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1、新着論文 2、論文概説 3、コラム 4、本のレビュー 5、雑記(PC・研究関連)
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2013年4月22日月曜日

新着論文(Geology, PNAS, Ncom)

Geology
1 May 2013; Vol. 41, No. 5
Articles
Evidence for atmospheric carbon injection during the end-Permian extinction
Elke Schneebeli-Hermann, Wolfram M. Kürschner, Peter A. Hochuli, David Ware, Helmut Weissert, Stefano M. Bernasconi, Ghazala Roohi, Khalil ur-Rehman, Nicolas Goudemand, and Hugo Bucher
P/T境界においては陸上・海洋生物の大部分が大きな変革を経験し、炭素循環に大きな擾乱があったことがδ13Cの大きな負のエクスカージョンにも現れている。パキスタンの地層から得られた陸上植物や木の破片などのδ13Cを測定したところ、大気中のCO2のδ13Cが約5.5‰変化していた可能性が示唆される。

Cenozoic boron isotope variations in benthic foraminifers
Markus Raitzsch and Bärbel Hönisch
底性有孔虫のδ11B分析から、新生代を通しての海水のδ11B変動を復元。従来のモデルによる結果とは整合的だが、蒸発岩から復元されたものとは大きく食い違った。

Marine radiocarbon reservoir age variation in Donax obesulus shells from northern Peru: Late Holocene evidence for extended El Niño
Miguel F. Etayo-Cadavid, C. Fred T. Andrus, Kevin B. Jones, Gregory W.L. Hodgins, Daniel H. Sandweiss, Santiago Uceda-Castillo, and Jeffrey Quilter
ペルーの二枚貝(surf clam)の殻のΔ14C測定から、完新世後期のENSOの強度を復元。文明の盛衰とも関連?

Climate change increases frequency of shallow spring landslides in the French Alps
Jérôme Lopez Saez, Christophe Corona, Markus Stoffel, and Frédéric Berger
フランス南東部に位置するアルプスの麓のRiou Bourdoux集水域において木の年輪を用いて過去の冬の降雪量や温度異常を復元。1990年代始め以降、地滑りの頻度が増加しており、春の気温の変化にともなう雪解け性の地滑りが増加していることが原因と考えられる。今後さらに増加する?

Proceedings of the National Academy of Sciences 
9 April 2013; Vol. 110, No. 15
特になし

16 April 2013; Vol. 110, No. 16
Environmental Sciences
Signs of critical transition in the Everglades wetlands in response to climate and anthropogenic changes
Romano Foti, Manuel del Jesus, Andrea Rinaldo, and Ignacio Rodriguez-Iturbe
気候変化によって影響を受ける生態系の中でも、湿地は特に脆弱だと考えられている。フロリダのEverglades国立公園において植生への影響を評価したところ、水循環の変化が種の相対的な割合に影響していることが分かった。

Sustainability Science
Record-setting algal bloom in Lake Erie caused by agricultural and meteorological trends consistent with expected future conditions
Anna M. Michalak et al.
2011年、五大湖の一つであるErie湖において観測史上最大の有毒な藻類の大発生が起きた。農業活動に由来する周囲からのリンの流入が最も寄与していると考えられる。さらにブルーミングの後に湖の流れが淀み、表層温度が高く保たれていたことも大増殖に寄与していたと考えられる。栄養塩流入量の管理・気候変化緩和なくしては将来もさらに大発生の頻度は増すと考えられる。

Nature Communications
09 April 2013
Early Cretaceous chalks from the North Sea giving evidence for global change
Jörg Mutterlose and Cinzia Bottini
ジュラ紀と白亜紀において海洋一次生産を担っていたnannoconidsは石灰質ナノプランクトンの重要種である。North SeaのOAE-1aに相当する堆積物記録の地球化学分析およびナノ化石記録から、nannoconidが減少するタイミングと、Ontong Java海台の形成のタイミングとが一致していることが示された。温室世界における河川流入量の増大と関係あり?

Ancient DNA reveals that bowhead whale lineages survived Late Pleistocene climate change and habitat shifts
Andrew D. Foote et al.
氷期-間氷期サイクルで多くの陸上生物が絶滅したが、海洋生物についてはよく分かっていない。ホッキョククジラ(bowhead whale; Balaena mysticetus)は自らに適した生息域を更新世から完新世への変遷期(~11.7ka)に北の海域へと大きく変化させることで適応していたらしい。しかし将来の気候変化は生息域をほぼ半減させるため、個体数には影響が生じるかもしれない。

Ocean lead at the termination of the Younger Dryas cold spell
Christof Pearce, Marit-Solveig Seidenkrantz, Antoon Kuijpers, Guillaume Massé, Njáll F. Reynisson and Søren M. Kristiansen
北大西洋のNew Fandland沖で採取された高時間解像度の堆積物から、海氷の指標となるIP25バイオマーカー、暖水の指標とアンル珪藻、IRDなどを復元。YDの終わりを告げる温暖化が、グリーンランドなどの気温の変化よりも早く海で起きていたことが示された。つまりAMOCの弱化から復活したのちにシグナルが大気へと伝播したことになる。
※コメント
この論文では14Cの年代決定を頼りにしているんですが、貝や底性有孔虫を用いているところに疑問を感じます。特に海洋リザーバー年代が大西洋では中層・低層水を中心に劇的に変化したことが多く報告されているので、年代モデルが本当に正しいのか、心配です。

16 April 2013
Initialized near-term regional climate change prediction
F. J. Doblas-Reyes, I. Andreu-Burillo, Y. Chikamoto, J. García-Serrano, V. Guemas, M. Kimoto, T. Mochizuki, L. R. L. Rodrigues and G. J. van Oldenborgh
気候モデルによる予測は検証不可能なように見えるが、ここ10年間程度であれば観測もあるので可能である。特に短期間の気候予測は政策決定にも大きな影響を与えるため重要である。CMIP5の気候予測結果は過去50年間では非常によく地球の地表温度を再現できており、信頼に足るものである。

A troodontid dinosaur from the latest Cretaceous of India
A. Goswami, G. V. R. Prasad, O. Verma, J. J. Flynn and R. B. J. Benson