然と人為起源の温度変化を正しく理解するためにも、より長い時間の温度復元が重要である。観測記録・間接指標(木・アイスコア・堆積物)による過去600年間の温度記録から、近年の温度が異常であることを示す。ロシア西部・グリーンランド西部・カナダ北極圏では2010年の夏が過去600年間では最も温度が高かったことが示された。

Climatic control of bedrock river incision
河川による基盤岩の下刻に対する気候のコントロール
Ken L. Ferrier, Kimberly L. Huppert & J. Taylor Perron
河川による基盤岩の下刻が地球表層の地形発達を支配している。しかしこれまで降水量が下刻にどのような影響を及ぼしているかを定量的に評価することは困難であった。ハワイ島の降水量が大きく異なる斜面において下刻の影響を評価したところ、上流の降水量と下刻量の間に正相関が確認された。さらに理論的な背景を提案する。

Embryology of Early Jurassic dinosaur from China with evidence of preserved organic remains
保存された有機物の名残の証拠とともに中国から得られたジュラ紀初期の恐竜の発生学
Robert R. Reisz, Timothy D. Huang, Eric M. Roberts, ShinRung Peng, Corwin Sullivan, Koen Stein, Aaron R. H. LeBlanc, DarBin Shieh, RongSeng Chang, ChengCheng Chiang, Chuanwei Yang & Shiming Zhong
恐竜の胚の化石はきわめてまれであり、その成長パターンについてはほとんど分かっていない。ジュラ紀前期に相当する地層から発掘された竜脚形亜目(おそらくルーフェンゴサウルス; Lufengosaurus)の骨の分析から、初期の成長が早く、孵卵期間の短さが竜脚形類の特徴であったことが示された。

Predominant archaea in marine sediments degrade detrital proteins
海洋堆積物で支配的な古細菌が砕屑タンパク質を分解する
Karen G. Lloyd, Lars Schreiber, Dorthe G. Petersen, Kasper U. Kjeldsen, Mark A. Lever, Andrew D. Steen, Ramunas Stepanauskas, Michael Richter, Sara Kleindienst, Sabine Lenk, Andreas Schramm & Bo Barker Jørgensen
海洋堆積物中にいる古細菌の優先種には「Miscellaneous crenarchaeotal group; MCG」と「marine benthic group-D; MBG-D」がいる。遺伝子分析から、これらの古細菌は進化系統樹の中の新たな枝に位置することが分かり、貧酸素の海洋堆積物中のタンパク質分解に重要な役割を負っていることが示唆される。